●22日マツダスタジアムで広島-阪神25回戦が行われ、 3回まで両先発投手が上々の滑り出しを見せた。広島ジョンソンは 1人の走者も出さず完全投球。阪神藤浪も 1安打投球。阪神は 4回に北條の 4号ソロで先制。 6回には上本の 2号ソロで加点した。 8回に高山の 2ランで突き放した阪神が広島戦の連敗を「4」で止めた。藤浪は完投で 7勝目。広島ジョンソンは 7敗目で阪神戦は来日初黒星。金本知憲監督(48)は試合前の円陣でナインにゲキ。身ぶり手ぶりを交えて指示した。それに応えるように投打が奮起し、 4連敗中だった広島に完勝。 6位・中日とは 1.5ゲーム差に広がった。
●北條史也内野手(22)が先制となる 4号ソロを放った。会心の一撃だった。 4回無死、広島先発クリス・ジョンソン投手(31)のフルカウントの 7球目だった。 147キロ内角真っすぐをとらえると、ぐんぐんと伸びた白球はそのまま左翼席に突き刺さった。今季15勝を挙げた好投手から 3回まで無安打に抑えられ、 2打席目も追い込まれてからの一撃だった。ジョンソンとは試合前時点で過去 2年間の対戦で 9戦 6敗と白星なし。防御率に至っては 1点台前半に抑えられた難敵だった。広島との最終戦で、雪辱を果たす豪快な一発だ。 4回、北條がフルカウントからの 7球目、 147キロの内角直球をとらえて、左越え 4号ソロ。セ・リーグの最多勝を争うジョンソン相手に、通算10度目の対戦でチームとして初めてアーチを描いた。ずっとカモにされてきた。この日もチームとして 3回まで無安打に抑えられていたが、 2周り目の先頭だった北條はセーフティーバントを試みるなど工夫し、その直後に先制弾。すでに来季からの 3年契約を結ぶ虎キラーに、やっと土をつけた。これでシーズン98安打。大台まであと「2」だ。達成すれば高卒 4年目以内でのシーズン 100安打は阪神では藤田平氏(68=元内野手)、掛布雅之氏(61=元内野手、現・阪神 2軍監督)、新庄剛志氏(44=元外野手)に次いで 4人目となる。残り 5試合-。来季を見据え、結果だけを求めていく。
●上本博紀内野手(30)が 2号ソロを放った。 6回に広島先発ジョンソンの 145キロ真っすぐをとらえて左翼席に放り込んだ。上本が15日のDeNA戦(甲子園)以来のスタメンで貴重な中押しソロ。 6回先頭でジョンソンの直球を左翼席に放り込んだ。
●高山俊外野手(23=明治大學)の猛打が止まらない。 4回に左翼線へ強烈なライナーを放ち、 2塁打をマーク。 2点リードの 8回無死 1塁ではジャクソンの速球をとらえて、ジャンプする右翼鈴木のグラブをかすめて、スタンドまで運んだ。今季 8号 2ランは広島に引導を渡す一撃。今季 133安打目となり、同僚福留孝介外野手(39)の新人時代(1999年中日で 131安打)を抜いて、阪神の新人シーズン安打記録 1位の1998年坪井に残り「2本」に迫った。ジャンピングキャッチを試みた鈴木誠也外野手(22)のグラブを弾いてスタンドに入った。 2安打をマークし、1998年の坪井智哉氏(41=元外野手、現DeNAベイスターズ 1軍打撃コーチ)の球団新人記録 135安打まで、あと「2」。残り 5試合で、24日の中日戦(ナゴヤD)にも記録更新や!グラブに収まりかけた白球が、ポロリとこぼれ落ちた。鯉党で真っ赤に染まったマツダスタジアムの右翼フェンス際の攻防。大飛球に飛びついた右翼・鈴木が、ガックリと肩を落とす。高山が“神ってる男”を越え、ダメ押しの 8号 2ランをたたき込んだ。虎のルーキーが笑みを浮かべれば、鈴木は対照的。悔しがった。ここまで右腕とは対戦 5打数無安打。“6度目の正直”が価値ある一撃となった。金本監督は目尻を下げ、手応えを強調した。昨季から 9戦で 6勝( 0敗)を献上していた先発左腕に、10度目の対戦で初めて土をつけた。おまけに指揮官が何度も口にしてきた本塁打の威力を体現しての勝利が、来季への明るい材料だ。残り 5試合。全力で戦い続けた先に、記録更新と新人王が待っている。
