●「新型コロナウイルス感染症」のワクチン開発で先行する米バイオテクノロジー企業モデルナは14日、約 3万人を対象とした臨床試験の最終段階を今月27日に米国で開始すると発表した。モデルナのワクチン候補の臨床試験初期段階を担当した米国のチームは14日、投与した45人に深刻な副作用はなかったと米医学誌に発表した。投与量が違う 3グループを比較。28日間隔で 2回接種すると、いずれの量でもウイルスに対抗する抗体がつくられた。一方で参加者の多くに悪寒、頭痛などの軽度か中程度の副作用がみられた。抗体の反応は投与量が多いほど強かったが、最終の臨床試験では中程度の量で行う。
●東京都が「新型コロナウイルスの感染状況」に関する警戒の「4段階の指標」のうち、最も高い「感染が拡大している」への引き上げを検討していることが15日、関係者への取材で分かった。同日午後に専門家らの会議で現状を分析し、最終的に判断。小池百合子知事(68)が臨時の記者会見を開いて感染拡大に強く警戒を呼び掛ける。都内では 7月に入ってから新規感染者が 3桁の日が増え、12日までは 4日連続で 200人台となった。14日時点では直近 7日間の平均が173.7人に上り、「緊急事態宣言」期間中の最大だった167.0人( 4月14日)を超える状態になっている。都では、14日までの 1週間平均の新規感染者数が173.7人となり、「緊急事態宣言」下で最高を記録した 4月14日時点の167.0人を上回り、過去最多となっていた。一方、入院患者数は増加傾向だが、重症者が第 1波に比べ少ないことから、医療提供体制は「2番目」に深刻な「体制強化が必要であると思われる」を維持した。会見前、専門家らを交えた「モニタリング会議、対策本部会議」が開かれた。感染者の年齢層が20~30代から幅が広がっていること、施設内、家庭内、社会生活の場で感染が見られていることから、「感染状況」を示す「4段階の警戒レベル」を、最も深刻な「感染が拡大していると思われる」(赤)に「1段階」引き上げた。入院患者数は約 800人と増加傾向にあるが、重症者数が横ばいであるとし「医療提供体制」は、「2番目」に深刻な「態勢強化が必要であると思われる」(オレンジ)を維持した。一方で、政府が22日から開始する旅行を促進する「Go To キャンペーン」については苦言を呈した。また、「新型コロナ特別措置法」の実効性を広げるため「休業要請」に応じない事業者に対する罰則の適用など改正を求めるなど、政府の対応に注文をつけた。都民への警戒を呼びかけるため、 6月 2日に発令された「東京アラート」では、都庁やレインボーブリッジが赤色に染まったが、今回はライトアップの予定はない。
●北海道と札幌市は15日、13人が「新型コロナウイルスに感染」したと発表した。うち11人が市内の繁華街・ススキノにあるキャバクラの従業員と客。道内の感染者は計1300人となった。大阪府は15日、61人が「新型コロナウイルスに感染」したと発表した。緊急事態宣言の解除後、最多となった。沖縄県は15日、米軍キャンプ・ハンセン(金武町など)で、新たに36人の「新型コロナウイルス感染」を確認したと米側から連絡があったと明らかにした。県によると、キャンプ・ハンセンでの感染確認は計58人となり、在沖縄米軍で計 136人となった。県によると、米国の独立記念日に当たる 4日の前後に北谷町の飲食店で開かれたパーティーで米兵と接触した可能性のある店舗従業員ら 130人が臨時の「PCR検査」を受けたが、全員陰性だった。
●菅義偉官房長官(71)は15日の記者会見で、政府の観光支援事業「Go To キャンペーン」について、細部を調整した上で赤羽一嘉国土交通相(62)が17日の記者会見で詳細を説明すると明らかにした。中止や延期はせず予定通りの実施が前提かとの質問に対し「そのような方向だと聞いている」と語った。複数の自治体首長からは、22日の「全国一律開始を不安視する声が出ている。立憲民主党など野党 4党の国対委員長は15日、国会内で会談し、「新型コロナウイルス感染者数」の増加を受け、22日に予定する観光支援事業「Go To トラベル」の開始を延期すべきだとの考えで一致した。会談では、沖縄などの在日米軍の感染状況について、日本政府の責任で情報開示を徹底すべきだとの認識も共有した。安住淳氏(58)は記者団に、政府の姿勢に疑問を呈した。
