●ヤクルトは 1回二死満塁から中村が押し出しの四球を選び、先制。投げては先発山中が 3回まで 2安打無失点に抑える。阪神は 6回に糸井の内野適時安打で同点、さらに鳥谷の中前適時打で勝ち越した。ヤクルト先発山中は 6回 2失点で降板した。阪神は 8回に代打中谷の 2点適時打などで点差を広げ、そのまま逃げ切った。先発岩貞は「2勝」目。ヤクルトは連勝が「3」で止まった。ヤクルト山中は「3敗」目。阪神が大胆なオーダー変更でヤクルトに打ち勝った。変則右腕の山中対策で、先発岩貞を含め、左打者を 7人もそろえた。金本監督が起用した左打者 6人がヒットを記録。前夜はブキャナンの前に打線は沈黙したが、勢いを取り戻した。
●嫌~な負け方から一夜明け。金本知憲監督(49)が動いた。 1番に「1塁」では 2年ぶりスタメンとなる荒木郁也内野手(29)を据え、「遊撃」にはドラフト 5位・糸原健斗内野手(24=JX-ENEOS)が入って 7番に。 1番から 9番までに 7人の左が並ぶ“超変革”下手投げ対策打線。そして勝利をもぎ取った。試合前。報道陣に「きょうの 1番は誰だと思う? 難しいぞ」とニヤリ。試合後。その男を褒めた。 6回に左前打を放ち、相手守備の乱れを見逃さずに 2塁へ。逆転劇の突破口を開いた走塁が将の琴線に触れた。ずっと控えの戦士を抜てきしたらキラリと光る活躍。監督冥利だ。その一方で反省を求めたのは糸原。山中用に特別な打線を組みながら 2点しか奪えなかった原因の 1つとして挙げたのは 2回の攻め。一死 2、 3塁で相手は前進守備を敷かなかった。が、糸原は最悪の 2飛。とはいえ、穏やかならざる胸中を癒やしてくれるのが白星。ことしの“恒例行事”になりつつある。
●鳥谷敬内野手(35)が勝ち越し適時打を放った。 6回、糸井の内野安打で同点とし、なおも二死 1、 2塁。虎の天敵・ヤクルト先発山中のスライダーをしぶとく中前に運んだ。 2塁走者上本が生還し、貴重なタイムリーとなった。 1- 1の 6回二死 1、 2塁で山中のスライダーをコンパクトにはじき返し、中前適時打。 2塁手・山田のグラブの下をしぶとく抜けていっただけに笑顔をみせた。 8回一死 1、 3塁での 1ゴロも糸井の好走塁が相手の野選を誘い、計 2打点。開幕から好調だった打撃は 4月下旬から下降線をたどり、同30日の中日戦(甲子園)ではスタメン落ちも経験したが、ここから再浮上したいところだ。
●糸井嘉男外野手(35)が 1点リードの 8回、 3走として鳥谷の 1ゴロでホームを陥れ、貴重な 1点を加えた。 6回にも同点の適時内野安打。右膝に不安を抱えながら激走する超人に導かれ、首位広島をピタリ「2ゲーム差」で追う。ふさぐなら迷いなく突き刺す。恐れなどこの男にあるワケがない。あり得ない“ブロック”も、糸井の前では木っ端みじんだ。土煙とともに弾き飛ばし、球審の両手が広がる。思わず声が出て、捕手をにらみつけた。火が出るような超人の突入から、虎が爆勝だ。昨季「53盗塁」の脚と、ストライク返球との競走。次の瞬間…糸井と、捕手の中村が激しく交錯した。足を引きずるようにベンチへ戻った糸井を、金本監督は直後の守備から下げたが、試合後の本人はしっかりとした足取り。「あの 1点は大事だったと思います」とうなずいた。もちろん一歩間違えれば大けがとあって、指揮官は“抗議”。もっとも 4審判で協議後、「警告なし」と決めた球審の柳田浩一審判(50)にとっても難しい判断だった。試合後は何度も映像を見返したという。それほど新ルール適用下では珍しいプレーだった。けがをも恐れぬ勇気で虎を救い、燕を突き放した超人。中盤までの 0- 1という重い展開を打破したのも糸井の激走だった。 6回無死 1、 3塁。 1塁手前へ高いバウンドのゴロを放ち、適時内野安打に。全力疾走から噴き出す熱気で、ナインに火をつけていた。 1安打 1打点 2激走。終盤のヤクルトの追撃も振り払い、今季最多タイの貯金「4」。首位広島との「2」差を守った。相手を吹っ飛ばした糸井の覚悟と決死の思いが、虎を今まさに変えている。
