和田監督｢本当に残念｣大豊氏悼む…元阪神監督・吉田義男氏が、大豊さん死去に｢惜しい人材を…｣

　和田豊監督(52)が19日、中日、阪神で活躍しかつてチームメートだった大豊泰昭氏(満51歳没＝本名：陳大豊(チェン・ダーフォン))の訃報に接し、沈痛のコメントを寄せた。大豊氏が阪神に在籍した1998年から 3シーズン、ともに現役で戦った。中日時代の恩師、星野仙一氏(67＝楽天シニアアドバイザー)が追悼メッセージを送った。
　｢一本足打法｣を伝授したソフトバンク・王貞治球団会長(74)は｢早すぎるご逝去は残念でなりません｣と球団を通じコメントを発表した。記事をまとめてみました。

　和田豊監督が19日、かつてチームメートだった大豊泰昭氏の訃報に接し、沈痛のコメントを寄せた。
　球団広報を通じて｢体を壊していたことは数年前から知っていましたが、急なことで気持ちの整理がつきません。歳も近いですし、一緒に戦った仲間なので本当に残念です。心からご冥福をお祈りします｣と悲しみを隠しきれなかった。大豊氏が阪神に在籍した1998年から 3シーズン、ともに現役で戦った。
　｢一本足打法｣を伝授したソフトバンク・王貞治球団会長は｢早すぎるご逝去は残念でなりません｣と球団を通じコメントを発表した。
　いただきます。ごちそうさま。和田監督は毎晩のように一緒だった。キャンプ地では特にそうだった。口に運ぶ白飯の量に目を丸くした。何時間もかけ、ゆっくりと食事を楽しむ。勝っても負けても、いつも何気ない会話から始まるのに、気がつけば野球談義に熱くなる。それが、大豊さんという男だった。
　和田監督は鳴尾浜を視察後、訃報に接した。球団を通じて｢体を壊していたことは数年前から知っていましたが、急なことで気持ちの整理がつきません｣とコメントを出した。驚き過ぎてなかなか言葉が出てこなかった。


　1999年 5月14日の中日戦でサヨナラ弾を放った大豊秦昭氏(中)に抱きつく現役時代の和田監督(その左)。阪神在籍 3年間は食事も常に一緒だった

　大豊さんは 1学年下。ライバル球団に所属したときから、対戦ごとに雑談はしていたが、本当の意味で心と心が通い合ったのは、ともにタテジマを着ることになった1998年からだった。
　試合中、攻守交代になってベンチに戻ると、すぐに一本足になる。相手投手に合わせて、トントンとタイミングをとる姿が目に焼きついている。当時の野村監督と対立しても腐らず、むしろ、それを力に変えていた。送ってくれた年賀状は、必ず表裏すべて手書きだった。
　見た目はコワモテ。しかし、実は気さくでマジメ。大豊さんの在籍中は 3年連続最下位と勝てなかったが、とにかく野球に対して熱かった。不器用さが誤解を招くこともあったが、和田監督は、真摯な人柄に魅了されていた。
　｢年も近いですし、一緒に戦った仲間なので本当に残念です。心からご冥福をお祈りします｣
　監督に就任してから、一度も連絡はとれなかった。心にポッカリと穴が空いた。盟友に10年ぶりのリーグ優勝をささげ、少しでも埋めていく。


　死去したことがわかった大豊秦昭氏

　中日、阪神で活躍した大豊泰昭さんが18日午後10時41分、名古屋市内の病院で、急性骨髄性白血病のため死去した。51歳だった。一本足打法から量産するアーチでファンを魅了したスラッガーが早すぎる最終打席を迎えた。中日時代の恩師、星野仙一氏が追悼メッセージを送った。
　日本と台湾をホームランという架け橋で結んだアーチスト・大豊さんがこの世を去った。51歳の早すぎる命を奪ったのは急性骨髄性白血病。晩年は病魔との闘いの日々だった。昨年 9月、自身の店｢大豊ちゃん｣のホームページに壮絶な直筆メッセージを残していた。


　大豊泰昭氏は阪神での 3年間で62本のアーチを放った

　｢(略)私大豊泰昭は急性骨髄性白血病と闘って 6年になります。その間、一喜多憂といった心境で毎日を過ごしてまいりました。(中略)大豊の運勢と生命力にかけて、必ず復活します。また逢いましょう｣
　だが、野球人としてファンに愛され、店のオーナーとしてお客さんを魅了した、あの笑顔はもう見ることができない。
　台湾から日本の名古屋商大に留学。中日球団職員として 1年間過ごし、1989年ドラフト 2位で中日入団。台湾の大先輩、王貞治(現ソフトバンク球団会長)を見習った一本足打法でアーチを量産した。巨人と最終戦まで優勝を争った｢10.8｣の1994年には本塁打、打点の 2冠に。