●東京を中心に全国で「新型コロナウイルス感染」が再拡大する中、政府が22日に「全国一律」で始める観光支援事業「Go To キャンペーン」をめぐり、地方の首長らから批判や不安が相次いでいる。政府は、感染防止対策を宿泊施設に義務付けるなど、予定通りに実施する方針だが、防戦一方。ネットでも、批判が高まっている。「コロナ」をめぐる安倍政権の肝いり政策が世論の声を受けて方針転換に追い込まれたケースもあり、今回も怪しい雲行きだ。政府が“強行”しようとしている「Go To キャンペーン」に、地方の首長から疑問の声が出てきた。山形県の吉村美栄子知事(69)は14日の会見で批判。経済対策として認めた上で「地域の実情に合ったやり方を地方に任せてほしい」と求めた。埼玉県の大野元裕知事(56)は、期待を示しつつも「まずはなるべく近場から始めてほしい」と呼び掛けた。13日に「今までは天災と言っていられたが、もう人災になる」と強い調子で発言した、青森県むつ市の宮下宗一郎市長(41)はこの日も指摘。訴え、市の観光施設閉鎖の可能性にも言及した。和歌山県の仁坂吉伸知事(69)のように、理解を示す首長もいる。新潟県の花角英世知事(62)は15日の記者会見で、政府が22日から始める観光支援事業「Go To トラベル」に関し注文を付けた。新潟県が 6月から実施している県民向けの割引企画を例に挙げ指摘した。佐賀県の山口祥義知事(55)は15日の記者会見で、政府が22日に始める観光割引「Go To キャンペーン」に関し、「新型コロナウイルスの感染状況」が都道府県で違うとし、疑問を示した。ツイッターでも「Go To キャンペーンを中止してください」というハッシュタグの投稿が増え、一時、トレンドの上位に入った。高齢者の多い地方での不安の高まりや、豪雨被災地のボランティアが感染防止で県内在住者に限定されていることとの整合性を指摘する声もある。安倍政権では、国民への現金給付をめぐり世論の批判を受けて急転直下方針転換した経緯がある。安倍首相は14日夜、予定通り実施するか問われ、明言はしなかった。
記事をまとめてみました。
「新型コロナウイルス感染症」のワクチン開発で先行する米バイオテクノロジー企業モデルナは14日、約 3万人を対象とした臨床試験の最終段階を今月27日に米国で開始すると発表した。
13日には米製薬大手ファイザーが、ドイツのバイオテクノロジー企業ビオンテックと共同開発するワクチンの最終的な臨床試験を今月にも始めると発表。米食品医薬品局(FDA)はいずれも優先審査の対象に指定している。
モデルナのワクチン候補の臨床試験初期段階を担当した米国のチームは14日、投与した45人に深刻な副作用はなかったと米医学誌に発表した。投与量が違う 3グループを比較。28日間隔で 2回接種すると、いずれの量でもウイルスに対抗する抗体がつくられた。一方で参加者の多くに悪寒、頭痛などの軽度か中程度の副作用がみられた。抗体の反応は投与量が多いほど強かったが、最終の臨床試験では中程度の量で行う。
東京都の感染状況について報道陣の取材に応じる小池百合子知事=都庁
東京都が「新型コロナウイルスの感染状況」に関する警戒の「4段階の指標」のうち、最も高い「感染が拡大している」への引き上げを検討していることが15日、関係者への取材で分かった。同日午後に専門家らの会議で現状を分析し、最終的に判断。小池百合子知事が臨時の記者会見を開いて感染拡大に強く警戒を呼び掛ける。
都内では 7月に入ってから新規感染者が 3桁の日が増え、12日までは 4日連続で 200人台となった。14日時点では直近 7日間の平均が173.7人に上り、「緊急事態宣言」期間中の最大だった167.0人( 4月14日)を超える状態になっている。
