1回裏ソフトバンク一死 3塁、内川聖一外野手の右犠飛で生還した柳田悠岐外野手を迎える工藤公康監督=福岡ヤフオクドーム
「レギュラーシーズン1位」のソフトバンクが、「2連敗からの3連勝」で「同3位」の楽天を下し、 2年ぶりの日本シリーズ進出を決めた。
試合後、会見に臨んだ工藤公康監督は、第 1戦からの「2連敗」からの逆転優勝に「正直、これはやばいなという雰囲気もあったんですけど、そういうのは表に出して言うまいと思っていましたし、何かできることはないかと思って。円陣に入って『バカになって野球をやろう』と声をかけた。みんな元気にやってくれたと思います」と明かした。
日本シリーズに向けて「とにかく日本一になるぞ、と昨年の負けからこの 1年間強い思いをもってやってきた。みんなでひとつになって戦っていきたいと思います」と話した。
本多雄一内野手と今宮健太内野手から、たる酒をかけられる工藤公康監督=福岡ヤフオクドーム
パ・リーグ王者のソフトバンクは「同3位」の楽天を 7- 0で下して「2連敗から3連勝」を飾り、リーグ優勝による「1勝」のアドバンテージを加えて「4勝2敗」で、 2年ぶりの日本シリーズ進出を決めた。右脇腹痛から復帰し「1番・中堅」で先発出場した柳田悠岐外野手が、 4回に適時打を放つなど「4打数2安打1打点」で勝利に貢献した。28日に開幕する「日本シリーズ」では、広島とDeNAが争っているセ・リーグCSファイナルステージの勝者と対戦する。
メンバー発表のどよめきは期待の歓声、歓喜へと膨らんだ。金色の紙テープを顔に張って大喜びの起爆剤は、右脇腹痛で出場が不可能とみられていた柳田だ。役者がそろったソフトバンクが 2年ぶりの日本シリーズ進出を決めた。
1回、「適時2塁打」を打ち喜ぶソフトバンク・松田宣浩内野手
「ここまでチームのみなさんが持ってきてくれた。感謝の気持ちでやりました」
駆けつけ出動は「1番・中堅」だ。 1回先頭で、どん詰まりの打球が 2塁ベース付近にポトリ。泥臭い遊撃内野安打でチームを勢いづけた。送りバントで 2進後、美馬の投球がワンバウンドした隙(記録は暴投)をついて 3塁へ。「それが一番よかった」。「一挙3点」を先制する起点になり、 4回二死 2塁で右前適時打も放った。
「思ったより普通でした。感覚のズレは予想よりなかったです」
「1番」で起用した柳田悠岐外野手が「2安打1打点」と活躍した=福岡ヤフオクドーム
実戦は負傷した 9月20日の北海道日本ハム戦(札幌ドーム)以来のぶっつけ本番だった。工藤監督からの電話は前日21日。「いけるか」と問われた。試合後に合流を指示された。先発起用も伝えられ、本音は「絶対に無理やと思った」。しかし、この日の練習後に正式に決定。「打てなくてもともと」と開き直った。
リーグ優勝に続く 2度目の胴上げ。「7度」舞った工藤監督は「よく盛り返してくれた。死に物狂いでやってくれた」とナインに頭を下げた。パのCSで初戦を落として突破した例はなく、「確率0%」から逆襲だ。連敗で迎えた第3戦に大幅な打順変更で流れを変えた将は、この日も決断。「私だけではない。達川ヘッドはじめ、打撃コーチ、守備コーチと話して決めた」。 2日前にフリー打撃を再開して「無理。足を引っ張る」と話した男の強攻出場。「結果は問わない。こっちが責任を取る」と、直接ハッパをかけて見事に復活させた。
1回、生還し笑顔を見せるソフトバンク・柳田悠岐外野手=福岡ヤフオクドーム
「日本一しか考えていません。絶対に勝てるように『100%』以上の力を出して頑張ります」
