●阪神は21日に本拠地甲子園のある兵庫県の緊急事態宣言が解除されたが、慎重な姿勢を崩さなかった。信本秀夫総務本部長は広報を通じ見通しを語った。
●福原忍投手コーチ(43)は最短 6月19日のシーズン開幕に向けて、慎重に調整プランを練る。21日、甲子園で「分離練習」を視察後、広報を通じて取材対応。今後についてプランを明かした。各選手のブルペン投球には納得した上で、今後は実戦的な練習を重視。右足を痛めた岩崎、左肘を手術した島本浩也投手(27)ら故障明けの投手にも期待した。
●藤川球児投手(39)が21日、甲子園で投手、野手の「分離練習」に参加した後、オンライン取材で高校球児への思いを言葉にした。「新型コロナウイルス感染拡大」の影響を受け、前日20日に高校野球の夏に開催されていた甲子園大会、地方大会の中止が決定。球児たちの胸中に気遣いながら力を込めた。チームは前日20日に自主練習という形態を解除し、「分離練習」をスタート。監督、コーチら首脳陣の視察も解禁した。開幕延期で難しい調整が続く。この日、甲子園のある兵庫県を含め、近畿 3府県に発令されていた緊急事態宣言が解除された。高校野球は中止となったが、プロ野球は最短 6月19日の開幕を目指して進んでいる。当初の予定から 3カ月遅れ。「コロナ禍」の影響で自宅待機を余儀なくされたが、今こそプロ野球選手として存在を見せるときだ。 7月21日で40歳となる節目のシーズン。名球会に入会するための条件でもある「日米通算250セーブ」まで、あと「7」に迫っている。ただ、開幕できたとしても当面は無観客で行われる見通し。それでも、ファンの心を揺さぶることができると信じている。どんな状況だろうと感動と勇気を届ける。夢が絶たれた高校球児のためにも、甲子園で思い切り汗を流す。
●球児から球児へ。藤川球児投手(39)が全国の高校球児にゲキ熱エールを送った。「新型コロナウイルス感染拡大」の影響で夏の甲子園の中止が発表された一夜明け、甲子園での練習後にオンライン取材に対応。傷心の球児に寄り添いながら、中止は「自分への試練」と表現。将来社会に出てからも多くの困難に打ち勝つ糧とし、心身を成長させて欲しいと願った。藤川は丁寧に言葉を選んだ。前日、「新型コロナウイルス感染拡大」の影響により、戦後初めて夏の甲子園中止が決定。傷心の球児たちを思い、呼び掛けた。春のセンバツ中止に続き、「コロナ」はまた高校球児の夢を壊した。高知商 2年夏の甲子園に出場した藤川にも、悲しみは十分わかる。でも、現実を受け止め、前を向いてほしかった。これから先の人生で、たくさんの困難に打ち勝つために。最後の夏だった 3年生は青春を奪われ、すぐ切り替えられるほど簡単ではない。だが藤川自身もプロ入り後、何度も困難に直面し、何度も自分ではい上がってきた。熱い呼び掛けは続いた。球児から球児へ。野球の力で、未来へ歩む勇気を与えていく。
●矢野燿大監督(51)が21日、甲子園での練習後、プロ 3年目の島田海吏外野手(24)のオンライン取材に“乱入”した。今季アピールする部分について話した島田に対してゲキを飛ばした。島田海吏外野手が21日、「開幕1軍入り」へ決意を語った。甲子園で投手、野手の「分離練習」に参加した後、オンライン取材に応じ、力を込めた。この日はキャッチボールやシートノック、フリー打撃などの練習を実施。阪神 3年目の島田海吏外野手がオンライン取材に応じ、“乱入”してきた矢野燿大監督に目標を上方修正された。甲子園で投手、野手の「分離練習」に参加後、取材に対応。今季の練習試合で放った本塁打を振り返っている時、指揮官が画面にカットイン。島田が本塁打の感触を答えると、ツッコミを入れて、場を和ませた。続いて矢野監督から直々に質問が飛んだ。新人以来の「開幕1軍」を目指す若虎はアピール。すると、怒濤(どとう)のツッコミ。これには島田もタジタジで、大きな目標に言い替えた。心強い言葉を聞き終えた指揮官は、満足そうに乱入を終えた。
●植田海内野手(24)が高校球児の思いも背負い、聖地での全力プレーを誓った。21日、甲子園で分離練習に参加し、球団広報を通じて取材に対応。夏の甲子園大会が中止となったことを受けコメントした。首脳陣の視察も始まり、目標とする遊撃のスタメン奪取へ気合は十分。
●望月惇志投手(22)が開幕に向けて状態を上げている。21日、鳴尾浜で「分離練習」に参加し、広報を通じて取材対応。ブルペンで55球を投げ手応えを明かした。「開幕1軍」の中継ぎ枠を争う立場。気合十分だ。
