●10日＝日本時間11日リオデジャネイロ・パラリンピック柔道男子 100キロ超級(視覚障害)が行 われ、 2連覇はならなかった。2012年ロンドン大会の金メダリスト、正木健人選手(29＝エイベッ クス)が 3位決定戦で勝利し、銅メダルを獲得した。先天性弱視で中学から柔道を始めた。育英高 (兵庫)では高校総体で 3位になり、名門天理大に進学。2011年 4月に徳島県立盲学校に入学して、 視覚障害者柔道を始めた。身長 190センチの巨体と切れ味鋭い足技などを武器に、初出場のロン ドン大会では金メダルを獲得した。柔道はこの日で日程が終了した。正木選手のほか、男子60キ ロ級の広瀬誠選手(39＝愛知県立名古屋盲学校教)が銀、女子57キロ級の広瀬順子(25＝伊藤忠丸紅 鉄鋼)が銅を獲得した。
● 9日＝日本時間10日リオデジャネイロ・パラリンピック柔道女子57キロ級(視覚障害)が行われ、 柔道の女子57キロ級の広瀬順子選手(25)が柔道女子日本勢初のメダルとなる銅メダルを獲得し、 夫で男子90キロ級の悠(はるか)選手(37＝ともに伊藤忠丸紅鉄鋼)へ｢夫婦でメダル｣の夢をつない だ。｢次は悠さんの番。最高の色のメダルを｣。二人三脚で歩んできた広瀬夫妻の｢柔道人生｣に新 たな歴史が刻まれた。柔道界の仲良し夫婦は境遇が似ている。順子は小 5で柔道を始めた。山口 ・西京高で高校総体に出場。大学 1年の時、膠原(こうげん)病の影響で視力が弱くなり、柔道を やめた。21歳で視覚障害者柔道を始めた。悠も強豪、宇和島東高で高校総体に出場。高 2で緑内 障を発症し、視力が低下。25歳で同競技を始めた。 2人は2013年、米国大会で出会った。代表チ ームのムードメーカーの悠に引かれた順子がプロポーズし、昨年12月に結婚。順子は減量が苦手 の悠のために山道を 1日20キロ伴走したり、炭水化物抜きダイエットにも付き合ったりするなど 二人三脚で歩んできた。柔道女子が採用された2004年アテネ大会以来、日本勢のメダルは初めて。 コーチ役で、男子90キロ級の選手でもある夫の悠選手の後押しを受けて快挙を成し遂げた。男子 73キロ級の北薗新光選手(25＝アルケア)は 3位決定戦でドイツ選手に敗れ、 5位だった。準決勝 で前回 2位のブラジル選手に敗れた後、コーチ役の夫から組み手の指導を受けた。 2人で立て直 して迎えた難敵のスペイン選手との 3位決定戦は｢組んだ瞬間、絶対に負けたくない｣と闘争心に 火が付いた。
● 9日＝日本時間10日リオデジャネイロ・パラリンピック陸上女子走り幅跳び(切断などＴ４４) が行われ、アジア記録保持者の中西麻耶選手(31＝うちのう整形外科)が 5メートル42で 4位、昨 年の世界選手権 3位の高桑早生選手(24＝エイベックス)が 4メートル95で 5位に終わり、ともに 表彰台を逃した。2012年ロンドン大会後、成迫壱コーチ(蒲江翔南中教頭)と二人三脚でトレーニ ングに励み、成長した。昨年の日本選手権では 5メートル51のアジア記録を樹立。しかし、今年 6 月、成迫氏の仕事を理由にコンビを解消。それを機に19歩での跳躍を18歩に変えた。リズムが合 わない時もあり、この日もそうだった。高桑は昨年から同種目の好調を維持していたが、言葉少 なに会場を後にした。 3大会連続出場を果たしたジャンパーは 4年後の東京大会に向け｢もっとし たいことはたくさんある｣と意欲的だった。
● 9日＝日本時間10日リオデジャネイロ・パラリンピックゴールボール女子 1次リーグＣ組が行 われ、ゴールボール女子で連覇を狙う日本が、 1次リーグで地元ブラジルを 2－ 1で下し、今大 会初勝利を挙げた。前半に 1点を先制。後半に同点とされたが、試合終了間際に勝ち越した。完 全アウェーの中、 2得点のエース安達阿記子選手(33＝リーフラス株式会社)は満足げ。主将の 浦田理恵選手(39＝アソウ・ヒューマニーセンター株式会社)は収穫を口にした。 記事をまとめてみました。
