「2020年東京五輪・パラリンピック組織委員会」は25日、旧作品の白紙撤回で選び直した新しい公式エンブレムが「組市松紋(くみいちまつもん)」がタイトルの作品Aに決まったことを発表した。作品Aは、江戸時代に「市松模様」として広まったチェッカーデザインを 3種類の四角形で描き、多様性を表現した。新エンブレムは一般公募で 1万4599点が寄せられ、デザイン性など段階的な審査を経て、最終候補4作品に絞られていた。国民から寄せられた延べ4万人を超える意見を踏まえ、エンブレム委員21人が投票で選んだ。国民からの意見では「日本らしさを感じる」「伝統を感じる」という前向きな意見と、「地味だと感じる」「躍動感がない」というネガティブな声があった。25日、都内で開かれた公式エンブレム発表会見に登場した野老氏は「ついさっき、(決定を)知ることになった。頭の中が真っ白になった」と述べた。1992年に東京造形大学デザイン学科(建築専攻)を卒業。定規やコンパスを使って描ける図形の組み合わせで、平面や立体のアート作品を制作している。今作は10年以上前から温めてきたといい「ずっとおなかの中で育ててきた双子の娘が、やっと生まれたような気分です」と目を輝かせた。「2020年東京五輪・パラリンピック」の新エンブレムが「組市松紋」に決まったことについて、関係者からは「多くの人に親しまれて」と期待の声が相次いだ。菅義偉官房長官は「すっきりした、洗練されたデザインではないかなと思う」と評価。エンブレム委員の王貞治さんは「皆さんに大切にしていただいて、大きく育ってもらえれば」と期待し、大会組織委の森喜朗会長は「シンボルとして多くの皆さんに親しまれるよう祈る」と話した。
2020年に開催される「東京五輪」の追加競技として有力となっている「野球・ソフトボール」の会場に、神奈川・横浜市の横浜スタジアム、千葉・千葉市のQVCマリンフィールドが最終候補として挙がっていることが25日、分かった。「東京五輪」での復活が見込まれる野球・ソフトボール。その開催地として横浜スタジアム、QVCマリンフィールドが最終候補として挙がり、福島県での開催も有力になっていることが分かった。記事をまとめてみました。
新たに決定した「東京五輪・パラリンピック」のエンブレム=東京都港区で2016年 4月25日午後 3時26分
「2020年東京五輪・パラリンピック組織委員会」は25日、旧作品の白紙撤回で選び直した新しい公式エンブレムが「組市松紋(くみいちまつもん)」がタイトルの作品Aに決まったことを発表した。作品Aは、江戸時代に「市松模様」として広まったチェッカーデザインを 3種類の四角形で描き、多様性を表現した。
作品Aの作者は野老朝雄(ところ・あさお)氏と発表された。
組織委は昨年 7月、アートディレクターの佐野研二郎さんの作品を公式エンブレムとして発表していた。しかし、ベルギーのリエージュ劇場のロゴと類似していると指摘された。佐野さんは盗作を否定したが、組織委は同 9月に「国民の理解を得られない」と白紙撤回を表明した。
新エンブレムは一般公募で 1万4599点が寄せられ、デザイン性など段階的な審査を経て、最終候補4作品に絞られていた。国民から寄せられた延べ4万人を超える意見を踏まえ、エンブレム委員21人が投票で選んだ。
国民からの意見では「日本らしさを感じる」「伝統を感じる」という前向きな意見と、「地味だと感じる」「躍動感がない」というネガティブな声があった。
「東京2020大会」エンブレム最終候補作品A「組市松紋」=Tokyo 2020提供
★作品A「組市松紋」:歴史的に世界中で愛され、日本では江戸時代に「市松模様」として広まったチェッカーデザインを、日本の伝統色である藍色で粋な日本らしさを描いた。形の異なる 3種類の四角形を組み合わせ、国や文化・思想などの違いを示す。違いはあってもそれらを超えてつながり合うデザインに「多様性と調和」のメッセージを込め、五輪・パラリンピックが多様性を認め合い、つながる世界を目指す場であることを表した。=Tokyo 2020提供
