12日阪神甲子園でセクライマックスシリーズ(ＣＳ)ファーストステージ：阪神－広島第 2戦が行われ、両軍得点を挙げられず、規定により延長12回表終了でコールド。阪神がファイナルステージ進出を決めた。
和田豊監督(52)が呉昇桓(オ・スンファン)投手(32)に来日初の 3イニングを託す勝負手を打ち、延長12回表を終了して 0－ 0。規定により引き分けとなり、対戦成績を 1勝 1分けとして球団初のファイナルステージ進出を決めた。15日から同 1位の巨人と対戦する。
就任から 3年。 1年目は 5位。昨年、今年とも 9月に失速し、批判を浴びた。しかし10日に来季 4年目の続投が決定。選手への信頼と｢和田色｣を出し始めた采配で、大きな壁をひとつ破った。Ｇ倒、日本一へ－。栄光の道筋は、確かに和田監督には見えている。
マット・マートン外野手(33)が、 2回にエルドレッドの大飛球を背走し、フェンスにぶつかりそうになりながら大飛球を背走し好捕！ 4打数無安打に終わったが、守備で魅せた。
大和外野手(26)のレーザービームが発動した。無安打でもタイムリーに匹敵する好守だ。大和が絶妙なレーザービーム、いや“波動砲”で、ピンチの芽を摘んだ。
今季はゴールデングラブ賞獲得を目標に、オフは西岡と合同自主トレを行った。開幕からスタメン出場を続けていたが、 7月25日の試合前の守備練習で左脇腹痛を発症。翌26日に出場選手登録を抹消され、タイトルは厳しい状況になった。それでもすぐに鳴尾浜に姿をみせ、と体幹トレーニングを中心にイチから体をいじめ抜いた。 8月19日には 1軍復帰を果たした。
別格の存在感！阪神・西岡剛内野手(30)が、 4度目猛打賞で和田監督も絶賛！全力で 1塁を駆け抜け、激しく手をたたく。タッチプレーひとつでもガッツポーズ！
2回の守備ではビッグプレーを演出した。一死 1塁。小窪の中前打で 3塁を狙った走者・梵を大和が刺した場面。西岡は走者を少しでも油断させようと、捕球体勢をとることをギリギリまで待った。大和の送球に西岡の激しいタッチが加わって、アウト。両手を突き上げて喜ぶと、能見とグータッチを交わした。
マウロ・ゴメス内野手(30)が、マルチ安打！ 4番ゴメスがＣＳファーストステージ突破を喜んだ。
先発能見篤史投手(35)が 8回 5安打無失点の好投を見せた。序盤から丁寧に打たせて取る投球を披露。普段はクールな能見も思わずガッツポーズ。執念の投球で｢０｣を並べた。
引き分け以上で東京行きが決まる一戦でも、持ち前の冷静さを保った。 7回一死満塁の大ピンチでは鈴木誠を 3ゴロ。会沢は内角 142キロ直球で見逃し三振に斬り、グラブを激しく叩いた。ポーカーフェースの男が珍しく感情を爆発。それだけ気合が入っていた。
ヒーローインタビューに代わり、選手会長の上本が試合後、お立ち台へ。虎党に誓いを立てた。ＣＳファイナル進出！価値あるドロー！大和のレーザービームが発動！能見8回0封満塁抑えガッツポーズ！
＜セＣＳファーストステージ：阪神 0－ 0広島＞◇第 2戦◇12日◇甲子園
広島先発大瀬良は 3回まで内野安打 1本のみと快調な立ち上がり。打線は 3回１死 2塁で 1番菊池、 2番丸が凡退し先制を逃した。
広島は阪神能見の前に 6回まで無得点。先発大瀬良も 4回二死 3塁で 5番マートンを打ち取るなど、 6回まで｢０｣を並べる投手戦。
広島は 7回一死満塁の先制機を迎えたが、 7番鈴木誠、 8番会沢が倒れて無得点。投手陣は踏ん張り、 0－ 0のまま延長戦に突入。
両軍得点を挙げられず、規定により延長12回表終了でコールド。阪神がファイナルステージ進出を決めた。
延長12回表が終わった瞬間、 1塁ベンチを飛び出す阪神ナイン。虎がついに第一関門を突破した！
耐えた、しのいだ！
セ・リーグ 2位の阪神は 3位の広島とのＣＳファーストステージをＣＳ史上初の引き分けコールドで突破した。和田豊監督が呉昇桓投手に来日初の 3イニングを託す勝負手を打ち、延長12回表を終了して 0－ 0。規定により引き分けとなり、対戦成績を 1勝 1分けとして球団初のファイナルステージ進出を決めた。15日から同 1位の巨人と対戦する。
