仰天の“ビデオ判定逆転弾”だ。｢プロ野球ドラフト会議 supported by リポビタンＤ｣が22日、都内で行われ、阪神が東京 6大学野球新記録の通算 131安打を放った明治大學・高山俊外野手( 4年)を 1位指名した。ヤクルトと競合したが、くじを外したように思われた金本知憲新監督(47)が実は引き当てていたという珍事態が起こった。就任初仕事でドラマの主役となった。地獄から天国だった。明治大學・高山俊外野手を巡るヤクルトとの一騎打ち。開封と同時に真中満監督(44)が雄たけびを上げ、ガッツポーズをくり出した。それを見た金本知憲新監督は開封するまでもなく苦笑いで肩を落とした。会場では真中監督のインタビューが始まっていた。金本監督は初仕事の“黒星”を明るく笑い飛ばしながら、スカウト陣の待つ円卓に戻った。だが、ここから異例の事態に発展する。連盟担当者が｢確認のミスがありました｣とアナウンス。よく見てみれば、金本監督の手にしていたくじの右半分には｢交渉権確定｣の印字があった。真中監督がくじの左半分にあるドラフトマークを見て当たりだと勘違いしてしまったという。｢あれだけ真横で喜ばれたらねえ。見ても仕方ないだろうと、見なかったんですけど。まさにビデオ判定の逆転ホームランでしたね。連盟の方から言われて。それまで全然、気付かなかったです。本当は自分で開いて、見て、よし、と喜びたかったんですけど｣新指揮官は笑いを交えた金本節で振り返った。アニキ、恐るべし－。就任初仕事で強烈なインパクトを与えた。
わずか数分のうちに、戦いの舞台が神宮球場から阪神甲子園球場に変わった。東京 6大学リーグで 131安打を放ち最多安打記録を更新する明治大學・高山俊外野手( 4年＝日本大學第三高校)が阪神から指名を受けた。前日までにヤクルトが 1位指名を公言。頭の中は神宮球場一色だったが、阪神と競合し確認ミスの末、日本大學第三高校で2011年夏に全国制覇した甲子園を主戦場とすることになった。連続試合フルイニング出場などの記録を持つ金本知憲新監督(47)のもと｢息の長い選手になる｣と誓った。明治大學・善波達也監督(53)から異例の“ 2度目の握手”を求められるとやっと表情を和らげ、息を吐いた。ドラフト指名から約 3時間後、東京・府中市にある明治大學の寮で、駆け付けた金本新監督と初対面を果たした。高山の頭には金本新監督のゲキにこたえ、虎ファンに囲まれる姿が描かれていた。
阪神からドラフト 1位で指名された明治大學・高山俊外野手(22)が23日、東京・府中市内の明治大學グラウンド｢明治大學内海・島岡ボールパーク｣で練習。スイングスピードが 161.8キロであることを明かした。トリプルスリーを達成したソフトバンク・柳田悠岐外野手(27)をも上回る驚異の速さ。金本知憲新監督の期待に応え、スラッガーとしてフルスイングを誓った。160キロ超え…。その威力はプロの強打者との比較が物語る。今季34発などトリプルスリー( 3割30本30盗塁)を達成した柳田は 157キロ。現役の 160キロを超えは中田(北海道日本ハム)くらいでバレンティン(ヤクルト)でさえ 150キロ台だ。スイングの速さで知られる金本監督も現役時代は 155キロといわれた。数字だけならすでに球界トップクラスというわけだ。“封印”を解くときがきた。日本大學第三高校時代はスラッガーとして注目され、2011年に春夏の阪神甲子園球場で 2本塁打を放った。金本監督のもと、類い稀な“光速スイング”で本当の才能を覚醒させる。
未来の矢野へ、虎のドラフト 2位が名乗りをあげた。阪神の 2位指名を受けた明治大學・坂本誠志郎捕手( 4年＝履正社高校)が｢矢野さんのようにチームになくてはならない捕手になりたい｣と、 1軍バッテリー兼作戦コーチに就任予定の矢野燿大氏(46)を追う目標を掲げた。履正社高校(大阪) 3年春に 4強入りした懐かしい甲子園で、大学No.1捕手から虎の正捕手に飛躍する。大学日本代表の司令塔に成長して、坂本が甲子園に帰って来る。同期生の明治大學・高山俊外野手、上原健太投手(北海道日本ハム 1位)らと待ちわびたドラフト指名は、阪神の 2位。 1位の高山に次ぐ高評価に笑みがはじけた。集大成のこの秋も、今週末の法政大學戦で勝ち点を取れば優勝が決まる。大学日本代表には 2年でデビューを果たし、 3年から｢大学ＪＡＰＡＮ｣の司令塔になった。実績が高評価の対象になったが、実は阪神とは運命の糸で結ばれていた。祖父母が大の阪神ファンで、幼いころから阪神戦の中継を見るのが一家の日常だった。エース藤浪を支えて、悲願の日本一奪回へ。坂本の新しい野球人生が始まる。
