●安倍晋三首相(65)は14日夜、「新型コロナウイルスの緊急事態宣言」を39県で解除するための政府対策本部に先立ち、記者会見を行った。質問を求める記者の挙手はあったものの、約 1時間後、対策本部会合を理由に会見は打ち切られた。長時間の会見を嫌った時間設定との見方もあるが、官邸関係者は「テレビ中継との関係だ」と説明している。会見は午後 6時ごろ開始。首相は冒頭、約20分間にわたり宣言の一部解除について説明し、質問を受け付けた。午後 7時前、司会の長谷川栄一首相補佐官兼内閣広報官が通告。質問したのは計12人だった。「緊急事態宣言」を 7都府県に発令した 4月 7日以降、首相の会見は 4回目。 2、 3回目は外交日程を理由に会見を終わらせ、質問を書面で受け付けた経緯がある。会見には官邸記者クラブ「内閣記者会」常勤19社から 1社 1人と、抽選で選ばれたフリーランスの記者ら10人が出席した。安倍晋三首相は14日、会見し、「新型コロナウイルス特措法」に基づく緊急事態宣言を39県で同日付で解除すると正式発表した。東京など 8都道府県は継続するが、21日に再検討する。移動の自粛、テレワークの推進、手洗いの徹底などの継続も強く要請。アクセルとブレーキのバランスをどうとるか-難問を前に、手探りの前倒し解除に踏み切った。解除となった一部自治体のトップからは、政府に複雑な思いも漏れた。解除地域の市民にも<1>少しずつゆっくり。人の接触をできるだけ減らす。県をまたぐ移動は今月中は控える。<2>前向きな変化、テレワークや時差通勤は継続。<3>あらゆる場面で警戒を怠らない。手洗い、人の距離を取る。密を避ける。マスク着用。夜の繁華街は控える-ことを求め、警戒を緩めないようくぎを刺した。失点続きの「コロナ禍」対応に加え、「検察庁法改正案」への対応でも批判を浴びる。「コロナ対策」を進める上でも国民の信頼回復が鍵となるが、かじ取りの難しさを浮かび上がらせた。
●安倍晋三首相は14日、首相官邸で会見し、「新型コロナウイルス特措法」に基づき47都道府県に発令していた緊急事態宣言に関して、39県で解除すると正式に表明した。 4月 7日に 7都府県に緊急事態宣言を発令した後、16日に全国に広げてから、宣言を解除するのは初めて。緊急事態宣言が39県で解除されたものの、医療現場で働く医療従事者の受け止めは依然、深刻だ。関東地方の病院に勤務する20代女性看護師は、日刊スポーツの取材に本音を漏らした。不安と不満を抱えながら、最前線で戦い続けているのが現実だ。常に、自分が感染しているのではないかと不安も抱える。一般病棟で亡くなった患者から陽性が確認されたケースもあったといい危機感を持つ。防護服を着続けるため脱水症状になりやすく、頭痛止めの服用が欠かせない。様態が急変しても、家族は病棟の外で待つしかなく、手を握り、別れを告げることはできない。 4月中旬、自身の祖母ががんで亡くなった際、葬儀には出席できなかった。他の参列者の不安の目を感じたためだ。遊びに出掛けて感染し、後悔する患者も多く見た。最前線にいるからこそ伝えたいことがある。
●安倍晋三首相は14日、記者会見し、「新型コロナウイルス特措法」に基づく「緊急事態宣言」を39県で同日付で解除すると正式発表した。東京など 8都道府県は継続するが、21日に再検討する。39県で解除となったが、これから私たちは何に気を付けて生活すれば良いのか。環境医学・公衆衛生学が専門の大西一成・聖路加国際大学大学院准教授に、聞いた。
●大阪府は14日、「新型コロナウイルス対策本部会議」を開き、「特措法」に基づく休業要請を16日午前 0時から部分的に解除すると正式に決めた。解除の条件とした独自基準「大阪モデル」を14日まで 1週間連続でクリアしたことを受け、吉村洋文知事(44)が判断した。府は達成状況を分かりやすく伝える必要があるとして、11日から通天閣(大阪市浪速区)や太陽の塔(吹田市)のライトアップをスタート。14日夜、初めて「解除」を示す緑色が点灯した。