★作品B「つなぐ輪、広がる和」:選手の躍動と観客の喜びがつながって一つの“輪”となり、世界に広がっていく平和や調和の“和”を表現した。肉体と精神のたくましさ、躍動感・スピード感を込めたデザインにより、「自己ベスト」を目指すアスリートの素晴らしい活躍が世界に与える感動を表す。さらには、2020年に日本がお迎えする世界の人々への敬意とおもてなしの心を伝える。=Tokyo 2020提供
★作品C「超える人」:俵屋宗達の風神雷神図や浅草雷門(風神雷神門)など、古くから日本人に愛されてきた風神・雷神をモチーフに、ゴールテープを切る一瞬の躍動感や、「自己ベスト」を目指し、超えようとする選手たちの姿勢を描いたデザイン。雷神の太鼓を花火に、風神の風袋を虹にたとえ、平和、多様性、調和への思いを込めた。アスリートの強じんな心身による平和への継続的な貢献をエンブレムに託し、未来へつなげる。=Tokyo 2020提供
★作品D「晴れやかな顔、花咲く」:「自己ベスト」を尽くすアスリートと、彼らをたたえる人々の晴れやかな表情。その感情の動きを、空に向いて開花するアサガオに重ねた。アサガオの種が芽を出し、つるを伸ばして花を開き、再び実を結ぶ成長の過程が、大会への期待感や次世代への継承を示している。江戸時代に流行し、子どもから大人まで広く親しまれてきたこの花が、2020年への気持ちを高め、世界から訪れる観客を日本中でお迎えする。=Tokyo 2020提供
「東京2020大会」エンブレム最終候補の(左上から)作品A「組市松紋」、作品B「つなぐ輪、広がる和」、作品C「超える人」、作品D「晴れやかな顔、花咲く」=Tokyo 2020提供
「2020年東京五輪・パラリンピック大会」の公式エンブレムに決まった「A案」は、アーティストの野老(ところ)朝雄氏がデザインした。
野老氏は1969年(昭44)生まれ。東京造形大卒業。建築やデザインなどの分野で活躍している。
25日、都内で開かれた公式エンブレム発表会見に登場した野老氏は「ついさっき、(決定を)知ることになった。頭の中が真っ白になった」と述べ、「長い時間をかけてつくった、わが子のような作品。これからいろいろな形で展開することを考えています」と話した。
採用が決定し作品を手に笑顔の野老(ところ)朝雄氏=東京都港区で2016年 4月25日午後
「2020年東京五輪・パラリンピック」組織委員会は25日、新しい大会公式エンブレムとして、江戸時代に広まったチェック柄の「市松模様」と伝統色の藍色で粋な日本らしさを描いた作品A「組市松紋(くみいちまつもん)」を発表した。作者は東京都のアーティスト、野老朝雄(ところ・あさお)さん(46)。昨年 7月に発表したエンブレムは盗用疑惑が拡大し白紙撤回。異例の選び直しを経て決定した。
約 8カ月に及ぶ議論の末、大会の象徴がようやく決まった。旧エンブレムは、盗作疑惑から騒動が拡大。選考の閉鎖性から、五輪自体にまで批判が広がった。新エンブレムの選考には、この混乱の収拾も求められた。
委員会の議論は白熱。宮田亮平委員長(文化庁長官)は「色々な世界からの委員がいて、会議は必ず紛糾した」と舞台裏を明かした。
宮田亮平委員長(右)は議論をまとめてきた王貞治委員に感謝。選定された「組市松紋」を披露する場にも登壇してもらった=東京都港区で2016年 4月25日午後
これをまとめたのが世界の王、プロ野球ソフトバンクの王貞治球団会長だった。宮田委員長は「収拾がつかなくなると王さんに振るんです。そうすると必ずホームラン。まとまった」と感謝。国民の選考への不信を払拭するために招かれた王委員だったが、当然のことながら、組織委が期待した以上の存在感を発揮した。
王委員は発表会見にも登壇。「公明正大に野老さんが選ばれたと、胸を張ってお伝えできる。日本というイメージにぴったりの作品」と自信を持って語り、「思いがけず委員に選んでいただき、今までにない素晴らしい体験をさせていただいた。色々な議論が出た中で決定できたこと、その席に同席できたことを新たな喜びとして、残りの人生、胸の中に秘めてまいりたい」と振り返った。