ファンの前で誓った 2年ぶりの日本一へ。最強メンバーをそろえ、次が最後のステージだ。
★復活の裏には…
“神の手”で復活した。柳田は、出場が絶望的だったCS直前に福岡市内のある治療院を訪ね、右脇腹痛が急速に回復したという。武田の紹介で、過去に松田や城所も通ったこの治療院は、強い刺激ではなく、ソフトタッチの施術が特徴だという。16日から 4日連続で通い、20日にフリー打撃を開始。「日本シリーズはもっといいコンディションにしたい。神の手に触ってもらってケアします」と笑顔で話した。
4回、適時打を放ち指を立てるソフトバンク・柳田悠岐外野手=福岡ヤフオクドーム
☆柳田の負傷の経過
★ 9月20日:日本ハム戦でファウルを打った際、右脇腹を痛める
★ 同 21日:「右腹斜筋損傷・肋間筋損傷」と診断され、登録抹消
★ 同 27日:リハビリ組に合流
★ 同 28日:追加の検査を受け「右第10肋軟骨損傷」と診断される
★10月16日:チームはCSファイナルに向けて練習を開始。工藤監督は「(柳田の復帰は)難しそうだな」
★ 同 20日:ファーム施設でフリー打撃を再開。49スイングで「6本のサク越え」を放つも、「まだまだという感じ」
日本シリーズ進出を祝うソフトバンク・柳田悠岐外野手=福岡ヤフオクドーム
◇データBOX◇
◎…ソフトバンクが、2015年以来 2年ぶり「17度目の日本シリーズ出場」を決めた。「日本シリーズ進出」をかけたプレーオフ、CSの突破は 5度目で、セ・パ両リーグで北海道日本ハムの「6度」に次いで「2番目」に多い。
◎…工藤監督は、指揮官として2015年以来「2度目の日本シリーズ出場」。ソフトバンク(前身時代を含む)を日本シリーズに導いた監督は「5人」いるが、複数年の出場は鶴岡(山本)一人、王貞治、秋山幸二に次いで「4人目(単年は野村克也)」。
1回、適時打を放ち喜ぶソフトバンク・松田宣浩内野手=福岡ヤフオクドーム
ソフトバンクの松田が 3安打 4打点をマークした。 1- 0の 1回に「右翼フェンス直撃の2点2塁打」を放つと、 4回には左中間フェンスを越える「2ラン」。「自分のスイングで振れた」と納得すると、 8回も右前へ運んだ。
第 2戦までは 6打数無安打だったが、 3戦目から「3戦連続で安打」をマーク。チームのムードメーカーは「ホームランも 1本打てたし、きょうは 3安打で良かった」と勢いに乗って「日本シリーズ」に臨む。
1回に中犠飛を放った内川聖一外野手。CS全5試合で打点をあげた=福岡ヤフオクドーム
「レギュラーシーズン1位」のソフトバンクが、「2連敗からの3連勝」で同「3位」の楽天を下し、 2年ぶりの日本シリーズ進出を決めた。
初回に 5試合連続打点となる決勝の先制犠飛を放った内川聖一外野手が最優秀選手に選ばれ、賞金 100万円をゲットした。第 1戦から第 4戦まではポストシーズンの同一シリーズ史上初の「4試合連続本塁打。18打数7安打」の大活躍だった。
1回、犠飛を放ったソフトバンク・内川聖一外野手=福岡ヤフオクドーム
「レギュラーシーズン1位」のソフトバンクが、「2連敗からの3連勝」で同「3位」の楽天を下し、 2年ぶりの日本シリーズ進出を決めた。