阪神がドラフト 3位でサプライズ指名したのは、熊本ゴールデンラークスの竹安大知投手(21＝伊東商業高校)だった。昨冬に右肘のトミー・ジョン手術を受け、今季公式戦 1イニングしか投げていない。全国的には無名ながら、本人もビックリの 3位指名となった。目標は先発ローテ入り。金本監督のような強靱(きょうじん)な体をつくり、息の長い選手を目指す。仲間とともに寮でドラフト中継を見ていた竹安は、阪神 3位で名前が呼ばれると、思わず驚きの声をあげた。高校時代には甲子園出場を目指し、静岡から東京の二松学舎大學付属に野球留学した。 1年秋に地元の伊東商業高校に転校。 1年間の出場停止が明け、エースの座をつかんだが県 8強が最高で、プロ志望届も出さなかった。田中敏弘監督(45)も指名に目を丸くした。アマチュア時代から紆余(うよ)曲折の野球人生を歩んできた。雑草魂を胸にプロでの第 1歩を踏み出す。
技巧派ならいつでもなれる！ 金本知憲監督が23日、能見篤史投手(36)へ『剛球指令』を出していたことを明かした。指揮官の理想は、直球中心の投球で48歳まで現役を続けたソフトバンク・工藤公康監督(52)。来季プロ12年目を迎えるベテランにも、打者同様に“フルスイング”を求めた。早くも金本イズムを叩き込んだが、求めるものはベテラン投手に対しても同じだ。強気な投球で48歳までマウンドに立った鷹の工藤監督のように、能見にも若々しく“攻めて”ほしいわけだ。スケジュールの都合によるが、24日に秋季練習を初視察する可能性がある。若手もベテランも関係なく、強い姿勢、戦う姿勢を求めていく。
呉昇桓(オ・スンファン)投手(33)が23日、関西国際空港から母国韓国に向けて出国した。空港に居合わせた韓国のファンの写真や握手に笑顔で応え、日本を後にした。韓国時代から、鉄人の存在は知っていた。世界記録の1492試合連続フルイニング出場はもちろん、2539安打、 476本塁打など数々の偉業は、海を越えて伝わっていた。虎の先輩として憧れの思いがあるからこそ、口についた。やり残した思いもある。セーブ数は昨年の39から41に伸ばし、 2年連続セーブ王。それでも防御率は1.76から2.73に悪化し、チームも 3位。｢今年は個人としても悔しい思いをしたし、チームも優勝のチャンスがあったのにできなかった｣と顔をしかめた。オフは休みを減らし、早めにトレーニングに入ると話した石仏。その備えが虎のためになることを誰もが願っている。記事をまとめてみました。
仰天の“ビデオ判定逆転弾”だ。｢プロ野球ドラフト会議 supported by リポビタンＤ｣が22日、都内で行われ、阪神が東京 6大学野球新記録の通算 131安打を放った明治大學・高山俊外野手を 1位指名した。ヤクルトと競合したが、くじを外したように思われた金本知憲新監督が実は引き当てていたという珍事態が起こった。就任初仕事でドラマの主役となった。
地獄から天国だった。明治大學・高山俊外野手を巡るヤクルトとの一騎打ち。開封と同時に真中監督が雄たけびを上げ、ガッツポーズをくり出した。それを見た金本監督は開封するまでもなく苦笑いで肩を落とした。会場では真中監督のインタビューが始まっていた。金本監督は初仕事の“黒星”を明るく笑い飛ばしながら、スカウト陣の待つ円卓に戻った。
だが、ここから異例の事態に発展する。連盟担当者が｢確認のミスがありました｣とアナウンス。よく見てみれば、金本監督の手にしていたくじの右半分には｢交渉権確定｣の印字があった。真中監督がくじの左半分にあるドラフトマークを見て当たりだと勘違いしてしまったという。
｢あれだけ真横で喜ばれたらねえ。見ても仕方ないだろうと、見なかったんですけど。まさにビデオ判定の逆転ホームランでしたね。連盟の方から言われて。それまで全然、気付かなかったです。本当は自分で開いて、見て、よし、と喜びたかったんですけど｣
