●阪神が平成最後の東京ドームでの「伝統の一戦」に連敗した。巨人は 3回に丸の「2号3ラン」で先制すると、続く「4番」岡本も「1号ソロ」で続いた。先発のクリストファー・クリソストモ・メルセデス投手(25)は 3回まで 2安打無失点。阪神先発の青柳晃洋投手(25)は 5回 5安打 4失点で降板した。巨人メルセデスは 6回まで 3安打無失点と好投し、 4点リードで終盤戦に入った。巨人は守護神ライアン・クック投手(31)が走者を出しながらもしのいで「4連勝」。メルセデスが「今季初勝利」を挙げた。阪神は「3連敗」となった。青柳が「1敗」目。青柳晃洋投手が 5回 5安打 4失点で降板した。 3回二死 1、 3塁から「3番」丸佳浩外野手(29)に、 141キロシュートを右翼スタンドへ運ばれ、先制の「3ラン」。続く「4番」岡本和真内野手(22)には真ん中に入った初球の 138キロシュートをバックスクリーン右横へ運ばれた。今季初登板でオープン戦のような好投を見せることができなかった。試合前に梅野隆太郎捕手(27)が 2日の巨人で左足の指を負傷し、骨折の疑いがあると発表された。チームドクターの診察を受けるため緊急帰阪。テコ入れした打線も反撃が遅れた。まだ開幕 5試合とはいえ、「3連敗で借金1」と嫌な空気に包まれた。梅野が離脱すれば計り知れないダメージになる。開幕連勝後は「3連敗」で、今季初めて借金生活に入った。序盤戦で、最初の踏ん張りどころを迎えた。
●梅野隆太郎捕手が 3日、左足の指を負傷していたため帰阪した。前日 2日の巨人 1回戦(東京ドーム)の 2回に 3塁内野安打を放った際に、 1塁ベースで巨人岡本と交錯して転倒。左足の指を負傷した。骨折の疑いがあり、この日に帰阪。この日は午前中に都内の病院に向かった。出場選手登録は抹消せず、様子を見ることになりそうだ。この日の巨人戦は 3- 6で敗れ、矢野虎初の「3連敗&借金1」。選手会長の長期離脱となれば大きな痛手となる。開幕カード勝ち越しの勢いも、その“立役者”も、東京ドームのグラウンドにはもう残っていなかった。扇の要の梅野がまさかの離脱。初の「3連敗」を喫した矢野燿大監督(50)の表情も、曇りっぱなしだった。この日の試合前、球団広報が報道陣を集めた。梅野についてまさかの発表。前夜の 2点を追う 2回二死 1塁。 3塁内野安打で、 1塁を駆け抜けようとした際に、 1塁手・岡本と交錯して転倒していた。その際に、左足の指を痛めていたという。 4日の患部の状態によっては、痛みを押してのプレーが可能な場合もあるという。「3連敗」で、矢野虎は一気に借金生活。正妻抹消か、それとも「残れる可能性」はあるのか。虎に早くも大きなヤマ場が訪れた。
●虎の希望の光だ。「ドラフト1位」の近本光司外野手(24=大阪ガス)が、 6点を追う 8回二死満塁で左前 2点適時打を放ち、宿敵メルセデスに一矢報いた。昨季は 4度対戦し、29回 1/3を投げた左腕からタイムリーを放ったのは大山悠輔内野手(24)の 1本だけだった。フルカウントまで粘った 8球目。外角 135キロ直球をはじき返した。反撃ののろしを上げる一打に、 1塁ベース上で両拳を突き上げて喜んだ。初回にも左安打を放っており、プロ入り初めての「マルチ安打」を記録した。このまま足も使える近本が「2番」に定着できれば、攻撃のバリエーションは増す。春季キャンプ、オープン戦でも結果を残してきた「ドラフト1位」は、本番になっても心強い存在。前日の巨人との初戦でも 3点を返す足がかりとなる 3塁打を放つなど、連敗の中でも、ファンに期待を抱かせる一打を重ねている。バットが砕けても、闘争心だけは真っ赤に燃えた。右手を目いっぱいに伸ばす。「D1位」・近本光司外野手が難敵メルセデスから 2点打だ。満面の笑みで両手を突き上げ、宿敵を相手に堂々とファイティングポーズを取った。上本博紀内野手(32)、中谷将大外野手(26)ら代打陣が口火を切り、二死満塁で打席へ。粘りに粘った 8球目。外角 135キロに必死にバットを伸ばすと、バットは折れ、打球はふらふらと左翼前へポトリ。ゼロ行進が続いていたスコアボードに「2」を刻み込み、虎党のボルテージを一気に上げてみせた。止まることはない。願った場所に向かって、近本は真っすぐに走る。
