●東京都の小池百合子知事(68)は21日、新たに報告された「新型コロナウイルスの感染者」は 237人だったと明らかにした。直近 7日間の平均でも約232.4人に達した。累計は9816人で 1万人に迫っている。20日時点の入院患者は確保済みの病床約1500に対し 920人で、うち重症者は13人。入院患者数は 6月下旬以降に上昇している。都は15日に感染の警戒度を「4段階」の指標で最も高い「感染が拡大している」へ引き上げ、都は不要不急な他県への移動を控えるよう都民に呼び掛けている。東京都の小池百合子知事は21日、都内での「新型コロナウイルスの感染拡大」を踏まえ、23日からの 4連休に向けて「不要不急の外出」をできるだけ控えるよう都民に呼び掛ける意向を示した。小池氏は21日に都内で西村康稔経済再生担当相と会談し、都内の感染状況や医療体制などに関して意見交換。こうした内容を伝えたとしている。都内は 7月に入って感染者数がほぼ毎日 3桁で推移。17日には過去最多の 293人に上るなど 300人に迫る日もある。22日開始の政府の観光支援事業「Go To トラベル」は東京発着や都内在住者の旅行が対象外となる影響が出た。
●愛知県や名古屋市などは21日、県内に住む10歳未満から80代の男女51人が新たに「新型コロナウイルス」に感染したと発表した。これまでの 1日当たり感染公表数の最多を更新。県内の累計は 708人となった。沖縄県は21日、宜野湾市の20代男性と那覇市に住む20代女性の計 2人の「新型コロナウイルス感染」を確認したと発表した。県内の感染確認は計 155人となった。20代男性は琉球朝日放送(那覇市)が20日に感染を公表したディレクターで、感染が判明している同社の40代男性社員と同じ職場だった。県によると、クラスター(感染者集団)が発生したとみられるキャンプ・ハンセンがある金武町で、米軍関係者と接触した可能性のあるバーの従業員ら 198人に県医師会がPCR検査を実施した結果、全員が陰性だった。
●フードトラック事業を運営する「Mellow(メロウ)」は21日、埼玉・戸田市で、キッチンカーによる、できたての食事を食の支援が必要な子育て世帯などに無償で提供する取り組みをスタートさせた。同社ではNPO法人「全国こども食堂支援センター・むすびえ」と連携。この日午後 6時から戸田市内の 2カ所に 1台ずつのキッチンカーを配備した。事前に申し込みした人たちに無償提供された。また首都圏では公立校などが終業式を終えたが、「コロナ禍」の休校によって大幅減の授業を補うため、多くの学校では補習のための登校が実施されている。通常日程と、異なるために給食がない学校も多い。「こども食堂」と連携した同社の支援は今後、埼玉、神奈川、千葉の 5カ所で展開する予定だ。目の前で調理した熱々の食事を無償で提供するために駆けつける。
●ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ、大阪市)は20日、来場者の居住地制限を解除し対象を全国に拡大して営業を始めた。全国的に「新型コロナウイルスの感染者」が増える中、感染防止対策をどこまで徹底できるかが課題だが、特に感染が拡大している東京都在住者の来場については、購入済みチケットの日付変更を 1年後までできるよう特別ルールを適用。これまでは90日後まで変更が可能だったが、期限を延ばすことで、来場時期を見直す場合でも柔軟に選択できるようにする、苦肉の策を取った。USJは 2月下旬から臨時休業していたが、 6月上旬から営業を再開。施設内感染回避のため来場者を収容人数の半分程度に制限しており、高い集客力の「復活」の時期は、まだ見通せていない。運営会社の村山卓執行役員副社長は、国内で今まで以上に感染が拡大すれば、機動的な対応を取る考えを示した。ただ、流行第 2波が襲来すれば再び来場できる地域を制限したり、臨時休園を強いられる可能性もある。
●「新型コロナウイルス感染拡大」を背景に、不況でも暴落しない「有事の安全資産」とされる金の小売りと先物の価格がいずれも21日、過去最高値を更新した。東京商品取引所では、株価終値に相当する先物指標価格(税抜き)の清算値が35円高の6274円を付け、約 2週間ぶりに最高値を記録した。
