●ソフトバンク先発の高橋礼投手(23=専修大學OB)、巨人先発のクリストファー・クリソストモ・メルセデス(登録名=C.C.メルセデス)投手(25)ともに、 3回までパーフェクトに抑える最高の滑り出しをみせた。ソフトバンクは 5回、松田宣浩内野手(36)の初安打などで二死 1、 2塁の好機にも無得点。先発高橋礼は 6回まで無安打無得点を続けた。ソフトバンクは 7回、松田宣が「3ラン」。 8回にも柳田悠岐外野手(31)、福田秀平外野手(30)の本塁打で加点し連勝した。巨人は 9回に反撃したが遅かった。ソフトバンク高橋礼が「1勝」、巨人大竹寛投手(36)は「1敗」。今年のポストシーズンはCSの 1S<2>戦から「8連勝」となり、シリーズは昨年<3>戦から「6連勝」。同一年の「ポストシーズン8連勝」は75年阪急の「7連勝」を抜く新記録で、「シリーズ6連勝以上」は14年<2>戦~15年<2>戦ソフトバンク以来「7度」目。「6連勝以上」を 2度記録したのはソフトバンクが初めてだ。今回のように本拠地で連勝のケースも過去20度のうち「15度優勝」で「V確率75%」だが、ソフトバンクの本拠地連勝発進は59、03、15、17年と過去すべて「日本一」。普段通りの工藤野球で第 2戦も勝ちきった。
●第1戦を逆転勝ちしたソフトバンクは、松田宣の「3ラン」などで制して連勝発進した。通算成績はソフトバンクの「2勝0敗」となった。ソフトバンク高橋礼、巨人メルセデスの両先発がヒットを 1本ずつしか許さない力投で、両チームとも中盤まで糸口をつかめなかった。試合が動いたのは 7回。巨人は「2番手」に大竹をマウンドに送り込んだが、ソフトバンク先頭のアルフレド・デスパイネ外野手(33)の 3ゴロが山本泰寛内野手(26)の失策を誘うなどで無死 1、 3塁とした。ここで松田宣のバックスクリーンへ飛び込む「先制3ラン」で均衡を破った。さらに 8回には柳田のソロと福田の「2ラン」で突き放した。 9回に 3点を返されたが、後続を断って勝利した。敗れた巨人は 9回に 3点を返したが、反撃が遅かった。巨人の敗戦でセ・リーグは13年第 7戦巨人から続く敵地での「連敗17」となった。21日の移動日を挟んで第 3戦から巨人の本拠地東京ドームに場所を移して戦う。
●ソフトバンクが「SMBC日本シリーズ2019」第 2戦で巨人に連勝。ヤフオクドームでの日本シリーズ連勝記録を「14」に伸ばした。令和のサブマリン・高橋礼投手が 7回を 1安打無失点と好投し、シリーズ初先発で初勝利。巨人メルセデスとの投手戦で一歩も譲らず、終盤の打線爆発を呼び込んだ。 5回までは完全投球だった。高橋礼が下手から巨人打線を手玉に取った。 6回、先頭若林晃弘内野手(26)に死球を与え、一死 2塁のピンチを背負ったが、重信慎之介外野手(26)を 2塁ベースすぐ横の遊直に打ち取り、 2塁走者が戻れず併殺。岡本和真内野手(23)にこの試合唯一の安打を許した 7回二死 1、 3塁では阿部慎之助内野手(40)に「内角へ力強く投げる」と内角直球で勝負し 3ゴロに仕留めた。中継ぎで 1軍を経験した昨季、12試合、30回で終えた。「新人王」資格の「30イニング以内」を首脳陣が考慮したのかと思われた。資格が残ったことで、高橋礼は中継ぎのルーキー甲斐野央投手(22=東洋大学)(65試合2勝5敗8セーブ26ホールド)との熾烈(しれつ)な「新人王争い」を演じた。偶然が重なり高橋礼は、チームの先発の柱に成長した。「侍ジャパン」にも選出されたサブマリンが、多くの野球ファンが注目する中で、その力を思う存分に発揮した。