＜リオデジャネイロ・パラリンピック：柔道＞◇10日＝日本時間11日◇男子 100キロ超級(視覚障害)
2連覇はならなかった。2012年ロンドン大会の金メダリスト、正木健人選手が 3位決定戦で勝 利し、銅メダルを獲得した。
序盤はイラン選手と組み手が合わない時間が続いた。開始 2分、正木が得意技の払い腰で一本 を決めた。畳から降りると、大粒の涙がこぼれ落ちた。｢正直言って、悔しさしかないです。『メ ダルを取る』と周りに豪語していたのに…。支えてくれた人たちに本当に申し訳ないです｣。言葉 を振り絞るように言った。嬉し涙ではなく、悔し涙だった。
男子 100キロ超級 3位決定戦 正木健人選手は相手を投げ飛ばし一本勝ち＝リオデジャネイロ
先天性弱視で中学から柔道を始めた。育英高(兵庫)では高校総体で 3位になり、名門天理大に 進学。2011年 4月に徳島県立盲学校に入学して、視覚障害者柔道を始めた。身長 190センチの巨 体と切れ味鋭い足技などを武器に、初出場のロンドン大会では金メダルを獲得した。
しかし、ロンドン大会後は故障が続いた。2014年仁川アジア大会で銅メダル、 2度の世界大会 で 2、 3位に終わり、頂点に届かなかった。練習不足で体重は 170キロまで増え、昨年から体幹 トレーニングや食生活を改善して20キロ減量した。｢良い感じで体はできていた。自信はあったけ ど、負けは負け｣と潔く言い｢ 4年後には対戦相手全員に勝って金を取ります｣とリベンジを誓った。 柔道はこの日で日程が終了した。正木選手のほか、男子60キロ級の広瀬誠選手が銀、女子57キ ロ級の広瀬順子が銅を獲得した。
女子57キロ級で獲得した銅メダルを手に、笑顔の広瀬順子選手＝リオデジャネイロ
＜リオデジャネイロ・パラリンピック第 3日：柔道＞◇ 9日＝日本時間10日◇女子57キロ級(視覚障害)
柔道の女子57キロ級の広瀬順子選手が柔道女子日本勢初のメダルとなる銅メダルを獲得し、夫 で男子90キロ級の悠選手へ｢夫婦でメダル｣の夢をつないだ。｢次は悠さんの番。最高の色のメダル を｣。二人三脚で歩んできた広瀬夫妻の｢柔道人生｣に新たな歴史が刻まれた。
柔道で笑わない順子が笑った。 3位決定戦でスペイン選手の足を攻め続けた。｢足から！！ 足 から！！｣。スタンドから悠の声が響く。指示通りに足を崩して、大外刈りから有効を奪い、最後 は得意の一本背負いで決めた。順子は｢自分の柔道ができた。メダルは自信になる。(やめた柔道を) もう 1度、始めて良かった｣と白い歯を見せた。
柔道界の仲良し夫婦は境遇が似ている。順子は小 5で柔道を始めた。山口・西京高で高校総体 に出場。大学 1年の時、膠原(こうげん)病の影響で視力が弱くなり、柔道をやめた。21歳で視覚 障害者柔道を始めた。悠も強豪、宇和島東高で高校総体に出場。高 2で緑内障を発症し、視力が 低下。25歳で同競技を始めた。
銅メダルの広瀬順子選手は夫・悠(はるか)選手と笑顔で記念撮影＝リオデジャネイロ
2人は2013年、米国大会で出会った。代表チームのムードメーカーの悠に引かれた順子がプロ ポーズし、昨年12月に結婚。順子は減量が苦手の悠のために山道を 1日20キロ伴走したり、炭水 化物抜きダイエットにも付き合ったりするなど二人三脚で歩んできた。｢結婚して生活はもちろん、 柔道が楽しくなったし、練習にも身が入るようになった。そして、間違いなく強くなった。今、 ここ(リオ)にいるのも悠さんのおかげ｣と順子は言う。毎日、体重93キロの悠と組み合う中で自 然と筋力がついた。苦手だった寝技と足技も悠から習得し、克服した。