●大阪府の吉村洋文知事は14日夜、府庁で行われた「新型コロナウイルス対策本部会議」後に会見を開き、「感染症の拡大を抑えながら社会経済活動を徐々に戻しつつ、この 2つを両立させながらウイルスと共存を図っていく」と“第2のステージ”に入ったと述べた。冒頭府民の協力に感謝し、さらに訴えた。休業要請の解除については政治判断を下す覚悟を示唆。大阪モデルの履行を約束した。また、府民に対しては引き続き外出の自粛を要請。接待を伴う飲食店について緊急事態宣言期間中は利用を控えてほしいと訴えた。
記事をまとめてみました。
安倍晋三首相は14日夜、「新型コロナウイルスの緊急事態宣言」を39県で解除するための政府対策本部に先立ち、記者会見を行った。
質問を求める記者の挙手はあったものの、約 1時間後、対策本部会合を理由に会見は打ち切られた。長時間の会見を嫌った時間設定との見方もあるが、官邸関係者は「テレビ中継との関係だ」と説明している。
会見は午後 6時ごろ開始。首相は冒頭、約20分間にわたり宣言の一部解除について説明し、質問を受け付けた。午後 7時前、司会の長谷川栄一首相補佐官兼内閣広報官が「次の日程が迫っているので最後の質問にさせていただく」と通告。質問したのは計12人だった。
「緊急事態宣言」を 7都府県に発令した 4月 7日以降、首相の会見は 4回目。 2、 3回目は外交日程を理由に会見を終わらせ、質問を書面で受け付けた経緯がある。
会見には官邸記者クラブ「内閣記者会」常勤19社から 1社 1人と、抽選で選ばれたフリーランスの記者ら10人が出席した。
記者会見で39県の緊急事態宣言解除を表明する安倍晋三首相=国会
安倍晋三首相は14日、会見し、「新型コロナウイルス特措法」に基づく緊急事態宣言を39県で同日付で解除すると正式発表した。
東京など 8都道府県は継続するが、21日に再検討する。「日常を取り戻すスタート」と話す一方で「感染リスクをゼロにはできない」と訴え、移動の自粛、テレワークの推進、手洗いの徹底などの継続も強く要請。アクセルとブレーキのバランスをどうとるか-難問を前に、手探りの前倒し解除に踏み切った。解除となった一部自治体のトップからは、政府に複雑な思いも漏れた。
◇ ◇ ◇
感染再拡大への恐れと、経済立て直しへの焦り-。そのジレンマが会見の言葉の端々ににじんだ。
政府の緊急事態宣言に関し、39県での解除を表明する安倍晋三首相=国会
安倍首相は解除した39県について、人口10万人当たりの 1週間の累積感染者数が 0.5人以下などの基準で判断したと説明した。しかし富山1.05、石川10.32など目安超えでも解除にしたところもある。再拡大した場合「 2度目の緊急事態宣言もあり得る」とした。一方、東京、大阪など継続させた8都道府県については21日をめどに再度検討し、31日を待たずに解除する可能性も示した。
国民には「コロナ時代の新たな日常を取り戻すスタートの日」など、前向きな言葉も発した。そのための「第2次補正予算案」の編成にも言及。雇用調整助成金の上限を 1日 1人8330円から 1万5000円に引き上げたり、中小企業への追加支援や、困窮学生支援などにも触れた。
政府の緊急事態宣言に関し、39県での解除を表明する安倍晋三首相=国会
前向きな言葉とセットで、厳しい呼び掛けも並べた。北海道や、韓国など感染が再拡大した例を引き合いに「感染リスクをゼロにはできない。解除の後も身の回りに確実に存在する。気を緩めたとたん一気に感染が拡大する。ウイルスの最も怖いところ」と訴えた。
解除地域の市民にも<1>少しずつゆっくり。人の接触をできるだけ減らす。県をまたぐ移動は今月中は控える。<2>前向きな変化、テレワークや時差通勤は継続。<3>あらゆる場面で警戒を怠らない。手洗い、人の距離を取る。密を避ける。マスク着用。夜の繁華街は控える-ことを求め、警戒を緩めないようくぎを刺した。
