●秋のドラフト会議で阪神から指名された 7選手のうち、仮契約を済ませて日程の都合がついた 5人が17日、安芸キャンプを見学した。ドラフト 1位・馬場皐輔投手(22=仙台大學)はプロの練習を目の当たりにして「自分はまだまだ」と大いに刺激を受けた。来年 1月上旬に予定されている新人合同自主トレに向けて、しっかりと鍛えて備える。阪神ドラフト1位の仙台大・馬場皐輔投手が17日、高知・安芸で行われている秋季キャンプを見学した。岩貞のブルペン投球をじっと見つめると「自分もキレのある球を投げれるようにしたいと思った」と満足そうな表情で語った。驚いたのは選手全員の体が予想よりもがっちりしていたこと。もっと体を鍛えないとプロの世界では通用しないと感じた様子だった。 1メートル80、90キロの恵まれた体格は、他の新人のなかでも際立った。それでも足りない。午前中には藤浪晋太郎投手(23)のキャッチボールを見て「すごく丁寧にされていた」、午後は投手陣のランニングメニューに飛び入り参加し、30メートルダッシュで健脚を披露した金本監督の姿に目を丸くした。効果は即、表れた。馬場は気合十分。プロ入りへのイメージはバッチリ。ふさわしい準備をして、スタートダッシュを成功させる。
●来季大卒 4年目を迎える江越大賀外野手(24)が、スイッチヒッターへの挑戦を始めた。この日、初めて左打ちで練習。昨季は72試合に出場して 7本塁打を放つなど将来の主軸として期待されたが、今季は28試合で 0本塁打。今季から両打ちに転向して打撃が向上した大和内野手(30)にならい、再浮上のきっかけを求めて猛特訓だ。打撃練習を終えた江越は室内練習場に入ると、本来の右打席ではなく、左打席に立って約90分、フリー打撃に励んだ。空振りしても、打球が前に飛ばなくても、必死にバットを振り続けた。大卒 3年目の今季は開幕 1軍スタートも、出場28試合でわずか 1安打。 5月29日に 2軍落ちしてからは 9月13日の再昇格まで、ファーム暮らしが続いた。糸井嘉男外野手(36)のFA加入で外野枠は実質「1」。好調の中谷将大外野手(24)や俊介外野手(30)の前に、存在感を失ったシーズンだった。もちろん、このままでいいわけがない。屋外のロングティーでは、左打ちでサク越えも放ってみせた。居残りの特訓も見届けた金本監督は進化を願った。もちろん江越も覚悟を決めている。打撃で新境地を切り開き、外野の枠をつかみとってみせる。
●阪神投手陣の「バント力」向上も来季の課題だ。午前中は実戦バントを行い、先発投手が打席に入った。岩貞祐太投手(26)が無死 1塁で 2度、スリーバント失敗に終わったほか、藤浪もスクイズを決められない場面があった。指導する高代延博作戦兼総合コーチ(63)は「出来が悪い。克服しないと勝てる投手になれない」。
●大山悠輔内野手(22)が18日の練習試合LG戦(安芸)で、遊撃デビューする見込みとなった。16日の高知・安芸キャンプでは、実戦形式の守備練習でショートの位置に入り、目立ったミスもなくこなした。金本監督は大山の遊撃起用についてコーチの判断に委ねる考え。その久慈照嘉内野守備走塁コーチ(48)は、「可能性ありますよ」と明かした。今キャンプで挑戦中の 2塁に加え、遊撃にもチャレンジする。今季遊撃を守った大和がFA宣言し、DeNAやオリックスとの争奪戦に発展して去就は不透明。移籍となれば、その穴は誰が埋めるのか。この日は西岡剛内野手(33)も遊撃を守るなど、新たなバトル勃発の予感もある。和製大砲候補が、ミスを恐れず遊撃デビューに臨む。