　中日時代の大豊泰昭氏

　世間を驚かせたのは1997年オフのトレード。矢野燿大(当時輝弘)とともに阪神入り。交換要員は久慈照嘉、関川浩一。低迷時の阪神はスラッガーの加入に沸いた。Ｖの使者ともてはやされ、大豊さん自身も大活躍を約束した。
　だが、阪神時代の 3年間はグラウンド上よりも、別の話題で取材されることが。野村克也当時監督との確執。一本足打法が｢理にかなっていない｣と酷評された。職場放棄をしたこともあった。
　1999年 2月28日、西武とのオープン戦では大注目されていた怪物ルーキー、松坂大輔(現ソフトバンク)から一発。プロの貫禄を見せつけた。同年すり足にフォーム改造するなどして26試合連続安打(当時阪神記録)をマークするなど、ある程度は成績を残したものの、指揮官との溝は埋まることなく、チームは在籍 3年間すべて最下位に低迷。さらには毎年のように球団と契約でもめて退団、2001年古巣中日に復帰した。


　阪神時代の大豊泰昭氏(右)(左は今岡誠氏)。バットで暗黒時代の阪神を引っ張った

　ただ、引退後に名古屋市内で開業した店｢大豊飯店｣には中日選手のユニホームに混じって、新庄剛志氏ら阪神在籍選手のグッズもズラリ。一本気な性格でフルスイングした男は、タテジマのチームメートからも愛された存在だった。
　店の多忙と体調面を理由に、自ら中日球団の台湾情報提供の仕事から身をひいたのが数年前。それでも、店を岐阜・海津市に移して以降も、年に 1度は中日球団事務所を訪れるなど、律儀な一面は貫いた。
　関係者によるとアーチを量産したドラム缶のような体は最近では見る影もないほど、やせ細っていたという。最後は壮絶な闘病も及ばず…。それでも、ファンは豪快なアーチと、豪快な笑い声を忘れない。
▽大豊さんをトレードで獲得した元阪神監督・吉田義男氏(81)
　｢まじめな男でした。私が 3度目のタイガース監督に就任した 1年目のシーズンオフ、中日とのトレードで来てくれたんです。 1年目からよく打ってくれました。将来的な野球の日台関係を考えても、惜しい人材でした｣
▽チームメートだった元阪神・藪恵壹氏(46)
　｢名古屋に行くたびに、大豊さんのお店に寄って、昔話をしていました。まさか、こんなことになるとは…。大豊さんが阪神に来られた時は、すごく弱い時期。弱いチームのエースと 4番、みたいな感じでした。大豊さんは 1塁手でしょ。投手に一番近い場所にいるから、ボールが 2球続くとすぐに寄ってきて、何してるんだ、自分の投球をしろ、と激励してくれたことが忘れられません。僕が投げる試合もよく打ってくれました。逆転打、決勝打…。思い出せないぐらいによく打ってくれました｣
▽大豊さんが阪神在籍時、内野守備走塁コーチなどをしていた阪神・平田勝男ヘッドコーチ(55)
　｢打撃だけでなく守備練習もよくしていたなあ。向上心があってひたむきで…。グラブさばきは、結構うまかったんだよ。人間的にもすばらしかった。残念としかいいようがない｣
▽阪神で同僚だった八木裕 2軍打撃コーチ(49)
　｢一緒にプレーもさせてもらいましたし、相手としてもパワーが驚異的でした。野球に対して本当にまじめな方だったと思います。大豊さんはこれからも、日本でも台湾でも野球界に恩返しをしようとしていたと思いますので、突然のことで残念でなりません。心よりお悔やみ申し上げます｣
▽1997年オフに大豊氏との 2対 2のトレードで中日に移籍し、2001、2002年にはチームメートとなった久慈照嘉氏(45)
　｢体調が悪いとはうかがっていましたが、突然で驚いております。遊撃を守っていて『王シフト』じゃないですが、 2塁寄りに深く守ったのは、松井秀喜(当時巨人)と大豊さんの 2人くらいでした｣
◇急性骨髄性白血病
　白血球、赤血球、血小板になる血液細胞が骨髄からつくられる過程でがん化する病気。原因は不明で、症状は疲労、過剰な出血、骨や関節の痛みなど。病気が進行すると感染症を起こすおそれがあり、死に至る可能性も。治療法は主に抗がん剤を使用する化学療法だが、食欲不振などの副作用が出るケースがある。他には骨髄移植などの造血幹細胞移植の療法が行われる。
◇大豊泰昭(たいほう・やすあき)：1963(昭和38)年11月15日生まれ、台湾出身。華興高校から名古屋商科大學、中日の球団職員を経て1989年ドラフト 2位で中日入団。1994年に本塁打王、打点王を獲得しベストナイン( 1塁手)も受賞。1997年オフ矢野輝弘とともにトレードで阪神に移籍。2001年に古巣の中日に復帰し、2002年に引退。引退後は中日のアジア地区担当スカウト兼少年野球指導担当に就任した。 1メートル85。左投げ左打ち。台湾名は陳大豊。

　また良かった選手が一人他界してしまった…お悔やみ申し上げます。


　2015年 オープン戦 日程と結果( 2月)


　2015年 オープン戦・公式戦 日程と結果( 3月)


　2015年 公式戦 日程と結果( 4月)


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