● 4日阪神甲子園球場で阪神-DeNA22回戦が行われ、DeNAは 2回、 4番ロペスの左越え ソロで先制。先発今永は 2回無死 1、 2塁、 3回二死 2塁のピンチを無失点で切り抜けた。阪神 岩貞は立ち直り中盤も追加点を許さない。ただ打線は好機を生かせず得点できない。阪神は 1点 を追う 8回一死 2、 3塁から、高山の中前打で同点。さらに原口の適時打で勝ち越し。連敗を「7」 で止めた。阪神が最下位転落寸前の 8回に逆転し、連敗を「7」で止めた。金本知憲監督(48)の第 一声はファンへの謝罪だった。ほぼ虎ファンで埋め尽くした 3万8000人の大声援に感謝し、勝利 の味をかみしめた。負ければ中日と並んで最下位転落の危機だった。何より、本拠地・甲子園の 連敗を「5」でストップしたことにホッとした表情をみせていた。
●福留孝介外野手(39)が「守り」でチームの「8連敗」を阻止した。 0- 1の 3回二死 1、 3塁。宮崎 のフェンス際への飛球を全力疾走し、よろけながらもキャッチ。抜けていれば 2人の走者が生還 していただけに、価値あるプレーだった。逆転勝利にも浮かれた様子はなし。険しい表情で引き 揚げた。
● 1番で出場した北條史也内野手(22)は 3打席連続で無安打も、 8回に一死から左前打で出塁。 反撃へののろしを上げた。続く上本の中前打で一気に 3進する好走も披露。「自分の判断でした」 と胸を張った。
●上本博紀内野手(30)は 8回一死 1塁で中前打と逆転劇を演出したが、 2走として須田のけん制 で帰塁する際、左右の足をつり、途中退場。担架で運ばれ、ベンチ裏で治療を受けた。金本監督 も「足がつったみたい」とだけ話し、大ごとには至らないもようだ。
●連敗を「7」で止めた。本拠地・甲子園での白星は 7月31日以来、35日ぶりだった。 8回に高山俊 外野手(23)が中前に同点打を放ち、新人王に向けて数字をさらに積み上げた。高山がレジェンド 級の活躍だ。 1点を追う 8回一死 2、 3塁で田中のカーブを捉えて、中前に同点適時打を放った。 シーズン 119安打目は阪神の新人では1953年吉田義男氏(83)と並ぶ歴代 4位だ。また、55打点目 となり、球団の新人では1980年岡田彰布氏(58)を抜いて単独 3位に浮上した。勝利投手の岩貞、 勝ち越し打の原口と並び立ったお立ち台。振り返ったのは 1点を追う 8回だ。一死 2、 3塁で 2 番手の左腕・田中のカーブを引きつけ、コンパクトに弾き返した。試合を振り出しに戻すと、二 死 1、 2塁から原口が 2点打。連敗を「7」で止めた。デーゲームで中日が勝っていたため、負け れば同率最下位だったが、それも救った。新人王を争う今永の白星を消し、タイトル争いでさら にリード。誰より近くで見てきた片岡篤史打撃コーチ(47)が舌を巻く。同コーチは新人だった1992 年に日本ハム球団(現北海道日本ハムファイターズ)で 125安打53打点をマーク。高山と同等の数 字を残しているが、“完敗”を認める。残り16試合。 3位DeNAとは 4ゲーム差。大逆転での クライマックスシリーズ出場へ。進化を止めない高山が、猛虎を引っ張っていく。
●原口文仁捕手(24)が決勝打を放ち、チームの連敗を「7」で止めた。 1点を追う 8回、高山の中 前タイムリーで同点として、なお二死 1、 2塁、DeNA須田から左越えに勝ち越しの 2塁打。 先発岩貞に勝ち星をつける、この日 3本目の安打を放った原口はヒーローインタビューで「必死の パッチで打ちました!」と絶叫。どよめきの中で、一人冷静だった。上本の負傷退場による“空白 の時間”を、すぐさま歓喜の瞬間に変えた。高山の適時打で同点とした直後の 8回二死 1、 2塁。 試合が止まった。けん制に頭から戻った 2走・上本が起き上がれない。両足をつったまま担架で 運ばれ、ボルテージ最高潮だった聖地が、いったん静まり返った。初球の直前での空白。DeNA の 3番手・須田との根比べに、神経を研ぎ澄ました。代走・大和が 2塁に着き、 1ボールからの 2 球目。 144キロ直球をかっ飛ばし、左翼手の頭上を襲った。決勝の 2点 2塁打。 2塁上で両手の こぶしを握り、何度も震わせた。 7月28日のヤクルト戦以来となる38日ぶり、今季 6度目の猛打 賞に、金本監督もうなずいた。新人の坂本にスタメンマスクを譲ることが多くなっていたが、白 星とともに扇の要としての立場も取り戻す。同い年の岩貞にも白星を贈った。お立ち台ではお決 まりのセリフだ。台頭したシーズン-というだけで終わらせはしない。原口はもっともっと勝つ つもりだ。