●桑原謙太朗投手(32)に対し、球団が年俸の大幅アップを提示する方向であることが17日、分かった。今季の 800万円(金額は推定)から5000万円近くになるとみられ、アップ率 500%超となれば日本人選手としては球団史上最高。今季はセットアッパーとして大活躍し、自身初タイトルとなる最優秀中継ぎ投手も受賞した。球団としても最大限の誠意を見せる。2017年の金本阪神を象徴する存在だった。虎移籍 3年目、プロ10年目の大ブレーク。チーム一番の上がり目だった桑原に、球団も最大限の上がり幅を用意する。今オフの契約更改交渉で、今季から4000万円以上のアップ提示を用意していることが分かった。球団関係者は今季の働きぶりを高く評価。提示額は5000万円近くになるとみられ、今季 800万円から 500%以上のアップ率。昨年の原口( 400万円→2200万円、 450%)を超える、球団の日本人選手としては過去最高となる見通しだ。開幕からフル回転。最速 152キロの直球と決め球のスライダーで、 2位躍進に大きく貢献した。チームトップの67試合に登板し、「4勝2敗39ホールド、防御率1.51」。セットアッパーとして大活躍し、自身初タイトルとなる最優秀中継ぎ投手(43ホールドポイント)を、マルコス・マテオ投手(33)と同時受賞した。「37セーブ」でセーブ王に輝いたラファエル・ドリス投手(29)や岩崎優投手(26)らとプロ野球史上初の“60試合登板クインテット”も結成。金本監督もヤンキースの守護神として活躍し、歴代最多の「652セーブ」を挙げたマリアノ・リベラ投手になぞらえ「和製リベラ」と評するほど、厚い信頼を寄せた。右腕は現在、鳴尾浜の残留練習に自主参加して来季に向けて調整している。絵に描いたようなサクセスストーリー。だが、慢心は一切ない。勝負は2018年シーズン。猛虎を2005年以来13年ぶりのリーグ優勝に導き、その地位を確固たるものとする。
●脳腫瘍から再起を期す横田慎太郎外野手(22)が16日、兵庫・西宮市内の選手寮で育成契約を結び、現状維持の推定年俸 870万円で合意した。今年 2月に症状が判明したが、約半年間の闘病生活を経て 8月下旬に寛解。支配下登録を外れて背番号は「3桁」になるが、球団は「24」番を空けて待つ。左の大砲候補は、同じ病気で苦しむ人たちに勇気を与えるべく、恩返しの完全復活を誓った。夕日に照らされた横田の横顔は、凛々(りり)しく輝いていた。支配下登録を外れ、育成契約を結んだ直後。鳴尾浜の虎風荘で表情をキリリと引き締め、力強く決意表明した。今年 2月の 1軍沖縄キャンプ中に頭痛を訴え脳腫瘍が判明。入院と加療を行い、 8月下旬に症状が消えて安定した状態となる「寛解」と診断された。以降はトレーニングを再開し、体重や筋力も「少しずつ戻ってきている」という。すでに軽めの打撃練習やキャッチボール、ランニングメニューも行っている。支配下登録を外れての育成再契約は、球団の親心だった。高野球団本部長は「支配下のままで、『頑張らないと』という気持ちが強くなるのを回避してほしかった。背番号についても当面は『24』番を空けておきたいと思っています」。背番号は「3桁」になるが、背番号「24」を空けて復活を待つ。来季中の支配下復帰についても期待した。覚悟みなぎる表情には、一片の曇りもなかった。
●歳内宏明投手(24)も育成契約からの再起を期す。支配下登録を外れ、 350万円ダウンの推定年俸1150万円で育成契約を結んだ。今季は右肩のコンディション不良に苦しみ、ウエスタン・リーグ登板は 2試合のみ。早期の支配下再登録を目指す。記事をまとめてみました。
阪神ドラフト1位の仙台大・馬場皐輔投手が17日、高知・安芸で行われている秋季キャンプを見学した。
岩貞のブルペン投球をじっと見つめると「(プロの球を)肌で実感できた。自分もキレのある球を投げれるようにしたいと思った」と満足そうな表情で語った。
驚いたのは選手全員の体が予想よりもがっちりしていたことで「みなさん自分より大きくて(自分は)まだまだだなと感じた。練習メニューの質が高くて強度もあったので、今回、見学させていただいて、自分の中の感覚が新たにできました」。もっと体を鍛えないとプロの世界では通用しないと感じた様子だった。
ノックを見学するルーキーたち。左から谷川昌希投手、島田海吏外野手、石井将希投手、高橋遥人投手、馬場皐輔投手。手前中央は金本知憲監督=高知・安芸タイガース球場