近年は活躍が目覚ましい女子柔道でも視覚障害者となると競技人口は少ない。初採用されたア テネ大会に日本から出たのは 1人だけ。今も女子トップ選手は十数人という。女子代表の井上監 督は｢歴史の扉を開けた。これも東京五輪・パラリンピック効果だろう｣と感慨深げだった。
翌日に試合を控えていた夫を思い、順子は｢次は悠さんの番。最高の色のメダルを｣と願った。 2 人の夢は｢夫婦でメダル｣。今後も愛媛を拠点に厳しい稽古を重ねる。｢夫と一緒に修業を積み、も っと強くなりたい｣と金メダルへの夢を描いた。
銅メダルを獲得した広瀬順子選手(右)は、夫の悠選手と喜びを分かち合った＝リオデジャネイロ
柔道女子５７キロ級の広瀬順子選手が 3位決定戦でスペイン選手を破り、銅メダルに輝いた。 柔道女子が採用された2004年アテネ大会以来、日本勢のメダルは初めて。コーチ役で、男子90キ ロ級の選手でもある夫の悠選手の後押しを受けて快挙を成し遂げた。男子73キロ級の北薗新光選 手は 3位決定戦でドイツ選手に敗れ、 5位だった。
攻めの姿勢で扉をこじ開けた。柔道女子57キロ級で25歳の広瀬順が日本女子初のメダルをつか んだ。昨年12月に結婚した90キロ級代表の夫、悠と二人三脚で力をつけた新妻は響き渡る日本コ ールに輝く笑顔で応えた。
｢本当にうれしい。自然と体が動き、自分らしい柔道ができた｣
女子57キロ級で銅メダルを獲得し、夫で男子90キロ級の悠選手(左)と笑顔で話す広瀬順子選手 ＝リオデジャネイロ
準決勝で前回 2位のブラジル選手に敗れた後、コーチ役の夫から組み手の指導を受けた。 2人 で立て直して迎えた難敵のスペイン選手との 3位決定戦は｢組んだ瞬間、絶対に負けたくない｣と 闘争心に火が付いた。
開始12秒、大外刈りで有効を奪うと勢いに乗った。得意の一本背負い投げで技ありを奪い、最 後は横四方固めで抑え込んで一本勝ちした。
もともとはパワー不足で寝技が弱点だった。しかし夫との特訓で強化に励み｢ 1年前は 1回しか できなかった懸垂が今は20回できる｣と胸を張る。
山口・西京高時代にインターハイ出場経験もあるが、大学進学後に膠原病の影響で弱視となっ た。一時は競技を断念したが｢(視覚障害の)ゴールボールの選手がきらきら輝いているのを知って 自分ももう一回、何かに一生懸命になりたい｣と視覚障害者による柔道で再挑戦を決意した。
女子57キロ級で銅メダルを獲得し、夫で男子90キロ級の悠選手(左)と写真に納まる広瀬順子選手 ＝リオデジャネイロ
女子が初採用された2004年アテネ大会から日本勢は表彰台に立てていなかった。快挙を果たし ｢もう一度、柔道を始めてよかったな｣と喜びをかみしめた。
4年後の東京大会へ、｢東京では金メダルを目指すと堂々と言えるぐらい力を付けて挑みたい｣ と向上心をのぞかせた。
★抱き合って喜び分かち合う
広瀬順の夫で、男子90キロ級代表の悠は、メダリストとなった妻を抱きしめた。メダルを手に して、｢重たいな｣。妻から｢(振ると)音がするんだって｣と言われると｢あ、ほんとや｣。昨年12月 に結婚。二人三脚で歩み、心技体を磨いてきた。おしどり夫婦はメダルの喜びを分かち合った。
◆広瀬順子(ひろせ・じゅんこ)
1990年(平 2)10月12日、山口市生まれ。少女漫画｢あわせて 1本！｣に憧れ、小 5で柔道を始める。 西京高では高校総体に出場。大学 1年の時、膠原病の影響で視力が弱くなる。2012年、視覚障害 者柔道を始める。2014年アジアパラ大会で 2位、同年の世界選手権 5位。昨年12月、悠と結婚。 尊敬する選手は松本薫。得意技は背負い投げ。 158センチ、55キロ。
＜リオデジャネイロ・パラリンピック：陸上＞◇ 9日＝日本時間10日◇女子走り幅跳び(切断などＴ４４)