●高山、原口の若虎に救われた。鳥谷敬内野手(35)が 3度の得点圏でいずれも凡退。 8回の逆転 劇がなければ最下位転落の戦犯だった。聖地をため息に包んだのは 1点を追う 7回だった。先頭 の原口が左前打。ベンチは狩野に送らせ、一死 2塁して鳥谷を信じることにした。ところが内角 高めの直球に 2ゴロ。 2回一死 1、 2塁でも 2ゴロ、 8回二死 1、 3塁でも 2飛と凡退し、 4打 数無安打。兆しはなかった。急造とはいえども、 3塁守備には金本監督も「さすが」とうなる。だ からこそ、いつまでも、今季の鳥谷ではダメだ。
●岩貞祐太投手(24)は 8回 3安打 1失点と好投し、 4戦ぶりの白星となる「6勝目」を記録した。 2 回、先頭の 4番ロペスに先制の左越えソロを被弾。以降は完全に立ち直り、味方打線の 8回裏逆 転劇を呼び込んだ。チームの連敗を「7」で止め、充実感を漂わせた。久々に笑顔が弾けた。 8月 2 日以来、33日ぶりの勝利投手。岩貞はお立ち台で声を震わせた。登板 4試合ぶりの白星は、チー ムの連敗を「7」で止める価値あるもの。 8回を投げて 3安打 1失点。あきらめない力投が勝利を 呼んだ。 2回の 1球を後悔し続けた。右足を痛めて欠場した筒香の代役 4番・ロペスへの 2球目 が高く浮き、甘い球は一気に左翼席まで到達。あっという間に先制点を奪われた。原口とのバッ テリーは 2試合ぶり14度目。今季 6勝( 9敗)のうち、 5勝を原口と組んでつかんでいる。それだ け相性がいいのには理由がある。 2人は何度も一緒に食事をする仲で、 8月最後の名古屋遠征時 にも食事にでかけた。日頃からコミュニケーションを欠かさない 2人だからこその結果だった。 5日が25歳の誕生日の岩貞に、野手からの“前祝い”だった。24歳最後の夜に見せた頼もしい姿。 25歳の岩貞にも期待したくなる。 記事をまとめてみました。
<阪神 3- 1DeNA、22回戦(阪神14勝 7敗 1分)>◇ 4日◇阪神甲子園球場
DeNAは 2回、 4番ロペスの左越えソロで先制。先発今永は 2回無死 1、 2塁、 3回二死 2 塁のピンチを無失点で切り抜けた。 阪神岩貞は立ち直り中盤も追加点を許さない。ただ打線は好機を生かせず得点できない。 1- 0 とDeNAリードで終盤に入った。 阪神は 1点を追う 8回一死 2、 3塁から、高山の中前打で同点。さらに原口の適時打で勝ち越 し。連敗を「7」で止めた。
8回裏阪神二死 1、 2塁、勝ち越しの 2点適時 2塁打を放ち手をたたいた原口文仁捕手 =阪神甲子園球場
阪神が最下位転落寸前の 8回に逆転し、連敗を「7」で止めた。金本知憲監督の第一声はフ ァンへの謝罪だった。
「久しぶりの甲子園の勝利でホッとしてます。申し訳ありませんでした、ホントに」。ホームで 地の利があるはずの甲子園で今季は 9個の借金を抱え、勝利の六甲おろしは 7月31日以来実に 1 カ月ぶり。「僕は連敗が止まったというよりも、甲子園で勝てたことがうれしいですね。最下位が 目の前のチームなのに、これだけ入って応援してくれるんですから。何とか勝利を、とね。あり がたいですね」。ほぼ虎ファンで埋め尽くした 3万8000人の大声援に感謝し、勝利の味をかみしめた。
連敗脱出し選手を出迎える金本知憲監督=阪神甲子園球場
高山、原口の適時打で逆転勝ち。連敗を「7」で止めた金本知憲監督は試合後のテレビインタビ ューで「ホッとしていますけど、本当に申し訳ありませんでした」とファンに謝罪した。
負ければ中日と並んで最下位転落の危機だった。何より、本拠地・甲子園の連敗を「5」でスト ップしたことにホッとした表情をみせていた。