●福留孝介外野手(40)がバットでチームを勝利に導いた。快音とともに、白球が左中間に飛んでいった。ダイビングキャッチを試みた中堅手・坂口も届かない。殴り殴られ、また殴りかえした。試合を決めたのは前夜に雪辱を誓った 4番・福留だった。 9回無死 1塁。ヤクルト原樹の甘く入ったスライダーを逃さなかった。左中間へ伸び、フェンスまで到達。 1塁走者の途中出場から 2塁内野安打を放った大和が快足を飛ばして生還。福留は悠々 2塁に到達だ。 8回に 1点差まで追い上げられていただけに、価値あるタイムリーとなった。前日は 4打席とも走者を置いた場面だったが、いずれも凡打し、ブレーキになっていた。この日は一転。今季 2度目の 4安打で打線を引っ張った。 4月26日に40歳を迎えたばかりだが、頼れる「4番」として存在感を見せた。さらに福留の打席の直前では、江越大賀外野手(24)がスリーバント失敗。それらの“暗雲”を吹き飛ばして、勝利を決定づけた。 4月21日の巨人戦(東京ドーム)以来、今季 2度目の 4安打。汚名返上してお釣りがくる活躍に金本監督も「大きかった」と目を細めた。まさに、不惑の姿。頼りになる40歳の主砲だ。
●岩貞祐太投手(25)が 6回 1失点で、勝ち投手の権利を持ってマウンドを下りた。初回にいきなり押し出し四球を出す嫌な展開。それでも尻上がりにリズムを取り戻し、 6回を投げ切った。雨天中止などの影響で18日中日戦以来となる中14日での先発マウンド。しっかりと役目を果たした。周囲をハラハラさせたが、自身の心は最後まで折れなかった。立ち上がりから苦しんでも、弱気は封印。岩貞が粘って粘って、 6回 1失点。試合のなかで高い修正能力を発揮し、今季「2勝」目をゲットした。 1回に二死満塁から中村に押し出し四球を与えるなど、 2回までに52球と苦しんだが、最少失点でしのぎ、そこから立ち直った。直球に得意のスライダーを効果的に織り交ぜ、 4、 5、 6回は三者凡退。リズムを作った。序盤の内容を見たら、 6回 106球は上出来だ。同門対決に燃えていた。相手の山中は地元熊本の必由館高校の先輩。昨季、投げ合った 2試合は 1勝 1敗。31歳の先輩の胸を借りて“必由館シリーズ”を勝ち越し25歳の後輩は笑った。中14日という機会を有効に使い、一度負荷を下げ、メリハリをつけたトレーニングを導入。この日の一戦で生かせたことは、長いシーズンを戦う上で大きな収穫になったはずだ。終盤は乱打戦になったが、岩貞の粘りがなければ、この日の勝利はない。10勝を挙げた昨季も好不調の波の大きさが課題だった左腕。調子が悪くても抑える術を磨き、さらに上を目指す。記事をまとめてみました。
<ヤクルト 4- 8阪神>◇ 3日◇明治神宮球場
ヤクルトは 1回二死満塁から中村が押し出しの四球を選び、先制。投げては先発山中が 3回まで 2安打無失点に抑える。
阪神は 6回に糸井の内野適時安打で同点、さらに鳥谷の中前適時打で勝ち越した。ヤクルト先発山中は 6回 2失点で降板した。
阪神は 8回に代打中谷の 2点適時打などで点差を広げ、そのまま逃げ切った。先発岩貞は「2勝」目。ヤクルトは連勝が「3」で止まった。
ヤクルト山中は「3敗」目。
先発で登板し力投した岩貞祐太投手=明治神宮球場
阪神が大胆なオーダー変更でヤクルトに打ち勝った。
変則右腕の山中対策で、先発岩貞を含め、左打者を 7人もそろえた。 6回には今季初スタメンの荒木が俊足を生かし、逆転劇を演出。「とにかく塁に出ることを考えた。点につながってよかった」。金本監督が起用した左打者 6人がヒットを記録。前夜はブキャナンの前に打線は沈黙したが、勢いを取り戻した。
山中浩史投手対策で、大きく打線を入れ替えた金本知憲監督=明治神宮球場