●糸井嘉男外野手(37)がルーキーの奮起に続いた。 8回に近本が 2点適時打を打った直後の二死 1、 2塁、メルセデスの初球スライダーをとらえ、右前適時打。 4打数 2安打 1打点と奮闘してもチームに勝ちを呼び込めず、切り替えた。 4回一死 1塁でも右前打を放ち、今季初の「マルチ安打」を記録した。それでもチームは「3連敗」となり必勝を誓った。「3番」に座る超人が、もっと打線を引っ張る。
●大山悠輔内野手が、「4番」の責任を背負って東京ドームを後にした。開幕 5戦を終え、「打率1割1分1厘」と不振。得点圏でヒットは出ていない。この日も流れに乗れなかった。 4回一死 1、 3塁では右飛に倒れた。犠飛にもならないフライアウトに、悔しさをにじませてベンチに戻った。 3点を返した直後の 8回二死 1、 3塁では高めのつり球にバットを出して3球三振。虎党のため息を誘った。最大のチャンスを迎えたのは 8回の第 4打席。近本の 2点打と糸井の適時打で 3点を返し、なおも二死 1、 3塁で打順は大山へ。一打が出れば、汚名返上できる場面だったが…。内角高めの直球にバットが出てしまい、空振り三振。東京ドームに駆けつけた多くの虎党のため息がこだました。これで開幕 5試合で18打数 2安打、「打率0.111」。この成績以上にチャンスで打てず、得点圏では 5打数無安打。打点は「1」で 3月31日のヤクルト戦(京セラ)で記録した犠飛のみだ。矢野監督は、爆発してくれることを信じて今後も「4番」で起用していく覚悟を示した。もちろん本人も指揮官からの大きな期待と中軸を打つ責任は重々承知している。次こそ若き「4番」が期待に応えて反撃の一打を放つ。そしてチームの「3連敗」を自らのバットで止める。
●青柳晃洋投手が 3日、巨人戦(東京ドーム)で今季初先発。 2回まで無失点に抑えていたが、 3回に丸に「先制3ラン」を浴び、次の打者の岡本にもソロホームランを浴びた。東京ドームでは平成最後となる巨人との「伝統の一戦」。青柳は結局、 5回 4失点でマウンドを降りた。
記事をまとめてみました。
<巨人 6- 3阪神>◇第 2戦◇阪神 0勝 2敗 0分◇ 3日◇東京ドーム
巨人は 3回に丸の「2号3ラン」で先制すると、続く「4番」岡本も「1号ソロ」で続いた。先発のメルセデスは 3回まで 2安打無失点。
阪神先発の青柳は 5回 5安打 4失点で降板した。巨人メルセデスは 6回まで 3安打無失点と好投し、 4点リードで終盤戦に入った。
巨人は守護神クックが走者を出しながらもしのいで「4連勝」。メルセデスが「今季初勝利」を挙げた。阪神は「3連敗」となった。青柳が「1敗」目。
巨人戦に先発した青柳晃洋投手=東京ドーム
青柳晃洋投手が 5回 5安打 4失点で降板した。
3回二死 1、 3塁から「3番」丸に、 141キロシュートを右翼スタンドへ運ばれ、先制の「3ラン」。続く「4番」岡本には真ん中に入った初球の 138キロシュートをバックスクリーン右横へ運ばれた。今季初登板でオープン戦のような好投を見せることができなかった。
3回裏巨人二死、青柳晃洋投手は岡本和真内野手に「中越えソロ本塁打」を被弾=東京ドーム
阪神が平成最後の東京ドームでの「伝統の一戦」に連敗した。
試合前に梅野隆太郎捕手が 2日の巨人で左足の指を負傷し、骨折の疑いがあると発表された。チームドクターの診察を受けるため緊急帰阪。正妻を欠いたチームは先発青柳が 3回に丸に「3ラン」、岡本にソロを浴びるなど 2夜連続で主導権を握られ、テコ入れした打線も反撃が遅れた。まだ開幕 5試合とはいえ、「3連敗で借金1」と嫌な空気に包まれた。
