大阪国際女子マラソン・福士加代子 2位も世界切符見えた！陸連は高評価！渋井陽子失速 8位…

　晴れ、 6.4度、湿度50％、南西の風 1.5メートル(スタート時)の中で行われた｢大阪国際女子マラソン｣で、｢トラックの女王｣福士加代子(30＝ワコール)が 2時間24分21秒ででフィニッシュ。自己記録を更新し、日本人トップの 2位に入った。
　ペースメーカーが 5キロ17分の設定タイムとほぼ変わらない好ペースで、30キロまで先導。30キロからは独り旅に。35キロではガメラシュミルコ(29＝ウクライナ)に30秒差をつけたが、ここから大きく口が開き、一気にピッチが鈍り、40キロまでの 5キロに17分41秒も要し、競技場に入る直前の残り 930メートルで逆転された。
　福士とともに｢ビッグ２｣として注目された渋井陽子(33＝三井住友海上)は、 2時間32分41秒で 8位に終わった。
　 2度目のマラソン挑戦となる渡辺裕子(25＝エディオン)が 2時間25分56秒で日本人 2番手の 3位でフィニッシュ。
　小崎まり(本名＝大坪まり＝38)が2011年 7月に長男・学叶(がくと)君を出産後、初の本格的なマラソンで25キロまで先頭集団に食らいつきママの底力を見せた。 2時間26分41秒の 4位でゴールした。記事をまとめてみました。

　ペースメーカーが 5キロ17分の設定タイムとほぼ変わらない好ペースで、30キロまで先導。福士加代子は余裕をもって追走し、30キロからは独り旅に。35キロではガメラシュミルコに30秒差をつけたが、ここから大きく口が開き、一気にピッチが鈍った。40キロまでの 5キロに17分41秒も要し、競技場に入る直前の残り 930メートルで逆転されると、抵抗できず。｢影で(ガメラシュミルコが)すぐそこにいるって分かったけど、なあんにもできなかった｣と舌を出した。
　トラックで出場した昨夏のロンドン五輪後、昨年11月のニューヨーク・マラソンを目標にトレーニングを開始した。同大会はハリケーンの影響で中止となったが、現地入りしていた福士は世界遺産｢自由の女神像｣の前で、大阪での激走を誓っていた。


　終盤逆転されての 2位に、苦笑いでゴールする福士加代子

　｢トラックの女王｣福士加代子が 2時間24分21秒ででフィニッシュ。自己記録を更新し、日本人トップの 2位に入った。(晴れ、 6.4度、湿度50％、南西の風 1.5メートル＝スタート時)
　一時は独走態勢に入った福士は、残り 920メートル付近でタチアナ・ガメラシュミルコに逆転され、過去 2度失速した大阪でまたも初優勝を逃したが、 2位を死守。過去 2度の大阪は後半に失速していた福士は｢いつもより、もったかなと思う。今までで一番力は出せた。(ラストで)切り替えができなかったので課題は残った｣と話した。 4度目のマラソンで実績を残し、 8月のモスクワ世界選手権の有力候補に躍り出た。
　気持ちよく抜かれた。先頭で戻ってきた長居陸上競技場の外周コース。残り 920メートル付近でガメラシュミルコの影が見えた。｢スコーンとやられて何もできなかった｣。30キロ地点から独走で一時は 2位以下を 140メートル以上も引き離したが、土壇場でトップを明け渡した。ゴール直後に｢ごめん、負けちゃった｣と大声で観客にわびたが、日本人トップの 2位に拍手が起こった。


　残り 1キロを切ってから逆転され２位でゴールした福士加代子

　浪速路での 3度目の挑戦を終え、福士は笑っていた。｢後半は落ちたけど、昔ほどは垂れなくて良かったという感じ｣。手放しで喜べないが、手応えは十分にあった。
　昨年 8月からマラソンの練習を再開。｢福士加代子に携わる全員が絶対に失敗できないとやってきた｣(永山忠幸監督)。栄養士をつけ食事を増やすなど、やれるだけのことはやった。｢ 3度目の正直と言われたが、我々には『２度あることは３度ある』という言葉も脳裏にあった｣。永山監督は大きな重圧があったことを明かした。
　大阪は2008年と昨年に出場して終盤に大失速し、マラソン代表としての五輪を逃した。2008年は 4度も転倒した。 3度目の大阪は涙ながらに出場を直訴した。所属先ワコールの永山監督は｢三度目の正直というが、二度あることは三度あるともいう。私も福士も自信を持っていけるというのは 1度もなかった｣という。
　先輩の力水でパニックを回避した。最初の 5キロ給水で｢あんなにいっぱいあると思わなくて(ボトルが)見えなくて｣とスペシャルドリンクを取り損ねた。先頭集団の中で｢私って(ゼッケンは)何番だっけ｣と大騒ぎ。すぐに並走していた渋井陽子から｢水だよ｣とボトルを渡された。同じく小崎まりからも｢私の給水もいる？｣と声をかけられた。