秋のドラフト会議で阪神から指名された 7選手のうち、仮契約を済ませて日程の都合がついた 5人が17日、安芸キャンプを見学した。ドラフト 1位・馬場皐輔投手はプロの練習を目の当たりにして「自分はまだまだ」と大いに刺激を受けた。来年 1月上旬に予定されている新人合同自主トレに向けて、しっかりと鍛えて備える。
新人 5選手が安芸に降り立った。金本監督と早速、記念撮影すると、室内練習場、ブルペン、メイングラウンドと歩き回った。濃密な 1日を過ごし、馬場は驚きつつも闘争心に火が付いた。このままでは通用しない-。決意を熱く語った。
「みなさん自分より大きくて、まだまだ足りないと感じました。ひとつひとつのメニューも質が高く、強度もあった。そういうメニューを直に見せていただいた。肌で実感できたこともよかったです」
1メートル80、90キロの恵まれた体格は、他の新人のなかでも際立った。それでも足りない。午前中には藤浪のキャッチボールを見て「すごく丁寧にされていた」、午後は投手陣のランニングメニューに飛び入り参加し、30メートルダッシュで健脚を披露した金本監督の姿に「すごい。体もガッチリされていて、オーラを感じました」と目を丸くした。
金本知憲監督は投手陣の練習に“乱入”して猛ダッシュ。ワオ、今でも速い!=高知・安芸タイガース球場
常に直立不動で、練習風景を食い入るように見つめた。自身も直球は最速 155キロを誇り、 7種類の変化球を操る。即戦力として期待され、来春の 1軍キャンプにも参加予定だが「まだまだそこ(先発ローテ争い)まで考えていません。練習にしっかりついていければ」と、レベルアップの必要性を痛感した。
今季は先発の駒不足に苦しむ時期もあった。盤石の中継ぎ陣を生かすためにも、新たな力の台頭は必要だ。ルーキーと初対面した金本監督は「馬力がありそうだね。重い球、投げそうなイメージですね」と目を細めた。自身の発案で実現した異例の新人キャンプ地見学に「プロ野球の練習を見て、何を感じてくれたか」と期待した。
効果は即、表れた。馬場は「オフ期間は(見学して)感覚が新たにできた。強い体、けがをしない体を(来年 1月の新人合同自主トレまでの)この 2カ月間で作りたいです」と気合十分。プロ入りへのイメージはバッチリ。ふさわしい準備をして、スタートダッシュを成功させる。
キャンプを見学に訪れた新人らは金本知憲監督(左)を前に緊張の表情=高知・安芸タイガース球場
★金本監督自らがティー打撃する場面を目撃したD4位・島田海吏外野手(上武大學)
「現役のときと変わらないようなスイングで、本当にすごいなと思いました」
★ブルペンで同じ左腕の岩貞の投球を見た育成D1位・石井将希投手(上武大學)
「とても力強い球を投げていました。自分も強いボールを投げていければいいかなと思います」 ◇馬場 皐輔(ばば・こうすけ) 投手。1995(平成 7)年 5月18日生まれ、22歳。宮城・塩釜市出身。小3からリトルリーグ塩釜ドラゴンズで野球を始める。塩釜三中学時代は七ケ浜シニア所属。仙台育英高校では 2年秋からベンチ入りし、「明治神宮大会」で優勝。翌年の「選抜8強」。仙台大學では 1年春からリーグ戦に登板し、通算「15勝5敗」。今秋は「5勝0敗、防御率0.49」でベストナイン。 1メートル80、90キロ。右投げ右打ち。家族は両親と妹 2人。
来季大卒 4年目を迎える江越大賀外野手が、スイッチヒッターへの挑戦を始めた。この日、初めて左打ちで練習。昨季は72試合に出場して 7本塁打を放つなど将来の主軸として期待されたが、今季は28試合で 0本塁打。今季から両打ちに転向して打撃が向上した大和内野手にならい、再浮上のきっかけを求めて猛特訓だ。
えっ、左打ち?! 打撃練習を終えた江越は室内練習場に入ると、本来の右打席ではなく、左打席に立って約90分、フリー打撃に励んだ。空振りしても、打球が前に飛ばなくても、必死にバットを振り続けた。