嫌~な負け方から一夜明け。金本監督が動いた。 1番に「1塁」では 2年ぶりスタメンとなる荒木を据え、「遊撃」にはドラフト 5位・糸原健斗内野手が入って 7番に。 1番から 9番までに 7人の左が並ぶ“超変革”下手投げ対策打線。そして勝利をもぎ取った。
試合前。報道陣に「きょうの 1番は誰だと思う? 難しいぞ」とニヤリ。試合後。その男を褒めた。 6回に左前打を放ち、相手守備の乱れを見逃さずに 2塁へ。逆転劇の突破口を開いた走塁が将の琴線に触れた。
「よく目でみれたというかね。バレンティンのアレ(打球処理)をね。自分の目でみるというのがね。打った後も目を離さないというのがね。そういう小さいプレーが生きてくるんだから」
ずっと控えの戦士を抜てきしたらキラリと光る活躍。監督冥利だ。
スタメンに左打者が 7人も並んだ=明治神宮球場
その一方で反省を求めたのは糸原。山中用に特別な打線を組みながら 2点しか奪えなかった原因の 1つとして挙げたのは 2回の攻め。一死 2、 3塁で相手は前進守備を敷かなかった。が、糸原は最悪の 2飛。
「糸原が遊ゴロか 2ゴロを狙ってゴロ 1つ打っておけば。 1点をあげるって(相手は)言っているんだから。それでフライを打ち上げるというのはやっぱ…」
よほど悔しかったのだろう。糸原への注文は続いた。
「追い込まれたら 2ゴロという感じでいいんだから。若いカウントではあそこらへんにヒットを打ちにいく、というね。それぐらい…。いくらルーキーでも社会人で経験を積んでいるわけですから。取れるところで取れなかったというのがね」
6回表阪神無死、左前打を放ち、左翼手バレンティン外野手が失策をする間に 2塁へすべり込む荒木郁也内野手=明治神宮球場
とはいえ、穏やかならざる胸中を癒やしてくれるのが白星。「ま、勝った気がしませんね。疲れました、きょうは」。そう言って笑う姿が、ことしの“恒例行事”になりつつある。
◇データBOX◇
◎…阪神は今季ナイター明けのデーゲームはここまで 4戦 4敗で、 5試合目でようやく勝った。
◎…荒木のスタメン出場は昨年 9月19日の巨人戦(甲子園)での「2番・2塁」以来。 1塁は2015年 6月13日のオリックス戦(京セラ、 9番)以来で、 1番は2014年 5月 9日の巨人戦(甲子園、 2塁)以来。また山中にはこれで通算13打数 4安打(打率 0.308)。
◎…糸原のスタメンは 4月16日の広島戦(甲子園)以来、 4度目。
◎…高山の 5番は、昨年 6月 5日の西武戦(甲子園)以来。昨季は 2試合で 7打数 2安打(打率 0.286)、 2打点。
6回にしぶとく勝ち越し打を放った鳥谷敬内野手=明治神宮球場
鳥谷敬内野手が勝ち越し適時打を放った。 6回、糸井の内野安打で同点とし、なおも二死 1、 2塁。虎の天敵・ヤクルト先発山中のスライダーをしぶとく中前に運んだ。 2塁走者上本が生還し、貴重なタイムリーとなった。「抜けてくれてよかったです。ラッキーでした」と振り返った。
6回表阪神二死 1、 2塁、勝ち越し適時打を放った鳥谷敬内野手=明治神宮球場
決勝点をたたき出したのは 6番・鳥谷だ。 1- 1の 6回二死 1、 2塁で山中のスライダーをコンパクトにはじき返し、中前適時打。 2塁手・山田のグラブの下をしぶとく抜けていっただけに「抜けてくれてよかったです。ラッキーでした」と笑顔をみせた。
4月14日の広島戦(甲子園)以来、自身15試合ぶりの打点。チームとして苦手としている山中に対しては、これで通算33打数10安打(打率 0.303)、 2本塁打、 6打点と好相性だ。
8回一死 1、 3塁での 1ゴロも糸井の好走塁が相手の野選を誘い、計 2打点。開幕から好調だった打撃は 4月下旬から下降線をたどり、同30日の中日戦(甲子園)ではスタメン落ちも経験したが、ここから再浮上したいところだ。
6回 適時内野安打を放った糸井嘉男外野手=明治神宮球場
