●「SMBC日本シリーズ2019」は19日、第 1戦が行われ、ソフトバンクは 9月 6日に「無安打無得点試合」を達成した千賀滉大投手(26)、巨人は「最多勝利、最多奪三振、最高勝率」のタイトルを獲得した山口俊投手(32)が先発登板。ソフトバンクは「クライマックスシリーズファイナルステージ」の第 3、4戦と同じく、中村晃外野手(29)を「5番」に、松田宣浩内野手(36)と内川聖一内野手(37)をそれぞれ「7、8番」に据えるオーダー。巨人は「5番・指名打者」に阿部慎之助内野手(40)を置き、「6番・1塁」で大城卓三捕手(26)を先発出場させた。試合開始前には「台風19号」の犠牲者を悼み、黙祷が捧げられた。福岡県出身の柔道家、素根輝選手(19=女子柔道選手)の始球式が行われたのち、プレーボールの声がかかった。巨人が 2回、阿部が右中間へソロを放って先制。ソフトバンクはその裏、ジュリスベル・グラシアル外野手(33)が左翼へ 2ランを放ち逆転した。ソフトバンクは 6回、 2塁打と 2四死球で一死満塁の好機をつくり、中村晃の犠飛で 1点を追加。 3- 1とリードを広げた。ソフトバンクは 7回にも 4点を奪って第 1戦の勝利を決めた。巨人は完敗。千賀の前に打線が 7回 3安打と沈黙した。ソフトバンク工藤公康監督(56)の「名タクト」が、さえわたった。 2点をリードして迎えた 7回に、一気の集中攻撃で 4得点。「代走」「代打」「トリックサイン」と指揮官の采配がズバズバと当たった。試合後の勝利インタビューでも声が弾んだ。先頭打者・松田宣が 2塁打で出塁するとスイッチを入れた。「代走周東佑京内野手(23)」。俊足を送り出した。続く内川には送りバントのサイン。追加点を狙って、甲斐拓也捕手(26)に代打長谷川勇也外野手(34)。巨人が左投手へとスイッチすると、迷わず代打の代打「左殺し」の川島慶三内野手(36)を告げた。最後の「仕掛け」だ。牧原大成内野手(27)の初球に「偽装スクイズ」。 1塁走者の盗塁を援護。スクイズと思った巨人バッテリーは 3塁走者を警戒したが周東はスタートを切っていなかった。まんまと一死 2、 3塁のチャンスをつくると、あとは打線に火がつくのを信じるだけだった。その期待に応えるように牧原、今宮健太内野手(28)、柳田悠岐外野手(31)と 3連打。結局、この回に 4点を奪った。監督就任後のヤフオクドームでの「日本シリーズ」はこれで「9連勝」。短期決戦を知り尽くし「日本一3連覇」に執念を燃やす工藤監督の「名タクト」は、初戦からエンジン全開だった。
●プロ野球の「SMBC日本シリーズ2019」は19日にヤフオクドームで開幕し、 5年ぶりにセ・リーグを制した巨人と、パ・リーグ 2位から「クライマックスシリーズ(CS)」を勝ち抜き「3年連続日本一」を狙うソフトバンクが対戦する。両チームは18日、ヤフオクドームで調整し初戦に備えた。選手会長のソフトバンク・柳田は18日、フリー打撃で快音を響かせ気持ちを高めた。第 2戦で本塁打を放った「CSファーストステージ」以来の本拠地。豪快な一発を約束した。山口が2017年に巨人に加入してから、チームは毎年抑え込まれており警戒を強める。「クライマックスシリーズ(CS)」では約 1カ月ぶりの本塁打をマークするなど上り調子で、16日の紅白戦でも一発を放った。山口攻略の鍵を握りそうで穏やかに意気込んだ。