自身3度目のCS・MVPに選ばれた内川聖一外野手は「今回はレギュラーシーズン中に、ケガでチームにいることができない期間が長かったので、こうやってリーグ優勝してくれて、もう 1度日本一になるチャンスをいただいたと思っています。結果でみなさんに恩返ししたいという思いがあった。トレーナーさんや病院の方、みなさんのおかげでここにいられる。みなさんのおかげでとらせてもらえたMVPだと思います。流れが良くないときには何とか流れを変えてやろうと思って打ちましたし、先制点を取ることで勢いが出ると思った。みんなに乗せられて打たせてもらった。初戦負けた時点で「(突破確率)0パーセント」だというのがどこを見ても書いてあったので、変えるしかないと思ってやっていました。その一員としてホークスに入れたことを誇りに思います。今日はまだひとつ段階を上がっただけだと思っていますので、日本一に向かって、日本シリーズも頑張りたいと思います」と話した。
内川聖一外野手=福岡ヤフオクドーム
パ・リーグ王者のソフトバンクが同「3位」の楽天を投打で圧倒した。 1回に内川聖一外野手の犠飛などで 3点を先制。 4回に 3点、 8回にも 1点と着実に加点した。投げては武田翔太投手が 7回を 5安打無失点。その後は 3投手のリレーで零封した。ファイナルステージで「4試合連続本塁打」を放ち、 5試合すべてで打点をあげた内川が、 2年ぶり 3度目の最優秀選手(MVP)に選ばれた。
仲間の手で 5度宙に舞い、ようやく心の底から笑えた。ソフトバンク・内川は、工藤監督に続いて胴上げされた。「4番・主将」として最後まで主役を張るV犠飛。問答無用で「CS3度目のMVP」に輝いた。
お父さん犬を抱えながら胴上げされる内川聖一外野手=福岡ヤフオクドーム
「初戦に負けて(CS突破確率)ゼロ%と言われた。変えるしかない、と思った。そのホークスの一員でいられたことを誇りに思います」
1回だ。故障からスタメンに電撃復帰した柳田の遊撃内野安打からつくった一死 1、 3塁の好機を逃さない。先発・美馬の低めの速球をとらえた打球は左中間へ。中堅手のグラブに飛球が収まったものの、距離は十分だった。「 1点とれば、勢いに乗る」。貴重な先制点をもたらし、押せ押せムードを生んだ。
「今回はレギュラーシーズン中にけがでチームにいない期間が長かった。みんながリーグ優勝して、日本一になるチャンスをつくってくれた。結果で恩返ししたかった」
日本シリーズ進出を決めて胴上げされる内川聖一外野手=福岡ヤフオクドーム
左手親指を骨折し、大事な8、9月に離脱した。優勝を争うチームを2軍でリハビリしながら、眺めることしかできなかった。その悔しさを晴らす短期決戦での働き。第 1戦から、同一シリーズでは史上初の「4試合連続アーチ」を描き、「5戦連続打点」を挙げた。「打率0.389(18打数7安打)」も残し、自身「CS6度目」の出場で「3度目のMVP」だ。連敗スタートの重苦しい空気を払拭するなど“CS男”ぶりを発揮した。
「去年、負けたときから日本一を目指してやってきた。ひとつ段階が終わっただけ。日本一に向かってやっていきたい」
見据えているのは2年ぶりの頂点のみ。強い、強い鷹軍団の中心には、頼もしい内川がいる。
場内一周で笑顔を見せるソフトバンク・内川聖一外野手=福岡ヤフオクドーム
◇データBOX◇
◎…ソフトバンク・内川が 1回に勝利打点となる犠飛。プレーオフ、CSで同一ステージ 5試合連続打点は、1977年プレーオフ第 1-第 4戦のロッテ・リーの 4試合連続を40年ぶりに更新するプロ野球記録。通算23打点はパ・リーグ記録で、西武、中日で24打点の和田一浩のプロ野球記録にあと「1」とした。
◎…武田-岩崎-森-サファテが完封リレー。ソフトバンクの無失点勝利は2010年ファイナルステージ第 3戦(ホールトン-森福-摂津-馬原の継投で○ 1- 0)以来「7年ぶり2度目」。
1回、楽天・銀次内野手の打球に反応するソフトバンク・武田翔太投手=福岡ヤフオクドーム