●ジェフリー・マルテ内野手(28)が21日、球団球団公式ユーチューブチャンネルで「スペイン語講座」をスタートさせた。 2分間の動画が公開され、すぐに使えるスペイン語を先生役として紹介。あいさつし、レッスンに入った。初回は翻訳が書かれた紙を画面に見せ、ゆっくり丁寧に分かりやすく発音した。お題の言葉は自ら日本語でも発声し、笑顔。ファンはスペイン語を、マルテは日本語を学ぶいい機会になりそうだ。
記事をまとめてみました。
阪神甲子園球場
阪神は21日に本拠地甲子園のある兵庫県の緊急事態宣言が解除されたが、慎重な姿勢を崩さなかった。
信本秀夫総務本部長は広報を通じ「今後については、球団事務所、甲子園球場事務所ともに、出社人数を必要最小限度にとどめた上で、6月上旬からの段階的な営業再開を目指して、準備を進めてまいります」と見通しを語った。
福原忍投手コーチは最短 6月19日のシーズン開幕に向けて、慎重に調整プランを練る。21日、甲子園で「分離練習」を視察後、広報を通じて取材対応。
今後について「シート打撃(登板)などを取り入れて、打者との駆け引きなどの感覚を早く取り戻していけるようにやっていきたい」とプランを明かした。
練習中、矢野燿大監督(右)と話す福原忍投手コーチ=阪神甲子園球場 (阪神タイガース球団提供)
甲子園で練習を視察した福原投手コーチは21日、競争心をくすぐった。先発も中継ぎも確定しないまま。「長い時間があるわけではないから一日一日を大切にしてほしいし、競争していってほしい」。各選手のブルペン投球には納得した上で、今後は「シート打撃などで打者との感覚、駆け引きなどの感覚を早く取り戻していけるように」と実戦的な練習を重視。右足を痛めた岩崎、左肘を手術した島本ら故障明けの投手にも「結果的にいい時間になった」と期待した。
藤川球児投手が21日、甲子園で投手、野手の「分離練習」に参加した後、オンライン取材で高校球児への思いを言葉にした。
「新型コロナウイルス感染拡大」の影響を受け、前日20日に高校野球の夏に開催されていた甲子園大会、地方大会の中止が決定。
「人生ってどんな状況からでも立ち上がって戦うというか、社会に出れば日々戦いが待っている。そういう意味では『コロナ』については誰かの責任ではない。自分個人の思いとしては、高校野球の甲子園大会が行われなかったことについて、誰か個人の責任にしてはいけないと思う」と願った上で「学生はパワーがありますから。仲間で支え合って、ここから社会に出ても、ある意味普通に大会が行われた時の選手たちよりも強い絆で社会に出て頑張っていけるんじゃないかという風に思います。今は涙を流していても、とは個人的に思います」と球児たちの胸中に気遣いながら力を込めた。
チームは前日20日に自主練習という形態を解除し、「分離練習」をスタート。監督、コーチら首脳陣の視察も解禁した。
現在の心境を問われると「甲子園球場という素晴らしい野球の聖地と言われているところで野球をさせてもらっていることを個人も感じているし、他の選手も同様に感じて、かみしめるように練習をさせてもらっているのが本音」と説明。
開幕延期で難しい調整が続くが「スタッフの方々が心配しないように、自覚を持って仕上げてくるのがプロの本質。自分たちが仕事として野球に携わっていることを考えれば、プロとしての本質を問われるシーズンになる」と表現。「いつでも試合にいける準備は十分できている。それは仕事としてやっているので当然だと思います」と強調した。
練習後オンライン取材で記者の質問に答える藤川球児投手=阪神甲子園球場
高校球児の無念さ胸に戦う!! 藤川球児投手が21日、甲子園での練習後にオンライン取材に応じ、聖地でプレーできる感謝の思いを語った。前日20日に「新型コロナウイルス」の影響で今夏の甲子園大会中止が決定。夢が絶たれた高校球児にエールを送り、聖地から勇気と感動を発信することを誓った。
晴れ渡った甲子園のグラウンドに足を踏み入れた瞬間、胸は熱くなった。各メディアで報じられた、全国各地の高校球児が泣きじゃくるシーンが自然と思い浮かんだ。前日20日に今夏の甲子園大会中止が決定してから一夜。藤川は高校球児あこがれの舞台に立つ一人として、大きな使命感を口にした。