--ようやく白星
「ですね。本当に…。久しぶりの甲子園の勝利。ホッとしていますけど、本当に申し訳ありません でした」
--岩貞が粘りの投球
「ですね。何というんですか、球数もすごく少なくてテンポもよくて、 8回終わって 100球ぐらい ですかね。ホント、ナイスピッチングでした。岩貞が 1点で抑えてくれたので逆転できたと思い ます」
DeNA戦に先発した岩貞祐太投手=阪神甲子園球場
--岩貞に勝ちがついた
「それが一番よかったですね。ハイ、ホント、よかったです」
--岩貞をリードした原口が決めた
「ですね。打撃の方もかなり上向いて、また勝負強さといいいますかね。ちょっと一時、調子を落 としていたんですが、本当によかったです」
--高山も勝負強い
「そうですね。おそらく狙って打ったんじゃないかな、と。カーブをね、ミートして。よく打って くれました」
3回、ベンチの金本知憲監督=阪神甲子園球場
--チームも 2桁安打
「久しぶりじゃないですかね。本当によかったです」 --上本のけがは 「足がつったみたいです」
--大ごとではない 「と思います」
--鳥谷の 3塁守備は
「やっぱりさすが。つい最近までショートをやっていましたし、捕ってからも速いし、動きもさす がですね」
4回、邪飛に倒れた鳥谷敬内野手=阪神甲子園球場
--チームの流れも変わる
「もう変えないとね。本当に。せっかくきた流れというか、勝利ですから波に乗れるようにやって いきます」
--週明けは巨人戦
「(対)巨人とか(対)DeNAとか相手関係なく、とにかく目の前の勝利。試合を勝つという気持ち」
--もう一言
「全力を尽くすだけです」
福留が「守り」でチームの「8連敗」を阻止した。 0- 1の 3回二死 1、 3塁。宮崎のフェンス際 への飛球を全力疾走し、よろけながらもキャッチ。抜けていれば 2人の走者が生還していただけ に、価値あるプレーだった。「先を考えても仕方ない。目の前の試合を一個一個、勝つだけ」。逆 転勝利にも浮かれた様子はなし。険しい表情で引き揚げた。
3回、DeNA・宮崎敏郎内野手の打球を捕球する福留孝介外野手=阪神甲子園球場
1番で出場した北條は 3打席連続で無安打も、 8回に一死から左前打で出塁。反撃へののろし を上げた。「集中して、冷静にいきました。まっすぐに絞って、ボールを見極められた」とうなず いた。続く上本の中前打で一気に 3進する好走も披露。「自分の判断でした。そういう走塁をして いきたい」と胸を張った。
8回、安打を放った北條史也内野手=阪神甲子園球場
上本は 8回一死 1塁で中前打と逆転劇を演出したが、 2走として須田のけん制で帰塁する際、 左右の足をつり、途中退場。担架で運ばれ、ベンチ裏で治療を受けた。一時は心配されたが、試 合後は「大丈夫です」とクラブハウスへ続く階段を上っていった。金本監督も「足がつったみたい」 とだけ話し、大ごとには至らないもようだ。
8回、牽制球で帰塁した際に足を痛めた上本博紀内野手=阪神甲子園球場
高山俊外野手がレジェンド級の活躍だ。
1点を追う 8回一死 2、 3塁で田中のカーブを捉えて、中前に同点適時打を放った。シーズ ン 119安打目は阪神の新人では1953年吉田義男氏と並ぶ歴代 4位だ。また、55打点目となり、球 団の新人では1980年岡田彰布氏を抜いて単独 3位に浮上した。安打記録について問われると「ヒッ ト、何本ですか?」と逆取材。「 1本ずつしか増えない。 1本 1本かなと思います。打点に関して はチームメートがチャンスメークしてくれた結果なので、しっかり応えていければ」と意気込ん だ。 8月20日の巨人戦(東京ドーム)以降、 3番に座っており、主軸が似合ってきた。
8回裏阪神一死 2、 3塁、高山俊外野手は中前適時打を放った=阪神甲子園球場
お待たせしました。阪神は 3- 1でDeNAに逆転勝ちし、連敗を「7」で止めた。本拠地・甲 子園での白星は 7月31日以来、35日ぶりだった。 8回に高山俊外野手が中前に同点打を放ち、新 人王に向けて数字をさらに積み上げた。クライマックスシリーズ進出はまだあきらめんでぇ!