新指揮官は笑いを交えた金本節で振り返った。高山は東京 6大学野球の通算安打記録をつくった“完成品”と見られがちだったが、金本監督はあくまで将来性ある素材として見ていた。
勘違いしガッツポーズする真中満監督(右)と、中身を確認せず肩を落とす阪神・金本知憲監督＝東京・港区グランドプリンスホテル新高輪
｢今すぐ使えるとか、そういう判断ではなしに。将来的に 3、 4番を打てる可能性がある選手ということで選びました。今年、ヒットの記録ですか。ただ、最後はミートに走っているように見えたんですけども。どんどん振れる選手にしていきます。練習はきついですよ。しっかり体をつくってくるように。それをまず伝えます｣
安打製造機にとどまることなく、早くも将来のクリーンアップ候補として育て上げる決意を口にした。厳しく鍛えるという本人への予告も忘れなかった。
ドラマは箱の中で始まっていた。金本新監督が左手を突っ込んだ。手前にあった封筒を 1度はつかんだ。だが、少し考えた後、それを離し、奥にある方をつかみなおした。第六感が働いたのか…。過去の経験が頭をよぎったという。
｢今までさくっと、すぐに決めていいことがなかったので、あえて迷った。逆張りです(笑い)｣
競合を恐れず、素材重視で指名すると公言した前日、自らのクジ運を自虐的にこう話していた。
｢くじ運は弱い。まあ、当たらん。飛び賞なんかも必ず飛んでる(笑い)｣
だが、フタを空ければ、とてつもない強運ぶり。いや、経緯を見る限り、運というより自らの意志でつかみ取ったというべきだ。大勝負ほど強さを発揮する。アニキ、恐るべし－。就任初仕事で強烈なインパクトを与えた。
わずか数分のうちに、戦いの舞台が神宮球場から阪神甲子園球場に変わった。東京 6大学リーグで 131安打を放ち最多安打記録を更新する明治大學・高山俊外野手が阪神から指名を受けた。前日までにヤクルトが 1位指名を公言。頭の中は神宮球場一色だったが、阪神と競合し確認ミスの末、日本大學第三高校で2011年夏に全国制覇した甲子園を主戦場とすることになった。連続試合フルイニング出場などの記録を持つ金本知憲新監督のもと｢息の長い選手になる｣と誓った。
予想外の事態に、テレビ中継を見守っていた高山は目を見開いて驚いた。交渉権を獲得したと思われたヤクルト真中監督からエールを送られたわずか数分後、今度は金本新監督に｢一緒に頑張ろう！｣と言われた。｢やっぱり、何が起こるか分からないドラフト会議。本当に自分もよく分からない感じです｣と、阪神が交渉権を獲得した直後は状況をのみ込むのがやっとだった。
明治大學・善波達也監督から異例の“ 2度目の握手”を求められるとやっと表情を和らげ、息を吐いた。｢競合していただいたのはびっくりしましたが、うれしい結果になりました。金本さんのように長く野球人生を歩めるような選手になりたいです｣と、長く虎ファンを魅了し続けたアニキを早速目標に掲げた。
阪神金本新監督(中央)と笑顔を見せる 1位指名の明大・高山俊外野手と 2位の坂本誠志郎捕手＝東京府中市・明治大學の寮
ドラフト指名から約 3時間後、東京・府中市にある明治大學の寮で、駆け付けた金本新監督と初対面を果たした。｢すごいオーラを感じました。感動しましたし、タイガースの一員としてやっていく気持ちが強くなりました｣と目を輝かせた。技術面に関してもアドバイスを受け｢強いスイングをして遠くに飛ばせと言われました。スイングスピードには自信があります｣と言った。
日本大學第三高校では 3度甲子園に出場。2011年夏に日本一になった際は、50メートル 5秒 8の俊足を生かして大暴れし、準決勝、決勝では 2本塁打を放った。神宮球場で目下、東京 6大学リーグの最多安打記録を更新する神宮のスターは甲子園の申し子でもある。｢あんなにいいグラウンドで今からやれると思うとワクワクします｣と思いを巡らせた。
中学時代の通知表はオール 5に近かった。切り替えが早く負けず嫌い。分からないことについてはとことん追求する。｢バッティングで監督の期待にこたえたいです｣。高山の頭には金本新監督のゲキにこたえ、虎ファンに囲まれる姿が描かれていた。
