●「緊急事態宣言」は31日の宣言期限を待たずに全面解除の見通しとなったが、「コロナ禍」で時刻表の発売が中止になる珍事が起こった。今日25日発売予定だった「小型全国時刻表」 6月号、「コンパス時刻表」 6月号(ともに交通新聞社)が休刊となった。「コロナ」で都道府県をまたぐ移動の自粛が求められ、ゴールデンウイーク期間中、新幹線、在来線特急の利用が前年の 5%に落ち込んだことから、JR東日本は今月12日、東北、上越、北陸、秋田、山形の各新幹線や中央線、常磐線の特急を 5月28日以降、 4~ 5割減らすと発表していた。しかし、その後、39県で「緊急事態宣言」が解除され、22日に減便中止を発表した。JR東海、JR西日本も 5月11日から新幹線を 2~ 3割減便していたが、22日、 6月 1日から定期ダイヤに戻すと発表している。「小型」「コンパス」は 6月19日発売の次号を 6・ 7月合併号にする予定だ。ネットで時刻も運賃も乗り継ぎも調べられることから、時刻表は大きく部数を減らしているが、鉄道ファンのバイブルであることは変わらず、「小型」「コンパス」とも 7万部を発行している。
●経済再開による利用客回復を見越し、世界の航空会社が「新型コロナウイルス」の「感染防止対策強化」に乗り出した。日本では全日本空輸が 6月から利用客に対して機内や空港で必ずマスク着用を求め、注意後も着けない場合は搭乗拒否も。日本航空とスカイマークは、乗客同士の接触を避けるため中間席の使用を当面制限する。マスク着用は海外の主要各社も相次いで義務化しており「空の新常識」となりそうだ。全日空はマスク着用を「要請」にとどめていた業界団体の指針よりも踏み込んだ形。大きく落ち込んだ運航便の段階的な再開へ、利用客の不安払拭(ふっしょく)が急務になっている。機内のソーシャルディスタンス(社会的距離)を巡っては、運賃値上げにつながりかねないだけに対応が分かれる。日航は 6月末まで隣り合う席の販売を停止する一方、全日空は中間席の制限はしていない。国際航空運送協会(IATA)は、高性能フィルターを備え、換気状態にある機内での感染リスクは他の交通機関と比べて低いとして、中間席の制限は勧告していない。日航も利用客の不安を和らげるための一時的措置としている。
●ファーストリテイリングは24日、傘下のカジュアル衣料品店「ユニクロ」で、布製マスクの販売を今夏にも始めると明らかにした。「新型コロナウイルス感染防止策」としてマスクを求める顧客が多かった。ユニクロの機能性肌着「エアリズム」に採用している通気性や速乾性に優れた生地を使い、暑い時期でも快適に着けられるよう工夫する。詳しい発売時期や価格は決まり次第、発表する。同社は中国の取引先を通じて確保した防護服や医療用マスク計 500万枚を日本の医療機関などに無償提供する方針も示した。衣料品国内最大手ファーストリテイリングの参入で、品薄緩和につながる可能性がある。
●「新型コロナウイルス」に関する情報を日本に住む外国人に発信しようと、東京外国語大(東京都)の学生や卒業生らが「COVID-19 多言語支援プロジェクト」を立ち上げた。主に首都圏の行政発表や報道を13言語に翻訳し、専用のウェブサイトに掲載。代表の石井暢さん(24)は 3月にフランス語専攻を卒業した。感染が広がる中、ビザの効力が停止された留学生の友人から相談を受け、思いを持った。 4月21日、友人らとともにサイトを開設した。感染予防策から、ビザや給付金手続きといった情報を首都圏中心に幅広く集め、問い合わせ先も紹介。サイトは「やさしい日本語」、ベトナム語、スペイン語などに対応。学生ら約70人のボランティアが運営や原稿執筆、翻訳を分担する。手続きに必要な「はんこ」の役割を説明するなど、文化的な違いにも気を配る。