●またもや「7回の周東」だ。周東佑京内野手(23)が「SMBC日本シリーズ2019」第 1戦に続き、第 2戦も 7回に代走で登場。武器の足で巨人バッテリーに重圧をかけ、松田宣浩内野手の「決勝3ラン」につなげた。 2戦連続で代走で 1得点をマークし、チームの「2連勝」に貢献。球界屈指の韋駄天(いだてん)が、今シリーズのキーマンとなりそうだ。「日本の足」が超投手戦の均衡を破った。 0- 0で迎えた 7回無死 1塁。周東の名前がアナウンスされると、代走とは思えない大歓声がヤフオクドームを包んだ。「代走周東」のコールが総攻撃の大号令になりつつある。 5回二死まで両チーム 1人も走者が出ない、息詰まる展開。 7回、一気に試合が動いた。先頭デスパイネの痛烈なゴロを巨人山本がファンブル。工藤監督は迷うこともなく、切り札を 1塁に送り込んだ。前日の第 1戦で大きなダメ押しのホームを踏んだのも、この日と同じ7回だった。 1点の重みが増すポストシーズン。侍が認めた「7回の足」が光り輝いている。
●「熱男」が冷えた打線にカツを入れた。 0- 0で迎えた 7回裏。ソフトバンク松田宣浩内野手が大きな 1発を放った。敵失と安打でつくった無死 1、 3塁。巨人「2番手」大竹のカウント 2- 0からの 3球目。 142キロのシュートをバックスクリーンに運び去った。均衡を破る「1号3ラン」だ。千金のアーチを放ってみせた。この日は中盤まで巨人先発メルセデスにパーフェクトに抑え込まれていたホークス打線だったが、 5回二死からチーム初ヒットを放ったもの松田宣だった。 3塁に快足周東がいる状況で、犠牲フライや暴投で何が何でも 1点取るつもりだった。だから低めを 2球見極め、打者有利のカウントをつくることができた。あとは思いきりいくだけ。バックスクリーンに突き刺さる先制で「決勝の3ラン」。ファン待望の「熱男!」がヤフオクドームに割れんばかりに響き渡った。頭にいいイメージをすり込むことで、場数の少なさをカバーしている。 8回には左飛で本塁打と勘違いして頭をかくシーンもあったが、松田宣らしい明るさが出てきた証拠だ。熱男は元気に明るく頂点を目指す。
●柳田悠岐外野手が今「日本シリーズ1号」を放った。 3点リードの 8回に左翼テラス席へダメ押しの「ソロ本塁打」。 9回に反撃されたため、結果的に大きな1発になり喜んだ。レギュラーシーズンはけがで38試合の出場にとどまっただけに感謝を口にする。「3連覇」への意気込みは人一倍。
●高橋礼投手があと 7人のところで「ノーヒットノーラン」を逃した。 7回二死 1塁で巨人岡本に左前安打を許した。 130キロ台のストレートにスライダー、シンカーを織り交ぜ 5回まで完全投球。 6回無死、変化球が引っかかり「7番」若林へ死球を与えて初めての走者を出したが、一死 2塁で「9番」重信の打球は遊直、飛び出していた 2塁走者も帰塁できず併殺打。 7回には岡本の初安打で二死 1、 3塁とされたが阿部を 3ゴロに抑えた。その裏に松田宣の「3ラン」で「勝ち投手の権利」を得た。1950年から始まった「日本シリーズ」ではこれまで「ノーヒットノーラン達成者」はゼロ。07年に中日山井大介投手(42)が 8イニングまでに完全試合ペースで抑え、最終回に登板した岩瀬仁紀投手(44=現・野球解説者、野球評論家)が 3人で締めくくって継投で完全試合を達成したことがある。今季は千賀滉大投手(26)に次ぐ「チーム2位」の「12勝」と飛躍した。日本野球機構(NPB)が試合時間短縮への貢献を表彰する「スピードアップ賞」に輝いた両先発の“時短王対決”に、サブマリンは宣言通り、小気味いい投球で勝利を引き寄せた。