　ゴール後、永山監督と抱き合う福士加代子

　福士は 5キロ過ぎに給水に失敗したが、渋井が自分のドリンクを差し出してくれた。｢皆さんに助けられて、精神的に落ち着いて走れた｣。今後は 4月のロンドンやロッテルダムで世界の強豪相手に課題のスタミナを磨く計画も浮上。｢35キロ以降の落ち込みを抑えられれば世界と戦える｣(日本陸連・酒井勝充強化副委員長)、｢日本記録を出してもおかしくない｣(同・武冨豊女子マラソン部長)と、30３０歳が大きな期待を背負った。

▽福士：すごく助けられた。これはいけるなと。 2人がいたから精神的に安定した。25キロ過ぎで去年よりも全然いけるなと。(過去の)トラウマはありません。

　福士を指導するワコールの永山監督は沿道で声援を送り、ゴールで愛弟子を迎えた。
　｢勝たせたかった。タイムより順位にこだわっていた｣。 3度目の大阪国際となった今年も終盤にペースダウン。｢ラスト 2キロの練習をしてきたけど。優勝するためにはもうちょっと最後の粘りが必要｣。今後は未定だが、トラックだけでなく｢ワールドマラソンメジャーズ｣に指定されている 4月のボストン・マラソン、ロンドン・マラソンに参戦する可能性もある。


　ファンの声援に応えながら引き揚げる福士加代子

　 2時間24分を切れず、世界選手権の一発内定は逃したが、有力候補に躍り出た。今後は米ボルダー、エチオピアなどを候補に高地トレーニングを予定。さらに永山監督は｢海外の強い選手とどれだけガチンコ勝負できるか｣と話し、 4月のロンドンマラソンなども視野に入る。
　福士は、世界選手権について｢ラスト 5キロでいける自分がいればいいかなと思います｣と課題を挙げた。｢トラックの女王｣として五輪 3度、世界選手権 4度を経験した30歳が、マラソンランナーとして初の世界舞台を照準に捉えた。その先に16年リオ五輪が待っている。
　福士の走りを日本陸連幹部は高評価した。尾県専務理事は最後の失速に準備不足を指摘しつつ｢名実ともに日本のトップランナーの仲間入りした。世界に近づいた感はある｣と話した。酒井強化副委員長も｢35キロ以降の落ち込みを抑えスピードとスタミナを維持できれば世界と戦える｣。また｢マラソン練習をすることで自然とスピードがついてきた｣という福士の言葉にも着目し｢男女に必要なこと。意識が変わってくれれば｣と“福士流”を評価。武冨女子マラソン長距離部長も｢ペースメーカーが速ければ(派遣設定記録を)突破できたのでは｣と期待した。


　 8位に終わり、一礼する渋井陽子

　福士とともに｢ビッグ２｣として注目された渋井陽子は、 2時間32分41秒で 8位に終わった。
　中盤までは先頭集団についていたが、20キロ過ぎからややペースダウン。25キロ過ぎから後れをとり、徐々に引き離された。｢(20キロ過ぎから)予想外にきつくなりました。あー、やっちゃったって感じ。もうちょっと、もがけるかなと思ったんですが｣と、渋井らしく“完敗”にもハキハキした口調で話した。 5キロの給水では、スペシャルドリンクを取り損ねた福士に、自分のを渡す気配りも見せたが｢あれを後半35キロ過ぎぐらいに見せられれば良かったのにな｣と、早すぎた失速を独特のコメントで表した。