◇ ◇ ◇
プレーボール 2時間半前の異変だった。阪神のウオーミングアップ。正捕手梅野の姿がない。岡崎も出場選手登録を抹消され、球場で練習する捕手は坂本1人だけ。異様な光景だった。午後 4時半に球団広報が事情を説明する。「左足の指を負傷して骨折の疑いがあるということで…」。わずか開幕 4戦で司令塔が消えた。衝撃的な発表で、矢野阪神が早々から試練にさらされた。
5回裏を前に坂本誠志郎捕手が準備している間、中谷将大外野手が防具を着けてマスクを被りボールを受けた=東京ドーム
暗転したのは前日 2日の巨人戦だ。梅野は 2回、 3塁内野安打で 1塁に駆け込んだ際、 1塁手岡本と交錯して左足の指を強打して転倒。試合終了までプレーを続けた。この日の午前中に都内の病院で受診。プレーを見合わせ、ベンチ入りメンバーから外れて緊急帰阪した。広報は「判断は明日以降となります」と説明。今日 4日にチームドクターの診察を受け、方向性を決める。負傷箇所が親指ではないため、今後もプレーできるか模索するという。チームに欠かせない扇の要が離脱のピンチに陥った。
梅野は昨季、自己最多の 132試合に出場し、初めて「ゴールデングラブ賞」に輝くなど、正捕手としての地歩を固めつつあった。今季も全 4試合に先発。投手陣を巧みにリードするなど、存在感を示していたが、想定外のアクシデントに見舞われた。チームは急きょ長坂を登録。試合前練習に間に合わず、ドタバタ感がにじみ出た。梅野不在の尾を引きずるように、チームは攻守ともに精彩を欠いた。
2日の巨人-阪神戦、 2回に 3塁内野安打で 1塁を駆け抜ける梅野隆太郎捕手(左)。 1塁手岡本和真内野手=東京ドーム
この日は開幕スタメンの木浪を外して「1番」に北條を抜てきした。だが、新オーダーは不発。昨季、白星なしの「2敗、防御率0.61」と苦戦した天敵メルセデスから 8回の代打攻勢で 3点を奪ったが時すでに遅し。指揮官も「真っ先に出てる人は、その前に、もう少し何とかしないとというのが一番」と嘆く。チーム打率も「1割8分4厘」に沈み、貧打解消が課題になっている。
開幕当初から「守り勝っていく」と話す指揮官にとって梅野が離脱すれば計り知れないダメージになる。梅野の今後については「残れる可能性を探しながら、どうかやね」と言う。開幕連勝後は「3連敗」で、今季初めて借金生活に入った。序盤戦で、最初の踏ん張りどころを迎えた。
巨人対阪神 8回表阪神二死 1、 3塁、好機に三振した大山悠輔内野手=東京ドーム
阪神のスタメンは以下の通り。
1(遊)北條史也内野手(24)
2(中)近本光司外野手(24=大阪ガス)
3(右)糸井嘉男外野手(37)
4(三)大山悠輔内野手(24)
5(左)福留孝介外野手(41)
6(一)エフレン・ナバーロ内野手(32)
7(二)糸原健斗内野手(26)
8(捕)坂本誠志郎捕手(25)
9(投)青柳 晃洋投手(25)
梅野隆太郎捕手が 3日、左足の指を負傷していたため帰阪した。
前日 2日の巨人 1回戦(東京ドーム)の 2回に 3塁内野安打を放った際に、 1塁ベースで巨人岡本と交錯して転倒。左足の指を負傷した。骨折の疑いがあり、この日に帰阪。
この日は午前中に都内の病院に向かった。出場選手登録は抹消せず、様子を見ることになりそうだ。
2回表阪神二死 1塁、梅野隆太郎捕手は 3塁ゴロを放ち 1塁へ駆け込んだときに岡本和真内野手(左)のかかと部分と左足を接触させる=東京ドーム
えらいこっちゃ! 梅野隆太郎捕手が 3日、左足指の骨折の疑いがあり、チームドクターの診断を受けるため緊急帰阪した。前日 2日の巨人戦(東京ドーム)で 2回に 3塁内野安打を放った際、 1塁ベース付近で転倒して負傷。この日の巨人戦は 3- 6で敗れ、矢野虎初の「3連敗&借金1」。選手会長の長期離脱となれば大きな痛手となる。