●政府は24日、北海道、埼玉、千葉、東京、神奈川の 5都道県で継続している「新型コロナウイルス」による「緊急事態宣言」を25日に全面解除する方針を固めた。首都圏よりも先に宣言が解除された大阪、京都、兵庫の近畿3府県は24日、解除後初の日曜日を迎えた。訪日客が消え、府県境を越えた「観光お断り」の京都では、土産店の店主が「府県をまたいだお客が来ないと、店がもたない」と嘆いた。観光名所・清水寺(京都市東山区)の参道の一角「三年坂」では、臨時休業する土産物店が目立つ。21日に宣言が解除されたが、かつてのにぎわいにはほど遠い。「三年坂」で江戸時代から続く瓢簞(ひょうたん)店の 7代目店主、大井秀民さん(67)は声を荒らげた。21日の宣言解除を受け、門川大作市長(69)は府外からの「観光お断り」を“宣言”した京都市の調査では、18年に日本人を含む観光客が市内で支払った宿泊代や飲食費などの「観光消費額」は約 1兆3000億円。「コロナ禍」で訪日客は激減し、ゲストハウスは次々と廃業している。 妻と 2人で清水寺を訪れた京都市内の男性(60)は、心配した。観光名所・嵐山の人気スポット「竹林の小径」も人影はまばら。京都の観光産業を下支えするタクシー業界。JR京都駅前で客待ちをしていたタクシー運転手(62)はつぶやいた。
●大阪市浪速区の大阪人権博物館(通称リバティおおさか)が、土地を市に明け渡すことになり、25日、現在の建物としては最後の公開が始まった。土地を所有する市との賃料を巡る裁判の結果、 6月 1日から閉館する。2022年に別の場所での再開を目指すが、具体的なめどは立っていない。「新型コロナウイルスの感染拡大」で 3月上旬から休館しており、約 2カ月半ぶりの開館。31日までで、開館時間は午前10時~午後 5時。入館無料。
●25日に「緊急事態宣言」解除の方向で調整中の東京屈指の繁華街、渋谷は24日、営業再開する店舗が増えている。ある靴店は 3日前から営業を再開した。女性店員(25)は、再開後の売り上げについて明かし、宣言解除を心待ちにしている。あるセレクトショップは23日から営業再開した。20代女性店員は、渋谷で見掛ける客層について話した。
記事をまとめてみました。
「緊急事態宣言」は31日の宣言期限を待たずに全面解除の見通しとなったが、「コロナ禍」で時刻表の発売が中止になる珍事が起こった。今日25日発売予定だった「小型全国時刻表」 6月号、「コンパス時刻表」 6月号(ともに交通新聞社)が休刊となった。交通新聞社時刻表編集部の大滝真理さんは「新型コロナウイルスで運行状況が日々変わり、正確な情報提供が難しくなった。休刊は初めて」と話している。
「コロナ」で都道府県をまたぐ移動の自粛が求められ、ゴールデンウイーク期間中、新幹線、在来線特急の利用が前年の 5%に落ち込んだことから、JR東日本は今月12日、東北、上越、北陸、秋田、山形の各新幹線や中央線、常磐線の特急を 5月28日以降、 4~ 5割減らすと発表していた。しかし、その後、39県で「緊急事態宣言」が解除され、22日に減便中止を発表した。JR東海、JR西日本も 5月11日から新幹線を 2~ 3割減便していたが、22日、 6月 1日から定期ダイヤに戻すと発表している。
書店の店頭に並ぶ時刻表。「コロナ禍」で手前右の「コンパス時刻表」と横向きに挟まれた「小型全国時刻表」の発売が中止になった
目まぐるしい動きに「端末用アプリ『デジタルJR時刻表』は月 1回更新から週 1回更新にして対応しているが、月刊の紙では掲載できない。 7~ 9月の夏の臨時列車を掲載する 6月号は季節の切り替わりで、需要が高いが、携帯用の『小型』『コンパス』のみ発売中止にした」(大滝さん)。みどりの窓口や旅行センターに置かれてある「JR時刻表」は駅で最新の情報の確認ができることから、通常通り販売する。「小型」「コンパス」は 6月19日発売の次号を 6・ 7月合併号にする予定だ。
ネットで時刻も運賃も乗り継ぎも調べられることから、時刻表は大きく部数を減らしているが、鉄道ファンのバイブルであることは変わらず、「小型」「コンパス」とも 7万部を発行している。
経済再開による利用客回復を見越し、世界の航空会社が「新型コロナウイルス」の「感染防止対策強化」に乗り出した。日本では全日本空輸が 6月から利用客に対して機内や空港で必ずマスク着用を求め、注意後も着けない場合は搭乗拒否も。日本航空とスカイマークは、乗客同士の接触を避けるため中間席の使用を当面制限する。マスク着用は海外の主要各社も相次いで義務化しており「空の新常識」となりそうだ。
全日空はマスク着用を「要請」にとどめていた業界団体の指針よりも踏み込んだ形。大きく落ち込んだ運航便の段階的な再開へ、利用客の不安払拭(ふっしょく)が急務になっている。