●「新型コロナウイルスの実態解明」を研究している東大先端科学技術研究センターの児玉龍彦名誉教授が21日、東京・衆院議員会館で開催された「ヨナオシフォーラム2020」(代表世話人・金子勝氏)で講演し、感染が増加している各自治体などが一斉検査などで感染の防波堤をつくるよう呼び掛けた。先週の国会(閉会中審査)に参考人として出席し、東京・新宿にエピセンター(感染震源地)がつくられていると指摘。国などの対応について児玉氏は、感染拡大の悪循環を抑え込むため、感染が増加している自治体やコミュニティーなどが、自主的に大規模検査などに取り組むことを提言。訴えた。
●「新型コロナウイルスのワクチン」を開発する英オックスフォード大のチームと、中国の軍事科学院医療部門のチームがそれぞれ、接種した人に感染を防ぐ抗体ができ、有望だとする臨床試験の中間結果を英医学誌ランセットに20日発表した。英チームの試験には英国の18~55歳の1000人余りが参加。接種した人は感染した細胞を攻撃する免疫反応が強まって抗体ができた。深刻な副作用はなかった。最終試験では実際に「新型コロナ感染」を防ぐ効果があるかどうかも見極める。
●フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領(75)は21日の演説で、マスクを着けなかったり他人との距離を取らなかったりすれば「重罪だから逮捕する」と述べ、取り締まりを強化する意向を示した。フィリピンでは厳格な外出制限を課していた 3~ 5月の 1日の新規感染者はおおむね 200~ 300人規模だったが、規制の段階的緩和を進めた 6月以降は2500人を超える日もある。保健省によると、今月21日時点の感染者は 7万764人、死者は1837人。
●「新型コロナウイルスの感染拡大」で苦境に立たされている観光業界に対する政府の支援事業「Go To トラベル」が22日、東京都を除く46道府県で始まった。冷え込んだ旅行需要の起爆剤と歓迎する声がある一方、県境を越えた感染拡大につながる恐れも指摘される。期待と不安が交錯する中、初日を迎えた。23~26日の 4連休は、もともとは「東京オリンピック(五輪)開幕」を見込んで設けられた。北アルプスの新穂高ロープウェイは観光客を見込み、日本唯一の 2階建てゴンドラを新調。成田空港では約 3カ月ぶりに、格安航空会社(LCC)の運航に使われるB滑走路の運用を再開する。政府は当初、全国一斉に支援事業を実施する予定だったが、東京都内での感染者急増を受けて、16日になって東京除外を表明した。キャンセル料については、詳細は決まっておらず、混乱が続く中での“見切り発車”となった。旅行代理店「四季の旅」(東京都千代田区)で予約センター長を務める男性(33)は国の方針転換を歓迎。ただ、22日の事業開始直前まで制度の詳細が決まらない現状を嘆いた。同様の声は旅行者からも。東京都目黒区の主婦高島悦子さん(55)は、二転三転する政府対応に嫌気がさし、友人との北海道旅行を中止にした。
●野党は21日、政府が東京発着旅行のキャンセル料補償を表明した観光支援事業「Go To トラベル」を巡り「二転三転、混乱の極みと言っていい状況だ」(立憲民主党の枝野幸男代表(56))と批判を強めた。誰が、なぜ変更を決めたか不明確だとして、方針転換の経緯を説明するよう求めた。国会内で開かれた「新型コロナウイルス対策」の政府・与野党連絡協議会では、事業開始を前倒しした後で東京を除外した過程に質問が集中。野党各党は追及した。自民党の田村憲久政調会長代理(55)も疑問を呈した。政府側から具体的な説明はなかったという。社民党の福島瑞穂党首(64)は記者会見で、キャンセル料の政府補償について非難し、支援事業の中止も訴えた。
記事をまとめてみました。
東京都の小池百合子知事は21日、新たに報告された「新型コロナウイルスの感染者」は 237人だったと明らかにした。直近 7日間の平均でも約232.4人に達した。累計は9816人で 1万人に迫っている。
20日時点の入院患者は確保済みの病床約1500に対し 920人で、うち重症者は13人。入院患者数は 6月下旬以降に上昇している。
