阪神｢伝統の一戦｣で完封負け 4年ぶり 5連敗…借金｢９｣今季最多タイ…

　厳戒態勢がしかれ、レフト“境界線”の左右のコントラストが如実に物語っていた。狂喜乱舞するオレンジ色の勝者と静まりかえる黄色の敗者。＜阪神０－２巨人＞今季10度目の完封負けで、今季最多の 4万7006人を飲み込んだマンモスの大多数は泣いていた。
　借金は今季最多タイの｢９｣に膨らんだ。和田豊監督(49)は｢このまま終わるわけにはいかない。あと 2試合で、後半戦のヒントになるゲームをやれるようにしたい」と前向きな姿勢を失わなかった。
　先発のジェイソン・スタンリッジ投手(33)が 2回の被弾を猛省。
　いぜんアーチの出ていない打線についてサンケイスポーツ専属評論家の田尾安志氏(58)はカンフル剤にスタメンを外れているクレイグ・ブラゼル内野手(32)の起用を提言した。記事をまとめてみました。



　巨人は 2回、エドガーが左翼に 3号 2ランを放ち、先制した。阪神は 2回無死 2塁の好機を逃し、巨人先発内海を攻略できない。
　阪神は先発スタンリッジが 4回以降、走者を出しながらも粘り、 6回 2失点で降板。打線は反撃できず、終盤まで無得点が続いた。
　巨人は内海が 8回二死 1、 2塁で山口の救援を仰いだが、ピンチを切り抜けて 8勝目をマークした。阪神は拙攻で連敗した。

　東京都文京区から駆けつけた一来(いちき)和樹さん(22＝大学生)は、その境界線付近で観戦。｢東京ドームの 3連敗を見ているんで、これで 4連敗ですよ…。悔しいです！｣と頭をかきむしった。
　 3連休の最終日に聖地で迎え撃つ伝統の一戦。スタンドも超満員だった。左翼で目を光らせた警備員は｢平日なら最下部に 3人の時もあるんですが、きょうは10人で見ています。阪神－巨人戦は何があるか、わかりませんから。 3件ほど、けんかなどの事案がありました｣と話す。危険地帯には最上部に向けて、縦に 6人もの警備員を配備していたが、試合後に10分以上続く巨人応援団のヒッティングマーチに｢ここは東京ドームちゃうでぇ～｣と｢帰京｣のプラカードを掲げ、声を荒らげた阪神ファンも…。警備員が制止に入る一幕があった。


　今季最多 4万7006人の観客を飲み込んだ甲子園。虎党の願いもむなしく完封負け

　神戸市灘区在住の谷沢太陽さん(26＝会社員)は｢勢いの差がそのまま出たって言葉が一番、ピッタリ。( 6回の)新井さんは打ちそうやったけど…｣と嘆き節。大阪市の山下智子さん(33＝主婦)は｢最近、全然ホームランを見ていない。一発が出ないと勢いも出ない｣と叫んだ。
　試合後、坂井オーナーは波に乗れないチーム状況を問われ、｢その通りですね｣と話すのが精いっぱい。宿敵にこれで 5連敗。｢きょうこそ、勝ってくれ－｣フラストレーションがたまった虎党の怒りは吹き出す寸前だ。

　和田監督がわびた。散発４安打で今季10度目の完封負け。“伝統の一戦”に胸を躍らせながら聖地の門をくぐってくれた虎党に申し訳なかった。
　｢こんな試合になって、というか…。選手も気持ちを出してやっているんだけど、現状では満足して帰ってもらえていないだろうしね。とにかく、このまま終わるわけにいかないので｣
　前夜、今月上旬の東京ドームで 3連敗を喫したことを問われ、｢甲子園のファンの前でそういう姿はみせられない｣と逆襲を誓っていた。が、 2点を追う 2回先頭の新井が左中間 2塁打を放ちチャンスメークしたもののアニキ・金本、新井良太、平野が倒れて無得点。
　 6回も二死 1、 3塁を作りながらも新井が右飛で天を仰いだ。得点圏に 3度進めるも、決定打不足に泣き、Ｇ戦 5連敗。借金は今季ワーストタイの｢９｣と増え、巨人との差はついに14ゲームまで開いた。


　 6回のチャンスでアニヤン・新井(手前)は、右飛に…。ベンチで和田監督(左から 2人目)はぼう然

　｢今は首位うんぬんではなく、オールスターブレークまであと２試合なんで、このままズルズルという終わり方をしてはいけない。ゲームにはなっているけど、まだはね返すだけの力がない。ここのところ、ずっとあと１本でるかどうかで負けているから、同じような結果になってしまう｣
　自力優勝は 8日の巨人戦(東京Ｄ)で消えているが、大逆転優勝を祈っている虎党も多くいる。
　2008年の巨人は“メークレジェンド”で13差をひっくり返した。しかし、14差から頂点に立った球団はセでは皆無(パでは1963年の西鉄で14.5差という記録がある)。デッドラインを越えた。
　今は 3位以上ならクライマックス・シリーズ(CS)に進出できるが、明かりがついては消えの状態では…キツイ。
　｢球宴まで残り 2試合、後半戦の何かヒントになるようなゲームをやっていきます｣
　ドラフト 1位の伊藤隼太外野手(慶応大學)、上本らベンチにはフレッシュな若手もいる。虎穴に入らずんば虎児を得ず。あらゆる可能性を探り、巻き返し策を練る。


