●藤川球児投手(40)が、今季限りでユニホームを脱ぐことを決めた。 8月31日、球団が発表した。開幕から守護神を務めたが、コンディション不良に苦しんだ。ここまで11試合で｢１勝３敗２セーブ、防御率７．２０｣。現在は 2軍調整中で、｢日米通算２５０セーブ｣まで残り｢５｣と迫っている中での決断となった。引退会見は 1日に兵庫・西宮市内で行われる。球児で思い出すのは知将・野村克也氏(84歳没)のぼやきだ。98年オフに阪神監督に就任し野村はその年のドラフトの目玉・松坂大輔投手(39＝埼玉西武)を獲得した西武をうらやましがった。甲子園の大スターと比べ、その知名度をぼやいた。正直、当時は野村がそう言っても無理もない部分はあったと思う。野村のぼやきに代表される世間、ファンの目と戦ってきた野球人生だったと思っている。評論家の江本孟紀氏(73)が引退を発表した高知商高と阪神の後輩、藤川球児投手に惜別の賛辞。球界に影響を与え、後進には手本を示した、と改めて評価した。
●藤川球児投手が31日、今季限りで現役引退することを発表した。オンライン会見に応じた谷本修球団副社長兼本部長(55)によると、右上肢のコンディション不良で抹消されている 8月中旬に球団へ引退の意向を告げ、了承された。 1日午後、会見を開く。｢日米通算２５０セーブ｣まで｢５｣。今季中の復帰へ強い意欲を見せた。歯を食いしばり、直球一本で打者と立ち向かった球児がユニホームを脱ぐ。自身の進退について、何度も球団と話し合い、それでも身を削って投げていた。 8月中旬。谷本球団副社長兼本部長に最後の答えを告げた。午後 4時半、オンライン会見を開いた谷本副社長によると、球児は引退を申し入れた理由として｢悲鳴｣を挙げたという。さらにチームに迷惑をかけていることを謝罪し打ち明けた。藤川はカブス時代の2013年 6月に右肘の腱再建手術を受けた。数々のメスを経験しながらも18年に中日で｢６勝｣を挙げた松坂(現西武)とは年を重ねる度に馬が合った。世代交代の波にあらがう 2人。“医学博士”の座を競ったりもした。きょう 1日午後、引退会見に臨む。引退試合も決まっていない。なぜなら球児も球団も悲願の｢リーグ優勝｣への戦力とみているからだ。チームは首位・巨人と｢６．５ゲーム｣差の｢３位｣につけている。シーズンは折り返し、残り60試合。球児は近い日に帰ってくる。全盛期のような｢火の玉ストレート｣は投げられなくとも魂の投球ができる。そして、岩瀬仁紀元投手(45＝中日＝現野球解説者、野球評論家)、高津臣吾元投手(51＝東京ヤクルト＝現東京ヤクルト監督)、佐々木主浩元投手(52＝横浜＝現日本プロ野球名球会理事、野球解説者・野球評論家)しか達成おらず、松坂世代初の｢通算２５０Ｓ｣へ－。最後は笑って、タテジマを脱ぐ。逆襲に燃える虎が、ハッピーエンドを描く。
●伸び悩んでいた藤川にフォームの改造をすすめたのが、2003年に、阪神 2軍投手コーチだった山口高志氏(70＝現関大硬式野球部アドバイザリースタッフ)。“火の玉”の生みの親が31日、惜別メッセージを寄せた。もう 1年、現役でプレーしてほしかったが、僕らが見ている以上に、体はきつかったんだろう。正直、こんな偉大な投手になるとは思わなかった。私が阪神の 2軍投手コーチに就任した2003年は 1軍に上がっても結果を残せず、再び 2軍へ、の繰り返しだった。体は細かったが、 140キロ台の直球には切れがあった。右膝が折れないようにすることで潜在能力をフルに生かすことができると考えた。右膝が折れると、右肩も落ちてしまう。すると球をたたけなくなる。春季キャンプから右膝が落ちない、曲がらないようにするため、膝関節をロックするギプスを装着させ、投球練習させた。シーズンに入ってからもブルペンでも着けさせ、多いときは 1日 300球投げさせた。 1年は続いたかな。少しずつではあるがスピンの効いた球がいくようになった。球界を代表するストッパーになってからは試合中のブルペンで、とにかくうるさかった(笑)。ムードメーカーであり、いつまでたっても野球少年だった。最後は引退試合ではなく、チームの戦力として、マウンドに立ってほしい。おじいちゃんからのお願いやね。(元阪神投手コーチ)
