●安倍晋三首相(65)が 4日、記者会見を開き、全都道府県を対象に 5月31日まで、緊急事態宣言を延長すると発表した。会見時間は 1時間を超えた。記者が質問するために挙手をしていたが、進行役が会見後の外交日程を理由に、終了した。複数の記者が挙手して続行を求めたが、司会の長谷川栄一首相補佐官兼内閣広報官(68)が文書での質問に回答するとして引き取った。同席した手話通訳者は感染防止のため、顔を覆う透明のフェースシールドを着用した。「新型コロナ」に関する首相会見では初めて。首相は会見後、ベトナムのグエン・スアン・フック首相(65)と電話会談した。 4月17日の会見時もトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領(66)との電話会談を控えているとして約 1時間で終えており、外交日程を理由に打ち切るケースが目立っている。会見は官邸で一番広い大ホールで開催し、座席は約 2メートルの間隔を空けて置かれた。官邸記者クラブ「内閣記者会」常勤19社と、抽選で選ばれた外国プレス、フリーランスなど10人が出席した。
●安倍晋三首相は 4日の記者会見で、収入が半減した中堅・中小企業に最大 200万円を支給する「持続化給付金」の給付開始時期について、今月の「 8日」と言うべきところを「 8月」と言い間違えた。直後に訂正したが、インターネット上では「遅すぎる」などと一時混乱し、野党からは批判の声が上がった。首相は会見の冒頭発言で誤って発言した。プロンプター(原稿映写機)の文字を読み間違えた可能性がある。約20分後、質疑の中で自ら「 5月 8日が最速の入金なので訂正する」と言及した。立憲民主党の福山哲郎幹事長は、ツイッターに投稿した動画で指摘。国民民主党の玉木雄一郎代表は首相会見中ツイートした。
● 4日夜、政府の「新型コロナウイルス専門家会議」のメンバーが記者会見に出席した。尾身茂副座長(70)は、緊急事態宣言延長に伴い、行動変容に関する具体的な提言において「長丁場に備え新しい生活様式に移行する事」を挙げた。その上で 3原則を述べ、改めてマスクの有効性を説明した。スポーツ施設や公園などの利用の際にも「 3つの原則を工夫して欲しい」と訴えた。
●東京都の小池百合子知事(67)は 4日夜、政府の「緊急事態宣言」の期間延長について、都内で多くの感染者が出続ける現状を基に述べ、引き続き感染拡大防止への協力を求めた。都庁で報道陣の取材に答えた。小池氏は都の休業要請や休校などに関する対応を 5日に発表する方針。事業者への支援に関しては述べるにとどめた。都内では 4日も新たに87人の感染が確認され、累計は4654人に上り、死者も計 150人に達している。
●きょう 5日は、子供たちの成長を願う「こどもの日」。今年は「新型コロナウイルス感染拡大防止」のため、全国的に休校の中で迎える祝日になった。 4月末、東京都や大阪府などの知事が旗を振り始めた「 9月入学」移行案が、国民に賛否を巻き起こしている。政府は 6月上旬までに論点を整理するとしている。 4月末に降ってわいた「 9月入学」移行論。休校が続き、学習の遅れへの不安が解消されるとして歓迎する声が上がる。政府は来年導入の可否を検討する姿勢だが、導入の場合、受験シーズンなどが来夏に延期された「東京五輪・パラリンピック」の開催期間に直撃されるとの指摘も。特に首都圏の大学を受験希望の地方の生徒は、宿泊先確保などで不安を抱えることになる。学生スポーツへの影響も大きい。政府は 6月上旬までに論点をまとめるとしているが、栃木県の福田富一知事は拙速な議論に強く反対。戦争や災害、テロなどに乗じて過激な社会改革を断行するとの批判も上がっている。日本の子供たちの未来を左右する変革だけに、慎重な検討が求められる。
記事をまとめてみました。
安倍首相が 4日、記者会見を開き、全都道府県を対象に 5月31日まで、緊急事態宣言を延長すると発表した。
会見時間は 1時間を超えた。記者が質問するために挙手をしていたが、進行役が会見後の外交日程を理由に、終了した。
安倍首相が退出する中、質問することができなかった記者が「文書での回答もダメなのか」と言い続けると、安倍首相が発言した記者を指さし「メールで」と身ぶりを加えながらささやき、進行役もその後「メールで送って下さい」と質問を受け付ける形に一転した。
会見を行った安倍晋三首相= 4日午後、首相官邸 (AP)
