<日本代表強化試合第 1戦:日本 3- 7メキシコ>◇10日◇東京ドーム
日本は投打に精彩を欠いた。 2- 4の 8回に 2安打と失策で 1点を返したが、なお二死 2塁で代打大谷が三振に倒れた。打線は 8四球を選びながら 5安打に抑え込まれた。千賀が 2- 2の 6回に 2点を失い、山崎康が 9回に 3失点した。
1回裏日本一死満塁、坂本(左)は筒香の押し出し四球で生還し小久保裕紀監督とタッチする=東京ドーム
日本代表が強化試合でメキシコに敗れた。打線は 3点を取ったものの、 4回まで無安打に抑えられるなど苦戦。守っても 2失策が失点に絡み、チームがかみ合わなかった。
小久保裕紀監督(45)は「やっぱり、シーズンが終わってから時間が空いていることもあって、普段なら捉えられるボールがポップフライになっていた。紙一重のところだった。(先発の武田は)立ち上がりはヒット 2本打たれましたが、その後粘れた。千賀はちょっとシーズン中のボールではなかった。 3イニングでは修正は難しかった。(代打で起用の)大谷は 3回から準備させていたので、何回かいくぞ、と言っていた。左対左でも大谷だと決めていた」と振り返った。
11日にも同じメキシコと戦う。小久保監督は「打順は変えてやろうかと思います。あとはピッチャーの野村がいい立ち上がりをしてくれればと思います」と話した。
6回、バックアップに入った千賀からの送球も大野(右)が捕れず。守備の乱れでメキシコに追加点を許した=東京ドーム
来年 3月に第 4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)を控える野球日本代表「侍ジャパン」は、メキシコ代表に 3- 7で敗れた。 2番手の千賀滉大投手(23=ソフトバンク)が 3点を失うなど失点を重ね、打撃陣はわずか 5安打。打点を挙げたのは筒香嘉智外野手(24=DeNA)だけと元気がなかった。11日にメキシコと第 2戦を行い、12、13日にはオランダと対戦するが、不安の残る強化試合初戦となった。
シーズンの疲労か調整不足か。WBCの過去 3大会で 4強入りが 1度もないメキシコを相手に、打線にも投手陣にも、侍ジャパン本来のキレ味はなかった。
「シーズン中ならとらえられていた球がポップフライになった。試合勘というか、間があいたことかもしれない」
9回、メキシコ代表・キロスの打球を足に当てた侍ジャパン・山崎康晃=10日、東京都文京区の東京ドーム
小久保裕紀監督(45)が「いずれも 4番にふさわしい」という中田が 4番、筒香が 5番に入り、「筒香の後ろが大事」という 6番には内川を指名。だが、機能しなかった。
1回、制球の定まらない相手先発の連続四球で先制しながら、一死満塁でその内川が 2ゴロ併殺打。内川は 3回二死満塁でも三振に倒れ、「久しぶりの日の丸で緊張感があった。中田、筒香の後ろを打つのはこういうものかと味わわされた」と悔やんだ。
打線以上に不安を露呈したのは、指揮官が「一番の強み」と自負していたはずの投手陣だ。 2番手の千賀は制球が定まらず、 3回を投げて本塁打を含む 3失点。慣れないWBC公式球に「うまく扱えたといったら嘘になる。見てもらった通りです。だんだん対応できるようにはなりましたが」と戸惑いをみせた。
試合後の会見で小久保裕紀監督は、厳しい表情で敗因を分析した=東京ドーム
プロ野球で使う統一球に比べ変化が大きいとされるだけに、特に変化球を武器にする投手にとっては対応できるか否かが鍵になる。しかし先発の武田は連続安打と四球でピンチを招き、抑え候補の山崎康も連続安打と死球で 3失点と崩れた。
小久保監督は、WBC前最後の国際試合として「勝ちにこだわる」と宣言していたが、まさかの黒星スタート。 2戦目以降についても「もちろん勝つための采配は振るが、選手を見極めるにはもってこいの場だから」と、WBC本番を見据えた選手選考の場であることを強調した。
浮かび上がった課題と修正点。あと 3戦を終えればオフに入る。来年 3月の本番まで、思っている以上に時間はない。
5回裏日本二死 1塁、筒香嘉智外野手は中越え適時 2塁打を放った=東京ドーム