●右手有鈎(ゆうこう)骨骨折で離脱していた糸原健斗内野手(27)が 1日のウエスタン・広島戦(鳴尾浜)で実戦復帰する。戦列復帰に向けての大きな一歩で、矢野燿大監督(51)も視察に訪れる。今季限りでの引退が発表された藤川球児投手の花道を飾るためにも、指揮官も早期の主将 1軍復帰に期待した。正念場の13連戦を前に朗報だ。右手有鉤(ゆうこう)骨骨折で離脱していた糸原が、きょう 2軍戦で復帰。矢野監督は自ら視察することを明かし、復活を待ちわびた。｢打率０．３１０｣と好調にチームをけん引していた最中、 7月22日の広島戦(甲子園)で右手首を痛めて登録抹消。同28日に手術を受け、長期離脱を余儀なくされた。しかしメスを入れてからわずか35日でグラウンドに戻ることに。残暑厳しい中、13連戦は甲子園－横浜－甲子園とすべて屋外球場での過酷な戦いになる。しかも、ヤクルト 3連戦の後には巨人との 4連戦が待ち受ける。ここまで宿敵には｢２勝８敗｣。これ以上は負けられない。藤川の引退が発表されたところで、シーズン後半戦がスタートする。レジェンドの花道を飾るべく、猛虎が一丸となって試練を乗り越える。
●今シーズン前半戦で、まさに攻守の要としてチームを引っ張ったのが梅野隆太郎捕手(29)だ。ディフェンス面で心身を酷使するこのポジションで、一流打者の証しともいえる大台の可能性は十分だ。一時は｢３割台半ば｣のハイアベレージを記録していたが、このところ打率はやや下降線。｢３割突破｣を懸けた、反攻の後半戦が始まる。近年の阪神は｢打てる捕手｣という役割を、他球団からの移籍選手に頼ってきた。直近の捕手による｢打率３割｣は、城島健司(44)の｢３割３厘｣。ソフトバンクで活躍した後メジャーへ渡り、日本球界への帰り新参だった。故障で活躍がこの 1年だけだったことが惜しまれる。さかのぼると、中日からトレードで加わった現監督の矢野輝弘(51＝現・燿大)は、 2度にわたり｢３割｣を突破。｢優勝｣した03年には｢３割２分８厘｣で｢セ３位｣に食い込み、｢ＭＶＰ｣候補に名が挙がった。79年にはクラウン(現・西武)から移籍したばかりの若菜嘉晴(66)が、｢３割３厘｣を打った。梅野は現在 184打数。シーズン 120試合換算では 368打数となる。この条件で｢３割｣に乗せるには、シーズン通算 111安打が必要だ。残り試合も 184打数と仮定すると、このうち58安打すればクリアできる。前半戦からわずか 5安打上乗せすれば達成だ。18、19年と｢２年連続ゴールデングラブ賞｣を獲得した虎の正捕手に、打撃の勲章も加わるか。ミットだけではなくバットも。 9月からの梅野が楽しみだ。
記事をまとめてみました。
藤川球児投手が、今季限りでユニホームを脱ぐことを決めた。 8月31日、球団が発表した。
開幕から守護神を務めたが、コンディション不良に苦しんだ。ここまで11試合で｢１勝３敗２セーブ、防御率７．２０｣。現在は 2軍調整中で、｢日米通算２５０セーブ｣まで残り｢５｣と迫っている中での決断となった。引退会見は 1日に兵庫・西宮市内で行われる。
◇ ◇ ◇