安倍首相が 4日、記者会見を開き、全都道府県を対象に 5月31日まで、緊急事態宣言を延長すると発表した。
首相はさらなる負担を強いられる上での政治的責任を問われ、当初予定していた 1カ月で終わらず「内閣総理大臣として、おわびを申し上げる」と陳謝した。
緊急事態宣言の延長により、企業においては厳しい状況が続くが「速やかに支援をお手元にお届けしたい」と話した。
賃料負担やアルバイト学生などの支援についても「速やかに追加的な対策を講じる」。
会見で菅官房長官を指さす安倍晋三首相=4日午後、首相官邸 (AP)
安倍晋三首相は、「新型コロナウイルス」に関する 4日の記者会見を、外交日程を理由に約 1時間で終了した。複数の記者が挙手して続行を求めたが、司会の長谷川栄一首相補佐官兼内閣広報官が文書での質問に回答するとして引き取った。同席した手話通訳者は感染防止のため、顔を覆う透明のフェースシールドを着用した。「新型コロナ」に関する首相会見では初めて。
首相は会見後、ベトナムのグエン・スアン・フック首相と電話会談した。 4月17日の会見時もトルコのエルドアン大統領との電話会談を控えているとして約 1時間で終えており、外交日程を理由に打ち切るケースが目立っている。
約 1時間の会見のうち約20分間は首相の冒頭発言で、残りを質疑応答に充てた。
会見は官邸で一番広い大ホールで開催し、座席は約 2メートルの間隔を空けて置かれた。官邸記者クラブ「内閣記者会」常勤19社と、抽選で選ばれた外国プレス、フリーランスなど10人が出席した。
「緊急事態宣言の延長」が決まり、記者会見する安倍晋三首相= 4日午後、首相官邸
安倍晋三首相は 4日の記者会見で、収入が半減した中堅・中小企業に最大 200万円を支給する「持続化給付金」の給付開始時期について、今月の「 8日」と言うべきところを「 8月」と言い間違えた。直後に訂正したが、インターネット上では「遅すぎる」などと一時混乱し、野党からは批判の声が上がった。
首相は会見の冒頭発言で「最も早い人で 8月から入金を開始する」と誤って発言した。プロンプター(原稿映写機)の文字を読み間違えた可能性がある。約20分後、質疑の中で自ら「 5月 8日が最速の入金なので訂正する」と言及した。
「 8月」発言の直後から、会員制交流サイト(SNS)などでは「早くて 8月って、全然早くない」 8月給付。もう駄目だ。おしまいだ」などの書き込みが相次いだ。
立憲民主党の福山哲郎幹事長は、ツイッターに投稿した動画で「一番大切な国民へのメッセージをなぜ間違えるか」と指摘。国民民主党の玉木雄一郎代表は首相会見中「早く訂正した方がいい」とツイートした。
4日夜、政府の「新型コロナウイルス専門家会議」のメンバーが記者会見に出席した。
尾身茂副座長は、緊急事態宣言延長に伴い、行動変容に関する具体的な提言において「長丁場に備え新しい生活様式に移行する事」を挙げた。その上で「身体的距離を取ること」「手を洗うこと」「発症する 2日前、発症してからすぐがウイルスの排出量が多いことが分かった。感染していても症状が軽い人が他の人に移すことがあるので、マスクをして欲しい」と 3原則を述べ、改めてマスクの有効性を説明した。スポーツ施設や公園などの利用の際にも「 3つの原則を工夫して欲しい」と訴えた。
「PCR等検査」の対応に関する評価には「多くの人が関心があると思う」。日本の10万人あたりの「PCR検査」数は「他国と比較して明らかに少ない。これは間違いない」と話した。
開催された「新型コロナウイルス感染症対策専門家会議」 (共同)
一方で、「(PCR検査が)徐々に拡大し、少しずつ他の国に比べても低いが、少しずつ検体が増えてきた」と述べ、陽性率について「検査陽性率(日本のPCR陽性率 5.6)はイタリア、シンガポール、アメリカよりもかなり低いところにきている」と分析。死亡者数については「なるべく少なくする事が重要な目的の 1つとしてやってきた」と振り返った。そして、「人口10万人あたりの死者数は欧米の 1/10以下」。「検査数が少ないが、肺炎を起こすような症例について積極的にCTスキャンを活用している」とし、「死者数はほぼ正確なデータ」だと説明した。その上で「これから長丁場を乗り越える上で、改善点は多くある」と指摘した。
緊急事態宣言の延長について報道陣の取材に応じる東京都の小池百合子知事=新宿・都庁前