「聖地と言われるところで(プレーできる喜びを)かみしめるように練習をさせてもらっている。感謝しています。この球場を大事に、大切に扱わなければいけないというのは、今回のことで分かった」
今春の選抜大会に続く中止。高校生活の集大成も「新型コロナウイルス」によって奪われた。高知商 2年のとき、夏の甲子園の土を踏んだ藤川にも無念の気持ちはよくわかる。だからこそ、高校球児の思いに寄り添い、挫折を乗り越えられるようにエールを送った。
「今は、涙が出るだけ泣いて、うちひしがれるているでしょう。でも、学生はパワーがありますから仲間で支え合って、ある意味、強い絆で社会に出て頑張っていけるんじゃないかと」
一方で、自身はその甲子園で練習し、試合ができる。高校球児の悔し涙を目の当たりにして、当たり前と思ってきた日常が特別なことだと痛感させられた。
「阪神タイガースでプレーするという選手に限っては、そこ(甲子園でプレーできる喜び)は持ってなければいけないと思います」
ストレッチを行う藤川球児投手。甲子園で練習できることに感謝した=阪神甲子園球場 (阪神タイガース球団提供)
この日、甲子園のある兵庫県を含め、近畿 3府県に発令されていた緊急事態宣言が解除された。高校野球は中止となったが、プロ野球は最短 6月19日の開幕を目指して進んでいる。当初の予定から 3カ月遅れ。「コロナ禍」の影響で自宅待機を余儀なくされたが、今こそプロ野球選手として存在を見せるときだ。
「自分たちは仕事として、野球に携わっていることを考えると、プロとしての本質が問われるようなシーズンになると思います」
7月21日で40歳となる節目のシーズン。名球会に入会するための条件でもある「日米通算250セーブ」まで、あと「7」に迫っている。ただ、開幕できたとしても当面は無観客で行われる見通し。それでも、ファンの心を揺さぶることができると信じている。
「モニターやテレビ越しに、感動を覚えてもらえるか、どうかというのは自分のプレーに、すべてかかっていますので。(無観客でも)気持ちはプロフェッショナルとして、ぶらさずにやっていきたい」
どんな状況だろうと感動と勇気を届ける。夢が絶たれた高校球児のためにも、甲子園で思い切り汗を流す。
★気持ち切り替え
甲子園大会は中止となったが、日本高野連は地方大会に代わる各都道府県の独自大会開催を地方の自主性に任せる方針。藤川は高校球児に向け「地方大会を個別にやっていく可能性が十分にある。自分は各都道府県のメインといわれる球場でプレーすることでも十分に満足できた。気持ちの持ちようでいくらでも自分の人生は切り替えられる」とアドバイスした。
球児から球児へ。藤川球児投手(39)が全国の高校球児にゲキ熱エールを送った。「新型コロナウイルス感染拡大」の影響で夏の甲子園の中止が発表された一夜明け、甲子園での練習後にオンライン取材に対応。「涙出るだけ泣いて」と傷心の球児に寄り添いながら、中止は「自分への試練」と表現。将来社会に出てからも多くの困難に打ち勝つ糧とし、心身を成長させて欲しいと願った。
◇ ◇ ◇
藤川は丁寧に言葉を選んだ。前日、「新型コロナウイルス感染拡大」の影響により、戦後初めて夏の甲子園中止が決定。傷心の球児たちを思い、呼び掛けた。
藤川 悲痛とか、胸が痛いという気持ちはありました。(でも)世界的に見ても生きている限り、これから人生でたくさんの岐路はある。人生ってどんな状況からでも立ち上がって闘うというか、社会に出れば日々闘いが待ち受けている。誰かの責任にしてはいけない。たくさんのことが起こる中でどう立ち上がるか。
春のセンバツ中止に続き、「コロナ」はまた高校球児の夢を壊した。高知商 2年夏の甲子園に出場した藤川にも、悲しみは十分わかる。でも、現実を受け止め、前を向いてほしかった。これから先の人生で、たくさんの困難に打ち勝つために。
藤川 日本だけにとどまらず、世界各地で同じ思いの子どもたちがいる。自分たちだけではない。3年間培ってきた厳しい練習、プライベートを捨てて野球に取り組んできた。その気持ちを忘れないように、さらに気持ちを強くしていく。自分への試練ですよ。
グラウンドを見つめる藤川球児投手=阪神甲子園球場 (阪神タイガース球団提供)
最後の夏だった 3年生は青春を奪われ、すぐ切り替えられるほど簡単ではない。だが藤川自身もプロ入り後、何度も困難に直面し、何度も自分ではい上がってきた。熱い呼び掛けは続いた。