マスク着用を筆頭に客室乗務員や地上職員の防護も強化する。日本の大手各社は地上カウンターでのビニールカーテン設置を開始、全日空は地上職員がフェースシールドを着用して対応する。
海外では、カタール航空は客室乗務員が防護服を着用する徹底ぶり。フィリピンのセブ・パシフィックは乗務員に抗体検査を受けさせる方針だ。フィンランドのフィンエアーは、空港での密集回避へオンラインでの事前チェックインを要請するほか、優先搭乗を中止して後部座席から搭乗させる。
機内のソーシャルディスタンス(社会的距離)を巡っては、運賃値上げにつながりかねないだけに対応が分かれる。日航は 6月末まで隣り合う席の販売を停止する一方、全日空は中間席の制限はしていない。
国際航空運送協会(IATA)は、高性能フィルターを備え、換気状態にある機内での感染リスクは他の交通機関と比べて低いとして、中間席の制限は勧告していない。日航も利用客の不安を和らげるための一時的措置としている。
ただ、長時間の飛行で感染リスクが懸念される国際線に関して、より厳しい措置を講じるのかどうか日本の航空各社は明確な方針を示していない。
ファーストリテイリングは24日、傘下のカジュアル衣料品店「ユニクロ」で、布製マスクの販売を今夏にも始めると明らかにした。「新型コロナウイルス感染防止策」としてマスクを求める顧客が多かった。ユニクロの機能性肌着「エアリズム」に採用している通気性や速乾性に優れた生地を使い、暑い時期でも快適に着けられるよう工夫する。
詳しい発売時期や価格は決まり次第、発表する。柳井正会長兼社長は4月の決算説明会では「マスクよりも服で貢献していく」と参入を否定していた。消費者から「ユニクロのマスクがほしい」と要望が強かったため、方針を転換した。
同社は中国の取引先を通じて確保した防護服や医療用マスク計 500万枚を日本の医療機関などに無償提供する方針も示した。
マスク生産を巡っては、電機メーカーのシャープなど異業種の進出が相次いでいる。スポーツ用品大手ミズノは水着素材を使ったマスク2万枚を今月発売し、既に完売した。衣料品国内最大手ファーストリテイリングの参入で、品薄緩和につながる可能性がある。
「新型コロナウイルス」に関する情報を日本に住む外国人に発信しようと、東京外国語大(東京都)の学生や卒業生らが「COVID-19 多言語支援プロジェクト」を立ち上げた。主に首都圏の行政発表や報道を13言語に翻訳し、専用のウェブサイトに掲載。「不安を抱える外国人に情報を届けるとともに、社会の在り方を考えるきっかけをつくりたい」と意気込む。
代表の石井暢さんは 3月にフランス語専攻を卒業した。感染が広がる中、ビザの効力が停止された留学生の友人から相談を受け、「命や生活に関わる情報が十分に得られないのは相当なストレス。行政のマンパワーには限界がある」との思いを持った。
4月21日、友人らとともにサイトを開設した。感染予防策から、ビザや給付金手続きといった情報を首都圏中心に幅広く集め、問い合わせ先も紹介。外国人からも「子どもがオンライン授業になり困っている」「自分が感染したらどうすればいいか」といった声が寄せられ、不安や情報不足の現状が浮かび上がった。
サイトは「やさしい日本語」、ベトナム語、スペイン語などに対応。学生ら約70人のボランティアが運営や原稿執筆、翻訳を分担する。手続きに必要な「はんこ」の役割を説明するなど、文化的な違いにも気を配る。
外大は留学や留学生との交流が盛んで、語学を生かし力になりたいと考える学生も多い。感染拡大で留学を断念しながらも、「自分にできることを」と手を上げた人もいる。得意言語もさまざまで、広くニーズを拾い上げられることも強みだ。
「コロナ禍」は、同じ社会に生きる一員なのに、外国人へ十分な情報が行き渡らないというひずみを改めて浮き彫りにした。石井さんは「サイトの運営がゴールではない。活動を通じ、非常事態にこそ彼らに目を向けられるような社会の在り方を提起したい」と力を込めた。
八坂神社前も普段の休日ほど人出はなかった
政府は24日、北海道、埼玉、千葉、東京、神奈川の 5都道県で継続している「新型コロナウイルス」による「緊急事態宣言」を25日に全面解除する方針を固めた。首都圏よりも先に宣言が解除された大阪、京都、兵庫の近畿3府県は24日、解除後初の日曜日を迎えた。