一方、作者の野老さんは「以前から五輪への憧れがあった」と喜びの表情。形の異なる 3種類の45個の四角形を組み合わせたデザインについて「同じピースを使うことにこだわった。それが平等の精神、大会の精神とも合うのではないかと思った」と説明した。
1992年に東京造形大学デザイン学科(建築専攻)を卒業。定規やコンパスを使って描ける図形の組み合わせで、平面や立体のアート作品を制作している。今作は10年以上前から温めてきたといい「ずっとおなかの中で育ててきた双子の娘が、やっと生まれたような気分です」と目を輝かせた。
★選考は
エンブレム委員21人の投票は、 1回目で作品Aが過半数の13票を獲得。輪をデザインした作品Bが 1票、「風神雷神」がモチーフの作品Cが 2票、朝顔をイメージした作品Dは 5票だった。共同通信のアンケートやネット検索大手ヤフーの意識調査ではBとDが人気を集めていたが、広告代理店の関係者は「Aが最も商業的に展開しやすい」との見方を示していた。会場の装飾やグッズ展開など、昨今はデザインの汎用(はんよう)性が重視される。「絵」ではなく「模様」に近いAは、その点が高く評価されたようだ。
★選手は
競泳男子でリオデジャネイロ五輪代表の萩野公介(東洋大學)は「 4種類の中で一番好きで、とてもうれしい。日本らしさが素直に表れている」と喜んだ。21歳の日本のエースは「リオで、そして東京で活躍できるよう精進していく」と刺激を受けたようだった。萩野と同学年でライバルの瀬戸大也(JSS毛呂山)も「すごくシンプルでいい」と感想を述べ「まずはリオ五輪でしっかりと結果を出し、東京でさらに飛躍したい」と将来への思いを語った。
★専門家は
美術評論家の暮沢剛巳氏は「シンプルで分かりやすい。一色しか使っていないことが、力強さにつながっている。単色のデザインは、近年の五輪やパラリンピックでは記憶にない」とその新しさを評価した。一方、広告デザイン批評家の河尻亨一氏は「最終候補は全体的に存在感が希薄。(選ばれたデザインは)完成度が高いが、スポーツ感を表現できているのか疑問がある。その意味で五輪のエンブレムとしては、(佐野氏の)前回のエンブレムの方がふさわしい」としている。
★街の声は
京都市の自営業、浅田和義さん(70)は「いろいろあったから、シンプルなものが一番と思っていた」と評価。神奈川県小田原市の主婦、長崎清子さん(68)も「粋な感じがする」と好感を示した。一方、大阪市の会社員、森田夕貴さん(24)は「カラフルで華やかなデザインのB案に選ばれてほしかった」。野老さんが外装を手掛けた名古屋市の「大名古屋ビルヂング」に勤務先がある男性(43)も「チャレンジ精神に欠け、海外受けがいいかどうか心配だ」と語った。
★佐野氏は
旧エンブレムをデザインしたアートディレクター、佐野研二郎氏(43)の東京・神宮前にある事務所は、窓に白いスクリーンが下ろされ、内部の様子をうかがうことはできなかった。インターホン越しにスタッフとみられる男性が「コメントはしておりません」とだけ応答した。旧エンブレムの白紙撤回後、佐野氏は公の場から姿を消した。教授を務めていた多摩美術大學では、 4月から 1年間の休職扱いとなっている。
「2020年東京五輪・パラリンピック」の公式エンブレムを発表するエンブレム委員会の宮田亮平委員長(右)と王貞治氏=東京都港区で2016年 4月25日午後 3時26分
「2020年東京五輪・パラリンピック」の新エンブレムが「組市松紋」に決まったことについて、関係者からは「多くの人に親しまれて」と期待の声が相次いだ。
「誇りを持って大会のシンボルに使える」と話すのは東京都の舛添要一知事。撤回に追い込まれた旧エンブレムは選考の閉鎖性などが批判されており「相当数の国民が意見を出した。今回は問題ないと確信している」と強調した。馳浩文部科学相は「エンブレムも新国立競技場の問題も、関係者みんなが反省しながら、課題に真摯(しんし)に取り組んでいく必要がある」と気を引き締めた。
当初はD案を評価していたという遠藤利明五輪相は「自分の予想とは違った。日本らしさもあるし、デザインのシンプルさ、創造性、展開力とかで判断された。言われてみればなるほどと思った」と率直に語った。