●「12連勝」中の本拠地で今年も白星スタートだ。「SMBC日本シリーズ2019」が19日にヤフオクドームで開幕する。前日練習、監督会議が18日に同球場で行われた。ソフトバンク工藤公康監督は就任以来 3度の「日本シリーズ」をすべて制覇。初戦は「2勝1分け」と無敗を誇る。巨人を撃破すれば、ソフトバンクとして、セ 6球団すべてを制覇しての「日本一達成」となる。無類の強さを誇る本拠地で先手を取る-。工藤が決戦を前に、高らかに決意を表明した。00年に巨人のユニホームを着て、前年まで所属したダイエーを倒し、「日本一」となった。今度は指揮官として、古巣との「日本シリーズ」に臨む。初戦必勝のデータがある。ヤフオクドームでの「日本シリーズ」は11年中日との「第7戦以来12連勝中」。「大事な初戦」と位置づける第 1戦も自身過去 3度で「2勝1分け」と負けなし。 3年連続でエース千賀を送り出し、セの覇者を圧倒する。ソフトバンクが球団を保有してから、「日本シリーズ」で中日、阪神、ヤクルト、DeNA、広島と破ってきた。最後の敵である巨人を倒せば、セ 6球団を制しての「3年連続日本一」が実現する。現役時代には原辰徳監督(61)のもとでプレーしたこともある。00年「ONシリーズ」以来の巨人との決戦で、必ず宙に舞う。
●「SMBC日本シリーズ2019」が19日、ヤフオクドームで開幕する。「3年連続の日本一」に挑戦するソフトバンクは、第 1戦に千賀滉大投手の先発を予告した。 3年連続で“開幕投手”を務めるのは史上 3人目。本拠地での「日本シリーズ12連勝」中の鷹が、大黒柱で巨人を迎え撃つ。無敵の城に、最強の門番が仁王立ちする。大役も慣れっこだ。報道陣の数、設営など、普段と違う様子のヤフオクドームでも、千賀は落ち着いた表情で過ごした。「ペナントレース、クライマックスシリーズ」に続き、鷹の開幕投手はもちろん、この男だ。「3年連続の日本シリーズ」第 1戦の先発は、1969~72年の堀内恒夫氏(巨人=71)、76~78年の山田久志氏(阪急=71)に次いで、41年ぶり 3人目。キャッチボールなどで中 7日の調整を終え、球史に名を刻む栄誉に備えた。千賀は 9月 6日のロッテ戦(ヤフオクドーム)で「無安打無得点試合」を記録しており、昨季達成した山口との“ノーヒッター対決”も注目される。「令和の常勝軍団」に名乗りをあげる両軍。福岡移転後のセ・リーグ全球団撃破もかかる鷹は、さっそく大将の登場だ。先制したのは巨人。 2回一死から阿部が右中間スタンドに突き刺さる「ソロ本塁打」を放った。ソフトバンクもその裏、一死から中村晃が「右翼線2塁打」で出塁すると、続くグラシアルが「左中間ホームランテラスに運ぶ2点本塁打」を放ち逆転に成功した。
●ソフトバンクのジュリスベル・グラシアル内野手(34)が 0- 1の 2回に「逆転2ラン」を放った。 1点を先制された直後の 2回裏。一死 2塁から巨人先発・山口の直球を左翼テラス席に運ぶ「1号2ラン」だ。この日は「6番左翼」で先発出場。「CSファイナルステージ」では、いずれも重要な場面で「3本塁打」を放ったキューバ出身の強打者。頼れるキューバ砲が「日本シリーズ」でも、重苦しい雰囲気を振り払う一発となった。
●日本シリーズ初出場のソフトバンク牧原大成内野手が攻守で躍動した。「1番2塁」で先発し 1、 2打席目は三振だった。 6回先頭の 2塁打は大きな 3点目につながり、 7回には 2点適時打も打った。16日に行った紅白戦で、 1回に初球を振り抜き先頭打者本塁打を放っていた。守備でも 7回一死に大城の 2遊間へのライナーをライナーを横っ跳びで反応良くダイビングキャッチ中前へ抜けそうな好捕。
●ソフトバンクの甲斐野央投手(22)が 8回、初の「日本シリーズ」のマウンドを無失点で締めた。「1番」からの好打順を迎え、一死から坂本勇人内野手(30)に安打を許したが、丸は 154キロで空振り三振。岡本和真内野手(23)も直球でねじ伏せ、中飛に打ち取った。 1年目ながらチームトップの65試合に登板して救援陣を支え、「クライマックスシリーズ(CS)」は 5試合に投げて 2度勝ち投手になった。「日本シリーズ」の舞台でも強心臓を発揮。