記事をまとめてみました。
SMBC日本シリーズ2019<福岡ソフトバンク 6- 3巨人>◇第 2回戦◇福岡ソフトバンク 2勝 0敗 0分◇20日◇ヤフオク!ドーム
ソフトバンク先発の高橋礼、巨人先発のメルセデスともに、 3回までパーフェクトに抑える最高の滑り出しをみせた。
ソフトバンクは 5回、松田宣の初安打などで二死 1、 2塁の好機にも無得点。先発高橋礼は 6回まで無安打無得点を続けた。
ソフトバンクは 7回、松田宣が「3ラン」。 8回にも柳田、福田の本塁打で加点し連勝した。巨人は 9回に反撃したが遅かった。ソフトバンク高橋礼が「1勝」、巨人大竹は「1敗」。
8回裏ソフトバンク一死、柳田悠岐外野手は左越え本塁打を放ち、ポーズを決めて 3塁を回る=ヤフオク!ドーム
ソフトバンクが「2連勝」。今年のポストシーズンはCSの 1S<2>戦から「8連勝」となり、シリーズは昨年<3>戦から「6連勝」。同一年の「ポストシーズン8連勝」は75年阪急の「7連勝」を抜く新記録で、「シリーズ6連勝以上」は14年<2>戦~15年<2>戦ソフトバンク以来「7度」目。
「6連勝以上」を 2度記録したのはソフトバンクが初めてだ。△○○を含む連勝スタートは過去36度のうち27度優勝し、V確率は「75%」。今回のように本拠地で連勝のケースも過去20度のうち「15度優勝」で「V確率75%」だが、ソフトバンクの本拠地連勝発進は59、03、15、17年と過去すべて「日本一」。
巨人に「2連勝」しハイタッチをかわすソフトバンクナイン=ヤフオク!ドーム
ソフトバンクはシーズン同様に、本拠地で若手が早出で打ち込みを行った。第 1戦で代走出場し、左翼にも入った 2年目の周東は「早く 1回出たかったので、よかったです」と笑顔。前夜が「日本シリーズ初出場」で「お客さんの雰囲気とか違いました、すごかったです」と興奮気味に振り返った。野手は「3番手捕手」の栗原以外が出場機会を得た。森ヘッドコーチが「一度出ることで落ち着くこともある」と語るなど、普段通りの工藤野球で第 2戦も勝ちきった。
第1戦を逆転勝ちしたソフトバンクは、松田宣の「3ラン」などで制して連勝発進した。通算成績はソフトバンクの「2勝0敗」となった。
ソフトバンク高橋礼、巨人メルセデスの両先発がヒットを 1本ずつしか許さない力投で、両チームとも中盤まで糸口をつかめなかった。
7回裏ソフトバンク無死 1、 3塁、松田宣浩内野手は中越えに「先制3点本塁打」を放った=ヤフオク!ドーム
試合が動いたのは 7回。巨人は「2番手」に大竹をマウンドに送り込んだが、ソフトバンク先頭のデスパイネの 3ゴロが山本の失策を誘うなどで無死 1、 3塁とした。ここで松田宣のバックスクリーンへ飛び込む「先制3ラン」で均衡を破った。さらに 8回には柳田のソロと福田の「2ラン」で突き放した。 9回に 3点を返されたが、後続を断って勝利した。
敗れた巨人は 9回に 3点を返したが、反撃が遅かった。先発の高橋礼が「1勝」、大竹「1敗」。
連勝スタートは(引き分け含む)は過去36度のうち「27度優勝」。確率にすると「75%」で「日本一」を成し遂げている。巨人の敗戦でセ・リーグは13年第 7戦巨人から続く敵地での「連敗17」となった。21日の移動日を挟んで第 3戦から巨人の本拠地東京ドームに場所を移して戦う。
7回裏ソフトバンク無死 1、 3塁、「中越え3点本塁打」を放った松田宣浩内野手を迎える工藤公康監督=ヤフオク!ドーム