東京都の小池百合子知事は 4日夜、政府の「緊急事態宣言」の期間延長について、都内で多くの感染者が出続ける現状を基に「致し方ない。終息に向けてもうひと頑張りしないといけない」と述べ、引き続き感染拡大防止への協力を求めた。都庁で報道陣の取材に答えた。
小池氏は都の休業要請や休校などに関する対応を 5日に発表する方針。事業者への支援に関しては「さまざまな工夫をして、事業の継続性を考えながら『新型コロナ』との闘いを皆さんと共に進めていきたい」と述べるにとどめた。
都内では 4日も新たに87人の感染が確認され、累計は4654人に上り、死者も計 150人に達している。
レース柄のマスク姿で会見に臨む小池百合子都知事=新宿・都庁 (2020年 5月 1日撮影)
きょう 5日は、子供たちの成長を願う「こどもの日」。今年は「新型コロナウイルス感染拡大防止」のため、全国的に休校の中で迎える祝日になった。 4月末、東京都や大阪府などの知事が旗を振り始めた「 9月入学」移行案が、国民に賛否を巻き起こしている。政府は 6月上旬までに論点を整理するとしているが、本紙では一足先に、メリットや課題、影響などをまとめた。
4月末に降ってわいた「 9月入学」移行論。休校が続き、学習の遅れへの不安が解消されるとして歓迎する声が上がる。
一方で桜の季節に卒業、入学が、猛暑のそれにかわる。現役生徒からは「私は桜が咲く春に入学して春に卒業したい」と訴える声も。日本人の季節感や情緒に大きな変化を与えるとして反対意見も相次ぐ。ただ、こうした文化的側面を抜きにしても、事はそう簡単に運ばない。
政府は来年導入の可否を検討する姿勢だが、導入の場合、受験シーズンなどが来夏に延期された「東京五輪・パラリンピック」の開催期間に直撃されるとの指摘も。特に首都圏の大学を受験希望の地方の生徒は、宿泊先確保などで不安を抱えることになる。
学生スポーツへの影響も大きい。あくまで現行の日程で行われるなら、高校球児にとって集大成の大会である夏の甲子園に、高校 3年生が出場不可能になる恐れが。春の選抜と大会の重要性が逆転する可能性も出てくる。
「 9月入学」を巡っては2011年、東大が外国人留学生の受け入れ拡大などを理由に全面移行を検討した。大論争の末、13年に「当面見送り」とされた。今回は、「新型コロナウイルス」との闘いにゴールが見えない中、教育現場は、いかに安全に学校を再開させるか頭を悩ませているのが現状。議論に加わる余裕はない。
政府は 6月上旬までに論点をまとめるとしているが、栃木県の福田富一知事は「社会構造を大きく変え、国民投票に値する事案」と拙速な議論に強く反対。戦争や災害、テロなどに乗じて過激な社会改革を断行する「ショック・ドクトリンそのもの」との批判も上がっている。日本の子供たちの未来を左右する変革だけに、慎重な検討が求められる。
もし「9月入学」になったら…
★現場の声、識者の声
■北海道の公立高校教諭(58)
「 9月始業となれば、在学生の学年は新たにどこで区切るのか。一部の生徒には『もう半年頑張れ』と指導するのか。もはや自分の頭では考えられない」
■兵庫県の私立高校職員(33)
「すでに保護者から『学費はどうなるのか』と問い合わせが来ている。 9月入学の議論より、感染者の少ない地域では、一日でも早く学校再開できるよう対策に集中してほしい」
■お茶の水女子大名誉教授で作家の藤原正彦氏(76)
「2011年に東大が検討したが、見送ったのは国家試験や就職、会計年度など社会全体への影響があまりに大きく、日本の文化破壊につながるという意見から。桜が散り、新芽が萌え始める春に行われる卒業式や入学式は日本人の伝統、情緒、自然観に関わる大切な文化。国を丸ごと変える制度改革は、最低10年以上かけて検討すべきもので、コロナのどさくさに決めるものではない」
★様々な入学時期
9月入学が「グローバル・スタンダード」だと一口にいっても、全てそうとはいえない。赤道直下のシンガポールや南半球のオーストラリアのように 1~ 2月が入学時期の先進国もある。ドイツでは、国民が一斉に夏休みを取って交通が混雑するのを避けるなどの理由から、州によって 8月から 9月にかけ、入学時期が分散するように設定されている。ネパールは日本と同じ 4月入学だが、同国独自の暦にちなんだもの。英国の 9月は、農繁期を避けたのが始まりといわれる。なお、米国やオーストラリアなどでは、州により義務教育年数さえ異なっている。