藤川 涙出るだけ泣いて、うちひしがれることになるでしょう。(でも)これからどうしようということは必ず訪れる。今はたとえ泣いていても、涙を流していても、学校生活が取り戻されてきた時に胸を張って、模範となるような生徒たちであることを願います。
藤川自身、タイガースの一員として、球児の聖地甲子園で野球ができる重みもあらためて感じている。
藤川 自分自身はもともとそういう気持ちでやってました。その部分の意識の高さは、阪神タイガースでプレーする選手に限っては持っておかなければいけないと思います。ここにいる選手は、他球団の選手たちとはまた違う意味でこの球場を大事に、大切に扱わなければいけない。
球児から球児へ。野球の力で、未来へ歩む勇気を与えていく。
〇…藤川は最短 6月19日の開幕へ体調万全をアピールした。「いつでも試合にいける準備は十分できている。それは仕事としてやっているので当然のこと」。19日の練習で矢野監督をはじめ、コーチ陣と約 2カ月ぶりに対面。充実の仕上がりで安心させた。「スタッフの方たちが心配しないように、選手たち個々がプロとしての自覚を持って、自分で仕上げてくるのがプロの本質なので」。チームの柱としての自覚をにじませた。 名球会入りの条件となる、日米通算250セーブまではあと「7」。「それで(高校球児たちに)勇気が出るのかどうか分からないけど、そう感じてもらえるのならば、これ以上うれしいことはない。テレビ越しでも感動を覚えてもらえるかどうかは自分のプレーにすべてかかっています。本当に、真剣に 100%で今まで通りプレーする必要があります」と引き締めた。
練習中、笑顔を見せる藤川球児投手=阪神甲子園球場 (阪神タイガース球団提供)
◆藤川球児投手の甲子園出場
高知商 2年の97年夏、兄の順一( 3年)とバッテリーで出場を果たした。 1回戦の旭川大高(北北海道)戦に「5番右翼」で先発し、 4回からマウンドへ。 6イニング無失点、打っては 2安打 2打点の活躍で 6- 3の「勝利」に導いた。 2回戦では平安(現龍谷大平安)と対決し、川口知哉(後にオリックス)と投げ合った。 1回に自らバント処理を焦り、適時打や重盗などで 4失点。 5回にも 1点を失った。 8回まで10奪三振の力投だったが、 0- 5で敗れた。
<藤川球児投手プロ入り後の苦闘>
◆飯を食え:99年「ドラフト1位」で入団も野村監督から、73キロと細身の体を見とがめられ「ちゃんと飯を食ってるのか」と厳しく注意された。
◆解雇危機: 1軍登板17試合の03年オフ、「戦力外候補リスト」に名前が挙がった。だが、岡田新監督は 2軍監督時代に知る藤川の力量から「短いイニングで力を発揮するタイプ」と球団に呼び掛け、逆転残留。「05年V」に貢献するなど不動の守護神に成長していった。
◆手 術:メジャー 1年目の13年カブス時代、右肘の内側側副靱帯(じんたい)を断裂して手術。メジャー 3年間の通算は29試合、「1勝1敗2セーブ」に終わった。
◆独立リーグ:レンジャーズを自由契約になった15年、 6月に故郷の四国IL・高知に入団。阪神で黄金時代を築いた元守護神が無報酬で出直し、先発で完封するなどNPB復帰をアピールした。
◆先発転向も:阪神に復帰した16年は金本新監督が先発を期待。だが 5試合で「1勝2敗、防御率6.12」と結果が出ず、再び救援へ配置転換。だが17年から「3年連続50試合登板」と復肩し、昨季は守護神を務めた。
プロ 3年目の島田海吏外野手が21日、「開幕1軍入り」へ決意を語った。甲子園で投手、野手の「分離練習」に参加した後、オンライン取材に応じ、「外野手の枠に何とか食い込んでいきたい。 1日 1日、無駄な時間がないように必死にアピールしたい」と力を込めた。
この日はキャッチボールやシートノック、フリー打撃などの練習を実施。状態については「実戦になってみないと分からないけど、体の状態は日に日に上がっている」と話した。
阪神 3年目の島田海吏外野手がオンライン取材に応じ、“乱入”してきた矢野燿大監督に目標を上方修正された。
甲子園で投手、野手の「分離練習」に参加後、取材に対応。今季の練習試合で放った本塁打を振り返っている時、指揮官が「(相手は)記者の人ら? ちょっと何か言うとけよ」と画面にカットイン。島田が本塁打の感触を「たまたまかもしれないですけど…」と答えると、「たまたまか? たまたまはあかんやろ」とツッコミを入れて、場を和ませた。