菅義偉官房長官は「すっきりした、洗練されたデザインではないかなと思う」と評価。エンブレム委員の王貞治さんは「皆さんに大切にしていただいて、大きく育ってもらえれば」と期待し、大会組織委の森喜朗会長は「シンボルとして多くの皆さんに親しまれるよう祈る」と話した。
昨年11月の野球国際大会「プレミア12」では大谷(左)、山田らのプレーに日本中がわいた。東京五輪でも、こんな光景が見られるかもしれない
2020年に開催される「東京五輪」の追加競技として有力となっている「野球・ソフトボール」の会場に、神奈川・横浜市の横浜スタジアム、千葉・千葉市のQVCマリンフィールドが最終候補として挙がっていることが25日、分かった。東日本大震災の被災地、福島県での一部開催も見込まれており、今年 8月にブラジル・リオデジャネイロで行われる国際オリンピック委員会(IOC)総会で追加種目が正式に決まり次第、IOCとの最終調整に入る見通しだ。 「東京五輪」での復活が見込まれる野球・ソフトボール。その開催地として横浜スタジアム、QVCマリンフィールドが最終候補として挙がり、福島県での開催も有力になっていることが分かった。
「野球は横浜スタジアム、QVCマリンが最終候補となっている。プロ野球としても、できる限りの協力をしていきたい」と球界関係者が明かした。
ハマスタはDeNA買収で改修計画
横浜スタジアムは今年 1月にDeNAが運営会社の株式公開買い付け(TOB)に成功し、一体経営を実現。2020年を見据えた改修計画の議論を横浜市などと進めている。隣接する市庁舎が移転する見込みで、大会運営に必要なスペースの確保にもめどが立っている。
QVCマリンは12年に屋内練習場が完成。広大な敷地も既に確保されている。隣接する幕張メッセではレスリングなど 3競技を実施予定で、千葉への集中を懸念する声もあったが、都心からのアクセスなど利便性も高く条件が整っている。
別の関係者によると、大会組織委員会は福島県での一部実施に向けた調査も進めているという。五輪を通じて東日本大震災の被災地の復興を世界にアピールしたい考えで、2013年にプロ野球オールスターゲームを開催した「いわきグリーンスタジアム」(いわき市)や「県営あづま球場」(福島市)が有力候補だ。
QVCマリンは利便性抜群
東京ドームでの開催も検討されていたが、周辺に遊園地などが密集し、警備やメディアのために必要なスペースが不足している点などが障害となっていた。五輪のメイン会場、新国立競技場に隣接する神宮球場もセキュリティー対策や資材置き場としての活用が見込まれていることから横浜、千葉、福島が浮上した。
課題はある。横浜スタジアムはDeNA、QVCマリンはロッテの本拠地。準備期間を含めて、約 2カ月間はプロ野球の公式戦が実施できなくなる。ヤクルトの本拠地、神宮球場を含む 3球場が使用できなくなれば、代替球場の確保や日程調整が必要になる。
8月の国際オリンピック委員会(IOC)総会で追加種目が正式決定。競技会場はその後、複数が必要になるかも含めてIOCと最終調整に入る。この日、公式エンブレムも決定した「東京五輪」。 4年後へ、いよいよ機運が高まってきた。
震災から復興アピール!「いわきグリーンスタジアム」は2013年に球宴開催の実績
◆追加種目・決定の流れ◆
国際オリンピック委員会(IOC)は2014年12月の臨時総会で、開催都市が実施種目の追加を提案できるなどの改革案を採決。2020年東京五輪・パラリンピック組織委員会が昨年 9月に野球・ソフトボール、空手、ローラースポーツのスケートボード、スポーツクライミング、サーフィンの 5競技、合計18種目の実施を提案すると発表した。今年 8月のIOC総会で追加種目が決まるが、開催都市の意向を尊重する方針で、野球・ソフトボールは2008年北京大会以来の復帰が有力視されている。
決まったエンブレムについて文句を言うつもりは無いが、躍動感が感じられるC案を虎ちゃんは推していた。しかし、躍動感が無い伝統を重視したかの様に決まったA案。今後の反響などを見ていきたいですね。