決死の突入! 気合の生還!! 阪神はヤクルトに 8- 4で勝利。糸井嘉男外野手が 1点リードの 8回、 3走として鳥谷の 1ゴロでホームを陥れ、貴重な 1点を加えた。 6回にも同点の適時内野安打。右膝に不安を抱えながら激走する超人に導かれ、首位広島をピタリ「2ゲーム差」で追う。
ふさぐなら迷いなく突き刺す。恐れなどこの男にあるワケがない。あり得ない“ブロック”も、糸井の前では木っ端みじんだ。土煙とともに弾き飛ばし、球審の両手が広がる。思わず声が出て、捕手をにらみつけた。火が出るような超人の突入から、虎が爆勝だ。
「もう、勝ってよかった。(ねじ込んだ右膝は)チョー痛い!」
バスまでの長い道中、ホッとしたような笑顔がこぼれた。 2- 1の 8回一死 1、 3塁。 3走として、鳥谷の 1ゴロに迷わずスタートを切った。昨季「53盗塁」の脚と、ストライク返球との競走。次の瞬間…糸井と、捕手の中村が激しく交錯した。
6回、適時内野安打を放った糸井嘉男外野手=明治神宮球場
「コリジョン(衝突)ルール」にも関わらず、中村の左足が走路をふさいでいた。糸井は差し出した右足を刺し込むしかない。右膝は 2月の沖縄・宜野座キャンプで終始別メニューとなった要因の関節炎を患った箇所。だが、そんなことは言っていられなかった。真っ向からぶつかり、野選で貴重な貴重な追加点だ。
足を引きずるようにベンチへ戻った糸井を、金本監督は「足がちょっとね…。いけるみたいだけど、大事をとって」と直後の守備から下げたが、試合後の本人はしっかりとした足取り。「あの 1点は大事だったと思います」とうなずいた。
もちろん一歩間違えれば大けがとあって、指揮官は「あれは(審判が捕手へ)警告の判断をして欲しかった。捕球動作に入る流れという疑いがあったみたいだけど、 1塁から(の送球)なんで、絶対にありえない」と“抗議”。もっとも 4審判で協議後、「警告なし」と決めた球審の柳田浩一審判にとっても難しい判断だった。
8回、鬼気迫る表情でホームに突入した糸井嘉男外野手。中村悠平捕手(左)の足をはじき飛ばした=明治神宮球場
「ブロックはしていないが、走路に足があったことが問題。糸井選手のスライディングに弾かれて膝が落ちて、ブロックしたような形になった。(過去に似たケースは)なかった。難しい。警告を取るためにリプレー検証をするわけにもいかない。我々も反省して次へ生かします」と神妙に話した。試合後は何度も映像を見返したという。それほど新ルール適用下では珍しいプレーだった。
けがをも恐れぬ勇気で虎を救い、燕を突き放した超人。中盤までの 0- 1という重い展開を打破したのも糸井の激走だった。 6回無死 1、 3塁。 1塁手前へ高いバウンドのゴロを放ち、適時内野安打に。「どんな当たりでも同点打になってうれしい」。全力疾走から噴き出す熱気で、ナインに火をつけていた。
1安打 1打点 2激走。終盤のヤクルトの追撃も振り払い、今季最多タイの貯金「4」。首位広島との「2」差を守った。相手を吹っ飛ばした糸井の覚悟と決死の思いが、虎を今まさに変えている。
8回 福留孝介外野手の安打で 3塁へ進む糸井嘉男外野手=明治神宮球場
★コリジョンルール
本塁突入による危険な衝突(コリジョン)を回避するため、昨季から導入。ボールを持たない捕手が本塁をブロックすることが禁止され、ホームベースを空けておかなければならない。コリジョンルールに伴い、昨季から本塁でのクロスプレーにもリプレー検証が導入された。
◇データBOX◇
◎…阪神は今季最多タイの貯金「4」。貯金「5」は昨季からここまで 5度、失敗しており、 4日が 6度目の挑戦。
◎…糸井はこの日も得点圏で 1打数 1安打 1打点。今季は得点圏で22打数11安打(打率 0.500)、 1本塁打、17打点。
◎…パ・リーグ時代から神宮と好相性の糸井。これで通算17試合、打率 0.385(65打数25安打)、 3本塁打、 9打点。
福留孝介外野手がバットでチームを勝利に導いた。
