ミスターホークス小久保今季限りで引退　40歳、パワー衰えて男の決断…

　ミスターホークスがユニホームを脱ぐ。ソフトバンクの小久保裕紀内野手(40)が14日、今季限りでの現役引退を表明した。出場機会がなかったヤフードームで行われたロッテ戦の試合後に会見を開き、｢自分が思い描くようにボールが飛ばなくなった｣と理由を明かした。昨年に通算 400本塁打、今季は 6月24日の北海道日本ハム戦(ヤフードーム)で史上41人目となる通算2000安打を達成したばかりだったが｢ボールを遠くに飛ばすという自分の長所が出せなくなってきた｣と体力、技術の衰えを痛感。本塁打はわずか 2本。パワーの衰えを理由に、王貞治球団会長(72)、秋山幸二監督(50)に申し入れた。計 8度の手術など波瀾万丈の野球人生にピリオドを打つと宣言した。球界を代表するバットマンは、リーグ 3連覇、 2年連続日本一を現役最後の花道にする。
　｢燃え尽きたい｣と残り試合はプレーする。球団では将来の監督候補として、来季の 2軍入閣要請を視野に入れている。記事をまとめてみました。

　突然の発表だった。ロッテに敗れた試合後、小久保がヤフードーム内で緊急会見を開き、今季限りの引退を表明した。 6月に2000安打を達成したばかりの鷹の主将が現役生活に幕を引くことを明らかにした。
　ミスターホークスがユニホームを脱ぐ。ソフトバンクの小久保裕紀内野手が14日、今季限りの引退を表明した。ヤフードームで行われたロッテ戦後、緊急会見を開いて発表した。今季は 6月24日の北海道日本ハム戦(ヤフードーム)で史上41人目の通算2000安打を達成した球界を代表するバットマンが、本塁打はわずか 2本。パワーの衰えを理由に、計８度の手術など波瀾万丈の野球人生にピリオドを打つと宣言した。リーグ 3連覇、 2年連続日本一を現役最後の花道にする。
　無数のフラッシュを浴びた小久保は、真っ赤な目にうっすら涙を浮かべていた。深々と一礼し、言葉を絞り出した。時折声を震わせる場面もあった。ロッテ戦後の緊急会見。ユニホーム姿の小久保は｢フリー打撃でもボールが飛ばなくなった｣と苦渋の決断に至った胸の内を吐露した。


　今期限りの引退を決めた小久保裕紀

　球団は功労者の進退は本人に一任していたが、小久保は試合前に王貞治球団会長、秋山幸二監督らと会談。｢きょうの午後に王会長と秋山監督、小林(海外兼中長期戦略部)部長に今シーズン限りで引退しますと話をしました｣と伝えたという。｢ 8月いっぱい勝負を懸けて、来年もやろうという気持ちになるかというところだった。それより早く自分の気持ちが固まってしまった｣。進退を一任されていた球団の功労者は、今季限りでユニホームを脱ぐことを決めた。試合後、ナインにもロッカールームで伝えた。レギュラーシーズン43試合を残した突然の決断。最大の要因は、こだわり続けてきた飛距離の衰えだ。今季は打率 0.234で本塁打はわずか 2本。2000安打を達成した一方で、最近はスタメンから外れ、代打としても起用されないままベンチを温める機会が増えた。｢試合に出られなくなったというより、自分の実力。思い描いたボールを遠くに飛ばすのが長所でこの世界に入ってきて、なかなか練習でも入らなくなった。そういう葛藤ですよね｣と理由を明かした。絶好の角度で打球が上がっても平凡な外野フライに。王会長から長距離砲として育て上げられ、1995年に本塁打王に輝いた。さらに史上17人しかいない通算 400本塁打も昨年達成した小久保にとって、現在の自分は到底受け入れられなかった。


　目を赤くしながら今季限りの引退を発表する小久保

　｢ 8月いっぱいで勝負をかけて、来年やろうという気持ちになるか(どうか)、というところだった。思ったより自分自身の気持ちが(引退で)固まってしまった｣
　プロ19年目の今季は腰痛に苦しめられた。1999安打を放ち、名球会入りに王手をかけながら、腰痛が悪化し、 5月25日には抹消されていた。 8回も手術のためメスを入れた身体はまさに満身創痍。もう限界だった。長距離砲としてのプライドが折れた瞬間もあった。
　昨年12月。長年神経を圧迫し、苦しめられた首の骨を削った。 8度目の手術は縁あって地元・和歌山。偶然にも 7階の病室から自分の原点が見えた。｢夕方、あそこを毎日 3往復走ったなあ｣。万葉集にも詠まれ、夕日で金色に輝く和歌浦の松林が広がった。そこから紀三井寺の石段 231段を 2往復。｢終わると、おかんにまずいカルシウムのスープを飲まされて｣。顎を上げて走った少年時代を目の底によみがえらせ、プロ19年目を戦ってきた。その野球人生は最後の最後まで故障との闘いだった。今年 5月25日、通算2000安打に王手をかけながら腰椎椎間板ヘルニアで抹消。日常生活にも支障をきたすほどだった。奇跡的に回復したが、故障の後遺症に加えて、年齢による衰えにも逆らえなくなった。