●藤浪晋太郎投手(22)が、 9回を 137球、 5安打 1失点の快投で 7勝目(11敗)を挙げた。 8回まで散発 4安打と、強力広島打線につけいる隙を与えず。完封を狙った 9回に同学年の広島鈴木に本塁打を浴び 1失点したが、今季自身 2度目の完投勝利。今季、試合前まで 6試合で 0勝 4敗と苦杯をなめ続けた相手に、最終試合でリベンジを果たした。遅すぎるのは分かっている。27個目のアウトを取った感覚のまま、もう来季へ向かいたい。生まれ変わった藤浪が、ようやく広島に雪辱星だ。打者を押し込み 18.44メートルを制する姿を取り戻した。最速は 153キロ。だが自己最速 160キロをマークした前回14日の広島戦(甲子園)でつかみかけた感覚を、結果に変えた。 2- 0の 7回二死 1、 3塁。新井を代打に迎えても自信があった。 8回を 132球で終えたが、金本監督に「行かせてください」と志願。鈴木に中越えソロは許したが、 9回 5安打 1失点で締めくくった。 6月 2日の楽天戦(コボスタ宮城)での 1安打完封以来、今季 2度目の完投。今季 6戦 0勝 4敗だった広島を、ねじ伏せた。今後のチーム状況次第となるが、このマウンドが今季最終登板となる可能性がある。 7勝目を挙げたが11敗した2016年の最後に、もう二度と忘れてはいけない感覚を手にした。
●阪神 2軍は22日、鳴尾浜での今季最後となる公式戦がノーゲームとなってしまい、掛布 2軍監督は複雑な表情を浮かべた。掛布虎の最終戦は23日からのウエスタン覇者、ソフトバンクとの 3連戦(筑後)となる。
●望月惇志投手(19=横浜創学館高校)が22日、今季ホーム最終戦となるウエスタン・オリックス戦(鳴尾浜)に先発。最速 152キロの直球を武器に 4回 1安打無失点と好投したが、 4回終了後に降雨でノーゲームとなった。今季中の 1軍初登板に備えて雨にも負けず、成長を目指す。掛布 2軍監督も今後に期待した。 1軍は残り 5試合。悪天候には振り回されたが、大舞台を見据える大器の視線はぶれていない。記事をまとめてみました。
<広島 1- 4阪神、25回戦>◇22日◇マツダスタジアム
3回まで両先発投手が上々の滑り出しを見せた。広島ジョンソンは 1人の走者も出さず完全投球。阪神藤浪も 1安打投球。
阪神は 4回に北條の 4号ソロで先制。 6回には上本の 2号ソロで加点した。広島は 6回まで阪神藤浪に散発 3安打無得点。
8回に高山の 2ランで突き放した阪神が広島戦の連敗を「4」で止めた。藤浪は完投で 7勝目。広島ジョンソンは 7敗目で阪神戦は来日初黒星。
7回グラウンドを見つめる金本知憲監督(中央)=マツダスタジアム
金本監督は試合前の円陣でナインにゲキ。「 2日間試合がなかったから、ネクストサークルでしっかりスイングしよう。体のキレというのは 2日間(試合が)ないと落ちてくる」と身ぶり手ぶりを交えて指示した。
それに応えるように投打が奮起し、 4連敗中だった広島に完勝。来季の 1軍構想を見定める時期であることを踏まえ「若い選手だけじゃなく、中堅もね。俊介もこうやって打撃練習から状態がよくてチャンスがあるわけだから。上本にしても、いいところで打ってくれて。ということは来年戦力として計算に入ってくる」と強調した。
6位・中日とは 1.5ゲーム差に広がった中、「最下位だけは困る」という質問に「いいたくないけど…思っている」と柔和な顔でうなずいた。
4回表阪神無死、北條史也内野手は左越え先制本塁打を放った=マツダスタジアム
北條史也内野手が先制となる 4号ソロを放った。
会心の一撃だった。 4回無死、広島先発ジョンソンのフルカウントの 7球目だった。 147キロ内角真っすぐをとらえると、ぐんぐんと伸びた白球はそのまま左翼席に突き刺さった。
「感触は良かった。追い込まれていて体が反応したという感じで打てました」
今季15勝を挙げた好投手から 3回まで無安打に抑えられ、 2打席目も追い込まれてからの一撃だった。ジョンソンとは試合前時点で過去 2年間の対戦で 9戦 6敗と白星なし。防御率に至っては 1点台前半に抑えられた難敵だった。
「今年はジョンソンに勝てなくて負けをつけられなかった。最後は絶対に勝つとみんなも思っていたと思う。負けを付けられて良かったです」
広島に加入した昨季から10戦目にしてチーム 1号となった。今季やられた分はシーズン中に返す。負けん気が攻略の足がかりとなった。