低く鋭いライナーが中堅に伸びた。桑原が決死のダイブも、白球はグラブを弾いて緑の芝の上 へ。値千金の同点打にマンモスが揺れた。虎ファンが待ち望んだ六甲おろしの大合唱。高山のバ ットが、 7月31日以来の甲子園での勝利を呼んだ。
「あの回しか(岩貞さんに)勝ちをつけられなかったので、チャンスをなんとかモノにしようと思 っていました」
8回、原口文仁捕手の 2点適時 2塁打で生還した高山俊外野手を出迎える金本知憲監督 =阪神甲子園球場
勝利投手の岩貞、勝ち越し打の原口と並び立ったお立ち台。振り返ったのは 1点を追う 8回だ。 一死 2、 3塁で 2番手の左腕・田中のカーブを引きつけ、コンパクトに弾き返した。試合を振り 出しに戻すと、二死 1、 2塁から原口が 2点打。連敗を「7」で止めた。デーゲームで中日が勝っ ていたため、負ければ同率最下位だったが、それも救った。「すごくうれしいです」と表情を緩めた。
「久しぶりの甲子園の勝利。ホッとしていますけど、本当に申し訳ありませんでした」 金本監督は35日ぶりの本拠地での勝利に“ザンゲ”すると「狙って打ったんじゃないかな、と。 カーブをミートして。よく打ってくれました」と大物ルーキーをねぎらった。
勝利に沸く阪神ファン=阪神甲子園球場
新人王を争う今永の白星を消し、タイトル争いでさらにリード。数字ではレジェンドに肩を並 べた。虎新人の 119安打は1953年の吉田義男氏に並ぶ 4位。55打点は1980年の岡田彰布氏を抜く、 単独 3位だ。
誰より近くで見てきた片岡打撃コーチが舌を巻く。同コーチは新人だった1992年に日本ハム球 団で 125安打53打点をマーク。高山と同等の数字を残しているが、「もうすでに(当時の自分を) 超えているよ。スイングの力強さ、インコースのさばき方もそう。打席での余裕も出てきた」と “完敗”を認める。
だから 8回も余計な言葉は必要なかった。打席に向かう背番号「9」に片岡コーチは「わかってい るな?」のひと言。ルーキーも力強くうなずいた。
8回、選手交代を告げる金本知憲監督=阪神甲子園球場
6回までの 3打席で「スライダー、カーブが多かった」と相手バッテリーの攻め方を把握してい た。 8回は今永から同じ左腕の田中へスイッチしたが、同じ球種を持つことから「追い込まれるま ではそのボール(スライダー、カーブ)と、それ以上に甘く入ってくる球を」と狙いを定め、甘い 3 球目を一閃。信頼に応えてみせた。
「打点はチームメートがチャンスメークしてくれた結果なので、しっかりと(期待に)応えて、積 み重ねていきたい」
残り16試合。 3位DeNAとは 4ゲーム差。大逆転でのクライマックスシリーズ出場へ。進化 を止めない高山が、猛虎を引っ張っていく。
◆データBOX◆
◎…高山は今季 119安打で、阪神の新人では1953年の吉田義男氏に並ぶ歴代 4位。55打点は1980 年の岡田彰布氏(54打点)を抜き、阪神の新人で歴代「3位」となった。
原口文仁捕手が決勝打を放ち、チームの連敗を「7」で止めた。
1点を追う 8回、高山の中前タイムリーで同点として、なお二死 1、 2塁、DeNA須田から 左越えに勝ち越しの 2塁打。先発岩貞に勝ち星をつける、この日 3本目の安打を放った原口はヒ ーローインタビューで「必死のパッチで打ちました!」と絶叫。「まだまだ(CS進出を)あきらめて ませんので、ぼくたちもがんばります。みなさんも熱い応援よろしくお願いします!」と話した。