判断の 1つ 1つには、責任が伴う。自身の政治責任について聞かれた首相は「国民の健康と命を守り抜く。暮らしと雇用を守り抜く。その責任を果たしていく決意と覚悟」と言葉を強めた。ただ失点続きの「コロナ禍」対応に加え、「検察庁法改正案」への対応でも批判を浴びる。「コロナ対策」を進める上でも国民の信頼回復が鍵となるが、首相が会見で繰り返した「試行錯誤を重ねながら」「正解はない」などの言葉が、かじ取りの難しさを浮かび上がらせた。
安倍晋三首相は14日、首相官邸で会見し、「新型コロナウイルス特措法」に基づき47都道府県に発令していた緊急事態宣言に関して、39県で解除すると正式に表明した。 4月 7日に 7都府県に緊急事態宣言を発令した後、16日に全国に広げてから、宣言を解除するのは初めて。
◇ ◇ ◇
緊急事態宣言が39県で解除されたものの、医療現場で働く医療従事者の受け止めは依然、深刻だ。関東地方の病院に勤務する20代女性看護師は、日刊スポーツの取材に「さすがに早いと思う。全然うれしくない」と、本音を漏らした。「私たちは思いを届ける場所がない」と、不安と不満を抱えながら、最前線で戦い続けているのが現実だ。
安倍晋三首相が39県の緊急事態宣言解除を表明。多くの国民が努力を続ければ、収束への道は開けるはずだ=国会
医療従事者に手当てが支給される自治体もあるが「私の地域はない」という。「ふざけるな」と感じるが「現場の声は全然届かない」と肩を落とす。夏のボーナスの減額が決まっているといい「この状況が続けば、看護師を辞める」という声が周囲にはあるという。
常に、自分が感染しているのではないかと不安も抱える。一般病棟で亡くなった患者から陽性が確認されたケースもあったといい「友人の看護師も『陽性』が確認された」と危機感を持つ。防護服を着続けるため脱水症状になりやすく、頭痛止めの服用が欠かせない。
入院時に家族宛ての遺書を持参した患者を目にした時には「言葉を失った」。それが医療現場の現実だ。様態が急変しても、家族は病棟の外で待つしかなく、手を握り、別れを告げることはできない。「あんなつらい最後は、医療従事者としてもつらいです」。
安倍晋三首相=国会
4月中旬、自身の祖母ががんで亡くなった際、葬儀には出席できなかった。他の参列者の不安の目を感じたためだ。それでも、職場で目にする、つらすぎる別れを念頭に「葬儀をあげられただけでも良かった」と、振り返った。
遊びに出掛けて感染し、後悔する患者も多く見た。「こちらがどれだけ頑張っても、これでは防ぎようがない。こちらはやるべき事はやるので、自分の身は自分で守る覚悟を持って欲しい」と訴える。
最前線にいるからこそ伝えたいことがある。「緊急事態宣言」が解除されたといっても「第 2波が怖い。最低でも 1年を覚悟して、油断しないでほしい」。そう呼びかけた。
安倍晋三首相は14日、記者会見し、「新型コロナウイルス特措法」に基づく「緊急事態宣言」を39県で同日付で解除すると正式発表した。東京など 8都道府県は継続するが、21日に再検討する。
39県で解除となったが、これから私たちは何に気を付けて生活すれば良いのか。環境医学・公衆衛生学が専門の大西一成・聖路加国際大学大学院准教授に、聞いた。
◇ ◇ ◇
インタビューに応じた聖路加国際大学大学院の大西一成准教授
<大西一成氏の目>
「緊急事態宣言」が39県で解除されましたが「危険が去った」という考えは、避けてください。引き続きマスクの正しい着用と、手洗い、うがい、テレワークなどの感染予防を続ける必要があります。
外出時には、ソーシャルディスタンス(社会的距離)の確保、マスクの流通が正常に戻った場合、布マスクよりも不織布マスクを正しく着用してください。マスクを過信し、密集地へ外出することは控えてください。
今後は「熱中症のリスク」と「感染症のリスク」をともに考えていく必要があります。広い公園に 1人でいるにも関わらず、マスクをし続けて、熱中症になっては意味がありません。水分と塩分を補給し、これまでの経験をもとに、自分で考えて行動する必要があります。海外では第2波が起こっています。これで終わりではなく、引き続き危機感を持った行動をしてください。 (聖路加国際大学大学院准教授)