　突然の発表だった。引退会見を終えた小久保は無数のフラッシュを浴びた

　全盛期に 1年間のブランクを挟んで2000安打を達成した希少な選手。技術はもちろんのこと、小久保最大の武器は｢あきらめない才能｣に尽きる。練習、リハビリに妥協がない。｢逆境の時こそ生きざまの見せどころ｣。今回も地味なリハビリをこなし復活、大台にたどり着いた。
　 8日の北海道日本ハム戦(帯広)で通算 411本塁打となる今季 2号 3ランを放った際冗談めかして｢引退するまでホームランが打てないと思っていた｣と話したが、これは本音だった。｢試合前のフリー打撃で球が飛ばなくなった。試合でも(スタンドへ)行ったなと思った打球がセンターフライになった。とらえた当たりが入らなかったりとかが、かなりあった｣と、この日の会見でも漏らした。入団 2年目の1995年に28本塁打でキングを獲得した男は、師である王会長と同様、最後までアーチにこだわり続けてきた。単打狙いの打撃は、美学に反した。


　今季限りでの引退を表明し、ロッカールームに引き揚げる小久保

　今季は72試合に出場し、 2本塁打、打率 0.234。最近は新外国人のアレンに 1塁を譲り、 8月は打率 0.143だった。今月12日のイベントでは若手の長距離砲の柳田を期待の選手として挙げた。自身よりもチームや他選手についてコメントをすることが多くなっていた。
　試合前、王球団会長に報告した。監督として 4番の哲学を教わった王会長の前ではこみ上げてくるものを抑えられなかった。
　｢王会長と話していて涙が止まらなかった。会長は『自分の引き際は最後は自分で決断した』とおっしゃっていた｣
　秋山監督からは｢悔いはないか？｣と問われたが｢引退発表はしましたが、残りのシーズンは代打もあるしスタメンもある。チームの力になりたい｣と話した。


　 4回裏ソフトバンク二死 1塁、中前打を放ち通算2000本安打を達成した小久保【復刻版：2012年 6月25日の日刊スポーツから】

　低迷を続けた前身のダイエーを再建させ、2004年ダイエー(当時)から巨人への無償トレード 3年間は巨人でもプレーなど、激動の野球人生に終止符を打つ時は来た。2007年に復帰したソフトバンクではキャプテンとして若きチームを引っ張った。だが、まだシーズンが残っている以上、現役生活を振り返ることはしない。残されたターゲットはリーグ 3連覇と 2年連続の日本一。そのために19年間のプロ野球人生の全てをささげるつもりだ。小久保は｢ここから成績を上げて惜しまれながら引退したい。まだ優勝の可能性は残っている。 3連覇を成し遂げて終わりたい。チームの力になれる最大限の努力をしたい｣とリーグ 3連覇、連続日本一を誓った小久保。


　 4回裏、中前にプロ通算2000安打を放ちボードをかかえ笑みを浮かべる小久保裕紀【復刻版：2012年 6月25日の日刊スポーツから】

　王会長に決意を伝えた時は｢涙がボロボロこぼれた｣という。しかし、球場を引き揚げる際には｢あまりしんみりするのもね。(チームメートには)気遣うよりも優勝して、胴上げして、引退させてくれと言うつもりだよ。最後は燃え尽きて終わりたい｣と言った。思い立ったら一直線という小久保らしい幕引き。｢一瞬に生きる｣という座右の銘の通り、最後まで 1球に魂を込める。小久保の目の輝きは、まだ失われてはいなかった。
　パは混戦でソフトバンクは 4位だが、首位日本ハムとは 4.5差。球団では将来の監督候補として、来季の 2軍入閣を要請する準備を進めているが、小久保自身は最後の仕事が待っている。
　｢最後に燃え尽きて終わりたい。何とかパ・リーグ３連覇をしたい｣
　万年Ｂクラス軍団の先頭に立ち、猛練習でチームを常勝チームに変えた主将が、最高のエンディングを目指す。

◆小久保　裕紀(こくぼ・ひろき)：1971年(昭46年)10月 8日、和歌山県生まれの40歳。星林高では投手で甲子園経験なし。青学大で遊撃手に転向し、1992年バルセロナ五輪で銅メダル。1993年ドラフト 2位(逆指名9でダイエー入団。1995年には本塁打王、1997年には打点王を獲得。2004年からの 3年間は巨人に在籍し、2007年にソフトバンクへ復帰。 1塁手と 2塁手で計 3度のベストナインとゴールデングラブ賞に輝いた。11年には日本シリーズ史上最年長の40歳でＭＶＰ。 1メートル82、87キロ、右投げ右打ち。

　お疲れ様でしたは、ロンドン五輪出場選手だけでは無かった…。
　ミスターホークス小久保裕紀内野手が、引退表明をした。今まで怪我、怪我と、怪我に泣かされながらも努力してきた小久保だった。
　秋山ホークスに小久保いたからこそ人気が有り力も有った。それに、これまでの努力家で力が有った選手がいただろうか。そんな選手が抜けてしまっては、これから先の球団の運命はもう目に見えていると言っても良いだろう。しかし、年齢的な問題も有るし無理はできない。本当にお疲れ様でした。
　来年度は、 1軍でも 2軍でもコーチとしてのユニホーム姿を期待しています。

















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