開幕カード勝ち越しの勢いも、その“立役者”も、東京ドームのグラウンドにはもう残っていなかった。扇の要の梅野がまさかの離脱。初の「3連敗」を喫した矢野監督の表情も、曇りっぱなしだった。
「うーん…。きょうでどうなるのか、とか。いろんなことも含めて。うーん…。まあまあ(出場選手登録を抹消せず)残れる可能性というかね、それをまあ探しながらどうかね。俺らにもちょっと、結局、分からない部分でもあるから」
前日 2日に幕を開けた「伝統の一戦」平成最後の東京ドームラウンド。圧倒的な強打を見せつけられ初戦を落としたが、失ったのは白星だけではなかった。
この日の試合前、球団広報が報道陣を集めた。「昨日の試合中に左足の指を負傷しました。骨折の疑いがあり帰阪しております」。梅野についてまさかの発表。前夜の 2点を追う 2回二死 1塁。 3塁内野安打で、 1塁を駆け抜けようとした際に、 1塁手・岡本と交錯して転倒していた。その際に、左足の指を痛めていたという。
今季初の「3連敗」を喫した矢野燿大監督。梅野の緊急離脱が痛かった=東京ドーム
3月29-31日のヤクルトとの開幕 3連戦(京セラ)でのカード勝ち越しも、梅野あってのものだった。「 2- 1、 1- 0、 1- 2」というロースコアのしびれる展開の中、懸命なリードだけでなく、体を張ったワンバウンドのストップ、邪飛のガッツあふれる捕球、本塁タッチプレーでの好捕、けん制アウトなどなど。昨季ゴールデングラブの実力を見せつけていた。開幕から 4戦、許した盗塁も、企てられた盗塁もゼロだった。
要が外れた扇は、やはりバラバラになってしまうのか-。代わって坂本が今季初出場し、先発青柳を導いたが、 3回に丸の「3ラン」、 2者連続の岡本のソロで 4失点。今の虎打線に、その劣勢をはね返す力はなかった。 7回には、 2盗を許した際の坂本の悪送球も絡み、飯田が 2失点。 0- 6から初戦と同じように 3点返したが、遅かった。
梅野は昨季に自己最多の 132試合に出場し、今季は開幕から全 4試合フル出場。プロ 6年目で「全試合出場」を目標に掲げたのも、2005年以来遠ざかる「リーグ優勝」への近道となるから。そんなどこまでも熱い選手会長が、長期離脱となれば痛すぎる。
午前中に都内の病院で診察を受けたが、この日はチームドクターの診察には至らなかったという。関係者の話を総合すると、 4日の患部の状態によっては、痛みを押してのプレーが可能な場合もあるという。
前日 2日の巨人戦、 1塁ベース付近で転倒して負傷した梅野隆太郎捕手=東京ドーム
「3連敗」で、矢野虎は一気に借金生活。正妻抹消か、それとも「残れる可能性」はあるのか。虎に早くも大きなヤマ場が訪れた。
■梅野隆太郎捕手について藤井彰人バッテリーコーチ
「心配です。痛いです。(今後は報告を)聞きながら、聞いてからですね」
◇データBOX◇
◎…阪神の巨人戦連敗スタートは、2009年以来10年ぶり。 1分けを挟み 5戦勝ちなし(●●△●●)で、 5月 4日の甲子園で 6- 0で初勝利。同年の対戦成績は「11勝11敗2分け」で、「リーグ4位」。巨人は「リーグ3連覇」。
◎…阪神が開幕から 5戦連続 3得点以下は1995年の中日戦( 4月 7日● 2- 3x、 8日● 2- 3)広島戦(11日● 2- 4、12日● 0- 4、13日● 1- 7)以来で、 6戦目の巨人戦で○ 7- 0。同年は「46勝84敗」で「リーグ最下位」。
◎…梅野の昨季先発マスクでの出場は 121試合でチームは「54勝66敗1分けの勝率0.450」。梅野が先発出場しないと、「8勝13敗1分けの勝率0.381」。
8回、 2点適時打を放った近本光司外野手=東京ドーム
虎の希望の光だ。阪神「ドラフト1位」の近本光司外野手が、 6点を追う 8回二死満塁で左前 2点適時打を放ち、宿敵メルセデスに一矢報いた。