球児で思い出すのは知将・野村克也のぼやきだ。98年オフに阪神監督に就任し野村はその年のドラフトの目玉・松坂大輔を獲得した西武をうらやましがった。｢西武は松坂。ウチは藤川球児やぞ｣とブツブツ言った。甲子園の大スターと比べ、その知名度をぼやいた。正直、当時は野村がそう言っても無理もない部分はあったと思う。
98年12月21日、新人入団発表会見で野村克也監督と握手を交わす藤川球児投手＝球団事務所
その後の球児についてある球団関係者はこう舌を巻く。｢投手としてのセンスが抜群。自分の体について、どう使えばいいかを熟知している。あんな選手はそうはいない｣。
しかしセンスだけではなかっただろう。野村のぼやきに代表される世間、ファンの目と戦ってきた野球人生だったと思っている。
｢ベテランと呼ばれるのが好きちゃうんです。勝負の世界に年齢は関係ない。力があればトシは関係ないし、逆に実績があっても力が衰えれば試合には出られない。ことさらベテランが頑張っている…というようなのはね｣
12年12月 7日、カブス入団会見で背番号11のユニホームを手にする藤川球児投手。右はジェド・ホイヤーＧＭ
そう聞いた。その言葉通りの引退表明か。思うような球を投げられない状態なので辞める。シンプルだ。同時に阪神に対する愛着を感じるふるまいだと思う。ベテランの去就は常に課題だ。ハッキリと意思を示せば問題は起きない。
｢日本からメジャーに行って成功した投手はいる。でも阪神からメジャーに行って成功した投手はいない。だからやってみたい｣。まだ大リーグに挑戦していた時期、帰国した際にこんな話も聞いた。故障もあって夢は果たせなかったが自分を育ててくれた阪神に対する熱い思いがあった。
｢お疲れさまでした｣と言う気はまだない。球児は今季を全うするはずだ。巨人を追い掛けるシーズンの最後、逆襲のために現役最後｢散り際の力｣を見せてもらうまでそのセリフはとっておきたい。(敬称略)
優勝の瞬間、ガッツポーズでベンチを飛び出す藤川球児投手＝阪神甲子園球場 (2005年 9月29日撮影)
評論家の江本孟紀氏(73)が引退を発表した高知商高と阪神の後輩、藤川球児投手に｢功績は大きい。見習うべき存在だ｣と惜別の賛辞。球界に影響を与え、後進には手本を示した、と改めて評価した。
－－突然の引退です
｢今季は期待が大きすぎた。いつまでたっても藤川頼みという、投手陣編成とチーム事情にも無理があったよ｣
－－40歳ですからね
｢その長い足跡こそ評価されるべき。改めて功績をたたえたい｣
－－お願いします ｢プロ入り当初は先発で、目立った成績は残せなかった。リリーフ専従になると、2005年にはジェフ・ウィリアムス、久保田智之との『ＪＦＫ』で優勝に貢献した｣
2009年に沖縄・宜野座キャンプで藤川球児投手(左)と対談した江本孟紀氏＝沖縄県宜野座・かりゆしホテルズボールパーク宜野座(宜野座村野球場)
－－その年の登板数はなんと80試合でした
｢Ｊからバトンを受け、主に 8回を抑えて、Ｋにつなぐ。他チームも追随し、リリーフ分業システムは、いまやスタンダード。球界に与えた影響は大きいね｣
－－確かに
｢ＪとＫが抜けると、ストッパーとして君臨。先発が駄目で、中継ぎに回り、実績を残して、抑えになった。アメリカへも渡った。他の中継ぎや若い投手は、見習わないといかん｣
－－どういうことで
｢打たれようが抑えようが、ただ試合の展開上、中継ぎとして使ってもらっているだけ。これでは進歩がない。中継ぎで終わらず、上を目指して、ハードルを高く設定して、のしあがる。それでこそプロだ｣
藤川球児投手は豪快なフォームからの｢火の玉ストレート｣が武器だった。今季限りで見納めとなる＝阪神甲子園球場
－－なるほど