都内では 5月25日の「緊急事態宣言」解除後に感染者の増加傾向が続き、今月はほぼ 3桁で推移。 200人台も増え、16日の 286人以降は 300人台に迫る日が目立つ。
都は15日に感染の警戒度を「4段階」の指標で最も高い「感染が拡大している」へ引き上げ、都は不要不急な他県への移動を控えるよう都民に呼び掛けている。
西村康稔経済再生担当相との会談後、取材に応じる東京都の小池百合子知事=都庁
東京都の小池百合子知事は21日、都内での「新型コロナウイルスの感染拡大」を踏まえ、23日からの 4連休に向けて「不要不急の外出」をできるだけ控えるよう都民に呼び掛ける意向を示した。都内で記者団の取材に答えた。
小池氏は、都内の感染状況を評価するモニタリング会議を22日に開催する予定。「 4連休の過ごし方についてのメッセージを発することを考えている」としている。重症化するリスクの高い高齢者や既往症のある人には特に注意を促す方針。
「新型コロナの患者向け」に確保した病床が約2400床に増え、軽症者滞在用の新たなホテル1棟を23日に開設することも明らかにした。
小池氏は21日に都内で西村康稔経済再生担当相と会談し、都内の感染状況や医療体制などに関して意見交換。こうした内容を伝えたとしている。
都内は 7月に入って感染者数がほぼ毎日 3桁で推移。17日には過去最多の 293人に上るなど 300人に迫る日もある。22日開始の政府の観光支援事業「Go To トラベル」は東京発着や都内在住者の旅行が対象外となる影響が出た。
愛知県や名古屋市などは21日、県内に住む10歳未満から80代の男女51人が新たに「新型コロナウイルス」に感染したと発表した。これまでの 1日当たり感染公表数の最多を更新。県内の累計は 708人となった。
県によると、清須市の20~40代男女 3人は、名古屋市内のカラオケバーで発生したクラスター(感染者集団)に含まれる。
沖縄県は21日、宜野湾市の20代男性と那覇市に住む20代女性の計 2人の「新型コロナウイルス感染」を確認したと発表した。県内の感染確認は計 155人となった。20代男性は琉球朝日放送(那覇市)が20日に感染を公表したディレクターで、感染が判明している同社の40代男性社員と同じ職場だった。
また県は21日、米軍普天間飛行場(宜野湾市)で新たに 5人の感染を確認したと、米側から連絡があったと発表。在沖縄米軍の感染者は計 148人となった。県は米軍関係者を県内の感染者数に計上していない。
県によると、クラスター(感染者集団)が発生したとみられるキャンプ・ハンセンがある金武町で、米軍関係者と接触した可能性のあるバーの従業員ら 198人に県医師会がPCR検査を実施した結果、全員が陰性だった。
フードトラック事業を運営する「Mellow(メロウ)」は21日、埼玉・戸田市で、キッチンカーによる、できたての食事を食の支援が必要な子育て世帯などに無償で提供する取り組みをスタートさせた。
同社ではNPO法人「全国こども食堂支援センター・むすびえ」と連携、「安全を担保しながらも、食の知識と技術を持ったシェフが心を込め、できたての料理を提供、心温まる食事支援を実現します」としている。
この日午後 6時から戸田市内の 2カ所に 1台ずつのキッチンカーを配備した。市立戸田児童センターに「ビーフステーキライス」59食分、社会福祉法人むつみ会には「豚丼」91食分の計 150食を用意した。キッチンカーで調理された熱々のメニューは通常 700~ 800円で販売されるもので事前に申し込みした人たちに無償提供された。
埼玉・戸田市の市立児童センターに駆けつけて「ビーフステーキライス」を提供したキッチンカー
生活困窮に陥り、食事を満足にとれない子どもたちに手を差し伸べる活動を続けている全国の「子ども食堂」は、「新型コロナウイルスの感染拡大」する中で、「3密」のリスクを避けるため閉鎖するところも出ている。そのため、利用者も厳しい状況に追い込まれている。
また首都圏では公立校などが終業式を終えたが、「コロナ禍」の休校によって大幅減の授業を補うため、多くの学校では補習のための登校が実施されている。通常日程と、異なるために給食がない学校も多い。「こども食堂」と連携した同社の「フードトラック駆けつけ隊」の支援は今後、埼玉、神奈川、千葉の 5カ所で展開する予定だ。目の前で調理した熱々の食事を無償で提供するために駆けつける。
ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ、大阪市)は20日、来場者の居住地制限を解除し対象を全国に拡大して営業を始めた。
全国的に「新型コロナウイルスの感染者」が増える中、感染防止対策をどこまで徹底できるかが課題だが、特に感染が拡大している東京都在住者の来場については「来場時期の見直しなど特に慎重にご検討いただきたい」とし、購入済みチケットの日付変更を 1年後までできるよう特別ルールを適用。これまでは90日後まで変更が可能だったが、期限を延ばすことで、来場時期を見直す場合でも柔軟に選択できるようにする、苦肉の策を取った。
来場者の対象を全国に拡大したUSJに向かう人たち=大阪市
居住地制限の解除は、政府が22日から「Go To トラベル」を始めることに合わせた形だが、おひざ元の大阪でも感染者は増えており、リスクと背中合わせの対応でもある。USJは来場者にマスクの着用を求め、頻繁に施設内を消毒するなどの対策を講じているが、当面は感染者の動向などをにらみつつ手探りの運営が続きそうだ。
来場者の対象を全国に拡大したUSJで、記念撮影する人たち=大阪市
USJは 2月下旬から臨時休業していたが、 6月上旬から営業を再開。関西 2府 4県から、関西、東海、北陸、中国、四国へ、段階的に対象を広げてきた。施設内感染回避のため来場者を収容人数の半分程度に制限しており、高い集客力の「復活」の時期は、まだ見通せていない。
運営会社の村山卓執行役員副社長は「『コロナ禍』の行方は誰も想像できない。ありとあらゆる選択肢を用意しておく必要がある」と述べ、国内で今まで以上に感染が拡大すれば、機動的な対応を取る考えを示した。ただ、流行第 2波が襲来すれば再び来場できる地域を制限したり、臨時休園を強いられる可能性もある。
「新型コロナウイルス感染拡大」を背景に、不況でも暴落しない「有事の安全資産」とされる金の小売りと先物の価格がいずれも21日、過去最高値を更新した。
小売価格の指標となる地金大手、田中貴金属工業(東京)の販売価格は 1グラム当たり前日比34円高の6937円となり、 4営業日ぶりに最高値を塗り替えた。
東京商品取引所では、株価終値に相当する先物指標価格(税抜き)の清算値が35円高の6274円を付け、約 2週間ぶりに最高値を記録した。
「新型コロナウイルスの実態解明」を研究している東大先端科学技術研究センターの児玉龍彦名誉教授が21日、東京・衆院議員会館で開催された「ヨナオシフォーラム2020」(代表世話人・金子勝氏)で講演し、感染が増加している各自治体などが一斉検査などで感染の防波堤をつくるよう呼び掛けた。
先週の国会(閉会中審査)に参考人として出席し、東京・新宿にエピセンター(感染震源地)がつくられていると指摘。「このままでは来月は目を覆うようなことになる」などと強く警鐘を鳴らしていた。この日も春までの中国・武漢や欧米からの輸入感染症の段階から、ウイルスが変異し、国内感染症になりつつあると指摘。無症状の感染者が持続的に増え、池袋、埼玉、大阪のミナミ、福岡の中洲などにも広がっているとし、「日本の中で山火事が起こりだした危険な状態」と表現した。
東大先端科学技術研究センターの児玉龍彦名誉教授
国などの対応について「先週、新宿で一斉検査をただちに行ってほしいと申し上げたが、一切反応がない」とした児玉氏は、感染拡大の悪循環を抑え込むため、感染が増加している自治体やコミュニティーなどが、自主的に大規模検査などに取り組むことを提言。「地域で感染の防波堤をただちにつくっていかないと、大変なことになってくる」などと訴えた。
「新型コロナウイルスのワクチン」を開発する英オックスフォード大のチームと、中国の軍事科学院医療部門のチームがそれぞれ、接種した人に感染を防ぐ抗体ができ、有望だとする臨床試験の中間結果を英医学誌ランセットに20日発表した。
英チームは既に英国やブラジルで最終試験に進んだ。共同開発する英製薬大手アストラゼネカは 9月の供給開始を表明し、欧米諸国がワクチンの確保で合意している。日本政府も同社と確保を協議。同社は 8月にも日本で臨床試験を始める方向。