「難しいですけど、自分の可能性が広がるのなら、挑戦したい。簡単じゃないことは、もちろんわかっています」
大卒 3年目の今季は開幕 1軍スタートも、出場28試合でわずか 1安打。 5月29日に 2軍落ちしてからは 9月13日の再昇格まで、ファーム暮らしが続いた。「今年はほとんど 2軍だったので…」。糸井のFA加入で外野枠は実質「1」。好調の中谷や俊介の前に、存在感を失ったシーズンだった。もちろん、このままでいいわけがない。
江越大賀外野手は左打席に立ってスイッチに挑戦。必死で新たな“何か”をつかむ=高知・安芸タイガース球場
片岡ヘッド兼打撃コーチは「右で当たらんから。ハッキリ言って。それなら左でやってみたらどうかと。そんなに甘くないけど、挑戦できる時期だから」と説明した。チームでは大和が昨オフ、右打ちから両打ちに挑戦。昨季の打率 0.231から今季は同 0.280へ向上した。打者としてのタイプは違うが、成功例を目の当たりにし「大和さんも、左をやり出して右の感覚も良くなったと言っていた」と江越。同じ方法で、再浮上のきっかけをつかむ構えだ。
屋外のロングティーでは、左打ちでサク越えも放ってみせた。居残りの特訓も見届けた金本監督は「左の方がバランスもスイングもいい」と評価して「いいものが出てくればいいと思う。(江越の)守備力と足はほしいわね。使いたいよね」と進化を願った。
もちろん江越も覚悟を決めている。「来年は勝負の年。そろそろ1軍に定着していかないと」。打撃で新境地を切り開き、外野の枠をつかみとってみせる。
左打ちでロングティーに臨む江越大賀外野手=高知・安芸タイガース球場
☆江越大賀外野手について新井良太 2軍育成コーチ
「金本監督も片岡(ヘッド)さんも『左(のスイング)は癖がないから、もしかしたら』と。そ う簡単じゃない。20年分、振ってもらわないとね」
★強打のスイッチヒッターアラカルト
◆松井稼頭央内野手(現西武コーチ):PL学園高から1994年D 3位で西武入団。右打者だったが、 1年目にスイッチに転向。2002年に36本塁打を放つなど、「最多安打2度」、日本通算で「201本塁打」。メジャーでも通算「32本塁打」。
◆松永浩美内野手:小倉工高から1979年ドラフト外で阪急(現オリックス)に右打者として入団。俊足を生かすために両打ちに転向、1982年に日本人選手初の 1試合で左右打席本塁打を記録(通算6度)。1993年に阪神へ移籍し、ダイエー(現ソフトバンク)でもプレー。通算「203本塁打」。
◆フェルナンド・セギノール内野手:2002年にオリックス入団し、「23本塁打」。2004年からは北海道日本ハムで活躍し、同年「44本塁打」でタイトルも獲得した。楽天でもプレーし、 1試合で「左右打席9本塁打」は日本記録。
◆オレステス・デストラーデ内野手:1989年にスイッチヒッターとして西武入団。1990年から1992年まで 3年連続、日本球界初のスイッチヒッター本塁打王として「3度の日本一」に貢献した。
バント練習をする青柳晃洋投手(右)は投手の内角攻めを華麗によける。捕手は梅野隆太郎=高知・安芸タイガース球場
阪神投手陣の「バント力」向上も来季の課題だ。
午前中は実戦バントを行い、先発投手が打席に入った。岩貞が無死 1塁で 2度、スリーバント失敗に終わったほか、藤浪もスクイズを決められない場面があった。指導する高代作戦兼総合コーチは「出来が悪い。(岩貞は)マシンではうまくやる。ボールを怖がるのか、本人も『分かっています』と言っていた。打席は 1人で立つ。克服しないと勝てる投手になれない」。
遊撃でノックを受け軽快な動きを見せる大山悠輔内野手=高知・安芸タイガース球場
ポスト大和は大山!? 大山悠輔内野手が18日の練習試合LG戦(安芸)で、遊撃デビューする見込みとなった。16日の高知・安芸キャンプでは、実戦形式の守備練習でショートの位置に入り、目立ったミスもなくこなした。