｢ピッチングスタイルも、『火の玉』と呼ばれたストレートと、フォークボールで、バッタバッタと三振を取る。通用しない球種には目もくれず、こちょこちょボールを動かして悦に入ることもない｣
－－圧巻でした
｢あれこれ変化球を投げたがる、ストライクは入らない、簡単にランナーを出す…。野手も試合も、ダラダラとさせるような今のリリーフ投手は、そこも見習え｣
－－わかります
｢藤川はエモトの高知商の後輩。鹿取義隆(巨人)、中西清起(阪神)と、高知商出身には名ストッパーも多い。行けといわれれば、いつでも行く。藤川は脈々と流れる突貫精神も、存分に発揮してくれたよ。長い間、お疲れさま！｣
さらば、火の玉－。阪神・藤川球児投手が31日、今季限りで現役引退することを発表した。オンライン会見に応じた谷本修球団副社長兼本部長によると、右上肢のコンディション不良で抹消されている 8月中旬に球団へ｢体が悲鳴｣と引退の意向を告げ、了承された。 1日午後、会見を開く。｢日米通算２５０セーブ｣まで｢５｣。野球人生に｢後悔はない｣としながらも、今季中の復帰へ強い意欲を見せた。
歯を食いしばり、直球一本で打者と立ち向かった球児がユニホームを脱ぐ。自身の進退について、何度も球団と話し合い、それでも身を削って投げていた。 8月中旬。谷本球団副社長兼本部長に最後の答えを告げた。
｢ 1年間を通じて、コンディションを保つのが年々難しくなってきた。体が、実をいうと悲鳴をあげているんです｣
午後 4時半、オンライン会見を開いた谷本副社長によると、球児は引退を申し入れた理由として｢悲鳴｣を挙げたという。さらにチームに迷惑をかけていることを謝罪し｢野球人生について、まったく悔い、後悔はないです｣と打ち明けた。
11年 9月14日、リリーフカーに乗ってマウンドに向かう藤川球児投手＝阪神甲子園球場
矢野監督から早々と守護神に指名されて臨んだ今季は11試合に登板して｢１勝３敗２セーブ、防御率７．２０｣。 7月12日に右肩、 8月13日には右上肢のコンディション不良で抹消され、リハビリを続けていたが“ドクターストップ”がかかっていた。谷本副社長は｢かなり深刻。お医者さんからも簡単にいうと『もういいんじゃないか』といわれるぐらい、結構大変な中でやっている｣とし、藤川が｢手術が必要なレベル｣と告げていたと説明した。肩や肘だけじゃない。バランスを崩したことで腰にも足にも、さまざまな箇所に飛び火し、年齢的にも修復が不可能になっていた。
昨年の開幕直後にも体調不良により、昨季限りでの｢現役引退｣を球団に申し入れた。慰留され、昨季は｢１６セーブ｣。｢名球会｣入りとなる｢日米通算２５０セーブ｣まで｢５｣と迫っているが、常に記録がついてまわる自分に対し、自問自答を繰り返した。その気持ちを軽くしてくれたのは、松坂世代だった。
｢松坂とは、お互いにけがで苦しむようになってから『どこの整骨院がいい』とか『お医者さんがいい』とか…。情報交換で連絡を取り合っています。彼は全国各地を飛び回っていたけど、僕も彼に負けないぐらいになりましたよ｣
9回、マウンドに走って向かう藤川球児投手。ファンはこの瞬間を楽しみにしていた＝阪神甲子園球場
藤川はカブス時代の2013年 6月に右肘の腱再建手術を受けた。数々のメスを経験しながらも18年に中日で｢６勝｣を挙げた松坂(現西武)とは年を重ねる度に馬が合った。世代交代の波にあらがう 2人。“医学博士”の座を競ったりもした。
きょう 1日午後、引退会見に臨む。ただし、谷本副社長は｢今シーズンをあきらめたというわけではまったくなくて、 9月中を目指してチームの戦力になるよう仕上げている状況｣と話した。引退試合も決まっていない。なぜなら球児も球団も悲願の｢リーグ優勝｣への戦力とみているからだ。