▽ソフトバンク工藤公康監督
「点を取ってこちらのペースで運ぶことができていいゲームだったと思います。(高橋礼は)レギュラーシーズン以上の集中力とコントロールがあった。 1戦 1戦戦ってその日を勝利をしっかり取るんだと強い思いを持って、東京ドームに行っても勝つために最大限できることをみんな頑張っていきたい」
▽ソフトバンク松田宣浩内野手
「心臓バクバクで打席に入りました。しっかり自分のスイングして自分らしい打球を飛ばそうと思っていたので、ものすごくいい打球を打つことができました。舞台は東京ドームに変わりますがホークスらしい元気はつらつとした野球をしたい」
ソフトバンクが「SMBC日本シリーズ2019」第 2戦で巨人に連勝。ヤフオクドームでの日本シリーズ連勝記録を「14」に伸ばした。令和のサブマリン・高橋礼投手が 7回を 1安打無失点と好投し、シリーズ初先発で初勝利。巨人メルセデスとの投手戦で一歩も譲らず、終盤の打線爆発を呼び込んだ。
◇ ◇ ◇
5回までは完全投球だった。高橋礼が下手から巨人打線を手玉に取った。「楽しむということがすごくできた。直球も変化球もしっかりと腕を振って投げることができた」。 6回、先頭若林に死球を与え、一死 2塁のピンチを背負ったが、重信を 2塁ベースすぐ横の遊直に打ち取り、 2塁走者が戻れず併殺。岡本にこの試合唯一の安打を許した 7回二死 1、 3塁では阿部に「内角へ力強く投げる」と内角直球で勝負し 3ゴロに仕留めた。
今季、NPBから「スピードアップ賞」に選ばれた。平均投球間隔(無走者時)10秒 0はパ・リーグで最短。同じく 9秒 2の巨人メルセデスとのテンポのよい投手戦だった。「相手のテンポに乗ったところもあるが、自分もテンポを武器にここまで戦ってきたので」と、テンポにこだわり投げ続け、 7回の松田宣の「3ラン」で勝ち投手となった。
巨人打線を相手に力投する高橋礼投手=ヤフオク!ドーム
「CSファーストS」では 3戦目だったが、「日本シリーズ」では 2戦目を任せられた。工藤監督は「シーズンで頑張ってきたので」と起用理由を明かした。 2年目の今季は「開幕ローテーション5、6番目」の立場から「チーム2位」の「12勝」を挙げ「6敗と6つの貯金」をつくった。「新人王」という言葉が高橋礼を成長させた。中継ぎで 1軍を経験した昨季、12試合、30回で終えた。「新人王」資格の「30イニング以内」を首脳陣が考慮したのかと思われたが、倉野投手コーチは「まったくの偶然で、そこまで考えていなかった」と明かす。資格が残ったことで、高橋礼は中継ぎのルーキー甲斐野(65試合2勝5敗8セーブ26ホールド)との熾烈(しれつ)な「新人王争い」を演じた。高橋礼は「『新人王』というものが、モチベーションになったのは確か」と話す。偶然が重なり高橋礼は、チームの先発の柱に成長した。「こういう大きな舞台でアンダースローからこういうボールが投げられるんだということを見せられたことはすごくよかった」。「侍ジャパン」にも選出されたサブマリンが、多くの野球ファンが注目する中で、その力を思う存分に発揮した。
6回表巨人二死、重信慎之介外野手の打球を好捕した今宮健太内野手とタッチを交わす高橋礼投手=ヤフオク!ドーム
▽ソフトバンク工藤公康監督(高橋礼投手の好投に)
「大記録をやるかもしれないと思って見ていた。リズムがよく制球もよかった。今年の集大成と言ってもいい投球を、この大舞台でしてくれた。相手に的を絞らせない本当にパーフェクトな投球だった」