ソフトバンクの武田が 7回 5安打無失点と好投し、過去「0勝3敗」だったCSで初勝利を挙げた。日本シリーズに導く白星に「全力でいけるところまでいこうと思った」と一息ついた。
緊張したという立ち上がりに安打と四球で二死 1、 2塁のピンチを招いた。ここで島内を遊ゴロに仕留めると、 2回以降はテンポ良く投げ、 3塁を踏ませなかった。今季は右肩の不調もあって「6勝止まり」だったが、「開き直った」と目の前の打者に集中し、好結果につなげた。
力投する武田翔太投手。 7回を 5安打で零封した=福岡ヤフオクドーム
仲間が王手をかけて巡ってきた先発マウンドでソフトバンク・武田が躍動した。自身ここまでCSは 4度経験して「0勝3敗」だったが、この日は楽天打線を寄せつけなかった。
「自分の投球をすることだけを考えて投げた。野手のみなさんが効率よく点を取ってくれたので、リズム良く投げることができた」
1回にいきなり二死 1、 2塁のピンチを迎えた。「立ち上がりは久しぶりにあがって、投げ方が分からなくなった」という。しかし、島内を遊ゴロに打ち取ると、 2回先頭から「4者連続三振」を奪うなど立て直し、 7回を「5安打無失点」。しっかりと試合をつくり、救援陣にバトンを託した。
4回、追加点に笑顔を見せるソフトバンク・武田翔太投手=福岡ヤフオクドーム
2015、2016年と「2桁勝利」を続けてきた右腕は今季、 4月中旬に右肩痛を発症。 2軍で調整して 6月下旬に復帰したが、最終的に「6勝(4敗)」と喜べる成績ではなかった。それでも大舞台を託された。「勝つことだけを考えてやりたい」という意気込みで臨み、勝負強さを見せつけた。
「日本シリーズ」にも大きな弾みがついた。「プレッシャーを感じるだろうし、緊張もすると思うが、期待に応えたい」。野手は柳田が復帰し、投手は武田が復調。頼もしいピースがそろった。
日本シリーズ出場を決めナインと抱き合うデニス・サファテ投手(中央左)、松田宣浩内野手(中央右)ら=福岡ヤフオクドーム
「レギュラーシーズン1位」のソフトバンクが、「2連敗からの3連勝」で同「3位」の楽天を下し、 2年ぶりの日本シリーズ進出を決めた。
リーグ優勝に続いての胴上げ投手となったデニス・サファテ投手は「これ以上にないものですし、あそこに立って、みんなが集まってくる笑顔とかを見ると、キャンプからやってきたことがものになったと。言葉では表せない思いです。最初の 2戦終わって、どうしたんだというのはあったと思いますけど、いつも通りやれば結果は付いてくると思っていました。すごい仲間たちだなと常に思っていますし、日本シリーズでも今回と同じ結果が出せるように頑張りたい。昨日は娘の誕生日、今日は結婚記念日ということで、そういう日に勝利できたことはうれしい。家族には毎日サポートしてもらっている。家族の支えがなければこうやって野球はできないと思っている。まだ相手がどこになるかはわかりませんが、楽しみにしている。もう 1度チャンピオンになりたいので、そこを目指して頑張りたい」と話した。
全員野球でファン皆が待ち望む「三文字」に向かって、全員で力を合わせて進め! ガンバレ!勝利を掴め!
2017年 公式戦 順位表
2017年 公式戦 日程と結果(10月)
2017年クライマックスシリーズ 日程
どんな相手にも立ち向かう。どんな局面でも己の限界にトライする。
その精神を全員が強く持ち、タイガースが変革し続ける一年にしたい。
そうした強い思いをスローガンとして表現しています。
※このスローガン・デザインは、2017年のシーズンロゴとしても展開して参ります。