陸上の女子走り幅跳び(切断などＴ４４)は、アジア記録保持者の中西麻耶選手が 5メートル42 で 4位、昨年の世界選手権 3位の高桑早生選手が 4メートル95で 5位に終わり、ともに表彰台を 逃した。
中西は跳躍の度に踏み切り板を確認し、納得していない表情を見せた。 6本目の跳躍が最高で メダル圏内の｢ 5メートル50の壁｣を越えることができなかった。｢ 3本目の助走を崩したのが敗因。 そこからの修正力がなかった｣。
中西麻耶選手はコンクリートの壁に腰を掛けて臨時コーチについた山本コーチ(丸写真)のアド バイスを受ける＝リオデジャネイロ
2012年ロンドン大会後、成迫壱コーチと二人三脚でトレーニングに励み、成長した。昨年の日 本選手権では 5メートル51のアジア記録を樹立。しかし、今年 6月、成迫氏の仕事を理由にコン ビを解消。それを機に19歩での跳躍を18歩に変えた。リズムが合わない時もあり、この日もそう だった。｢調子は良かったけど(コーチがいないため歩数を調整する)決断ができなかった。 4年後 に向けて(コーチ含めた)周りの環境を整えて、 6メートルを目指したい｣と話した。
高桑は昨年から同種目の好調を維持していたが｢ここ一番のところで結果が出せず、今の力はこ こまでなんだと思う｣と、言葉少なに会場を後にした。
3大会連続出場の中西麻耶選手は女子走り幅跳びで 4位に終わった＝リオデジャネイロ
女子走り幅跳び(切断などＴ４４)の中西麻耶選手は 4位に終わった。｢修正力がなかった｣。前 回のロンドン大会前に活動資金を得るためにセミヌードカレンダーを製作して話題を呼んだが、 バッシングも起こり、一時は引退も決意。活動拠点を地元の大分に移して復活を果たした。 3大 会連続出場を果たしたジャンパーは 4年後の東京大会に向け｢もっとしたいことはたくさんある｣ と意欲的だった。
★陸上のクラス分け
公平性を保つため障害の種類、程度で種目は細分化されている。陸上の場合、 1視角障害、 2 知的障害、 3脳性まひ、 4切断など(立位)、５切断など(車いす)に分けられている。また障害の 程度は 0から 9まであり、数字が小さいほど重度。例えば｢Ｔ１１｣は｢Ｔ｣がトラック種目で、種 類を示す十の位の｢１｣は視覚障害を表し、小さいほど重度の一の位の｢１｣は全盲などとなる。
＜リオデジャネイロ・パラリンピック：ゴールボール＞◇ 9日＝日本時間10日◇女子 1次リーグＣ組
ゴールボール女子で連覇を狙う日本が、 1次リーグで地元ブラジルを 2－ 1で下し、今大会初 勝利を挙げた。前半に 1点を先制。後半に同点とされたが、試合終了間際に勝ち越した。
完全アウェーの中、 2得点のエース安達は｢狙ったようにはまって得点できた｣と満足げ。主将 の浦田は｢ブラジルはすごくいいバウンドボールを投げてくるので、抑えられたのは、ある程度の 手応えは感じている｣と収穫を口にした。
日本－ブラジル 後半、決勝ゴールを決め喜ぶ(左から)安達阿記子選手、浦田理恵選手、若杉遙選手 ＝リオデジャネイロ
ゴールボールはバレーボールと同じ広さのコートで、 1チーム 3人の視覚障害者が目隠しし、 ボールに入った鈴の音を頼りにゴールを攻め、守る競技。前回覇者の日本女子は 1次リーグで 地元ブラジルを 2－ 1で下し、今大会初勝利を挙げた。 2得点で勝利の立役者となったエース 安達選手は｢狙ったようにはまって得点できた｣と満足そうに振り返った。
生まれながらにして身体が悪く障碍者になった人、虎ちゃんみたいに途中から何らかの原因で 身体が悪くなり障碍者になった人、選手にはそれぞれ様々な理由が有るが、健常者の人同様にス ポーツはできる。これからも、日本のメダルが増えるように応援しましょう。