　 9回裏、アニキ・金本(手前左)が打ち取られ、肩を落とす和田監督

　今季10度目の完封負けで、借金は今季最多タイの｢９｣に膨らんだ。 2回にスタンリッジが先制 2ランを浴びると、打線に反発力はなかった。巨人内海の前に、 4安打で無得点。 4度得点圏に走者を進めたが、あと 1本が出なかった。観衆は今季最多の 4万7006人を集めたが、ファンを失望させる結果になった。和田豊監督(49)は｢このまま終わるわけにはいかない。あと 2試合で、後半戦のヒントになるゲームをやれるようにしたい」と前向きな姿勢を失わなかったが、首位巨人とは14ゲーム差でリーグ制覇は絶望的な状況だ。


　 2回表、エドガーに先制の左越え 2点本塁打を浴び打球の行方を見るスタンリッジ

　先発のスタンリッジが 2回の被弾を猛省した。一死 1塁でエドガーに真ん中の直球をフルスイングされ、左中間スタンドの最深部に突き刺さった。先制 2ランを献上。
　｢失投だった。インコースを狙ったが、真ん中に入ってしまった｣。 2回一死 1塁からエドガーに 2ラン。直球が甘くなり、左中間へ運ばれた。この一球が響いて 6回 6安打 2失点で 5敗目( 5勝)。粘って投げたが味方の援護もなかった。｢それも野球の一部。勝つために投げているので負けてしまうとよかったところも消えてしまう｣と肩を落とした。藪投手コーチは｢あの一球は悔やまれるけど、それ以外は先発として十分だった｣と擁護した。
　相手先発が好投手の内海だけに、打線に重くのしかかるビハインドになった。スタンリッジは｢ 2回のエドガーに打たれた 1球が悔やまれます｣と振り返った。

　阪神は首位・巨人に完封負けを喫して再び借金｢９｣。ゲーム差は今季最大の｢14｣にまで広がった。今月はいぜんアーチの出ていない打線についてサンケイスポーツ専属評論家の田尾安志氏(58)はカンフル剤にスタメンを外れているクレイグ・ブラゼル内野手(32)の起用を提言した。
　首位と14ゲームをひっくり返すのは、正直言って至難の業。相当なカンフル剤が必要になる。私は、 7月に入って１本も本塁打が出ていないチームの現状を考えても、ブラゼルを固定して使うのがベストだと考える。
　阪神側からみれば、ブラゼルは状態が悪い、と映るのだろう。内角高めを攻められ、外角低めに落とされると簡単にアウトになる印象が強いかもしれない。が、大事なのは相手がどう考えているか。優先すべきは阪神の事情ではなく、対戦相手の思いだ。当たれば一発がある打者、思い切って振ってくる打者は、絶対に嫌なもの。
　14、15日のヤクルト戦を思い出してもらいたい。スタメンにバレンティンがいないだけで、一発の恐怖はなくなり、阪神は明らかに戦いやすかった。


　 8回に代打で登場し死球を受けたブラゼル。田尾氏はＢ砲こそ現時点でのカンフル剤と提言する

　ちなみにブラゼルの打率は 0.242。決して高くないが、よーく考えれば、阪神の他のスタメンと大きく変わらない。ブラゼル起用は、当然ながら機動力は落ちるだろうが、だからといって、代わりに起用して走りまくる選手がいるわけでもない。
　最大の不安材料となるのは、アニヤン・新井が 3塁に戻ることによる守備力の低下だが、現在の点が取れない状況で、守備重視の布陣で戦っても、14ゲーム差が縮まるとは思えない。攻撃重視、とにかく点を取る野球こそが、現状打開の最善手だと思う。となれば、長打力のあるブラゼルに頼るしかないのではないか。
　現状の打線にも苦言を呈したい。この日の攻撃を見ても、いい投手を相手にすると、いつも同じ抑えられ方をして負けてしまう。チーム全体で狙い球を絞って、という姿が伝わってこないのだ。各打者が 1対 1で投手に挑んでいるだけ。これでは、内海のようなトップクラスの投手は攻略できない。楽に投げさせてしまっている。同じ方法で負けるのなら、違う方法を探さなければならないのは当たり前の話。
　ベテランが多く、自由に打たせているのかもしれないが、結果が出ていない以上、従わせるのも首脳陣の仕事。みんなで一致団結して攻略する姿勢を見せてもらいたい。もう後がないのだから。



　皆怒っている！いったい、いつになったら勝ちが続くんじゃぁ～！
　阪神甲子園球場内では喧嘩も有ったと書かれていたし、警備員を倍以上に増やしたとも書かれている。しかし、東京から行った阪神ファンや神戸市灘区在住の会社員の嘆き節、皆ため息どころか口が開いていつ閉まるのか心配しているような状態だ。
　｢14｣ゲーム差をひっくり返す様な力が、今のタイガースに有ったらやってみろ！10番目の野手だけでなく、ファンは皆それを願っているのだから！
　ガンバレ！阪神！我らのタイガース！


　阪神は16日、球団のＯＢ会創立40周年を記念し、阪神―巨人のＯＢ戦を11月18日に甲子園で行うと発表した。阪神によると、甲子園での両球団によるＯＢ戦は12年ぶりという。

















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