◆当たりの勘違い：最近では 3年ぶりに抽選が復活した2005年高校生ドラフトで混乱が相次いだ。巨人、オリックスの 2球団競合となった辻内崇伸投手(大阪桐蔭高校)の抽選で、オリックス中村ＧＭがＮＰＢ印を当たりと間違え｢当たった｣とくじを掲げた。ガッツポーズを見た巨人堀内監督は｢交渉権確定｣のくじを持ちながらも｢初めてのことだからよく分からない｣と苦笑い。結局、辻内の会見後に確定球団が訂正された。陽仲寿内野手(福岡第一高校＝現陽岱鋼)のくじは北海道日本ハム・ヒルマン監督、ソフトバンク王監督が引き、ヒルマン監督が右手を掲げた。ところが王監督が｢当たりはこちら｣とばかりにくじを掲げて抗議し、確定球団は北海道日本ハム－ソフトバンク－北海道日本ハムと再訂正。意中のソフトバンクに当たったと思い込み感激の涙を流した陽は、北海道日本ハムに決まると言葉を失った。
ドラフト会議から一夜明け、笑顔の明治大學・高山俊外野手＝23日、東京都府中市の明治大學内海・島岡ボールパーク
阪神からドラフト 1位で指名された明治大學・高山俊外野手が23日、東京・府中市内の明治大學グラウンド｢明治大學内海・島岡ボールパーク｣で練習。スイングスピードが 161.8キロであることを明かした。
右手有鉤骨を骨折した高山は、24４日からの法政大學戦に出場は出来ないが、ベンチ入りする可能性はある。善波達也監督(53)が｢まだ決めていないけど入れるかもしれない｣と話した。本人も外から野球を見ることに前向きで、｢今までは配球を読むより、自分の感覚で来た球を打つという感じ。(この故障を)野球人生の大きなプラス材料にして、成長したい｣と意識改革も誓った。
骨折した右手でタオルを握り、ゴロ捕球を行う高山俊外野手。驚きのスイングスピードで、金本監督の期待に応える！＝東京都府中市の明治大學内海・島岡ボールパーク
柳田を超える！ 阪神からドラフト 1位で指名された明治大學・高山俊外野手が23日、東京・府中市内の明治大學グラウンド｢明治大學内海・島岡ボールパーク｣で練習。スイングスピードが 161.8キロであることを明かした。トリプルスリーを達成したソフトバンク・柳田悠岐外野手をも上回る驚異の速さ。金本知憲新監督の期待に応え、スラッガーとしてフルスイングを誓った。
ファウルを打った際に砕けたという、右手首の骨…。それは高山の恐るべき潜在能力の高さを証明していたともいえる。競合したヤクルト・真中監督の勘違いによる“大逆転ドラフト”で虎入りが決まり、金本監督と握手を交わしてから一夜明け、期待のドラ 1が、驚異の数値を明かした。
｢スイングスピードを生かしたいです。(計測は) 3カ月前くらいですけど、 161.8キロが出ました｣
骨折した右手をかばうためにタオルを握って練習に臨む、阪神がドラフト 1位指名した明治大學・高山俊外野手＝東京都府中市の明治大學内海・島岡ボールパーク
160キロ超え…。その威力はプロの強打者との比較が物語る。今季34発などトリプルスリー( 3割30本30盗塁)を達成した柳田は 157キロ。現役の 160キロを超えは中田(北海道日本ハム)くらいでバレンティン(ヤクルト)でさえ 150キロ台だ。スイングの速さで知られる金本監督も現役時代は 155キロといわれた。数字だけならすでに球界トップクラスというわけだ。
｢長所を聞かれたら、スイングスピードと積極性だと答えます｣
胸を張った22歳。前夜、指名あいさつに訪れた金本監督からは｢本塁打を打てる打者になってほしい｣と直接、期待の言葉をかけられた。抜群のバットコントロールで東京六大学野球通算 131安打。48年ぶりにリーグ記録を更新し、安打製造機として名を売ったが、同じ左打者の指揮官の目には、そう映っていなかった。こいつは、もっと振れる－。もちろん、大学ナンバーワン打者も“その気”だ。
島岡吉郎・明治大學野球部元監督の胸像を前に活躍を誓う、阪神がドラフト 1位指名した明治大學・高山俊外野手＝
｢金本監督にそう(長距離打者に)育ってほしいといわれた以上は、そうなっていくことが恩返しになるし、正しい道だと思います｣
今春、秋のリーグ戦は本塁打ゼロだが｢安打記録もあったので、どちらを取るかで『単打でも』と思って安打にこだわってきました。自信があるのはスイングスピードなので｣と話す。つまり、ここからが真の姿を見せるときというわけだ。