続いて矢野監督から直々に質問が飛んだ。「何をアピールすんの?」。新人以来の「開幕1軍」を目指す若虎は「一番は走塁です。代走からしっかり盗塁を…」とアピール。すると「代走? 途中からなん? スタメンはええの?」と、怒濤(どとう)のツッコミ。これには島田もタジタジで「いや、一番はスタメンで出ることです!」と、大きな目標に言い替えた。心強い言葉を聞き終えた指揮官は、満足そうに乱入を終えた。
練習を終えオンライン取材に答える島田海吏外野手(左)の画面にサプライズ登場した矢野燿大監督=阪神甲子園球場
まさかの公開指令-。矢野燿大監督が21日、甲子園での練習後、島田海吏外野手のオンライン取材に“乱入”した。今季アピールする部分について「代走から…」と話した島田に対して「途中からなん? スタメンはええの?」と修正を求めるなどゲキを飛ばした。
いきなりの登場に驚く報道陣。しかし、一番びっくりしたのは島田だったはずだ。矢野監督が島田のオンライン取材に笑みを浮かべながら“乱入”。少し戸惑う今季 3年目の快足外野手に「何をアピールすんの?」と“取材”が始まった。
島田「一番は走塁ですね。代走からしっかり盗塁を…」
矢野監督「代走から? 途中からなん?」
島田「現状を見たときに一番は代走だったり、守備からの出場が考えられると思うので」
矢野監督「そうなん? スタメンはええの?」
島田「いや、一番はスタメンで出ることなんですけど」
1軍定着を狙う島田の目標を強引に修正させて“スタメン指令”を出した。
島田海吏外野手(左)のオンライン取材に“乱入した”矢野燿大監督=阪神甲子園球場
虎の外野陣は福留、糸井、近本、サンズら層がかなり厚い。昨季は 7試合の出場に終わった島田にとってはいきなりスタメンを奪うのは簡単ではない。だが、強い気持ちがなければ 1軍という舞台では活躍できない。「スタメンを取る」という気持ちでプレーすれば競争も激しくなり、チームとしてもよりレベルアップできる。だからこそ、指揮官は高い目標を求めた。
矢野監督がハッパをかけるのも、島田の家族が熱心に応援しているのを知っているからだ。
矢野監督「(祖父母が)いつも楽しみにしてるやん」
島田「そうですね。おじいちゃん、おばあちゃんのために」
矢野監督「筑後にいつも来てくれてたやんな。元気な姿見せたれよ」
島田「見せるために頑張ります」
熊本出身の島田。ソフトバンクの 2軍本拠地であるタマホーム筑後で試合があるときには、祖父母が駆けつけていたことを、島田がルーキーのときに 2軍監督だった矢野監督は知っていた。
島田が 3月22日のヤクルトとの練習試合(神宮)で本塁打を放った際には「バッティングはずっと良くなっている。こうやって結果を出すと使いたくもなる」と評価していた。昨季ウエスタンで「チーム2位」の「18盗塁」をマークした足と守備力は 1軍は通用する。あとは課題の打力が向上すれば、スタメンも夢ではないことは指揮官も感じている。
練習を終えオンライン取材に答える島田海吏外野手(左)の画面にサプライズ登場した矢野燿大監督=阪神甲子園球場
最短で目指している 6月19日の開幕まで 1カ月を切った。矢野監督がチームの底上げを図っていく。
★万全の状態!「早く実戦に」
島田はオープン戦期間中に減った体重が75キロほどに戻り、万全の状態。「早く実戦に入っていきたい」とうなずいた。開幕1軍、定位置奪取に向けて「結果をどんどん残していかないといけない立場だと思う。盗塁の成功率だったり、意地でもヒットを打ちにいったりとか、そういう姿勢をしっかり見せていきたい。『俺がやるんだ』という気持ちを強く持ってやっているところ」と力を込めた。
◇島田 海吏(しまだ・かいり)
1996(平成 8)年 2月 6日生まれ、24歳。熊本県宇土市出身。中学時代は宇土鶴城中軟式野球部に所属しながら陸上の大会にも出場。 3年時には 100メートルで全国大会に出場し、準決勝で桐生祥秀(日本生命)に先着。九州学院高では 2年春に選抜出場。上武大では中堅手で 3年春に首位打者。2018年「D4位」で阪神に入団。 176センチ、68キロ。右投げ左打ち。年俸 800万円。背番号「53」。
※兵庫の宣言解除にも阪神慎重、営業再開は段階的に!藤川「自分への試練」高校球児にゲキ熱エール!-2に続く!