ヒーローインタビューで大声を張り上げる原口文仁捕手。左から岩貞祐太投手、高山俊外野手 =阪神甲子園球場
どよめきの中で、一人冷静だった。気持ちの強さで、原口がチームの「7連敗」を止めた。上本 の負傷退場による“空白の時間”を、すぐさま歓喜の瞬間に変えた。
「結構(間が)あいたので、集中を切らした方が負けると思った。それだけ考えていました」
高山の適時打で同点とした直後の 8回二死 1、 2塁。試合が止まった。けん制に頭から戻った 2 走・上本が起き上がれない。両足をつったまま担架で運ばれ、ボルテージ最高潮だった聖地が、 いったん静まり返った。
勝利を決めたのは原口文仁捕手。 8回、左越えへ 2点 2塁打を放ち、勝ち越し点をもたらした =阪神甲子園球場
初球の直前での空白。DeNAの 3番手・須田との根比べに、神経を研ぎ澄ました。代走・ 大和が 2塁に着き、 1ボールからの 2球目。 144キロ直球をかっ飛ばし、左翼手の頭上を襲った。 決勝の 2点 2塁打。 2塁上で両手のこぶしを握り、何度も震わせた。
直近の出場10試合で打率 0.100(30打数 3安打)と不調だったが、息を吹き返して 3安打 2打 点。 7月28日のヤクルト戦以来となる38日ぶり、今季 6度目の猛打賞に、金本監督も「僕の目で はきょう、トップを作るのが早かった。打つ体勢を作るのがね。あれだったら見極めができる」と うなずいた。原口も「きのう( 3日)の練習でしっくりきた感じがしたので」と手応えをつかんだ。
8回、 2点適時 塁打を放った原口文仁捕手=阪神甲子園球場
甲子園のファンを、これ以上悲しませることはできなかった。ナイターの日は必ず午後 1時ご ろから右翼の芝で15分ほどウオーミングアップを行うが、前日 3日はその最中にひらめき、 1塁 側アルプススタンドを最上段まで登った。「結構、見やすい! ここから見ると広さもよくわかり ますし、本当にすごい球場ですよね…」。ほとんど 360度を埋めてくれている虎党を熱狂させたか った。
新人の坂本にスタメンマスクを譲ることが多くなっていたが、白星とともに扇の要としての立 場も取り戻す。同い年の岩貞にも白星を贈った。
「必死のパッチで打ちました! 本当に、捕手としては先発に勝ちがついて、最高です」
お立ち台ではお決まりのセリフだ。台頭したシーズン-というだけで終わらせはしない。原口 はもっともっと勝つつもりだ。 若虎がそろってお立ち台に上がった甲子園 高山俊外野手23歳、岩貞祐太投手24歳、原口文仁捕手24歳。
高山俊外野手23歳、岩貞祐太投手24歳、原口文仁捕手24歳。若虎がそろってお立ち台に上がった =阪神甲子園球場
高山、原口の若虎に救われた。鳥谷が 3度の得点圏でいずれも凡退。 8回の逆転劇がなければ 最下位転落の戦犯だった。
「それはそっち(報道陣)で判断してください」
相手先発は左腕の今永だったが、新天地の「 3塁」で 2試合連続スタメン。先発を外れるひとつ の要因だった対左腕への弱さを払拭したいところだったが…。
聖地をため息に包んだのは 1点を追う 7回だった。先頭の原口が左前打。ベンチは狩野に送ら せ、一死 2塁して鳥谷を信じることにした。ところが内角高めの直球に 2ゴロ。 2回一死 1、 2 塁でも 2ゴロ、 8回二死 1、 3塁でも 2飛と凡退し、 4打数無安打。兆しはなかった。
鳥谷敬内野手はブレーキ。対左腕の弱さは致命的だ=阪神甲子園球場