●試合前のセレモニーでは両チームの監督、選手らが整列し、「台風19号」の犠牲者を悼んで黙とうがささげられた。
記事をまとめてみました。
SMBC日本シリーズ2019<福岡ソフトバンク 7- 2巨人>◇第 1回戦◇福岡ソフトバンク 1勝 0敗 0分◇19日◇ヤフオク!ドーム
「SMBC日本シリーズ2019」は19日、第 1戦が行われ、ソフトバンクは 9月 6日に「無安打無得点試合」を達成した千賀、巨人は「最多勝利、最多奪三振、最高勝率」のタイトルを獲得した山口が先発登板。ソフトバンクは「クライマックスシリーズファイナルステージ」の第 3、4戦と同じく、中村晃を「5番」に、松田宣と内川をそれぞれ「7、8番」に据えるオーダー。巨人は「5番・指名打者」に阿部を置き、「6番・1塁」で大城を先発出場させた。試合開始前には台風19号の犠牲者を悼み、黙祷が捧げられた。福岡県出身の柔道家、素根輝の始球式が行われたのち、プレーボールの声がかかった。
試合前練習、ソフトバンク・工藤公康監督と握手を交わす巨人・阿部慎之助内野手=ヤフオクドーム
巨人が 2回、阿部が右中間へソロを放って先制。ソフトバンクはその裏、グラシアルが左翼へ 2ランを放ち逆転した。
ソフトバンクは 6回、 2塁打と 2四死球で一死満塁の好機をつくり、中村晃の犠飛で 1点を追加。 3- 1とリードを広げた。
ソフトバンクは 7回にも 4点を奪って第 1戦の勝利を決めた。巨人は完敗。千賀の前に打線が 7回 3安打と沈黙した。
7回裏ソフトバンク一死 1、 3塁、牧原大成内野手に適時打で生還しナインの出迎えを受ける川島慶三内野手(右手前)と周東佑京内野手=ヤフオクドーム
ソフトバンク工藤公康監督の「名タクト」が、さえわたった。 2点をリードして迎えた 7回に、一気の集中攻撃で 4得点。「代走」「代打」「トリックサイン」と指揮官の采配がズバズバと当たった。「みんながつなぐ意識を見せてくれた。後半にそういう攻撃ができてよかった」。試合後の勝利インタビューでも声が弾んだ。
先頭打者・松田宣が 2塁打で出塁するとスイッチを入れた。「代走周東」。俊足を送り出した。続く内川には送りバントのサイン。打球は投手正面でアウトのタイミングだったが、周東の俊足が生きて犠打になった。追加点を狙って、甲斐に代打長谷川。巨人が左投手へとスイッチすると、迷わず代打の代打「左殺し」の川島を告げた。
7回裏ソフトバンク一死 2、 3塁、牧原大成内野手の2点適時打で生還する川島慶三内野手=ヤフオクドーム
四球で一死 1、 3塁とチャンスを広げると、最後の「仕掛け」だ。牧原の初球に「偽装スクイズ」。わざとバントの空振りで、 1塁走者の盗塁を援護。スクイズと思った巨人バッテリーは 3塁走者を警戒したが周東はスタートを切っていなかった。まんまと一死 2、 3塁のチャンスをつくると、あとは打線に火がつくのを信じるだけだった。その期待に応えるように牧原、今宮、柳田と 3連打。結局、この回に 4点を奪った。
工藤監督 これからも後悔しないよう、しっかりと決断していきたい。 1戦 1戦、力を合わせて頑張ります。
監督就任後のヤフオクドームでの「日本シリーズ」はこれで「9連勝」。進出した「日本シリーズ」では敗北がない。現役時代に11度の「日本一」。監督となって昨年まで「3度日本シリーズを制している」。短期決戦を知り尽くし「日本一3連覇」に執念を燃やす工藤監督の「名タクト」は、初戦からエンジン全開だった。
7回裏ソフトバンク一死 2、 3塁、牧原大成内野手の中前適時打で 3塁走者周東佑京内野手(左)に続き 2塁走者川島慶三内野手(右)が生還し、次打者今宮健太内野手とハイタッチで喜ぶ=ヤフオクドーム