チームは首位・巨人と｢６．５ゲーム｣差の｢３位｣につけている。シーズンは折り返し、残り60試合。球児は近い日に帰ってくる。全盛期のような｢火の玉ストレート｣は投げられなくとも魂の投球ができる。そして、岩瀬仁紀、高津臣吾、佐々木主浩しか達成おらず、松坂世代初の｢通算２５０Ｓ｣へ－。
｢優勝したい。それしかない｣と常に言い続けてきた背番号｢２２｣。最後は笑って、タテジマを脱ぐ。逆襲に燃える虎が、ハッピーエンドを描く。
球児、よく頑張ったな！ 伸び悩んでいた藤川にフォームの改造をすすめたのが、2003年に、阪神 2軍投手コーチだった山口高志氏(現関大硬式野球部アドバイザリースタッフ)。“火の玉”の生みの親が31日、惜別メッセージを寄せた。
もう 1年、現役でプレーしてほしかったが、僕らが見ている以上に、体はきつかったんだろう。
正直、こんな偉大な投手になるとは思わなかった。私が阪神の 2軍投手コーチに就任した2003年は 1軍に上がっても結果を残せず、再び 2軍へ、の繰り返しだった。
体は細かったが、 140キロ台の直球には切れがあった。右膝が折れないようにすることで潜在能力をフルに生かすことができると考えた。
右膝が折れると、右肩も落ちてしまう。すると球をたたけなくなる。春季キャンプから右膝が落ちない、曲がらないようにするため、膝関節をロックするギプスを装着させ、投球練習させた。
投手コーチを務めていた山口高志氏(右)は大の恩人だった
シーズンに入ってからもブルペンでも着けさせ、多いときは 1日 300球投げさせた。 1年は続いたかな。少しずつではあるがスピンの効いた球がいくようになった。
私は2005年にスカウトに転身したが、夏頃だったか、仕事が終わってテレビを見ていたら球児が出てきて…。寝っ転がってみていたけど、思わず飛び起きてしまうぐらいの球になっていた。
周囲からは｢山口さんの功績ですよ｣と言われるが、ほんの助言の一つに過ぎない。 2軍生活が長くても腐らずに練習を重ねていた球児の頑張りに尽きる。高卒の選手は 5、 6年、芽が出ないとあきらめるというか、練習でも妥協したり、他の 2軍選手と群れるなど、ファーム慣れしてしまう。だけど、球児は違った。このままでは終われない、という信念があり、芯の強い子だった。
球界を代表するストッパーになってからは試合中のブルペンで、とにかくうるさかった(笑)。｢この打者が何を待っているかわかるか？｣と江草(仁貴)、筒井(和也)らに質問し、講義する。ムードメーカーであり、いつまでたっても野球少年だった。
2003年、鳴尾浜のブルペンで投球練習をする藤川球児投手＝阪神鳴尾浜球場(西宮市タイガーデン)
一番の思い出は私が阪神のコーチをやめた15年。どこで聞いたのか、球児がアメリカから電話をかけてきて｢あした日本に帰りますから、すぐに飯食いましょう｣と。夙川の小さなお店で慰労会を開いてくれて｢ご苦労さまでした｣と。最後のメッセージで何いうんかなと思ったら｢昼間から酒を飲むおじいちゃんだけにはならないでください｣と言われた。その教えは今も守っている。
最後は引退試合ではなく、チームの戦力として、マウンドに立ってほしい。おじいちゃんからのお願いやね。(元阪神投手コーチ)
◇山口 高志(やまぐち・たかし)
19508昭和25)年 5月15日生まれ、70歳。兵庫県出身。市神港高から関大、松下電器を経て975年｢ドラフト１位｣で阪急(現オリックス)に入団、 1年目に｢新人王｣。78年｢最優秀救援投手｣。82年に現役引退。83年、 2軍投手コーチに就任。93年、球団がオリックスに売却され、 1軍投手コーチに。その後、スカウトを歴任し、2003年から阪神 2軍投手コーチ。05年スカウト、09年 1軍投手コーチで復帰し、15年に退団。16年からは母校・関大野球部アドバイザリースタッフに就任した。プロ 8年で 195試合登板、｢５０勝４３敗４４セーブ、防御率３．１８｣。 169センチ、78キロ。右投げ右打ち。