4回、左翼へ先制ソロを放った北條史也内野手。最多勝を狙うジョンソン投手(左)に最後で黒 星をつけた=マツダスタジアム
広島との最終戦で、雪辱を果たす豪快な一発だ。 4回、北條がフルカウントからの 7球目、 147キロの内角直球をとらえて、左越え 4号ソロ。セ・リーグの最多勝を争うジョンソン相手に、通算10度目の対戦でチームとして初めてアーチを描いた。
「追い込まれたカウントでしたけれど、インコースを反応でうまく打ち返すことができました。自分が思っていた以上にうまく反応で打てたので、自分でもビックリしました」
ずっとカモにされてきた。試合前までジョンソンは阪神に通算 6勝 0敗。 8月 9日のマツダで 2回までに52球を投げさせるなど抵抗したが、黒星をつけることができなかった。この日もチームとして 3回まで無安打に抑えられていたが、 2周り目の先頭だった北條はセーフティーバントを試みるなど工夫し、その直後に先制弾。すでに来季からの 3年契約を結ぶ虎キラーに、やっと土をつけた。
4回、本塁打を放った北條史也内野手=マツダスタジアム
「ジョンソンに負けをつけられていなかったので、『最後に…』というのはみんなそう思っていたと思う。負けをつけられてよかったです」
マツダスタジアムは真っ赤に染まった。25年ぶりとなるリーグ優勝の余韻は今も感じる。一方で甲子園は 3万人を割れる日もある。「観客は多い方がいいです。でも、結果なので」。むき出しの客席が来季への飛躍、戒めになっている。
7回二死 2塁では中堅・丸のダイブに阻まれ、「あともう 1本打ちたかった」と唇をかんだ。これでシーズン98安打。大台まであと「2」だ。達成すれば高卒 4年目以内でのシーズン 100安打は阪神では藤田平、掛布雅之、新庄剛志に次いで 4人目となる。残り 5試合-。来季を見据え、結果だけを求めていく。
6回表阪神無死、上本博紀内野手は左越え本塁打を放った=マツダスタジアム
上本博紀内野手が 2号ソロを放った。
6回に広島先発ジョンソンの 145キロ真っすぐをとらえて左翼席に放り込んだ。
「カウント 2- 1と打者有利のカウントでしたし、追い込まれる前に打ちにいこうと思っていました。低めのボールをうまくたたきました。追加点が取れてよかったです」と 8月22日以来の 1発を振り返った。
6回、本塁打を放った上本博紀内野手=マツダスタジアム
上本が15日のDeNA戦(甲子園)以来のスタメンで貴重な中押しソロ。 6回先頭でジョンソンの直球を左翼席に放り込んだ。「カウント 2- 1と打者有利のカウントでしたし、追い込まれる前に打ちにいこうと思っていました。低めの球をうまくたたけました。追加点がとれてよかったです」。そう試合途中にはコメントを託したが、試合後は「何もないです」と多くを語らなかった。
8回表阪神無死 1塁、高山俊外野手は右越えに 2点本塁打を放った=マツダスタジアム
高山俊外野手の猛打が止まらない。
4回に左翼線へ強烈なライナーを放ち、 2塁打をマーク。 2点リードの 8回無死 1塁ではジャクソンの速球をとらえて、ジャンプする右翼鈴木のグラブをかすめて、スタンドまで運んだ。今季 8号 2ランは広島に引導を渡す一撃。
「長打は別に意識していません。スイングをしっかり、軸で回る。それでたまたま結果につながっている」。
今季 133安打目となり、同僚福留の新人時代(1999年中日で 131安打)を抜いて、阪神の新人シーズン安打記録 1位の1998年坪井に残り「2本」に迫った。それでも「超えた感じはまったくない。 1本 1本の積み重ねです。少しでも(福留)孝介さんに近づけるように」と冷静だった。
8回、トドメの2ランを放った高山俊外野手。球団新人安打記録の更新もみえた=マツダスタジアム
虎の神ってる弾や! 阪神のドラフト 1位・高山俊外野手が 8回、右翼へトドメの 8号 2ラン。ジャンピングキャッチを試みた鈴木のグラブを弾いてスタンドに入った。 2安打をマークし、1998年の坪井智哉氏の球団新人記録 135安打まで、あと「2」。残り 5試合で、24日の中日戦(ナゴヤD)にも記録更新や!