▼ソフトバンクが第1戦に勝利。ヤフオクドームでは中日と対戦した11年第 7戦から「13連勝」となり、昨年つくったシリーズの「同一球場連勝記録」を伸ばした。これでポストシーズンは楽天と対戦したCSの 1S第 2戦から「7連勝」。同一年のポストシーズンで「7連勝」は、75年阪急が近鉄とのプレーオフ●○○○、広島との日本シリーズ△○○△○○で「7連勝」して以来、44年ぶり 2度目のタイ記録だ。なお、過去69度のシリーズで先勝したチーム(△○を含む)は「43度優勝」しており、「V確率62%」。
選手会長のソフトバンク・柳田は18日、フリー打撃で快音を響かせ、「雰囲気はいいし、みんなであと 4つ勝つ。(3年連続日本一は)なかなかチャンスがないこと。達成することをモチベーションに」と気持ちを高めた。第 2戦で本塁打を放った「CSファーストステージ」以来の本拠地。「(CSは)見事なホームランではなかったので、見事なホームランを打てるように」と豪快な一発を約束した。
打撃練習するソフトバンク・柳田悠岐外野手=ヤフオクドーム
プロ野球の「SMBC日本シリーズ2019」は19日にヤフオクドームで開幕し、 5年ぶりにセ・リーグを制した巨人と、パ・リーグ 2位から「クライマックスシリーズ(CS)」を勝ち抜き「3年連続日本一」を狙うソフトバンクが対戦する。両チームは18日、ヤフオクドームで調整し初戦に備えた。
ソフトバンク打線の中核を担う柳田は「3年連続の日本一」へ「なかなかそういうチャンスもない。そこをモチベーションにしてやっていく」と意欲をにじませた。
山口が2017年に巨人に加入してから、チームは毎年抑え込まれており「真っすぐもいいし、制球もいい。本当に隙がない」と警戒を強める。
「クライマックスシリーズ(CS)」では約 1カ月ぶりの本塁打をマークするなど上り調子で、16日の紅白戦でも一発を放った。山口攻略の鍵を握りそうで「見事な本塁打を打てるように頑張ります」と穏やかに意気込んだ。
会見の席で「日本一」を狙いますと語るソフトバンク工藤公康監督=ヤフオクドーム
「12連勝」中の本拠地で今年も白星スタートだ。「SMBC日本シリーズ2019」が19日にヤフオクドームで開幕する。前日練習、監督会議が18日に同球場で行われた。
ソフトバンク工藤公康監督は就任以来 3度の「日本シリーズ」をすべて制覇。初戦は「2勝1分け」と無敗を誇る。巨人を撃破すれば、ソフトバンクとして、セ 6球団すべてを制覇しての「日本一達成」となる。
◇ ◇ ◇
無類の強さを誇る本拠地で先手を取る-。工藤が決戦を前に、高らかに決意を表明した。「緊張感が増してきました。それと同時に楽しみだなと。今回はホークスの監督としてジャイアンツさんに勝ちたい」。00年に巨人のユニホームを着て、前年まで所属したダイエーを倒し、「日本一」となった。今度は指揮官として、古巣との「日本シリーズ」に臨む。
初戦必勝のデータがある。ヤフオクドームでの「日本シリーズ」は11年中日との「第7戦以来12連勝中」。17年DeNAとの第 2戦では今宮の神の手ホームインがあった。昨年の広島との第 5戦では柳田がバットを折りながらの「サヨナラ本塁打」。神がかったプレーが飛び出し、工藤監督自身も「本拠地8連勝」中だ。「大事な初戦」と位置づける第 1戦も自身過去 3度で「2勝1分け」と負けなし。 3年連続でエース千賀を送り出し、セの覇者を圧倒する。
監督会議で先発を「千賀滉大」と予告する工藤公康監督=球団事務所
この日の監督会議で原監督と合意し、予告先発を採用。ソフトバンクにとってメリットは大きい。「早めに情報が入ることでデータをそろえられる。シーズンと同じで戦うことができる」。CSでも相手との相性などを元に、松田宣をスタメンから外したり、内川に代打を送ったり、鬼采配が光った。「自分自身後悔しないように決断したい」。対策への準備時間が増えるのはプラスととらえた。