巨人に連勝しソフトバンク高橋礼投手(右から 2人目)は森唯斗投手から勝利球を渡され笑顔を見せる=ヤフオク!ドーム
▼高橋礼が 7回二死まで無安打に抑え、「シリーズ初勝利」。先発投手の初回からの無安打は07年第 5戦山井(中日)の 8回が記録で、高橋礼の 6回 2/3は「5位」。チームでは11年<1>戦和田の 6回 1/3を抜いて最長となった。 6回無死から若林に死球を与えるまで走者を許さず、シリーズで 5回以上完全は14年<2>戦武田(ソフトバンク= 5回 2/3)以来 7人目。
▼ 5回裏二死から打った松田宣の左安が両軍を通じて初安打。これまで初安打が最も遅かったのは、ヤクルトと西武が対戦した93年第4戦で鈴木健(西武)が記録した 4回表二死。 4回終了時点で両軍無安打はシリーズ史上初めてだった。
またもや「7回の周東」だ。ソフトバンク周東佑京内野手が「SMBC日本シリーズ2019」第 1戦に続き、第 2戦も 7回に代走で登場。武器の足で巨人バッテリーに重圧をかけ、松田宣浩内野手の「決勝3ラン」につなげた。 2戦連続で代走で 1得点をマークし、チームの「2連勝」に貢献。球界屈指の韋駄天(いだてん)が、今シリーズのキーマンとなりそうだ。
◇ ◇ ◇
「日本の足」が超投手戦の均衡を破った。 0- 0で迎えた 7回無死 1塁。周東の名前がアナウンスされると、代走とは思えない大歓声がヤフオクドームを包んだ。
5回二死まで両チーム 1人も走者が出ない、息詰まる展開。 7回、一気に試合が動いた。先頭デスパイネの痛烈なゴロを巨人山本がファンブル。工藤監督は迷うこともなく、切り札を 1塁に送り込んだ。
7回裏ソフトバンク無死 1塁、ジュリスベル・グラシアル外野手の左前打で 3塁を狙う周東佑京内野手=ヤフオク!ドーム
何もせずとも、巨人が浮足立った。この回からリリーフした大竹は打者グラシアルに1球も投げないうちに、 1塁へ 3度けん制を入れた。警戒して制球が乱れ、カウントが 3- 1となったところで動いた。周東がスタートをきってのランエンドヒット。グラシアルの打球が左前にはずむ間に、スプリンターは楽々と 3塁を陥れた。「行けるタイミングがあれば走ろうと思っていたけど、クイックも速かった。それよりもピッチャーにプレッシャーを与えられればと思っていた。極力意識させて、真っすぐが多くなるように。一番いい形になった」としてやったり。
指揮官の「あそこは行けるなら行けということだった。絶対に 1点を取りたい場面。投手にどんどんプレッシャーをかけることが、得点につながると思っていた」という起用に応え、 1、 3塁とお膳立て。続く松田宣の「決勝3ラン」で均衡を破った。
「代走周東」のコールが総攻撃の大号令になりつつある。周東自身も当然、「僕が出るということは点を取りに行くということ。無理してでもホームまでかえりたい」。同時に、周囲の目の色もガラリと変わる。「この回が勝負なんだ」。ベンチの思いを受け、 1つになって畳み掛ける。
巨人に連勝しナインとタッチを交わすソフトバンク周東佑京内野手=ヤフオク!ドーム
前日の第 1戦で大きなダメ押しのホームを踏んだのも、この日と同じ7回だった。 1点の重みが増すポストシーズン。侍が認めた「7回の足」が光り輝いている。
▽ソフトバンク工藤公康監督(代走周東佑京内野手について)
「あそこは行けるなら行けということだった。足の速い走者がいるとどうしても相手は気を取られる。投げるだけに集中するというわけにはいかないので。あそこは絶対に 1点を取りたい場面だったので、投手にどんどんプレッシャーをかけることが、得点につながるというように思っていた」