グラブに収まりかけた白球が、ポロリとこぼれ落ちた。鯉党で真っ赤に染まったマツダスタジアムの右翼フェンス際の攻防。大飛球に飛びついた右翼・鈴木が、ガックリと肩を落とす。高山が“神ってる男”を越え、ダメ押しの 8号 2ランをたたき込んだ。
「よかったです。捕られなくて」
虎のルーキーが笑みを浮かべれば、鈴木は対照的。「球際のエラーです。グラブに入っていたので、落としてはいけない。こぼれた感じ。ホームラン(の打球)ですけど…」と悔しがった。
高山俊外野手の打球は、“神ってる男”の鈴木のグラブを弾いてスタンドに入った=マツダスタジアム
振り返ったのは 8回無死 1塁。 2番手・ジャクソンの外角直球をフルスイング。高々と舞い上がった打球に鈴木がジャンプ。アーチの“強奪”を狙ったが、寸前で白球がグラブからこぼれ落ち、スタンドイン。自身初の2戦連発でやり返した。
「ジャクソンからずっと打てていなかった。速球にやられていたので、ちょっとバットを短く持って打席に入って、カープとの最後の試合で、とらえられてよかった」
ここまで右腕とは対戦 5打数無安打。“6度目の正直”が価値ある一撃となった。 4回に北條が 4号ソロで先制。 6回は上本が 2号ソロを放った。チームの 1試合 3本塁打は、 5月26日のヤクルト戦(神宮)以来今季 3度目だ。
「ジョンソン(が先発)で一発攻勢で勝つというのは…ハッハッハ。ちょっと不思議な感じはしたけど。ウチらしくないけど、来年に向けて、一発で勝てるというね」
8回、2ランを放った高山俊外野手=マツダスタジアム
金本監督は目尻を下げ、手応えを強調した。昨季から 9戦で 6勝( 0敗)を献上していた先発左腕に、10度目の対戦で初めて土をつけた。おまけに指揮官が何度も口にしてきた本塁打の威力を体現しての勝利が、来季への明るい材料だ。
新記録達成は間近だ。虎の大物新人は 4回に左翼線 2塁打を放ち、 2安打 2打点。今季 133安打とした。1998年に坪井智哉氏が記録した球団新人最多の 135安打まで「2本」。24日の中日戦(ナゴヤD)にも、新記録が生まれる。
福留は中日入団 1年目の1999年に 131安打。「孝介さんのような選手になりたい」と尊敬する先輩も超えた。状況別の守備位置で、何度も右翼を見てきた。前後左右への微調整。サインを決め、動きひとつで指示をくれた。「ミスを恐れず、思い切ってやれ」。その言葉に何度も勇気をもらった。背番号「8」愛用のバットや使用グラブを借りて練習し、その背中を追いかけてきた。
「超えた感じはまったくないですね。少しでも(福留)孝介さんに近づけるように、次の試合もやりたい」
残り 5試合。全力で戦い続けた先に、記録更新と新人王が待っている。
8回、2ランを放った高山俊外野手=マツダスタジアム
★高校時代に共闘
虎の黄金ルーキーは、鯉の“神ってる男”と同じチームで一緒に戦ったことがある。日本大学第三高校 3年時の2011年。日米親善高校野球のための東京選抜チームに、二松学舎大學付属高校 2年の鈴木とともに選ばれた。もっとも当時、鈴木は投手。「あまり一緒に練習したという感じはないですけどね」と振り返るが、今年 7月の球宴で“再会”。距離を縮めた 2人がセ・リーグを代表する選手への道を進んでいる。
◆データBOX◆
◎…高山は今季広島戦は23試合で打率 0.329、 2本塁打、10打点とセ・リーグの中で最も好相性。最も相性が悪いのはDeNA戦で打率 0.256、 2本塁打だが、17打点は最も多い。