昨季は 4度対戦し、29回 1/3を投げた左腕からタイムリーを放ったのは大山の 1本だけだった。
「そうなんですか? いいピッチャーですからね。ぼくはそういうの知らないので、来た球を打ってランナーがいたらかえすだけなので」
8回、C.C.メルセデス投手(左)から 2点打を放った近本光司外野手。虎キラーの完封を阻止してみせた=東京ドーム
フルカウントまで粘った 8球目。外角 135キロ直球をはじき返した。反撃ののろしを上げる一打に、 1塁ベース上で両拳を突き上げて喜んだ。「( 8回まで)ゼロで来てて、完封では絶対に負けられない、なんとしても。四球でもいいと思って打席に入っていたんで。とりあえず 1点というのを入れたかったですね」。
初回にも左安打を放っており、プロ入り初めての「マルチ安打」を記録した。このまま足も使える近本が「2番」に定着できれば、攻撃のバリエーションは増す。春季キャンプ、オープン戦でも結果を残してきた「ドラフト1位」は、本番になっても心強い存在。前日の巨人との初戦でも 3点を返す足がかりとなる 3塁打を放つなど、連敗の中でも、ファンに期待を抱かせる一打を重ねている。
8回表阪神2死満塁、近本光司外野手は左前に 2点適時打を放った=東京ドーム
バットが砕けても、闘争心だけは真っ赤に燃えた。右手を目いっぱいに伸ばす。D1位・近本光司外野手が難敵メルセデスから 2点打だ。満面の笑みで両手を突き上げ、宿敵を相手に堂々とファイティングポーズを取った。
「ゼロできていて、絶対に完封で負けられないと思っていた。何としてでも、四球でもいいと思いながら打席に入っていたので。1点というのを入れたかったです」
0- 6の 8回。上本、中谷ら代打陣が口火を切り、二死満塁で打席へ。粘りに粘った 8球目。外角 135キロに必死にバットを伸ばすと、バットは折れ、打球はふらふらと左翼前へポトリ。ゼロ行進が続いていたスコアボードに「2」を刻み込み、虎党のボルテージを一気に上げてみせた。
8回表阪神二死満塁、近本光司外野手は左前適時打を放ちベンチに向かってガッツポーズを決める=東京ドーム
メルセデスは昨季、阪神戦に4戦2勝で防御率0・61の“虎キラー”だ。一回1死には左前打を放ち、プロ初のマルチ安打を記録。もちろん、ルーキーの近本は初対戦の左腕だったが「いいピッチャーです。でも僕、そういうの(過去のデータは)知らないので。きた球を打つ、ランナーがいたら返すだけ」とどこまでも頼もしい。3試合連続安打と、どんどん勢いは加速していく。
既婚者として虎に入団。入寮はせず、鳴尾浜で行われた1月の新人合同自主トレも自宅から通った。そんなルーキーには、家庭的な一面も。プロ入り前、ある取材が西宮市内の大阪ガスグラウンドであったとき。各選手の取材が済んでいく中、近本だけは違う方向から姿をみせたという。
8回、 2点適時打を放った近本光司外野手=東京ドーム
「時間があったので、先に夜ご飯を作ってきました」
夫人のために、ひと足先に家事をしてきた。10月のドラフト会議前日にはぎょうざとポトフを作った一家を支える亭主。応援してくれる人たちへ、倍以上の愛情を返していく。
「(1打席目の)三遊間と、(2打席目の)ショートゴロ(記録は敵失)がきょうの中では一番よかったと思います。あれが思うようにいけたから、最後にも結果に出たのかなと」
凡打の内容にもうなずいた。止まることはない。願った場所に向かって、近本は真っすぐに走る。
8回表阪神二死 1、 2塁、糸井嘉男外野手は右適時打を放った=東京ドーム
糸井嘉男外野手がルーキーの奮起に続いた。 8回に近本が 2点適時打を打った直後の二死 1、 2塁、メルセデスの初球スライダーをとらえ、右前適時打。
4打数 2安打 1打点と奮闘してもチームに勝ちを呼び込めず、「明日はなんとしてでも勝ちたい」と切り替えた。