目標について、｢少しでも福留さんに近づければ｣と話した金の卵は現在、右手有鉤骨(ゆうこうこつ)を骨折しており、26日に手術を受ける予定。この日も手を使わない練習のみで、優勝に王手をかけた法大とのリーグ戦へ出場はできないが、リハビリ開始と同時に新境地へ走り出す。
右手を骨折したため、他の選手がノックを受ける中ボールの捕球だけ練習に参加する、阪神がドラフト１位指名した明治大學・高山俊外野手＝明治大學内海・島岡ボールパーク
｢本当はどんどん振っていきたいけど、(今年は)引っかけてしまう打席が増えると安打が減ってしまうので、強く振るということをやっていなかった。言われたからには、強く振ることになると思います｣
“封印”を解くときがきた。日本大學第三高校時代はスラッガーとして注目され、2011年に春夏の阪神甲子園球場で 2本塁打を放った。金本監督のもと、類い稀な“光速スイング”で本当の才能を覚醒させる。
未来の矢野へ、虎のドラフト 2位が名乗りをあげた。阪神の 2位指名を受けた明治大學・坂本誠志郎捕手が｢矢野さんのようにチームになくてはならない捕手になりたい｣と、 1軍バッテリー兼作戦コーチに就任予定の矢野燿大氏を追う目標を掲げた。履正社高校(大阪) 3年春に 4強入りした懐かしい甲子園で、大学No.1捕手から虎の正捕手に飛躍する。
大学日本代表の司令塔に成長して、坂本が甲子園に帰って来る。同期生の明治大學・高山俊外野手、上原健太投手らと待ちわびたドラフト指名は、阪神の 2位。 1位の高山に次ぐ高評価に笑みがはじけた。
｢自分の思っている以上に高い評価をしていただいて、うれしく思っています。地元が兵庫県で、ゆかりのあるタイガースに評価をしていただいて、ほっとしているのと同時に大変光栄に思っています｣
履正社高校で 1年上のヤクルト山田らと 2年夏に甲子園に出場し、 3年春はセンバツ 4強。明治大學では 1年春からマスクをかぶり、同秋から正捕手に。集大成のこの秋も、今週末の法政大學戦で勝ち点を取れば優勝が決まる。大学日本代表には 2年でデビューを果たし、 3年から｢大学ＪＡＰＡＮ｣の司令塔になった。実績が高評価の対象になったが、実は阪神とは運命の糸で結ばれていた。祖父母が大の阪神ファンで、幼いころから阪神戦の中継を見るのが一家の日常だった。
笑顔を見せる阪神 1位指名の高山俊外野手(左)と 2位指名の坂本誠志郎捕手＝東京府中市・明治大學の寮
｢最近の野球は捕手が代わることが多いが、ぼくが小さいころ、テレビで阪神の試合をつけたら必ず捕手が矢野さんだった。いつ、どの試合でもタイガースの捕手は矢野さんだった。矢野さんのように、チームになくてはならない存在の捕手になりたい｣
夜に対面した金本監督にも思い出があった。中学時代にツアーで広島市民球場に広島－阪神戦を見に行き、試合前にサインをもらった。その相手が阪神の主砲金本だった。この日は監督と期待の正捕手候補として再会し、さっそく必要なものを伝えられた。
｢プロで試合に出る捕手とは、まず打てること、さらに盗塁を刺せること。それが大事だと言われました。自分に足りないところなので、克服していきたい。(監督は)すごい威圧感、大きい方だと感じました｣
藤浪も待っている。履正社高校の正捕手、大阪桐蔭のエースとしてしのぎを削った 1歳下の右腕とプロではバッテリーを組む。
｢ 2年秋、 3年夏に対戦して 1安打ずつしていると思うけれど夏は特に手がつけられない投手になっていた。プロに入ってさらにすごい投手になっている。同じチームの仲間として、阪神のためにやっていければいい｣
エース藤浪を支えて、悲願の日本一奪回へ。坂本の新しい野球人生が始まる。
◆坂本誠志郎(さかもと・せいしろう)：1993(平 5)年11月10日、兵庫県生まれ。養父小学校 1年から｢養父カープ｣で野球を始め、同 3年から捕手。養父中学校で 3年夏に兵庫 3位。履正社高校では 1年夏からベンチ入り。明治大學では主将も経験した。投手の長所を引き出す能力と正確な送球が武器。 176センチ、78キロ。右投げ右打ち。