◎…高山は今季26度目のマルチ安打。うち猛打賞が13度で、これは長嶋茂雄氏(1958年)が持つ、プロ野球新人記録の14度に次ぐ記録。
◎…阪神の 1試合 3本塁打は 5月26日のヤクルト戦(神宮・ゴメス、福留、原口=計 3本)以来、今季 3度目。昨季も 3度記録。
広島に完投勝利し梅野隆太郎捕手(左)と笑顔で話す藤浪晋太郎投手=マツダスタジアム
藤浪晋太郎投手が、 9回を 137球、 5安打 1失点の快投で 7勝目(11敗)を挙げた。
8回まで散発 4安打と、強力広島打線につけいる隙を与えず。完封を狙った 9回に同学年の広島鈴木に本塁打を浴び 1失点したが、今季自身 2度目の完投勝利。今季、試合前まで 6試合で 0勝 4敗と苦杯をなめ続けた相手に、最終試合でリベンジを果たした。
藤浪はお立ち台で「カープに今年勝ててなかったんで、なんとか最後勝てて良かったですけど、それ以上に自分のピッチングができたのが良かったかなと思います」と笑顔を見せた。
バランスのいいフォームをみせた藤浪晋太郎投手。来季へ手応えをにじませた=マツダスタジアム
遅すぎるのは分かっている。27個目のアウトを取った感覚のまま、もう来季へ向かいたい。生まれ変わった藤浪が、ようやく広島に雪辱星だ。打者を押し込み 18.44メートルを制する姿を取戻した。
「バランスよく、フォームをいじったり、投げ方を変えたりして投げました。いい感覚を最後につかめたなと、今後につながるピッチングができたかなと思います」
1回、先発の藤浪晋太郎投手=マツダスタジアム
最速は 153キロ。だが自己最速 160キロをマークした前回14日の広島戦(甲子園)でつかみかけた感覚を、結果に変えた。 2- 0の 7回二死 1、 3塁。新井を代打に迎えても自信があった。
「自分の中でもすごく指にかかっている感覚があったので」と 148キロ直球で力ない 3邪飛に打ち取り、危機を脱した。 8回を 132球で終えたが、金本監督に「行かせてください」と志願。鈴木に中越えソロは許したが、 9回 5安打 1失点で締めくくった。 6月 2日の楽天戦(コボスタ宮城)での 1安打完封以来、今季 2度目の完投。今季 6戦 0勝 4敗だった広島を、ねじ伏せた。
阪神先発の藤浪晋太郎投手=マツダスタジアム
指揮官も「直球も結構空振りがとれていた。投手のことは素人なんだけど、やっぱり上体がブレていないような気がした。テークバックからトップの位置まで」とうなずく。藤浪自身も「しっかり立ってバッターとの距離を詰めるというところをやれば、自然に安定してきた」と振り返る。
秋季キャンプではキャッチボールが中心の基礎メニューからやり直す方針だが、模索してシーズン終盤にたどり着いた力みがなくバランスのいいフォーム、そしてキレのある球に、手応えをにじませた。
2回、広島・松山竜平外野手の打球に駆け出す藤浪晋太郎投手=マツダスタジアム
「本当はもっとシーズン序盤とか中盤でこういうふうになってくればよかったですけど。いろいろ試行錯誤して、遠回りしながらというか、やってきたことがひとつ出たかなと思います」
今後のチーム状況次第となるが、このマウンドが今季最終登板となる可能性がある。 7勝目を挙げたが11敗した2016年の最後に、もう二度と忘れてはいけない感覚を手にした。
5回、広島・安部友裕内野手の打球を指差す藤浪晋太郎投手=マツダスタジアム
★死球きっかけ