9回無死 1塁。ヤクルト原樹の甘く入ったスライダーを逃さなかった。左中間へ伸び、フェンスまで到達。 1塁走者の大和を生還させた。「昨日チャンスで僕自身打ててなくて、チームに迷惑かけてたんで。まあその前に、江越がミスあったんですけど、なんとか取り返してやろうと思って、それだけで入りました」。 8回に 1点差まで追い上げられていただけに、価値あるタイムリーとなった。
前日は 4打席とも走者を置いた場面だったが、いずれも凡打し、ブレーキになっていた。この日は一転。今季 2度目の 4安打で打線を引っ張った。「毎日、試合がある。次の日、次の日と思ってやっている」。 4月26日に40歳を迎えたばかりだが、頼れる「4番」として存在感を見せた。
9回表阪神一死 1塁、適時 2塁打を放った福留孝介外野手=明治神宮球場
快音とともに、白球が左中間に飛んでいった。ダイビングキャッチを試みた中堅手・坂口も届かない。殴り殴られ、また殴りかえした。試合を決めたのは前夜に雪辱を誓った 4番・福留だった。 「とりあえず、勝ててほっとしています」
5- 4。リードを 1点に縮められた直後の 9回一死 1塁だった。 1ボールから 2球目、原樹のスライダーを見逃さなかった。途中出場から 2塁内野安打を放った大和が快足を飛ばして生還。福留は悠々 2塁に到達だ。
4点リードの 8回にマテオが自らのお手玉(失策)ありの 3失点と大崩れ。さらに福留の打席の直前では、江越がスリーバント失敗。それらの“暗雲”を吹き飛ばして、勝利を決定づけた。
「昨日はチャンスで僕自身打ててなかったので、その前に江越のミスがあったんですけど、取り返してやろうと思って、それだけで打席に入りました」
9回に貴重な適時 2塁打を放った福留孝介外野手。嫌な流れだっただけに、大きかった=明治神宮球場
ファンに、チームに恩返しがしたい。その一心だった。前日 2日は 4打席すべて走者をおいた状況で凡退。「きょうは俺のせい」と唇をかみながら帰りのバスへと歩を進めた。この日は 2回先頭で日本通算1600安打となる右前打を放つと、 4回先頭、 8回無死 1塁でも右前打をかっ飛ばし、 4月21日の巨人戦(東京ドーム)以来、今季 2度目の 4安打。汚名返上してお釣りがくる活躍に金本監督も「大きかった」と目を細めた。
新緑の 5月。阪神園芸関係者によると、甲子園は昨年10月頃に巻いた冬芝が最も元気になる時期だという。「芝が密集してきましたね」といつも気づくのが福留。「エアレーション(芝生に穴を開けて、新しい土壌を作る作業)しました?」などと専門用語を使って確認するという。「孝介は本当に詳しい。さすが」と関係者。自らのプレーに細心の注意をはらい、勉強する。今も引き出しを増やし続けているからこそ大舞台にも強いわけだ。
「 1日 1本ずつ打てれば、いいんですけど。ぜいたくは言えないですね。また明日もいいプレーができるように頑張ります」
まさに、不惑の姿。頼りになる40歳の主砲だ。
2回、安打を放った福留孝介外野手=明治神宮球場
★福留孝介外野手、汚名返上VTR
1- 4で敗れた前日のヤクルト戦は 3回一死満塁で併殺打に倒れるなど 4タコ。「それだけの打順で打たせてもらっているんだから、責任がある」と自身を責めた。ただ、その後に活躍するのが福留。雨天中止となった 4月11日のDeNA戦(横浜)の練習後に「やっぱり俺がもう少し打てば点がとれる」と発言すれば、翌12日に先制 2塁打。20日の中日戦(ナゴヤドーム)で 4打数無安打に終わると、翌21日からの巨人 3連戦(東京ドーム)では 3試合連続先制打を放った。
◇データBOX◇
◎…福留が 4月21日の巨人戦(東京ドーム)以来、今季 2度目の 1試合 4安打。日本通算では中日時代を含めて15度目。猛打賞( 3安打以上)は今季 3度目。
◎… 1試合13安打は、 3月31日の広島との開幕戦(マツダ)で16安打して以来。 2桁安打は 5試合ぶりで今季 8度目。
力投した阪神先発の岩貞祐太投手=明治神宮球場