ＣＳファイナル進出を決めた阪神ナインはマウンドでハイタッチした
前例のない歓喜のカウントダウンだった。延長12回表、広島の攻撃も二死。得点は 0－ 0でも虎党の｢あと 1球｣コールが甲子園を揺らした。中堅・大和のグラブに白球が収まった瞬間、球団史上 5度目の挑戦で初のファーストステージ突破が決定した。しかもＣＳ史上初の引き分けコールド。試合後、和田監督の後ろのポケットが、こんもりと膨らんでいた。
｢監督になって 1勝目以来だな。(最後を締めた)福原がもってきてくれたんで、ありがたくいただいた｣
2012年 3月31日、ＤｅＮＡ戦(京セラＤ)以来の“ウイニングボール”－。手渡した福原も｢粋｣だ。それほど指揮官の勝利にかける熱い思いはベンチに、ブルペンにと伝染していた。
和田豊監督(右)は福原忍投手にウイニングボールを渡され、この笑顔
｢まだ、いけるか？｣
9回から 2イニングを投げ、ベンチに座った呉昇桓に将が聞いた。守護神は顔色ひとつ変えず、うなずいた。
｢いけます、大丈夫です｣
サムスン時代の昨年、韓国シリーズで 4イニングを投げた経験を持つ男も、日本では未知の領域だった。それでも延長11回も 150キロ超を 3度計時するなど無失点。石直球に魂を宿し、烈火の 3回計36球。能見から継いだ 0封バトンを福原へとつなぎ、｢チームがファイナルに行けてよかった。疲れはない。問題ない｣と胸を張った。
ベンチで握手を交わした和田監督も｢ちょっと無理をさせたが、その意味でもきょうで終わってよかった｣と興奮気味に話した。執念で 2位をたぐり寄せたシーズンラスト 5試合も、すべてに守護神を登板させ、イニングまたぎも 3度。13日に関西へ接近する台風の状況も頭にあったはずだが、敗れればダメージ必至の“禁断の手”で結果をもぎとった。
投球する呉昇桓投手
就任から 3年。 1年目は 5位。昨年、今年とも 9月に失速し、批判を浴びた。しかし10日に来季 4年目の続投が決定。選手への信頼と｢和田色｣を出し始めた采配で、大きな壁をひとつ破った。
試合後、その目は充血していたように映ったが｢いやいや。まだまだ先がある。まだ(涙は)早い｣と首を横に振った。赤ヘル相手に、 2試合21回を無失点。 2日間の得点は両軍合わせて｢１｣という超投手戦に、黄色と赤で染まった聖地のファンもシビれたが、虎将のシビれはこれからだ。15日から東京に乗り込み覇者・巨人に挑む。
｢(巨人に 1勝の)アドバンテージはあるが、我々も先発２枚で乗り切れた。万全でいける。レギュラーシーズンでは本当の意味でファンのみなさんに喜んでもらうことができなかった。もうひと暴れしてきたい｣
Ｇ倒、日本一へ－。栄光の道筋は、確かに和田監督には見えている。
2回、エルドレッドの飛球を好捕したマット・マートン外野手
マット・マートン外野手が、 4打数無安打も守備で魅せた！大飛球を背走し好捕！
マートンは 4打数無安打に終わったが、守備で魅せた。 2回にエルドレッドの大飛球を背走し、フェンスにぶつかりそうになりながら好捕。本職の打撃ではファーストステージの計 2試合で打率 0.125( 8打数 1安打)とふるわないが、セの首位打者(同 0.338)に輝いたバットは、ファイナルステージで爆発させる。
2回表、小窪哲也内野手の中前安打で 1塁走者梵英心内野手が 3塁を狙うも大和外野手の好返球でタッチアウト
大和外野手のレーザービームが発動した。無安打でもタイムリーに匹敵する好守だ。大和が絶妙なレーザービーム、いや“波動砲”で、ピンチの芽を摘んだ。
｢ことし一番(の送球)だったと思います。( 1走の梵さんが)行く気、満々だったので｣
0－ 0で迎えた 2回一死 1塁での中堅守備。 6番小窪の中前打を処理し、エンドランでスタートを切り 3塁を狙った 1塁走者梵を確認すると、ノーバウンドで 3塁西岡のグラブへ矢のようなダイレクトのストライク送球。投げ込んだ。西岡のタッチに、 3塁審判の手が高々と振られた。間一髪のタイミングでアウトにすると、西岡もガッツポーズで喜びを表現した。進塁を許せば一死 1、 3塁の先制機となるところで、好プレーが光った。