ソフトバンクが球団を保有してから、「日本シリーズ」で中日、阪神、ヤクルト、DeNA、広島と破ってきた。最後の敵である巨人を倒せば、セ 6球団を制しての「3年連続日本一」が実現する。現役時代には原監督のもとでプレーしたこともある。「見て学びながらやっていきたい。そこにチャレンジしたい。『リーグV』を逃した悔しい気持ちでファイナルを勝ち抜いた。その思いをぶつけて最後は『日本一』を勝ち取る」。00年「ONシリーズ」以来の巨人との決戦で、必ず宙に舞う。
第1戦先発に向けて、気合の入った表情で調整する千賀滉大投手=ヤフオクドーム
「SMBC日本シリーズ2019」が19日、ヤフオクドームで開幕する。「3年連続の日本一」に挑戦するソフトバンクは、第 1戦に千賀滉大投手の先発を予告した。 3年連続で“開幕投手”を務めるのは史上 3人目。本拠地での「日本シリーズ12連勝」中の鷹が、大黒柱で巨人を迎え撃つ。
無敵の城に、最強の門番が仁王立ちする。大役も慣れっこだ。報道陣の数、設営など、普段と違う様子のヤフオクドームでも、千賀は落ち着いた表情で過ごした。
「光栄なことです」
笑顔で握手する原辰徳監督(左)と工藤公康監督(右)。きょうの試合後に笑うのは…=ヤフオクドーム
「ペナントレース、クライマックスシリーズ」に続き、鷹の開幕投手はもちろん、この男だ。「3年連続の日本シリーズ」第 1戦の先発は、1969~72年の堀内恒夫(巨人)、76~78年の山田久志(阪急)に次いで、41年ぶり 3人目。キャッチボールなどで中 7日の調整を終え、球史に名を刻む栄誉に備えた。
「まず(出場している)チームがすごい。そこで投げさせてもらえることは本当に光栄」
チームは2011年の第 7戦から本拠地での日本シリーズは「12連勝」中だ。工藤監督は「ここで始まるのはすごく落ち着く。エースで勝ってチームが盛り上がるように」と期待。背番号「41」は自虐的に笑った。
「僕にとっては、デメリットしかないですね」
ソフトバンク・日本シリーズ本拠地開催では「412連勝」中!!
日本シリーズ第4戦までの予想ローテ
今季はヤフオクドームで「5勝4敗、3.89」。ビジターの「7勝4敗、防御率1.95」に比べてなぜか苦戦しているが、あえてそれを口にするところに余裕が漂った。00の「ON対決」以来の巨人との対戦。当時 6歳の右腕は「何も知らない。ゲームの世界です]と敬意を払い、注目度を理解した。
「シーズン中から、王会長だけでなく、いろいろな人から『ことしは巨人と日本シリーズを』という言葉を聞いた。運も重なってできる。勝てるように頑張ります」
千賀は 9月 6日のロッテ戦(ヤフオクドーム)で「無安打無得点試合」を記録しており、昨季達成した山口との“ノーヒッター対決”も注目される。「令和の常勝軍団」に名乗りをあげる両軍。福岡移転後のセ・リーグ全球団撃破もかかる鷹は、さっそく大将の登場だ。
2回裏ソフトバンク一死 2塁、左中間へ「2点本塁打」を放ったジュリスベル・グラシアル外野手を迎える工藤公康監督=ヤフオクドーム
千賀は一回、巨人打線を 3者凡退に切って取る最高の立ち上がり。山口も「2番・今宮」に左前打を許しながらも、続く柳田を見逃し三振、さらにデスパイネの打席で今宮を牽制で刺し、無失点で 1回を終えた。
先制したのは巨人。 2回一死から阿部が右中間スタンドに突き刺さる「ソロ本塁打」を放った。ソフトバンクもその裏、一死から中村晃が「右翼線2塁打」で出塁すると、続くグラシアルが「左中間ホームランテラスに運ぶ2点本塁打」を放ち逆転に成功した。