英チームの試験には英国の18~55歳の1000人余りが参加。接種した人は感染した細胞を攻撃する免疫反応が強まって抗体ができた。深刻な副作用はなかった。最終試験では実際に「新型コロナ感染」を防ぐ効果があるかどうかも見極める。
フィリピンのドゥテルテ大統領は21日の演説で、マスクを着けなかったり他人との距離を取らなかったりすれば「重罪だから逮捕する」と述べ、取り締まりを強化する意向を示した。「新型コロナウイルス感染拡大」が止まらず、業を煮やしたようだ。
ドゥテルテ氏は「警察署に連行、勾留されれば、いつまででも(感染防止策の)レッスンを受けられる」と語った。外出時にマスクを着けなかった場合、既に罰金を科している自治体もある。
フィリピンでは厳格な外出制限を課していた 3~ 5月の 1日の新規感染者はおおむね 200~ 300人規模だったが、規制の段階的緩和を進めた 6月以降は2500人を超える日もある。保健省によると、今月21日時点の感染者は 7万764人、死者は1837人。
「新型コロナウイルスの感染拡大」で苦境に立たされている観光業界に対する政府の支援事業「Go To トラベル」が22日、東京都を除く46道府県で始まった。冷え込んだ旅行需要の起爆剤と歓迎する声がある一方、県境を越えた感染拡大につながる恐れも指摘される。期待と不安が交錯する中、初日を迎えた。
23~26日の 4連休は、もともとは「東京オリンピック(五輪)開幕」を見込んで設けられた。北アルプスの新穂高ロープウェイは観光客を見込み、日本唯一の 2階建てゴンドラを新調。成田空港では約 3カ月ぶりに、格安航空会社(LCC)の運航に使われるB滑走路の運用を再開する。
政府は当初、全国一斉に支援事業を実施する予定だったが、東京都内での感染者急増を受けて、16日になって東京除外を表明した。キャンセル料については、赤羽一嘉国土交通相が17日に「補償せず」と説明したものの、 4日で撤回。21日に補償することを表明したが、詳細は決まっておらず、混乱が続く中での“見切り発車”となった。
記者会見する赤羽一嘉国交相=国会
政府の観光支援事業「Go To トラベル」の対象から除外された東京都発着の旅行のキャンセル料を国が補償することが決まった21日、多額の費用負担を回避できる見通しとなった旅行代理店から安堵(あんど)の声が上がった。一方、キャンペーン開始直前の再度の方針転換に、旅行者からは「あきれた」「今回の混乱で旅行に行く気がうせた」との意見が漏れた。
旅行代理店「四季の旅」(東京都千代田区)で予約センター長を務める男性は「喜ばしいこと」と国の方針転換を歓迎。ただ、22日の事業開始直前まで制度の詳細が決まらない現状を「振り回されっぱなしで、疲弊している」と嘆いた。対象が10~17日予約分に絞られたことについては「早い時期に予約したお客さんからクレームを言われるかもしれない」と心配した。
同様の声は旅行者からも。東京都目黒区の主婦高島悦子さんは、二転三転する政府対応に嫌気がさし、友人との北海道旅行を中止にした。「いまさらキャンセル料の話が出ても…」とあきれ気味に話した。
野党は21日、政府が東京発着旅行のキャンセル料補償を表明した観光支援事業「Go To トラベル」を巡り「二転三転、混乱の極みと言っていい状況だ」(立憲民主党の枝野幸男代表)と批判を強めた。誰が、なぜ変更を決めたか不明確だとして、方針転換の経緯を説明するよう求めた。
国会内で開かれた「新型コロナウイルス対策」の政府・与野党連絡協議会では、事業開始を前倒しした後で東京を除外した過程に質問が集中。野党各党は「なぜ前倒しし、なぜ東京が除外されたのか。根拠が曖昧だ」と追及した。自民党の田村憲久政調会長代理も「政策決定プロセスはどうなっているのか」と疑問を呈した。政府側から具体的な説明はなかったという。
国民民主党の泉健太政調会長は会合後、記者団に「東京都と国の関係が良くない。何人かの政治家の暗闘が全国民に悪影響を与えているのではないか」と述べ、小池百合子都知事と政権幹部の確執が混乱を招いているとの見方を示した。
社民党の福島瑞穂党首は記者会見で、キャンセル料の政府補償について「政府の愚策で生じた損害を税金で賄うのはどうなのか」と非難し、支援事業の中止も訴えた。