大和が“波動砲”を発動！ 2回、好送球でピンチの芽を摘んだ
俊足を刺す、千金の補殺。もしセーフなら一死 1、 3塁の大ピンチで、その後の試合展開も大きく変わっていたはずだ。 0－ 0の結末へ導いた大ファインプレーに、和田監督も、｢あの送球は大きかった。野手陣は集中して、気合も入って、絶対にミスしないという気持ちが出ていた｣と手放しでほめた。
今季はゴールデングラブ賞獲得を目標に、オフは西岡と合同自主トレを行った。開幕からスタメン出場を続けていたが、 7月25日の試合前の守備練習で左脇腹痛を発症。翌26日に出場選手登録を抹消され、タイトルは厳しい状況になった。それでもすぐに鳴尾浜に姿をみせ、｢ 1日でも早く｣と体幹トレーニングを中心にイチから体をいじめ抜いた。新婚の妻・麻理子さんによる栄養や食事のバランスを重視した手料理のサポートもあり、 8月19日には 1軍復帰を果たした。
｢ファイナルでもがんばります｣
巨人とのファイナルステージ(東京Ｄ)へ決意表明した大和。 1点差を争うポストシーズンで、その高い守備力は欠かせない存在だ。
8回に左前打を放ち、猛打賞を決めた西岡剛内野手。ムードメーカーが乗ってきた！
別格の存在感！西岡剛内野手が、 4度目猛打賞で和田監督も絶賛！
全力で 1塁を駆け抜け、激しく手をたたく。タッチプレーひとつでもガッツポーズ！
その姿に、虎党のボルテージも上がった。勝負の一戦。やはり西岡の存在感は、別格だった。
｢投手陣の頑張りだと思うし、本当は点をとって楽にしなければいけなかった。ただ、こういう戦い方がＣＳ。こういう試合が続くと思います｣
前日11日の初戦でスタメン復帰し、 2試合目。やはり 1番は西岡だ、ということを証明した。
1、 6回といずれも先頭で遊撃へ内野安打を放ち、 8回二死では流し打って左前に運んだ。開幕 2戦目の 3月29日(東京Ｄ)以来、ポストシーズンでは 4度目(虎では初)の猛打賞を決めた。
｢(僕が)打たなくてもチームが勝てばいい｣
1つの勝ち負けの重みが、レギュラーシーズンとは比べものにならない短期決戦。ロッテ時代の2010年、 3位から日本一への立役者になった背番号｢７｣はフォア・ザ・チームを強調した。
7回、一死満塁のピンチでゴロをさばきホームで刺した西岡剛内野手
2回の守備ではビッグプレーを演出した。一死 1塁。小窪の中前打で 3塁を狙った走者・梵を大和が刺した場面。西岡は走者を少しでも油断させようと、捕球体勢をとることをギリギリまで待った。｢僕も走者の立場としてやっている。相手にスキがあったのかはわからないですが、どういうプレーでもアウトにできたらなと思っている｣。
大和の送球に西岡の激しいタッチが加わって、アウト。両手を突き上げて喜ぶと、能見とグータッチを交わした。
和田監督は｢(西岡)剛が出ることで、チームもスタンドも盛り上がる｣とうなずいた。次は巨人との決戦。 3月30日の開幕 3戦目、大けがを負った東京ドームへ西岡が向かう。何てドラマチックな男なんだ。
7回、安打を放ったマウロ・ゴメス内野手
マウロ・ゴメス内野手が、マルチ安打！ 4番ゴメスがＣＳファーストステージ突破を喜んだ。チームが初めて味わう歓喜に｢うれしいね｣と笑顔だ。 4回二死から自身ＣＳ初安打となる左翼ファンス直撃の 2塁打を放つなど、 2安打をマーク。｢次もこの調子でしっかり打ちたいよ｣。15日からのファイナルステージ・巨人戦(東京Ｄ)でも大暴れすることを約束した。
力投する先発能見篤史投手。今季は苦しんだエースが、大一番で輝いた
先発能見篤史投手が 8回 5安打無失点の好投を見せた。序盤から丁寧に打たせて取る投球を披露。
正念場は 7回。一死満塁のピンチで 7番鈴木誠を迎え、 3ゴロに打ち取り二アウト。 8番会沢にはカウント 2－ 2からの 5球目を内角いっぱいに決め、見逃し三振で切り抜けた。普段はクールな能見も思わずガッツポーズ。執念の投球で｢０｣を並べた。