▼阪神は 2位で、明治大學の坂本誠志郎捕手を指名。同じ球団から同じチームへの 1、 2位指名は、2014年阪神が新日鉄住金鹿島から 1位横山雄哉、 2位石崎剛の両投手を指名して以来、 6組目。同一球団の 1、 2位指名選手が、 2年連続でそれぞれ同一チームだったのは史上初。
▼阪神の 1、 2位指名がともに野手は、1966年 2次＜１＞西村公一＜２＞大倉英貴、1991年＜１＞萩原誠＜２＞久慈照嘉、1996年＜１＞今岡誠＜２＞関本健太郎に続き、19年ぶり 4組目(高校生ドラフト除く)。過去 6人はいずれも内野手で、外野手と捕手の組み合わせは球団初。
阪神がドラフト 3位でサプライズ指名したのは、熊本ゴールデンラークスの竹安大知投手だった。昨冬に右肘のトミー・ジョン手術を受け、今季公式戦 1イニングしか投げていない。全国的には無名ながら、本人もビックリの 3位指名となった。目標は先発ローテ入り。金本監督のような強靱(きょうじん)な体をつくり、息の長い選手を目指す。
仲間とともに寮でドラフト中継を見ていた竹安は、阪神 3位で名前が呼ばれると、思わず驚きの声をあげた。
｢指名されても 4位以下と思っていた。まさか 3位とは…。下を向いていたら、チームメートがオーッと声をあげ、ビックリした｣
阪神、巨人、中日、オリックスの 4球団が調査書を送り極秘マークする中での 3位指名だった。キレのある最速 145キロの直球が武器。決め球は三振の取れるフォークで肘の柔らかさを生かしたしなりのあるフォームが評価された。
高校時代には甲子園出場を目指し、静岡から東京の二松学舎大學付属に野球留学した。 1年秋に地元の伊東商業高校に転校。 1年間の出場停止が明け、エースの座をつかんだが県 8強が最高で、プロ志望届も出さなかった。
阪神から 3位指名され、チームメートに胴上げされる熊本ゴールデンラークスの竹安大知投手
社会人の熊本ゴールデンラークスでは 1年目の2013年からエース級の活躍。昨夏にはホンダ熊本の強化選手として都市対抗にも出場した。だが右肘の内側側副靱帯(じんたい)を痛め、昨年12月にトミー・ジョン手術を受けた。今季は 9月の日本選手権九州予選で 1イニングに登板しただけ。田中敏弘監督も｢やっと投げられるようになって、来年復活させるシナリオだった｣と、指名に目を丸くした。
2年前から視察を続けていた九州地区担当の田中秀太スカウトのイチオシだった。 9月に復活のマウンドを視察。獲得を強く薦めた。金本監督は｢ホンマよ。(田中スカウトが)あれだけ推すから｣と、理由を明かした。
チームの母体は熊本県内でスーパーを営む｢鮮ど市場｣。商業高校出身の竹安は昨年までは会社の本部で経理を担当。今年から業務提携を結ぶジムで午前中はトレーナーを務め午後から練習に励んでいる。目標は金本監督のような長寿選手。｢プロで長くやるための体をつくりファンの方に愛される選手になりたい｣。アマチュア時代から紆余(うよ)曲折の野球人生を歩んできた。雑草魂を胸にプロでの第 1歩を踏み出す。
記者会見に臨んだ阪神ドラフト 3位の熊本ゴールデンラークス・竹安大知投手＝鮮ど市場本社
阪神にドラフト 3位で指名された熊本ゴールデンラークス・竹安大知投手が23日、熊本市の｢鮮ど市場本社｣で会見を行い、チームメートとなる同学年の 2人に敬意を示した。
まずは、サプライズでのドラフト指名から一夜明けての心境を｢昨日は興奮してあまり寝られなかったです。普段は結構早く寝るのですが。人生で 1度の日なので興奮していました｣とニッコリ。無料通信アプリＬＩＮＥ(ライン)では知り合いから 100を超える祝福メッセージを受け、電話も20件を超えたという。
阪神では現時点での同い年が、高校 3年時に春夏の甲子園で決勝を戦っていた大阪桐蔭出身の藤浪と、青森・光星学院(現八戸学院光星)出身の北條のみ。竹安が 3人目の1994年生まれの選手になる。高校時代は全国的に無名だったため、周囲からは早速心配の連絡が届いているという。特に同じ投手の藤浪に対しては｢同い年だけど、 3年間プロで成功している先輩だと思う。同級生というより、先輩として見ると思う。チームを勝たせている投手なので、 1年間ローテーションを守り抜くためのトレーニングの仕方だったり、心の持ち方を聞いてみたいです｣と謙虚に話した。