金本監督は大山の遊撃起用について「今はコーチに任せている。スタメン、打順は。少々、エラーしてもいいから(大山を遊撃で)守らせてみるか。ダメもとで使おうと言うか」とコーチの判断に委ねる考え。その久慈内野守備走塁コーチは、「やらしてもいいかも。(18日は)可能性ありますよ」と明かした。
今キャンプで挑戦中の 2塁に加え、遊撃にもチャレンジする。今季遊撃を守った大和がFA宣言し、DeNAやオリックスとの争奪戦に発展して去就は不透明。移籍となれば、その穴は誰が埋めるのか。大山が複数ポジションを守ることができれば、自慢の打力を生かす可能性はグッと広がる。この日は西岡も遊撃を守るなど、新たなバトル勃発の予感もある。和製大砲候補が、ミスを恐れず遊撃デビューに臨む。
桑原謙太朗投手に対し、球団が年俸の大幅アップを提示する方向であることが17日、分かった。今季の 800万円(金額は推定)から5000万円近くになるとみられ、アップ率 500%超となれば日本人選手としては球団史上最高。今季はセットアッパーとして大活躍し、自身初タイトルとなる最優秀中継ぎ投手も受賞した。球団としても最大限の誠意を見せる。
2017年の金本阪神を象徴する存在だった。虎移籍 3年目、プロ10年目の大ブレーク。チーム一番の上がり目だった桑原に、球団も最大限の上がり幅を用意する。今オフの契約更改交渉で、今季から4000万円以上のアップ提示を用意していることが分かった。
「あれだけ活躍してくれたのだから、高く評価してあげないといけないでしょう」と球団関係者は今季の働きぶりを高く評価。提示額は5000万円近くになるとみられ、今季 800万円から 500%以上のアップ率。昨年の原口( 400万円→2200万円、 450%)を超える、球団の日本人選手としては過去最高となる見通しだ。
オリックスから移籍 3年目の今季は、開幕からフル回転。最速 152キロの直球と決め球のスライダーで、 2位躍進に大きく貢献した。チームトップの67試合に登板し、「4勝2敗39ホールド、防御率1.51」。セットアッパーとして大活躍し、自身初タイトルとなる最優秀中継ぎ投手(43ホールドポイント)を、マテオと同時受賞した。
「37セーブ」でセーブ王に輝いたドリスや岩崎らとプロ野球史上初の“60試合登板クインテット”も結成。金本監督もヤンキースの守護神として活躍し、歴代最多の「652セーブ」を挙げたマリアノ・リベラになぞらえ「和製リベラ」と評するほど、厚い信頼を寄せた。
桑原謙太朗投手は鳴尾浜でノックを受ける。今季の活躍で大幅昇給する見通しだ=阪神鳴尾浜球場
これまでの苦労が報われた。横浜(現DeNA)、オリックスと渡り歩き、2015年からトレードで阪神に加入するも、過去 2年間の 1軍登板は2015年の 6試合だけ。戦力外の候補に挙がったこともある。だが、鳴尾浜で黙々と汗を流し、球種を真っすぐとスライダーに絞って、磨きをかけた。
慎ましやかに、コツコツと努力を続けてきた。シーズン中の遠征先での食事は基本、チーム宿舎の食堂。愛車はオリックス時代から長年、大切に使う年代物だ。休日も外出はほとんどせず、体のケアやトレーニングに時間を割く。オフも白球と向き合い、ひたすら野球に集中して、ついに大輪の花を咲かせた。
右腕は現在、鳴尾浜の残留練習に自主参加して来季に向けて調整している。「(今年は)やったといっても、 1年だけ。練習に入れてもらっているので、ついていけるように頑張ります」と改めて気を引き締めている。
絵に描いたようなサクセスストーリー。だが、慢心は一切ない。勝負は2018年シーズン。猛虎を2005年以来13年ぶりのリーグ優勝に導き、その地位を確固たるものとする。
★秋季練習で汗
桑原は17日、鳴尾浜での秋季練習に参加。キャッチボールや打撃練習を行ったあと、ポール間ダッシュで下半身と心肺機能を鍛えた。午後にはブルペンに入って、捕手を座らせて軽めに投球練習。終始、リラックスした表情だった。
◇データBOX◇