藤浪が苦しみはじめたのは、 4月19日のヤクルト戦(甲子園)で死球を当て、谷内に全治 3カ月の骨折を負わせてしまったころからだった。日本代表でも面識のあった山田に「谷内さんの番号を教えてください」と頼み込んだ。直後に電話で謝罪したが、 8月下旬のヤクルト戦(甲子園)の練習後には 3塁側ベンチ前へ直行。面と向かって深く深く頭を下げた。
谷内も「個人的には悔しかったけど野球ではあること。よけられなくてゴメンと、言ってあげたい」とスッキリした表情だった。内角への球は、右打者に踏み込ませない武器でもある。未熟さを詫びながらも、もっとたくましくなるため、藤浪は投げ続ける。
9回、完投勝利しグラブをたたく藤浪晋太郎投手=マツダスタジアム
◆データBOX◆
◎…藤浪の完投は 6月 2日の楽天戦(コボスタ)で完封して以来、今季 2度目。通算では11度目。昨年は自身最多の 7度の完投を記録していた。今季阪神の投手で完投を記録しているのは他に岩貞と能見が 2度、メッセンジャーが 1度記録している。
阪神 2軍は22日、鳴尾浜での今季最後となる公式戦がノーゲームとなってしまい、掛布 2軍監督は「最後までやれればと思っていましたが、 4回だけでもできたし、望月のああいう投球を見せれた。中止になってしまいましたが、こればっかりはしようがないですね」と複雑な表情を浮かべた。掛布虎の最終戦は23日からのウエスタン覇者、ソフトバンクとの 3連戦(筑後)となる。
望月惇志投手が22日、今季ホーム最終戦となるウエスタン・オリックス戦(鳴尾浜)に先発。最速 152キロの直球を武器に 4回 1安打無失点と好投したが、 4回終了後に降雨でノーゲームとなった。今季中の 1軍初登板に備えて雨にも負けず、成長を目指す。
こんな可能性を見せられると、虎党も鳴尾浜を覆う真っ黒な雲が気にならなかっただろう。望月が最速 152キロの力強い直球を中心に攻めた。 1回は11球すべて直球勝負を挑み、 3人でピシャリ。その後も 1安打 1四球の走者しか許さなかった。
「真っすぐがシュート回転していて、修正したかったんですが、そういう球でも抑える組み立ては大切になってきます。ツーシーム系でも使える、ということが経験になりました」
4回無失点に抑えた望月惇志投手。ノーゲームも手応えをにじませた=阪神鳴尾浜球場
4奪三振はすべて直球系と高い順応力も見せつけ、充実感を漂わせた。 4回終了後に雨が強まり、中断を挟んでノーゲームの宣告。試合後はブルペンで約20球を投げた。
18日の巨人戦(甲子園)が雨天中止となり、その影響で翌19日の同カードでのプロ初登板初先発が流れた。それでも金本監督は今季中の 1軍登板を「まだ、狙っていますよ」と話し、掛布 2軍監督も「投げる準備はしていると思うんで、そういう意味ではきょうはいい形で終わっているから、 4回くらいでちょうどよかったのかもね」と今後に期待した。
「直球で空振りが多かったので、次につながると思います」。 1軍は残り 5試合。悪天候には振り回されたが、大舞台を見据える大器の視線はぶれていない。
最後に点数を与えるまで、(藤浪)晋太郎クンがパーフェクトペースだったのは良かった。 4回の北條の会心の一撃、 6回ウエポン一発の、 8回の高山の右越えのトドメのツーランは本当に気持ちの良い物だった。これからの残り試合を全員野球でファン皆が待ち望む「二文字」に向かっての前進も完全に無くなった! ガンバレ!阪神!我らのタイガース!勝利を掴め!
2016年 公式戦 日程と結果(09月)
2016年 公式戦順位表
2016年 ファーム試合日程・結果(09月)
2016年 公式戦 日程と結果(10月)
2016年 ファーム試合日程・結果(10月)