　 2時間32分41秒で 8位に終わった渋井陽子

　盟友の背中が、かすんでゆく。視界を阻む小雪のせいではない。16度目のマラソンとなった渋井の顔が、25キロ付近からゆがむ。福士との差は30キロ地点で絶望の 150メートル。 2時間32分41秒の敗北を｢疲れる前に力がなくなった。これが今の力なら認めるしかない。ゆっくり反省します｣と努めて明るい表情で振り返った。
　初マラソン世界最高記録(当時)を含む 2勝の大阪は、一方で 9、10、 8位と世界挑戦の夢を絶たれた、栄光と辛酸をなめた地。 1年かけて体を絞ったが渡辺監督は｢合宿中も食事を抜くことがあった｣とスタミナ不足を指摘した。｢心から“もういいや”と思ったらスパッとやめる｣と話していた去就について渋井は｢終わったばかりなので考えます｣と言及を避けた。


　 8位に終わりインタビューで苦笑いする渋井陽子

　新勢力の台頭だ。 2度目のマラソン挑戦となる渡辺裕子(25＝エディオン)が 2時間25分56秒で日本人 2番手の 3位でフィニッシュ。昨年11月の横浜国際で日本人トップの 2位だった那須川瑞穂(33＝ユニバーサルエンターテインメント)の 2時間26分42秒を上回り、世界選手権の有力候補に名乗りを上げた。


　バンザイしながら 3位でゴールする渡辺裕子

　初挑戦だった昨年 3月の名古屋でマークした自己記録 2時間29分20秒を大幅更新し｢ここまで走れると思ってなかったんで大満足です｣と満面の笑み。25キロ付近で渋井とともに先頭集団から脱落したが、小崎を逆転して 3位に浮上する粘りが光った。
　｢自分にとって世界は夢。今までの自分からは信じられない。欲張らずに過ごしたい｣と世界選手権代表決定の吉報を静かに待つ構え。｢同期の重友と若手で陸上界を盛り上げたい｣。ロンドン五輪代表の重友梨佐(25)らと切磋琢磨することを誓った。


　先頭でトラックを周回する小崎まり(右端)

　小崎まりがママの底力を見せた。2011年 7月に長男・学叶(がくと)君を出産後、初の本格的なマラソンで25キロまで先頭集団に食らいつき、 2時間26分41秒の 4位でゴール。
　｢ 1カ月ぐらいしかマラソン練習ができなかったから、体が動かなくなった｣とスタミナが切れたものの子育てとの両立で結果を出した。｢世界を目指す人たちを脅かす存在でいたい｣とママさんランナーとして今後も第一線で盛り上げる。

【経過】
　序盤から 5人が先頭集団を形成した。26キロ付近で渋井、渡辺が遅れ始めると、福士がガメラシュミルコと小崎を、徐々に引き離し抜き出た。ペースメーカーが抜けた30キロすぎからは独走態勢に。だが、最後はスピードが落ち、残り 1キロを切った競技場の手前で、地力を見せたガメラシュミルコに逆転された。渡辺は終盤に小崎を抜き、 3位と健闘した。

◆福士加代子(ふくし・かよこ)：1982年(昭57) 3月25日、青森・板柳町生まれ。五所川原工高で陸上を始める。2000年ワコール入社。長距離代表で五輪は 3大会連続出場。5000メートルとハーフマラソンの日本記録保持者。 160センチ、45キロ。血液型Ａ。

◆女子マラソンの世界陸上選考：枠は 5人。
(1) 国内選考レースは昨年８月の北海道、11月の横浜国際、今回の大阪国際、 3月の名古屋ウィメンズ。各大会で派遣設定記録( 2時間23分59秒以内)をクリアした日本人 1位は代表決定。
(2) さらに昨年のベルリン、シカゴ、ニューヨークシティー(中止)と今年のボストン、ロンドンの海外大会で派遣設定記録をクリアすれば代表候補となる。
(1)(2)で満たない場合は(1)の日本人 3位以内から選考。現状では横浜国際、大阪国際ともに日本人トップの２ 2位に入った那須川瑞穂と福士加代子が有力候補になっている。

　｢大阪国際女子マラソン｣が終わって、約 1ヶ月後には2013年大会からワールドマラソンメジャーズに加入し、名実共に世界最高峰のマラソン大会のひとつとなった｢第 7回 東京マラソン2013｣が待っている。そうして、｢大阪国際女子マラソン｣の 1週間後には｢第35回神奈川マラソン｣が待っていて、ついに本格的にマラソンの季節が到来した事を物語っている。
　虎ちゃんは、｢第 7回 東京マラソン2013｣で今年も品川給水所で頑張って給水担当をしながら応援しています。











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