7回表巨人二死 2、 3塁、マウンドで集中する千賀滉大投手=ヤフオクドーム
ソフトバンク千賀滉大投手が巨人打線の前に立ちはだかった。「SMBC 日本シリーズ2019」がヤフオクドームで開幕。史上 3人目となる「3年連続日本シリーズ開幕投手」を託された千賀は、 2回に阿部の「先制ソロ」を浴びたが、 7回 3安打1失点の力投。エースに導かれたチームは先勝し、「日本シリーズ本拠地13連勝」。ソフトバンクとして「セ6球団全制覇」へ好スタートを切った。
◇ ◇ ◇
7回二死 2、 3塁のピンチで、代打重信を 147キロカットボールで見逃し三振に仕留めると、千賀はグラブをパーンとはじいた。「調子はあまりよくなかったが、捕手の(甲斐)拓也が『全部の球種を使っていくぞ』と。信じて投げた」。最速 159キロの直球に代名詞のお化けフォーク、カットボール、スライダーと持てる力をすべて出した。巨人打線を 7回、 106球で 1失点に抑えた。
7回表巨人二死 2、 3塁、千賀滉大投手は代打重信慎之介外野手から三振を奪いマウンドでガッツポーズを見せる=ヤフオクドーム
「先制されたのは反省。 1、 2、 3で打たれた。めちゃくちゃ吹っ飛んでいったな」と 2回に阿部に右中間スタンドへ「先制ソロ」を許した。小さいころからプロの世界で中心にいた選手との対決は最初に 1発を浴びたが、しっかりと残り 2打席やり返した。「3年連続の日本シリーズ開幕投手」。勝つだけでなくシリーズ全体を考えてのマウンドでもあった。「 2戦目以降へつなげるということは意識していた」。ポイントとなる上位打線、 1番から 4番までは無安打に封じた。「そこはまだ試合が残っているので」と言葉を濁したが、工藤監督も最も警戒する丸に徹底して内角を突いた。イニング間が長いなどの「日本シリーズ」特有の事象にも「3年連続」の経験で対応した。
7回二死 2、 3塁で重信慎之介外野手を見逃し三振に仕留めた千賀滉大投手は、雄たけびを上げてガッツポーズ。先勝だ=ヤフオクドーム
ネット裏には愛知・蒲郡市から両親がかけつけていた。「こんな場所から初めて見ますよ。球の軌道がよくわかる」と言う父直伸さんの前で成長した投球を見せた。 9月19日オリックス戦の 3回に打球を右膝に受けた。父直伸さんは「いつもはどんな時でも心配して連絡すると『大丈夫』としか返事が返ってこないのに、その時だけは『痛い』って返ってきたんですよ」。それでも周囲には弱みを見せなかった。中 4日で楽天戦に登板。 6回 2失点で「V逸」し、責任を抱え込んでいた。「CSファーストステージ初戦」でも 4被弾で敗戦投手。悔しい試合が続いたが、11日の「CSファイナルステージ」西武戦では、山賊打線を 8回 2安打無失点に封じた。そして「日本シリーズ白星発進」。工藤監督も「よく粘ってくれた」と最敬礼だ。
7回表巨人二死 2、 3塁、千賀滉大投手は代打重信慎之介外野手から三振を奪いマウンドでガッツポーズを見せる=ヤフオクドーム
千賀はお立ち台で「あと 3つ勝って『日本一』になります」とファンに「3年連続日本一」を約束。自分の右腕で、しっかりとその道筋をつくった。
▼千賀が「3年連続」でシリーズ初戦に先発し、17年第 1戦以来の通算「2勝」目。 3年以上続けてシリーズ初戦で先発は、69~72年堀内(巨人= 4年)76~78年山田(阪急)に次いで41年ぶり 3人目で、ソフトバンクでは初めて。シリーズ初戦での勝利数は堀内(巨人)渡辺久(西武)の「3勝」が最多で、「2勝」以上は12、13年内海(巨人)以来12人目。チームでは南海時代の61、64年に勝利したスタンカ以来 2人目で球団最多タイ。
※巨人が阿部のソロ本塁打で先制!ソフトB、グラシアルの2ランで逆転!千賀、セ6球団全制覇へ!-2へ続く!