日本の 5番筒香嘉智外野手(24)が一時同点の適時 2塁打を放った。
1- 2で迎えた 5回二死 1塁。 1ボールからの 2球目を中堅へはじき返し、フェンス最上部への 2塁打で同点の走者を本塁に迎え入れた。
日本はこれがチーム初安打となった。筒香は「走者がいたので、思いきって強い球を打ちにいきました」とコメントした。
筒香嘉智外野手は適時 2塁打などで気をはいた=東京ドーム
歯ぎしりしていた観客から、はじけるように歓声があがった。不調の日本打線で一人、気を吐いたのは筒香だ。
「ランナーがいたので、内野の間を抜く強い打球を打とうと思っていた。日本の投手に比べてボールがよく動いていた」
5回二死 1塁。筒香封じとして直前にマウンドに上がった、メキシカンリーグでプレーする37歳左腕、ララの甘く入った 134キロを強振。バットの先だったため柵越えにはわずかに足りなかったが、チーム初安打となる中堅フェンス直撃の適時 2塁打となった。 1回の押し出し四球と合わせ、この日 2打点をマークした。
5回、同点の 2塁打を放った日本代表・筒香嘉智外野手=東京ドーム
今季、44本塁打、 110打点でセ・リーグの打撃部門 2冠に輝いた“ハマの4番”。まずは国際試合の経験が豊富な中田が 4番に座ったが、存在感を放ったのは筒香の方だった。小久保監督は、11日の第 2戦も 4番に中田、 5番に筒香をすえると明言したが、筒香が「一番信頼される打者が座るポジション」と語る 4番候補としてアピールした。
「クリーンアップを打たせてもらっている以上、責任がある。侍ジャパンのため、日本球界のために全力で頑張るだけ」と、筒香は険しい表情で球場を後にした。若きスラッガーが、湿った打線を活性化させる。
◆データBOX◆
〔1〕日本がメキシコに 3- 7で敗戦。 7失点は2013年 3月15日のWBC練習試合・カブス戦(● 5- 7x)以来。小久保監督が就任した2013年11月以降では初めてで、2014年11月16日の日米野球・MLB選抜戦、2015年 3月11日の強化試合・欧州戦の 6失点を上回った。
〔2〕日本のチーム 5安打以下は昨年11月12日の「プレミア12」の 1次ラウンド・ドミニカ共和国戦(○ 4- 2、 5安打)以来。 5安打以下での敗戦は2014年11月18日の日米野球・MLB選抜戦(● 1- 3、 4安打)以来。
9回裏二死 1塁、 3ゴロに倒れ下を向く中田翔内野手=東京ドーム
日本の 4番を任された中田翔内野手(27)が完敗に、自責の念でいっぱいで大役を終えた。
筒香らライバルを押しのけ、節目の一戦で主砲に座ったが 4打数無安打に終わった。「ちょっと残念。情けないですね。(小久保)監督の期待に応えられず、申し訳ない。自分の力不足」と、言い訳せず。残り 3試合での奮闘を誓った。「今日の試合で自分も含めて、みんな考えると思う」と、仕切り直しを宣言した。
8回裏日本二死 2塁、代打大谷翔平投手は空振り三振に終わる=東京ドーム
日本の大谷翔平投手(22)が、侍ジャパンでの野手デビューを果たした。
ベンチスタートで待機していたが、 1点を追う 8回二死 2塁で出場。 1発が出れば逆転のチャンスだったが、変則左腕ペレスに空振りで 3球三振に倒れた。国際試合らしい経験を積んで「コンパクトに投げてくるので、難しい」と、あらためて実感。残り 3試合も野手として起用される。「しっかり使ってもらえたところで頑張りたい」と、誓っていた。
9回表メキシコ一死 1、 3塁、山崎康晃投手はキロスの痛烈な打球を体に受けた=東京ドーム
侍ジャパンの山崎康晃投手(24)は 9回に登板も一死しか奪えず、 3失点で降板した。
先頭に左安を許し犠打で進塁を許すと、連打で失点。右太ももに直撃する野選や押し出し死球もあって打者 7人に 4安打を浴びて降板。一死満塁で岡田にマウンドを譲った。「僕自身 100%の準備をしているし、相手もプロ。仕方ない結果ですが、悔しい思いがある。次にしっかり投げてチームの役に立てるようにしたい」と話した。
強化試合2016 日程と結果
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