訪日客が消え、府県境を越えた「観光お断り」の京都では、土産店の店主が「府県をまたいだお客が来ないと、店がもたない」と嘆いた。
◇ ◇ ◇
観光名所・清水寺(京都市東山区)の参道の一角「三年坂」では、臨時休業する土産物店が目立つ。21日に宣言が解除されたが、かつてのにぎわいにはほど遠い。「三年坂」で江戸時代から続く瓢簞(ひょうたん)店の 7代目店主、大井秀民さん(67)は「これだけ人がいない状況は生まれて初めて。(京都市の)門川市長には 1回、この周辺を歩いてほしい」と声を荒らげた。
清水寺へ続く道もまだ、人出もまばらなまま
21日の宣言解除を受け、門川大作市長は「市民が市内で文化を楽しみ、経済を回していく時期で、府外から観光に来てもらうのはまだ先」と府外からの「観光お断り」を“宣言”した。大井さんは「京都市内を“散歩”する京都の人がお土産のひょうたんを買ったりはしない。海外からのお客さんは当分、先になる。いまは府県をまたいだお客さんが来なければ、店がもたない」と嘆息した。 有数の観光地を抱える京都には年間約8500万人の観光客が訪れる。京都市の調査では、18年に日本人を含む観光客が市内で支払った宿泊代や飲食費などの「観光消費額」は約 1兆3000億円。「コロナ禍」で訪日客は激減し、ゲストハウスは次々と廃業している。 妻と 2人で清水寺を訪れた京都市内の男性は「参道をこれだけのんびり歩けることは普段ではありえない」と話し、「京都は観光あっての都市。このままでは京都の経済が危ない」と心配した。観光名所・嵐山の人気スポット「竹林の小径」も人影はまばら。京都の観光産業を下支えするタクシー業界。JR京都駅前で客待ちをしていたタクシー運転手は「きょうは 2時間半待ち。客がいない」とつぶやいた。
大阪市浪速区の大阪人権博物館(通称リバティおおさか)が、土地を市に明け渡すことになり、25日、現在の建物としては最後の公開が始まった。土地を所有する市との賃料を巡る裁判の結果、 6月 1日から閉館する。2022年に別の場所での再開を目指すが、具体的なめどは立っていない。
「新型コロナウイルスの感染拡大」で 3月上旬から休館しており、約 2カ月半ぶりの開館。31日までで、開館時間は午前10時~午後 5時。入館無料。
大阪市浪速区の大阪人権博物館
同館は1985年、大阪人権歴史資料館として開館した。市が市有地を無償で貸与し、被差別部落や在日コリアン、ハンセン病や水俣病など人権に関する史料約 3万点を所蔵、展示してきた。
2012年に当時の橋下徹市長が展示内容を問題視。市と大阪府が13年に補助金を全廃し、運営する公益財団法人に対し市が土地の明け渡しなどを求めて15年に大阪地裁に提訴した。
地裁は今年 3月に和解を勧告。来年 6月までの退去を条件に、15年度からの賃料約 1億9000万円を免除する内容で双方が和解する見通しだ。
25日に「緊急事態宣言」解除の方向で調整中の東京屈指の繁華街、渋谷は24日、営業再開する店舗が増えている。
ある靴店は 3日前から営業を再開した。女性店員は「21日に宣言が解除されると思って準備していて、解除されなかったけど、開けちゃっています」と明かした。再開後の売り上げについて「思ったよりは売れています」と明かした。「それでも、前年に比べたら95%減。宣言が解除されて、これから少しずつ戻ってくるのかな」と宣言解除を心待ちにしている。
渋谷のスクランブル交差点を歩く人々
女性店員によると、来客は「やっと開いたから来た」「どこも閉まっていて、ネットで見て、ここが開いているから来た」と話していたという。街を通る人々を見て「若い人が多い。マスクをしていない人も時々いる。思ったよりも人がいるので、みんな外出自粛していないのかな」と感想を話した。
あるセレクトショップは23日から営業再開した。20代女性店員は「渋谷に来る人は先週の 2倍くらい増えましたが、客足は全然戻っていなくて、店に買いに来るお客さんはかなり少ないです。今は通販の方が強いです」と明かした。また、渋谷で見掛ける客層について「宣言が発令されてから、カップルは見掛けましたが、最近は友達同士が増えましたね。私はプライベートでは今は友達と会わないし、買い物も 1人でするけど、と思いますけどね」と話した。