右手有鈎(ゆうこう)骨骨折で離脱していた糸原健斗内野手(27)が 1日のウエスタン・広島戦(鳴尾浜)で実戦復帰する。戦列復帰に向けての大きな一歩で、矢野燿大監督(51)も視察に訪れる。今季限りでの引退が発表された藤川球児投手の花道を飾るためにも、指揮官も早期の主将 1軍復帰に期待した。
正念場の13連戦を前に朗報だ。右手有鉤(ゆうこう)骨骨折で離脱していた糸原が、きょう 2軍戦で復帰。矢野監督は自ら視察することを明かし、復活を待ちわびた。
｢俺も見に行く。思ったより早かったんで、ビックリしている｣
｢打率０．３１０｣と好調にチームをけん引していた最中、 7月22日の広島戦(甲子園)で右手首を痛めて登録抹消。同28日に手術を受け、長期離脱を余儀なくされた。しかしメスを入れてからわずか35日でグラウンドに戻ることに。指揮官は｢無理をさせることはできないけど、思いのほか早く復帰してくれそうなんでね。プラス材料としていけるのはある｣と笑った。
遊撃でノックを受け、軽快な動きを見せる糸原健斗内野手＝阪神鳴尾浜球場(西宮市タイガーデン)
主将不在の間、高卒 2年目・小幡が台頭。 8月26日の初先発からここ 5試合連続でスタメンに名を連ね、初安打や初打点も記録した。矢野監督はこの19歳を｢ラッキーボーイ｣と表現。｢健斗(糸原)の刺激にもなると思う。『帰ってきても出られませんよ』ぐらいのものをね。今は小幡が出ているけど、(競争を)見せてくれたらチームとしてはいい形になる｣。「打率０．１２１｣の高山をこの日、抹消。競争は激化するばかりだ。
残暑厳しい中、13連戦は甲子園－横浜－甲子園とすべて屋外球場での過酷な戦いになる。しかも、ヤクルト 3連戦の後には巨人との 4連戦が待ち受ける。｢巨人だけにちょっとやられているし、巨人倒さないと上にいけない｣。ここまで宿敵には｢２勝８敗｣。これ以上は負けられない。
藤川の引退が発表されたところで、シーズン後半戦がスタートする。レジェンドの花道を飾るべく、猛虎が一丸となって試練を乗り越える。
＜虎ヲタ＞
梅ちゃん目指せ、45年ぶり｢生え抜き３割捕手｣－。今シーズン前半戦で、まさに攻守の要としてチームを引っ張ったのが梅野隆太郎捕手だ。
ディフェンス面で心身を酷使するこのポジションで、一流打者の証しともいえる大台の可能性は十分だ。一時は｢３割台半ば｣のハイアベレージを記録していたが、このところ打率はやや下降線。｢３割突破｣を懸けた、反攻の後半戦が始まる。
阪神の生え抜き捕手45年ぶり 3人目の｢打率３割｣に向け、梅野にはぜひ巻き返してもらいたい。 8月31日現在、｢チーム１位｣の｢打率２割８分８厘｣。 7月11日には｢３割７分８厘｣にまで上がっていたが、このところ大台を割り込んできた。とはいえシーズンはちょうど半分の60試合を終えたばかり。チャンスはたっぷり残っている。
近年の阪神は｢打てる捕手｣という役割を、他球団からの移籍選手に頼ってきた。直近の捕手による｢打率３割｣は、城島健司の｢３割３厘｣。ソフトバンクで活躍した後メジャーへ渡り、日本球界への帰り新参だった。故障で活躍がこの 1年だけだったことが惜しまれる。さかのぼると、中日からトレードで加わった現監督の矢野輝弘(現・燿大)は、 2度にわたり｢３割｣を突破。｢優勝｣した03年には｢３割２分８厘｣で｢セ３位｣に食い込み、｢ＭＶＰ｣候補に名が挙がった。79年にはクラウン(現・西武)から移籍したばかりの若菜嘉晴が、｢３割３厘｣を打った。