◎…原口以前の球団最高アップ率は桜井広大の 346%。2007年オフの契約更改で 560万円から2500万円に上がった。外国人選手を含めると、2008年に 300万円で育成契約(同年に支配下登録)したバルディリスが、翌年に1900万円でアップ率 533%を記録した例がある。
必ずグラウンドに帰ってきます! 脳腫瘍から再起を期す横田慎太郎外野手が16日、兵庫・西宮市内の選手寮で育成契約を結び、現状維持の推定年俸 870万円で合意した。今年 2月に症状が判明したが、約半年間の闘病生活を経て 8月下旬に寛解。支配下登録を外れて背番号は「3桁」になるが、球団は「24」番を空けて待つ。左の大砲候補は、同じ病気で苦しむ人たちに勇気を与えるべく、恩返しの完全復活を誓った。
夕日に照らされた横田の横顔は、凛々(りり)しく輝いていた。支配下登録を外れ、育成契約を結んだ直後。鳴尾浜の虎風荘で表情をキリリと引き締め、力強く決意表明した。
横田 今年病気でまったく野球ができなかったのに、契約していただいてうれしく思います。 1日も早く(背番号を)「2桁」に戻せるように、必死にやっていきます。
今年 2月の 1軍沖縄キャンプ中に頭痛を訴え脳腫瘍が判明。入院と加療を行い、 8月下旬に症状が消えて安定した状態となる「寛解」と診断された。以降はトレーニングを再開し、体重や筋力も「少しずつ戻ってきている」という。すでに軽めの打撃練習やキャッチボール、ランニングメニューも行っている。
阪神と育成契約を結び心境を語る横田慎太郎外野手
「毎日、朝、感じます。野球ができることがうれしいので、絶対にその思いは続けてやっていきたいです」。日々喜びを実感する一方で、偽らざる本音も隠さなかった。「まだ(症状に対する)不安もあります。そこは自分との闘い方なので。負けないように今後、頑張っていこうと思います」と力を込めた。
支配下登録を外れての育成再契約は、球団の親心だった。高野球団本部長は「支配下のままで、『頑張らないと』という気持ちが強くなるのを回避してほしかった。慌てずやってほしいのが球団の一番の考えです。背番号についても当面は『24』番を空けておきたいと思っています」。背番号は「3桁」になるが、背番号「24」を空けて復活を待つ。来季中の支配下復帰についても「当然です。動きを見ながら、になります」と期待した。
もちろん横田も球団の配慮に感謝でいっぱいだ。まずは来春の 2月キャンプをメドに完全復活を目指し、早期の支配下再登録を狙っていく。
横田 球団の方にお世話になったし、両親にも迷惑をかけた。野球で恩返しできるように、必死でやっていこうと思います。今の(同じ)病気で苦しんでいる方々に少しでも勇気を与えられるように、野球に対して必死にやっていきたい。
覚悟みなぎる表情には、一片の曇りもなかった。
阪神と育成での契約を終え会見を行う歳内宏明投手
歳内も育成契約からの再起を期す。支配下登録を外れ、 350万円ダウンの推定年俸1150万円で育成契約を結んだ。
今季は右肩のコンディション不良に苦しみ、ウエスタン・リーグ登板は 2試合のみ。「(患部は)80、90%まではきている。今年 1年間投げられていない。正直、チャンスをもらえただけでありがたいです」。早期の支配下再登録を目指す。
既に2018年度の準備は始まっている!2017年度の成績を糧にして、2018年に向かって、全員野球でファン皆が待ち望む「二文字」に向かって、全員で力を合わせて進め! ガンバレ!阪神!我らのタイガース!勝利を掴め!
2017年 公式戦 順位表
2018年 公式戦 日程と結果(03月)
2018年 公式戦 日程と結果(04月)
2017年日本シリーズ 日程
どんな相手にも立ち向かう。どんな局面でも己の限界にトライする。
その精神を全員が強く持ち、タイガースが変革し続ける一年にしたい。
そうした強い思いをスローガンとして表現しています。
※このスローガン・デザインは、2017年のシーズンロゴとしても展開して参ります。