片岡打撃コーチは「ひとつ言えるのは、逆方向への安打が少ない。捉えたのが正面につく」と指 摘。その上で遊撃からの転向について「宮本(慎也、元ヤクルト)も石毛さん(宏典、元西武など) も 3塁で選手寿命が延びたり、見る角度が変わったりしてね。いいところもある」と、新たな引き 出しにするよう求めた。
急造とはいえども、 3塁守備には金本監督も「さすが」とうなる。だからこそ、いつまでも、今 季の鳥谷ではダメだ。
ファンに手を振る岩貞祐太投手=阪神甲子園球場
岩貞祐太投手は 8回 3安打 1失点と好投し、 4戦ぶりの白星となる「6勝目」を記録した。
2回、先頭の 4番ロペスに先制の左越えソロを被弾。以降は完全に立ち直り、味方打線の 8回 裏逆転劇を呼び込んだ。「あの 1点が悔やまれる展開が続いていた。相手(DeNA先発今永)の出 来を見たら、もうあれ以上点はやれないと思った。なんとか最少失点で粘れて良かったです」。チ ームの連敗を「7」で止め、充実感を漂わせた。
先発の岩貞祐太投手=阪神甲子園球場
久々に笑顔が弾けた。 8月 2日以来、33日ぶりの勝利投手。岩貞はお立ち台で「最高にうれしい です」と声を震わせた。登板 4試合ぶりの白星は、チームの連敗を「7」で止める価値あるも の。 8回を投げて 3安打 1失点。あきらめない力投が勝利を呼んだ。
「あの 1点が悔やまれる展開が続いていて、相手(今永)の調子を考えたら、もう点はあげられな いと思いました。最少失点で粘れてよかったです」
1回、DeNA・桑原将志外野手の投手ゴロを処理した岩貞祐太投手=阪神甲子園球場
2回の 1球を後悔し続けた。右足を痛めて欠場した筒香の代役 4番・ロペスへの 2球目が高く 浮き、甘い球は一気に左翼席まで到達。あっという間に先制点を奪われた。ベンチに戻ると香田 投手コーチから声をかけられた。
「投げる球で何をしたいのか明確にしなさい、と言われました。基本的なことですけど、初心に かえること、見直すことで立ち直せました」
岩貞祐太投手は 8回 1失点の好投。 1カ月ぶりの 6勝目をつかんだ=阪神甲子園球場
もちろん、ひとりの力ではなかった。この日は頼れる同い年が相棒だった。
「原口がうまくリードしてくれて、イニングごとに話しながらうまくいけました」
原口とのバッテリーは 2試合ぶり14度目。今季 6勝( 9敗)のうち、 5勝を原口と組んでつかん でいる。それだけ相性がいいのには理由がある。
甲子園で35日ぶりの勝利。金本知憲監督も笑顔でナインを出迎えた=阪神甲子園球場
2人は何度も一緒に食事をする仲で、 8月最後の名古屋遠征時にも食事にでかけた。登板前日 の 3日には、外野でキャッチボール中の岩貞に原口が近寄り、立ち話。日頃からコミュニケーシ ョンを欠かさない 2人だからこその結果だった。
99球が報われた。マウンドを降りた直後の 8回、これまでの登板時に援護の少なかった打線が 一気に 3点のプレゼント。 5日が25歳の誕生日の岩貞に、野手からの“前祝い”だった。
「ありがたかったです。24歳はいい形で締めくくれました」
24歳最後の夜に見せた頼もしい姿。25歳の岩貞にも期待したくなる。
ノコッタ!ノコッタ!相撲に例えれば、徳俵で勝ち残った状態に最下位に落ちる寸前で残りましたね。全員野球でファン皆が待ち望む「二文字」に向かっての前進も完全に無くなった! しかし、ガンバレ!阪神!我らのタイガース!勝利を掴め!
2016年 公式戦 日程と結果(09月)
2016年 公式戦順位表
2016年 ファーム試合日程・結果(09月)