岩貞祐太投手が 6回 1失点で、勝ち投手の権利を持ってマウンドを下りた。
初回にいきなり押し出し四球を出す嫌な展開。それでも尻上がりにリズムを取り戻し、 6回を投げ切った。「良く言えば粘れたと言えるかもしれませんが、悪く言えばなんとかゲームを作れたというレベルの投球でした。チームに流れを呼び込めるような、力で押したり変化球でかわしたりするようなメリハリのある投球がしたかったのですができませんでした。また、立ち上がりにランナーを出してしまい、球数が多くなってしまったことも反省です」と振り返った。
雨天中止などの影響で18日中日戦以来となる中14日での先発マウンド。しっかりと役目を果たした。
尻上がりに調子を上げた岩貞祐太投手。フォームに躍動感も出て来た=明治神宮球場
周囲をハラハラさせたが、自身の心は最後まで折れなかった。立ち上がりから苦しんでも、弱気は封印。岩貞が粘って粘って、 6回 1失点。試合のなかで高い修正能力を発揮し、今季「2勝」目をゲットした。
「長いイニングは投げられなかったが、キャッチャーがうまくリードしてくれました。軸になる球をお互いに、わかり合っていたので」
雨天中止の影響で 4月18日の中日戦(ナゴヤドーム)以来、中14日となったマウンド。 1回に二死満塁から中村に押し出し四球を与えるなど、 2回までに52球と苦しんだが、最少失点でしのぎ、そこから立ち直った。直球に得意のスライダーを効果的に織り交ぜ、 4、 5、 6回は三者凡退。リズムを作った。
降板直後の広報コメントで「良く言えば粘れたと言えるかもしれませんが、悪く言えば何とかゲームを作れたというレベルの投球」と反省も、序盤の内容を見たら、 6回 106球は上出来だ。
先発としてマウンドにあがった岩貞祐太投手=明治神宮球場
同門対決に燃えていた。相手の山中は地元熊本の必由館高の先輩。昨季、投げ合った 2試合は 1勝 1敗。31歳の先輩の胸を借りて“必由館シリーズ”を勝ち越し「勝ててよかったです」と25歳の後輩は笑った。
新たな調整法も奏功した。今年 2月の沖縄・宜野座キャンプ中から熱心にウエートに取り組み、強靱な肉体作りに精を出したが、今季 3試合を投げ終えたところで、蓄積疲労によってコンディション不良に陥る事態となっていたという。だが、ただでは転ばない。中14日という機会を有効に使い、一度負荷を下げ、メリハリをつけたトレーニングを導入。この日の一戦で生かせたことは、長いシーズンを戦う上で大きな収穫になったはずだ。
「背伸びするわけではなく、自分の投球を心がけようと思っていました」
終盤は乱打戦になったが、岩貞の粘りがなければ、この日の勝利はない。10勝を挙げた昨季も好不調の波の大きさが課題だった左腕。調子が悪くても抑える術を磨き、さらに上を目指す。
◇データBOX◇
◎…岩貞は今季、ヤクルト戦初登板。昨季は 4試合で 2勝 1敗、防御率0.96と好相性だった。
今シーズンは、全員野球でファン皆が待ち望む「二文字」に向かって、全員で力を合わせて進め! ガンバレ!阪神!我らのタイガース!勝利を掴め!
2017年 公式戦 順位表
2017年 公式戦 日程と結果(05月)
2017年 公式戦 日程と結果(05月)
◇公式戦全試合実況速報 公式戦全試合をテキスト速報!タイガース迂遠実況で応援気分を盛り上げます。ほかにも対戦中の選手の成績が」一目で分かる「観戦モード」も必見!
◇現場からお届け!トラ番LIVEニュース 主催試合時は、現場から直接ニュースを配信! タイガース情報をどこよりもはやく、そうして細やかに。「生」の情報もお届けします!!
どんな相手にも立ち向かう。どんな局面でも己の限界にトライする。
その精神を全員が強く持ち、タイガースが変革し続ける一年にしたい。
そうした強い思いをスローガンとして表現しています。
※このスローガン・デザインは、2017年のシーズンロゴとしても展開して参ります。