◆周東佑京(しゅうとう・うきょう)
1996年(平 8) 2月10日、群馬県生まれ。東農大二 3年夏の県大会ではエース高橋光成の前橋育英に敗れ「準優勝」。東農大北海道オホーツクでは14年「明治神宮大会」、15~17年「全日本大学選手権」出場。17年「育成ドラフト2位」でソフトバンク入団。昨年は「27盗塁」で「ウエスタン・リーグ盗塁王」。今年 3月に支配下選手登録された。 179センチ、67キロ。右投げ左打ち。
7回裏ソフトバンク無死 1、 3塁、松田宣浩内野手は中越え3点本塁打を放った=ヤフオク!ドーム
「熱男」が冷えた打線にカツを入れた。 0- 0で迎えた 7回裏。ソフトバンク松田宣浩内野手が大きな 1発を放った。
敵失と安打でつくった無死 1、 3塁。巨人「2番手」大竹のカウント 2- 0からの 3球目。 142キロのシュートをバックスクリーンに運び去った。均衡を破る「1号3ラン」だ。「(シリーズは)全身全霊で戦っていきたい。打撃の調子はいい」と話していた元気男が、千金のアーチを放ってみせた。
この日は中盤まで巨人先発メルセデスにパーフェクトに抑え込まれていたホークス打線だったが、 5回二死からチーム初ヒットを放ったもの松田宣だった。
7回裏ソフトバンク無死 1、 3塁、松田宣浩内野手は「中越え3点本塁打」を放ち雄たけびを上げながら村松有人 3塁コーチとタッチする=ヤフオク!ドーム
「日本シリーズ史」に残るような投手戦をソフトバンク松田宣浩内野手が動かした。 0- 0で迎えた 7回。打席に向かうベテランは身震いした。「(前打者の)グラシアルが四球で 1、 2塁なら確実にバントやん」。だがグラシアルは打ち、チャンスは 1、 3塁まで広がった。「ランエンドヒットやん。めちゃめちゃ緊張するやん」。それでも冷静に、するべきことは見えていた。
7回裏ソフトバンク無死 1、 3塁、先制の「3点本塁打」を放ちファンと「熱男」を絶叫する松田宣浩内野手=ヤフオク!ドーム
「最低限を考えていた」と 3塁に快足周東がいる状況で、犠牲フライや暴投で何が何でも 1点取るつもりだった。だから低めを 2球見極め、打者有利のカウントをつくることができた。あとは思いきりいくだけ。バックスクリーンに突き刺さる先制で「決勝の3ラン」。「最高の舞台、最高の場面、最高の展開で最高の当たりを打つことができた」。ファン待望の「熱男!」がヤフオクドームに割れんばかりに響き渡った。
今季は交流戦でも「打率3割4分8厘、7発」と打ちまくった。巨人戦では「11打数5安打」の「1本塁打」。普段対戦の少ない相手を打つためのルーティンがある。「相手ピッチャーが、他の右打者に打たれている『ヒット集』をよく見ている」。頭にいいイメージをすり込むことで、場数の少なさをカバーしている。
松田宣浩内野手(左)をねぎらう工藤公康監督=ヤフオク!ドーム
今季14年目のベテランにとっても、巨人との日本シリーズは特別だ。前日19日の第 1戦。「日本中が『巨人』と言っている中での『日本シリーズ』。さすがに雰囲気が違いましたね」と独特の緊張感を覚えていた。それを破ったのが相手レジェンドの1発だ。「阿部さんのホームランで試合が動いて、そこからは普通に入っていけた」。この日は 5回二死まで打者29人、 1人の走者も出ていなかった。そこでメルセデスから安打を放ち、試合を動かしたのは松田宣のバットだった。
