●虎のブーちゃんこと、阪神タイガースで寮長を務めてきた高木昇さん(61=球団本部チーム運営)が、12月をもって退団する。虎風荘を守り続けた9年間、計35年間にわたって裏方に徹した。シーズン中は、午前 5時に起床、 2軍選手の朝食から、 1軍でプレーする選手がナイター後に摂る夕食の後片付けまで、プライベートとは無縁の生活を貫いた。ほとんど寮に住み込みながら、門限が遅い休日前も最後の 1人が帰るまで“門番”を続けた。門限破り、事件、事故に巻き込まれたケースは皆無、徹底した管理で選手をガードした。その高木さんが「恩人」という人物が 3人いる。出身校で当時の別府大學付属高校監督・糸永俊一郎からは「信用、信頼、高木に任せたら大丈夫と思われる人間になれ」と教わった。プロ入り後は、同じ捕手の田淵幸一氏(72)に「ブーちゃん」とニックネームをつけられてかわいがられた。当時の虎風荘の屋上で、掛布雅之氏(63)がスターダムをのし上がっていく原点にも触れてきた。 1年目は 2軍、翌年はブルペン捕手で、わずか 2シーズンで現役を終えた。その高木さんにとって、かけがえのない人が、新人時代の監督、吉田義男氏(85)だ。高木さんにとって、吉田氏は実父(弘氏=10年逝去)と同じ年だった。別府大付の後輩で2009年オフに阪神入りした城島健司(42=別府大學付属高校)がユニホームの前ボタンを外していると、襟を正すように指摘したのは、先輩の高木さんだった。その厳格さが、無事故、無違反で、虎風荘の秩序につながったのだろう。一方で、真冬の取材にあたる若手記者にぜんざいを振る舞う気遣いをみせるあたりは、らしいと思った。現場、フロントのさまざまな仕事に精通し、最も“裏”を知る一人。「ザ・裏方」として尽力したプロフェッショナルの決別は惜しい。サラリーマンとして、ゼットスポーツに勤務した際も、同社アドバイザーだった吉田氏と野球教室、指導者講習会など、毎年、全国約50カ所を回った。吉田氏が1985年に 2度目の阪神監督に就くとフロント入り、吉田付きマネジャーで、21年ぶりの「リーグ優勝、日本一」を支えた。高木さんの忍耐力が培われたのは、比叡山の大阿闍梨(あじゃり)、恩人の酒井雄哉から「続けることの大切さ」を教え込まれた影響が大きい。阪神を知り尽くした功労者は願ってやまない。次なる舞台での活躍を念じたい。
記事を載せてみました。
虎のブーちゃんこと、阪神タイガースで寮長を務めてきた高木昇さん(球団本部チーム運営)が、12月をもって退団する。虎風荘を守り続けた9年間、計35年間にわたって裏方に徹した。
「気も張りましたが、体も張ってきたつもりです」
シーズン中は、午前 5時に起床、 2軍選手の朝食から、 1軍でプレーする選手がナイター後に摂る夕食の後片付けまで、プライベートとは無縁の生活を貫いた。
ほとんど寮に住み込みながら、門限が遅い休日前も最後の 1人が帰るまで“門番”を続けた。門限破り、事件、事故に巻き込まれたケースは皆無、徹底した管理で選手をガードした。
その高木さんが「恩人」という人物が 3人いる。出身校で当時の別府大付監督・糸永俊一郎からは「信用、信頼、高木に任せたら大丈夫と思われる人間になれ」と教わった。
プロ入り後は、同じ捕手の田淵幸一氏に「ブーちゃん」とニックネームをつけられてかわいがられた。当時の「虎風荘の」屋上で、掛布雅之氏がスターダムをのし上がっていく原点にも触れてきた。
「毎晩、山内(一弘)コーチが、掛布さんと、佐野(仙好)さんの 2人だけをつきっきりで教えるんです。その迫力がすごくて、とてもついていけるレベルじゃないと思いました」
1年目は 2軍、翌年はブルペン捕手で、わずか 2シーズンで現役を終えた。その高木さんにとって、かけがえのない人が、新人時代の監督、吉田義男氏だ。
高木さんにとって、吉田氏は実父(弘氏=10年逝去)と同じ年で「あつかましいですが、親代わりのような方」といった。
阪神タイガース「虎風荘」高木昇寮長
サラリーマンとして、ゼットスポーツに勤務した際も、同社アドバイザーだった吉田氏と野球教室、指導者講習会など、毎年、全国約50カ所を回った。
吉田氏が85年に 2度目の阪神監督に就くとフロント入り、吉田付きマネジャーで、21年ぶりの「リーグ優勝、日本一」を支えた。
「勝負に厳しい人。優勝した年も絶えず不安だったでしょうが、勝ちに徹した。監督とは孤独だと思いました。今でも吉田さんは月に1度は寮にきて若手を励ましてくれます。あれだけタイガースのことを思っている人はいません」
高木さんの忍耐力が培われたのは、比叡山の大阿闍梨(あじゃり)、恩人の酒井雄哉から「続けることの大切さ」を教え込まれた影響が大きい。
ほとんどが「虎風荘」から巣立っていくなかで「寮長 1年目の秋山、原口も気になるし、退寮後に成績が下がった藤浪、高山も気になって仕方がないです」と後ろ髪を引かれる思いだ。
阪神を知り尽くした功労者は「虎の穴から生え抜きが育っていくのが理想的。常に優勝争いを演じる、強いタイガース、猛虎に生まれ変わってほしい」と願ってやまない。
○…高木寮長は脳腫瘍から復活をかける育成扱いの横田にも思いを寄せる。2017年 2月の沖縄・宜野座キャンプで異状が認められ、一緒に帰阪。その後も入院、加療に付き添った。リハビリを続ける若虎に「(2016年) 1軍で開幕スタメン出場したくらいの逸材。いつかまた甲子園でプレーする姿を見たい」とエールを送った。
阪神タイガース「虎風荘」高木昇寮長
高木さんは「家族と過ごす時間を持ちたい」と打ち明けた。本人の正義感を知るだけに、どれだけ自分を犠牲にしてきたかは、容易に察することができる。
「 2軍」の位置付けはチームの将来を左右する。プロスポーツの取材では、タニマチ、女、酒、暴力団からの“甘い蜜”にはまって短命に終わる姿にも接してきた。お山の大将で入ってくる高卒、大卒選手にとって、一般社会に出るのと同じ。技術を磨く修業の場でありながら、人間形成のプロセスにある。
1軍でプレーする選手は限られ、スターになるのは一握りだ。ユニホームを脱いだ後も、社会で役立つ人材を育てる役割が、ファームには課せられている。
別府大付の後輩で09年オフに阪神入りした城島健司がユニホームの前ボタンを外していると、襟を正すように指摘したのは、先輩の高木さんだった。
その厳格さが、無事故、無違反で、虎風荘の秩序につながったのだろう。一方で、真冬の取材にあたる若手記者にぜんざいを振る舞う気遣いをみせるあたりは、らしいと思った。
現場、フロントのさまざまな仕事に精通し、最も“裏”を知る一人。「ザ・裏方」として尽力したプロフェッショナルの決別は惜しい。次なる舞台での活躍を念じたい。
ガンバレ!阪神!我らのタイガース!勝利を掴め!
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