本塁打を放った梅野隆太郎捕手＝阪神甲子園球場 (2020年 7月31日撮影)
阪神を振り出しにプロ生活を始めた捕手の｢３割｣は、長い歴史の中で 2人しかいない。 1リーグ時代の土井垣武、そして75年の田淵幸一である。土井垣は戦後再開されたプロ野球で、阪神の正捕手に君臨。阪神での 2度のほか、50年には移籍先の毎日(現・ロッテ)でも大台をクリアした。また田淵は、全盛期の王貞治(巨人)と本塁打争いでデッドヒートを展開。宿敵を抑え初のキングとなった75年に、打率も｢３割｣を突破した。これが球団生え抜き捕手では、直近の｢３割打者｣である。
梅野は現在 184打数。シーズン 120試合換算では 368打数となる。この条件で｢３割｣に乗せるには、シーズン通算 111安打が必要だ。残り試合も 184打数と仮定すると、このうち58安打すればクリアできる。前半戦からわずか 5安打上乗せすれば達成だ。
18、19年と｢２年連続ゴールデングラブ賞｣を獲得した虎の正捕手に、打撃の勲章も加わるか。ミットだけではなくバットも。 9月からの梅野が楽しみだ。
※捕手以外の守備位置でも出場経験のある場合は、捕手としての出場が最多である選手が対象。成績はすべて、規定打席到達シーズンのみ
＜主な巧打の捕手＞
・野村克也(南海－ロッテ－西武)
65年には捕手として3冠王という、空前絶後の偉業を成し遂げた。通算2901安打は｢プロ野球２位｣。
阪神のレジェンド捕手土井垣武氏(左)と田淵幸一氏＝阪神甲子園球場
・古田敦也(ヤクルト) 野村監督の指導を受け、非力と言われた打撃も進歩を遂げる。 2年目の91年、落合博満(中日)と渡り合い｢首位打者｣に輝いた。捕手での 8度の｢３割｣は｢史上最多｣。
・阿部慎之助(巨人)
卓越したバットコントロールで一時代を築いた。通算2132安打は、巨人では王貞治、長嶋茂雄、川上哲治に続き｢球団４位｣に該当する。
・森 友哉(西武)
大阪桐蔭では阪神藤浪とバッテリーを組んだ。天才とも称される打撃が大きく花開き、19年｢首位打者｣を獲得。今季は｢２割５分８厘｣と低迷するが、ここから本領発揮か。
◆虎ヲタ～知ればアナタも人気者～
阪神タイガースをデータから読み解く、新感覚の野球情報番組。ファン目線のトリビアなものや、日刊スポーツの記者が持ち込みで紹介するここだけの硬派なネタで、阪神を徹底分析する。増田英彦(ますだおかだ)関本賢太郎(阪神タイガースＯＢ)高野勲(日刊スポーツ記者)がレギュラー出演。 9月号は｢過去の優勝シーズン｣。放送予定はスカイAのホームページで。
※ 9月 1日の予告先発は、阪神・高橋遥人投手(24＝亜細亜大學ＯＢ)ー東京ヤクルト・石川雅規投手(40)です。どちらに軍配が上がるか、楽しみですね。
ガンバレ！阪神！我らのタイガース！勝利を掴め！
多くの方と話をする中で、"楽しむからこそ実力が発揮できる"そして"笑うということには大きなパワーがある"ということを教えてもらいました。
これからの1年はグラウンドで苦しい時こそ笑って、楽しいときはもっと楽しく、でもしっかり勝つようなチームを作っていきます。
そして、僕たちが勝つことでファンの皆さんにも思いっきり笑ってもらい、思いっきり喜んでもらえるようなシーズンにすべく、「It's 勝笑 Time！オレがヤル」というスローガンにしました。
2020年 オープン戦 最終順位表
2020年 公式戦 順位表
2020年 公式戦日程と 結果 (08月)
2020年 公式戦日程と 結果 (09月)
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