大阪府は14日、「新型コロナウイルス対策本部会議」を開き、「特措法」に基づく休業要請を16日午前 0時から部分的に解除すると正式に決めた。
解除の条件とした独自基準「大阪モデル」を14日まで 1週間連続でクリアしたことを受け、吉村洋文知事が判断した。
府によると、解除は府が示した感染防止マニュアルを順守することが条件。百貨店などの商業施設、映画館、美術館、ホテルの宴会場部分などが対象となった。インターネットカフェやパチンコ店などは1000平方メートル以下の施設に限って認める。
「新型コロナウイルス」の感染状況を表すライトアップで緑色に灯された太陽の塔。多くの人が集まった=大阪・吹田市
大阪モデルは(1)感染経路不明者が10人未満(2)PCR検査で陽性になった人の割合が 7%未満(3)重症患者用の病床使用率が60%未満-の 3基準で構成。府内の検査では14日、新たに 3人の感染を確認。(1)2.86人(2) 1.6%(3)22.9%-で、いずれも基準を満たした。
府は達成状況を分かりやすく伝える必要があるとして、11日から通天閣(大阪市浪速区)や太陽の塔(吹田市)のライトアップをスタート。14日夜、初めて「解除」を示す緑色が点灯した。
大阪府の吉村洋文知事は14日夜、府庁で行われた「新型コロナウイルス対策本部会議」後に会見を開き、「感染症の拡大を抑えながら社会経済活動を徐々に戻しつつ、この 2つを両立させながらウイルスと共存を図っていく」と“第2のステージ”に入ったと述べた。
冒頭「本日、大阪モデルの 7日間連続の基準を達成致し、緑の信号をともすことができました。通天閣、太陽の塔、緑のランプ、緑の信号をつけることができました」と府民の協力に感謝し、「ワクチンや有効な治療薬ができるまでの間、つまり、『コロナウイルス』をコントロールのもとに置くまでの間、我々はこのウイルスと共存していかなければならない。ゴールではなく、スタートしての第一歩を踏み出した」と語った。
さらに「 5月 2日ごろに退院する人と陽性人数が逆転しました。クロスの地点、ここがひとつの大きな分岐点だったと思います。ワクチンについては 7月から治験を開始しますが、有効なワクチンがあるわけではありません。ですので、この『新型コロナウイルス』と共存する道を選ばざるを得ません。好むと好まざるにかかわらず共存しなければならない」と訴えた。
対策本部会議後、会見する大阪府の吉村洋文知事=大阪府庁
休業要請の解除については「社会経済を動かさなければ、こちらのほうで失う命があります。僕らのような政治家や公務員はずっと給料が保証されていることが前提であれば、自粛を続けることも不可能ではありませんが、そうじゃない人たちがいる、ということも我々は認識しなければなりません」と政治判断を下す覚悟を示唆。「今後、第 2、第 3の波がでてくる可能性があるし、その可能性があることは許容しなければならないと思っています。今回、解除することによって、どっかでまた、クラスターが発生すると僕は思います。どっかでまた感染者が増えてくると思います。あー、吉村が解除したからそうじゃないの、といわれることがあるかもしれませんが、その批判は受けようと思っています」とし、「医療崩壊を防ぐという基準を明確に立てて、数値目標をたてて、その数値の中でなんとかウイルスを抑え込んで社会経済活動を徐々に戻そう、これが僕の進むべき道だというふうに思っています」と大阪モデルの履行を約束した。
また、府民に対しては「極力 8割程度の接触の機会の低減をぜひ目指していただきたいと思います。特に不要不急の帰省や旅行はひかえてもらいと思います。府県をまたいだ移動、これはできるだけ避けてもらいたいと思います」と引き続き外出の自粛を要請。接待を伴う飲食店について「明らかにクラスターが発生したのが夜の接客を伴うお店です。クラスターが発生したら非常に見えにくいという特徴もあります」と緊急事態宣言期間中は利用を控えてほしいと訴えた。