ベンチから身を乗り出し、祈るように戦況を見つめた。延長12回。広島の攻撃に｢０｣が刻まれると、能見の笑顔が弾けた。“あのとき”から 1年－。エースが圧巻の 8回 5安打ゼロ封で、虎初のＣＳファーストステージ突破へ導いた。
7回表、阪神の先発能見篤史投手は会沢から三振を奪うとグラブをたたいて気合いの表情を見せた
｢意外にシンプルな気持ちだった。緊張はしたけど、打たれるときは打たれる。抑えられるときは抑えられる。そういうシンプルな気持ちでね｣
引き分け以上で東京行きが決まる一戦でも、持ち前の冷静さを保った。
広島のルーキー大瀬良との白熱の投手戦。｢ 3回ぐらいまでしっくりこなかった。すごく(体重が)前に乗っていない感じがした｣と本調子ではなかったが、 4回以降は｢バランス的なもの｣を修正し、ゼロを重ねた。 7回一死満塁の大ピンチでは鈴木誠を 3ゴロ。会沢は内角 142キロ直球で見逃し三振に斬り、グラブを激しく叩いた。ポーカーフェースの男が珍しく感情を爆発。それだけ気合が入っていた。
昨年のＣＳ。初戦はルーキー藤浪、 2戦目はメッセンジャーで連敗し、 3戦目に控えていた能見は登板機会なく終戦した。なぜエースが初戦ではなかったのか。相性か、奇策か…。ファンのなかでも物議をかもしたが、理由があった。
7回、ピンチを切り抜けグラブを叩く能見篤史投手
チーム関係者は｢相性だけじゃない。投球や体とか全体的な状態も含めて｣と説明したが、実は体のコンディションが万全ではなかったという。そのため登板は 3戦目にずれ込んでいた。本人は｢俺に聞かないで｣と口をつぐんできたが、プロは自己責任の世界。戦力になれなかった悔しさを秘め続けてきた。しかも今季は 3月28日の開幕巨人戦での 5回10失点ＫＯに始まり、自身ワースト｢６連敗｣などレギュラーシーズン９勝１３敗。じくじたる思いをぶつけた。
｢次は、ペナント 1位のジャイアンツとするわけだから、がっぷり四つに組むわけじゃない。こっちは失うものはない。そのぐらいシンプルな方がいい｣
15日からＣＳファイナルステージ(東京Ｄ)で宿敵と激突する。あくまでチャレンジャー精神。輝きを取り戻したエースの面目躍如の期待は、まだまだ残されている。
ヒーローインタビューに代わり、選手会長の上本が試合後、お立ち台へ。虎党に誓いを立てた。｢勝って決めたかったんですが、次もチャンスがあるので精いっぱい頑張りたい。緊迫した試合が続きましたが、何とか次に進めるように頑張ってきました。また甲子園に帰って来れるように頑張ります｣。自身は 5打数無安打。 6回無死 1塁では犠打失敗(投ゴロ)もあっただけに、15日からのＣＳファイナルステージで悔しさをぶつける。
【ＣＳファーストステージ】
3試合制で行われ、勝利数の多い球団がファイナルステージに進出する。延長は12回まで(引き分けの場合、再試合は行わない)。引き分けや、悪天候による中止などで予定試合を消化できずに勝利数が並んだ場合は、レギュラーシーズン上位の球団が勝者となる。セ・リーグはステージの勝ち上がりが確定した時点でコールドゲームとし、12回裏を実施しない(適用はこの試合が初)。パ・リーグは最後まで実施。またパは予告先発を実施、セは実施しない。
【データＢＯＸ】
◎…プレーオフ(ＰＯ)、ＣＳでの引き分け試合は1981年第 2戦(ロッテ－日本ハム、 5－ 5、 9回）、2008年のセ第 2ステージ第 3戦(巨人－中日、 5－ 5、12回)以来 6年ぶり 3度目で、 0－ 0引き分けは初めて。日本シリーズを含めたポストシーズンでの 0－ 0引き分けは1957年日本シリーズ第 4戦(巨人－西鉄、延長10回)以来57年ぶり 2度目。
鯉軍をつり上げた虎軍だが、今度は東京ＤでＧ軍を潰し北海道か大阪に行こう！
大阪ならそのまま自宅から球場へ行くことができるが、北海道へ行くとなると移動が少々大変になってしまう。
しかし、できることなら虎ちゃんの長年の夢だった阪神－北海道日本ハムの試合をして欲しいですね。
ガンバレ！阪神！我らのタイガース！勝利を掴め！
2014年 公式戦勝敗表
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