8回には左飛で「テラスの申し子的には、いったと思った」と本塁打と勘違いして頭をかくシーンもあったが、松田宣らしい明るさが出てきた証拠だ。「こんな機会はなかなかない。楽しまなきゃもったいないでしょ」。熱男は元気に明るく頂点を目指す。
8回裏ソフトバンク1死、柳田悠岐外野手は「左越え本塁打」を放った=ヤフオク!ドーム
ソフトバンク柳田悠岐外野手が今「日本シリーズ1号」を放った。
3点リードの 8回に「詰まったんで一生懸命走りました」と左翼テラス席へダメ押しの「ソロ本塁打」。 9回に反撃されたため、結果的に大きな1発になり「(打球には)満足してないけど、勝ったんで満足しています」と喜んだ。今季は左膝裏痛で 4カ月半離脱。「今野球できるだけで幸せやと思いますし、こういう大舞台でやれている。チームメートに感謝したい」とかみしめた。
8回、「左中越え本塁打」を放ったソフトバンク・柳田悠岐外野手=ヤフオク!ドーム
ソフトバンクの柳田が 3- 0の 8回に追撃のソロを放った。一死から桜井のカーブを左中間へ運び「狙ってはいなかったが、真ん中に来たので振った。入ると思わず一生懸命走っていた」と笑った。
レギュラーシーズンはけがで38試合の出場にとどまっただけに「今こんな大舞台で野球ができているのはチームメートのおかげ」と感謝を口にする。「3連覇」への意気込みは人一倍で「とにかくあと 2つ勝てるように準備するだけ」と謙虚に話した。
先発で力投する高橋礼投手=ヤフオク!ドーム
ソフトバンク高橋礼投手があと 7人のところで「ノーヒットノーラン」を逃した。 7回二死 1塁で巨人岡本に左前安打を許した。
130キロ台のストレートにスライダー、シンカーを織り交ぜ 5回まで完全投球。 6回無死、変化球が引っかかり「7番」若林へ死球を与えて初めての走者を出したが、一死 2塁で「9番」重信の打球は遊直、飛び出していた 2塁走者も帰塁できず併殺打。 7回には岡本の初安打で二死 1、 3塁とされたが阿部を 3ゴロに抑えた。その裏に松田宣の「3ラン」で「勝ち投手の権利」を得た。
1950年から始まった「日本シリーズ」ではこれまで「ノーヒットノーラン達成者」はゼロ。07年に中日山井が 8イニングまでに完全試合ペースで抑え、最終回に登板した岩瀬が 3人で締めくくって継投で完全試合を達成したことがある。
鷹のサブマリン、ここにあり。高橋礼投手は地面スレスレから投じるボールで巨人打線を封じた=ヤフオク!ドーム
5回裏二死まで互いに走者を許さない投手戦。日本シリーズ初先発のソフトバンク・高橋礼投手(23)は、メルセデスに一歩も引かず「緊張はしたけど、楽しむことができた」と晴れやかな表情を浮かべた。
0- 0の 7回二死 1塁で岡本に左前打を浴び、シリーズ史上初の無安打無得点試合は逃した。それでも、冷静に 1、 3塁のピンチで阿部を 3ゴロに仕留め、 7回を 1安打に抑えて投げ切った。
今季は千賀に次ぐ「チーム2位」の「12勝」と飛躍した。日本野球機構(NPB)が試合時間短縮への貢献を表彰する「スピードアップ賞」に輝いた両先発の“時短王対決”に、サブマリンは「テンポは抑えるために大事」との宣言通り、小気味いい投球で勝利を引き寄せた。
新人だった昨季の「日本シリーズ」は中継ぎで活躍したが、この日が「シリーズ初勝利」。「パ新人王」の筆頭候補は「チームが勝つことが一番大事」と、涼しい顔で振り返った。
4回表巨人二死、丸佳浩外野手(右)を 1ゴロに仕留め無安打投球を続ける高橋礼投手(中央)=ヤフオク!ドーム
2019年 公式戦 順位表
クライマックスシリーズ セリーグ日程
日本シリーズ2019 日程