8回表阪神二死 1、 2塁、糸井嘉男外野手は右適時打を放った=東京ドーム
糸井が意地の一打だ。 8回に 2点を返し、なお二死 1、 2塁の好機で初球の変化球を右翼線に運ぶ適時打。 4回一死 1塁でも右前打を放ち、今季初の「マルチ安打」を記録した。それでもチームは「3連敗」となり「あしたは何としてでも勝ちたいです」と必勝を誓った。「3番」に座る超人が、もっと打線を引っ張る。
8回表阪神二死 1、 3塁、好機に三振した大山悠輔内野手=東京ドーム
大山悠輔内野手が、「4番」の責任を背負って東京ドームを後にした。開幕 5戦を終え、「打率1割1分1厘」と不振。得点圏でヒットは出ていない。
「大事なところを任せてもらっている。(敗戦は)自分のせいです」
この日も流れに乗れなかった。 4回一死 1、 3塁では右飛に倒れた。犠飛にもならないフライアウトに、悔しさをにじませてベンチに戻った。 3点を返した直後の 8回二死 1、 3塁では高めのつり球にバットを出して3球三振。虎党のため息を誘った。
巨人に敗れ宿舎へ引き揚げる大山悠輔内野手=東京ドーム
「流れを止めてしまっているのは分かっている。結果が勝敗に直結するので、明日やり返せるように頑張ります」
矢野監督は「乗り越えていかなあかん部分。明日、動かすことはないと思う」と若き「4番」の続行に期待を込める一方、「これは 1日 1日、いろんな状況も、いろんなことも変わっていくなかで、どうなるかまだ分からん」と現実を冷静に受け止めもした。不振が続けば、打順変更も視野に入る。
8回のチャンスに空振り三振に倒れた大山悠輔内野手=東京ドーム
「4番」の重圧か、責任感か-。好機で打席が回ってきても一本が打てなかった大山は試合後、悔しさを押し殺しながら、自らの結果に反省した。
「あの流れで打てなかったというのが…。そういう大事なところ(4番)を任せてもらっている自分のせいです」
4回、一死から「D1位」・近本光司外野手(大阪ガス)が相手の失策で出塁。続く糸井が右前打でつなぎ、 1、 3塁で迎えたが、メルセデスの真ん中の直球を打ち損じて右飛に。犠飛にもならず、次の福留も凡退して無得点に終わった。
8回、三振に倒れた大山悠輔内野手=東京ドーム
最大のチャンスを迎えたのは 8回の第 4打席。近本の 2点打と糸井の適時打で 3点を返し、なおも二死 1、 3塁で打順は大山へ。一打が出れば、汚名返上できる場面だったが…。内角高めの直球にバットが出てしまい、空振り三振。東京ドームに駆けつけた多くの虎党のため息がこだました。
これで開幕 5試合で18打数 2安打、「打率0.111」。この成績以上にチャンスで打てず、得点圏では 5打数無安打。打点は「1」で 3月31日のヤクルト戦(京セラ)で記録した犠飛のみだ。
思うような結果が出せていない状況に矢野監督は「乗り越えていかなアカン部分やと思うし。前を向いてやっていくしかないと思うね」と話した。さらに「明日(4番を)動かすことはないと思う」と明言。爆発してくれることを信じて今後も「4番」で起用していく覚悟を示した。
8回、好機で三振に倒れた大山悠輔内野手と渋い表情の矢野燿大監督=東京ドーム
もちろん本人も指揮官からの大きな期待と中軸を打つ責任は重々承知している。 「流れを止めていることも分かっているし、結果が勝利に直結することも分かっている。やり返さないといけないし、明日やり返せるように頑張りたいです」 次こそ若き「4番」が期待に応えて反撃の一打を放つ。そしてチームの「3連敗」を自らのバットで止める。
■大山悠輔内野手について清水雅治ヘッドコーチ
「プレッシャーは感じているみたい。顔を見ると、何とかしようという思いは伝わってくる。まわりが打つと、楽に打てるのかも」
※梅野が左足骨折疑い帰阪、前日に巨人岡本と交錯!青柳5回5安打4失点降板…丸→岡本に連続被弾…-2に続く