竹安はキレのある最速 145キロの直球が武器の右腕。決め球は三振の取れるフォークで、柔らかくしなりのあるフォームが特徴だ。会見に同席した田中敏弘監督は｢僕の期待は 1軍というよりも、藤浪くんと同期ですからね。 2枚看板になるぐらいの意欲を持って活躍して欲しい｣と教え子を鼓舞した。
◆竹安大知(たけやす・だいち)：1994(平 6)年 9月27日、埼玉県生まれ、静岡県育ち。小 1から富戸ジュニアで野球を始める。中学は伊東リトルシニア。二松学舎大付を 1年夏に中退し、伊東商に転校。2013年から熊本ゴールデンラークス。変化球はスライダー、カーブ、フォーク。遠投 115メートル。趣味は寝ることで 1日20時間寝たこともある。 183センチ、80キロ。右投げ右打ち。家族は両親と妹、弟。Ｏ型。
◆熊本ゴールデンラークス：母体は熊本県を中心に九州で25店舗を展開する総合スーパー｢鮮ど市場｣(田中弘文社長)。野球部は2005年 2月に創部で、グラウンドと寮は熊本県合志市。選手はほかの従業員とともに店舗などで働く。球団名は｢県民に応援してもらいたい｣とあえて企業名は入れず、熊本県鳥のひばりにちなんだ。都市対抗出場 2回。日本選手権出場 1回。主なＯＢに香月良仁(ロッテ)、川崎成晃(ヤクルト)、島井寛仁(楽天)ら。
阪神・能見篤史投手
技巧派ならいつでもなれる！ 金本知憲監督が23日、能見篤史投手へ『剛球指令』を出していたことを明かした。指揮官の理想は、直球中心の投球で48歳まで現役を続けたソフトバンク・工藤公康監督。来季プロ12年目を迎えるベテランにも、打者同様に“フルスイング”を求めた。
老け込むのはまだ早い。いくつになっても投手の醍醐味は直球だ。金本監督は、36歳の能見にもスピードにこだわる姿勢を要求していた。
｢チーム方針として、ピッチャーは速い球にこだわる。まずはそこから。能見にも言ったよ。工藤さんみたいなピッチャーになれと｣
前日、就任後初の大仕事となったドラフト会議を｢95点｣で終えた。くじで引き当てた高山には｢小さくまとまるのはいつでもできる｣と長距離砲を目指すよう厳命。早くも金本イズムを叩き込んだが、求めるものはベテラン投手に対しても同じだ。強気な投球で48歳までマウンドに立った鷹の工藤監督のように、能見にも若々しく“攻めて”ほしいわけだ。
元阪神・下柳剛投手
｢技巧派には、いつでもなれるから。下柳にはいつでもなれる｣。ジョーク交じりに引き合いに出した同級生の下柳氏は2005年に阪神で15勝を挙げ、史上最年長の37歳で最多勝を獲得。速球派から転向し、変化球中心の高い技術で白星を積み重ねた。能見も来年、同じ37歳になるが、指揮官はまだテクニックに走る年齢ではないと見る。
今季は11勝で 2年ぶりの 2桁勝利を挙げた左腕は、甲子園クラブハウスで｢そう言ってもらえるのはありがたいです。こっちとしても、それに応えないと。真っすぐにはこだわっていますし｣とキッパリ。指揮官の指令に応える覚悟はできている。｢イニングをしっかり投げたい。年々、下がっているのではね｣。2011年の 200回 1/3をピークに投球回数は右肩下がり。今季は 159回 2/3にとどまったが、来季は鉄腕発揮に燃えている。
｢グラウンドに行けるかわからないけど、練習には行けたら行くよ｣と金本監督。スケジュールの都合によるが、24日に秋季練習を初視察する可能性がある。若手もベテランも関係なく、強い姿勢、戦う姿勢を求めていく。
韓国へ帰国する呉昇桓投手＝関西国際空港
呉昇桓投手が23日、関西国際空港から母国韓国に向けて出国した。
来季の去就に関しては｢その部分は自分は気にしていない。エージェントがやってくれる。球団(阪神)との話を進めている。気にせずに待つだけです｣と言うに止めた。
シーズン終盤に故障し戦線を離脱。巨人とのＣＳファーストステージに間に合わなかった。｢今年は個人的に悔しい。チームとしては『８０周年』の記念の年に、優勝するチャンスがあったのに優勝できなかったことが一番悔しい｣と振り返った。
空港に居合わせた韓国のファンの写真や握手に笑顔で応え、日本を後にした。
関西空港から出発する呉昇桓投手。金本監督と一緒にやりたいという気持ちを口にしたが、果たして…＝関西国際空港
阪神の呉昇桓投手が23日、関西空港から韓国へ帰国した。注目の来季去就については明言を避けた守護神だが、金本知憲新監督について｢一度は一緒にやってみたいという気持ちはあります｣とぽろり。交渉は一切を代理人に任せているというが、果たして“石仏”の心が動くことはあるのか－。
残留かメジャーか－。無数のフラッシュを浴びながら呉昇桓が帰国の途に着いた。阪神との 2年契約を終え、注目される韓流守護神の来季。｢エージェントがやってくれているので、自分が気にすることはない。球団との話し合いは続けているけど、気にせず待つだけ｣とクールに代理人任せを説明したが…。『金本知憲』のフレーズには敏感に反応した。
｢話したことはないが、いい人で、良い選手だと聞いたことがある。一度は一緒にやってみたいという気持ちはあります｣
笑顔をみせる阪神・呉昇桓投手＝関西空港
韓国時代から、鉄人の存在は知っていた。
｢世界記録を作ったし、尊敬している。(映像は)結構、見たことがあります｣
世界記録の1492試合連続フルイニング出場はもちろん、2539安打、 476本塁打など数々の偉業は、海を越えて伝わっていた。虎の先輩として憧れの思いがあるからこそ、口についた。
韓国内ではメジャー挑戦する方向と報じられるなど、周囲は騒がしい。メジャーについて本人は｢決まったことではない。いろんな方向で考えている｣と多くを語らなかったが、素直な感情として明かしたのが｢金本監督とやってみたい｣という思い。そして猛虎愛だ。｢その気持ち(チームへの愛着)は持っています。他の選手とも仲良くやっていた｣。
さらに｢他のこと(国内他球団への移籍)は考えたことがない｣と、あくまで阪神かメジャーかの二択を強調した。
報道陣の質問に答える阪神・呉昇桓投手＝関西空港
やり残した思いもある。セーブ数は昨年の39から41に伸ばし、 2年連続セーブ王。それでも防御率は1.76から2.73に悪化し、チームも 3位。｢今年は個人としても悔しい思いをしたし、チームも優勝のチャンスがあったのにできなかった｣と顔をしかめた。
南球団社長はこの日、｢残留要請はしている。これから代理人と話していくことになる｣と全力で引き留める方針を改めて語った。抑え投手の動向はチーム編成にも大いにかかわるだけに、予断は許さない。あくまで、交渉は代理人主導。そこに“情”が入り込むかどうかはわからないが…。『金本監督』の存在が、去就にかかわる可能性があることも確かだ。
オフは休みを減らし、早めにトレーニングに入ると話した石仏。その備えが虎のためになることを誰もが願っている。
帰国する阪神・呉昇桓投手＝関西空港
◆呉昇桓(オ・スンファン)：投手。1982年 7月15日生まれ、33歳。韓国出身。2005年に韓国サムスン入団。 1年目から抑えとして活躍し、16セーブで新人王。韓国では通算 277セーブで最多セーブ 5度。2014年に阪神入団。今季は63試合で 2勝 3敗41セーブ、防御率2.73。2008年にクルーン(当時巨人)が記録した外国人最多セーブ記録に並び、 2年連続の最多セーブを獲得した。日本通算 127試合で 4勝 7敗80セーブ、防御率2.25。 1メートル78、92キロ。右投げ右打ち。年俸 3億円。背番号｢２２｣。
阪神が新コーチ陣への入閣を要請しているＯＢの今岡誠氏(41＝日刊スポーツ評論家)に対して 2軍野手総合コーチのポストを用意する見通しであることが22日、分かった。打撃だけでなく、野手全般を見る立場で、チームマネジメントにも関わるとみられる。
今岡氏は2003年に首位打者、2005年に打点王に輝く勝負強さを見せ、 2度の優勝に貢献した。ロッテでは 2軍で選手兼任コーチを務めた経験もある。若手に勝負の厳しさを植えつけ、個性を生かした指導は、うってつけだろう。近日中に今岡氏が返答する方向になりそうだ。
阪神に良い選手がドラフトで入団(？)。ドラフト 1位， 2位の選手は二人とも明治大學在籍中の選手という事だが、考えてみると、時代こそ違えどタテつながりで虎ちゃんの父親の後輩筋に当たる選手となっている。彼らには、阪神タイガースの為に良い成長を期待したいですね。
ドラフト会議2015
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