東京都庁で開かれた「新型コロナウイルスに関するモニタリング会議」に臨む小池百合子知事=都庁
東京都は15日、専門家を交えたモニタリング会議を開き、「コロナウイルスの感染状況」について、前回の「感染が拡大しつつあると思われる」から、最も深刻な「感染が拡大していると思われる」に1段階引き上げた。
都では、14日までの 1週間平均の新規感染者数が173.7人となり、「緊急事態宣言」下で最高を記録した 4月14日時点の167.0人を上回り、過去最多となっていた。
一方、入院患者数は増加傾向だが、重症者が第 1波に比べ少ないことから、医療提供体制は「2番目」に深刻な「体制強化が必要であると思われる」を維持した。
緊急記者会見で質疑応答に臨む小池百合子東京都知事=都庁
東京都は15日、感染状況に関する警戒度を「4段階の指標」で最も高い「感染が拡大している」へ引き上げた。小池百合子知事は緊急記者会見を開き、都民に対し、「不要不急の都外への外出については、できるだけお控えいただきたい」と呼びかけた。都内ではこの日、「新型コロナウイルスの感染者」が新たに 165人確認され、 7日間連続で 100人を超えるなど感染拡大に歯止めがかからない状態が続いている。
◇ ◇ ◇
「感染拡大警報」-。この日、68歳の誕生日を迎えた小池氏は緊急会見で、上半分が赤色、下半分がオレンジ色に染まったフリップを持ち、現在の感染状況を説明した。
「感染拡大警報」と書かれたボードを手に緊急記者会見に臨む小池百合子知事=都庁
会見前、専門家らを交えた「モニタリング会議、対策本部会議」が開かれた。感染者の年齢層が20~30代から幅が広がっていること、施設内、家庭内、社会生活の場で感染が見られていることから、「感染状況」を示す「4段階の警戒レベル」を、最も深刻な「感染が拡大していると思われる」(赤)に「1段階」引き上げた。入院患者数は約 800人と増加傾向にあるが、重症者数が横ばいであるとし「医療提供体制」は、「2番目」に深刻な「態勢強化が必要であると思われる」(オレンジ)を維持した。
専門家によると、無症状感染者が全体の約18%を占める。小池氏は「不要不急の都外への外出については、無症状の方も、他の方に感染させるおそれがあるので、できるだけお控えいただきたい」と訴えた。また、幅広い年齢層に感染が見られている現状に、「都民 1人 1人の行動変容を促す情報発信を展開していく」と、年齢層に応じた広報を強化するとした。
「感染拡大警報」と書かれたボードを手に緊急記者会見に臨む小池百合子知事=都庁
一方で、政府が22日から開始する旅行を促進する「Go To キャンペーン」については「実施の時期、方法など、改めてよーくお考えいただきたい」。「(予定通り開始しても)フルスペックにならないのでは」と「内容をすべて満たした状態」を意味する和製英語をまじえながら苦言を呈した。また、「新型コロナ特別措置法」の実効性を広げるため「休業要請」に応じない事業者に対する罰則の適用など改正を求めるなど、政府の対応に注文をつけた。
都民への警戒を呼びかけるため、 6月 2日に発令された「東京アラート」では、都庁やレインボーブリッジが赤色に染まったが、今回はライトアップの予定はない。都の担当者は「その時とは 7つのモニタリング指標も違うので、現時点では(赤色に点灯するなどは)考えていない」と話した。
北海道と札幌市は15日、13人が「新型コロナウイルスに感染」したと発表した。
うち11人が市内の繁華街・ススキノにあるキャバクラの従業員と客。道内の感染者は計1300人となった。
大阪府は15日、61人が「新型コロナウイルスに感染」したと発表した。緊急事態宣言の解除後、最多となった。
沖縄県は15日、米軍キャンプ・ハンセン(金武町など)で、新たに36人の「新型コロナウイルス感染」を確認したと米側から連絡があったと明らかにした。県によると、キャンプ・ハンセンでの感染確認は計58人となり、在沖縄米軍で計 136人となった。県は米軍関係者を県内の感染者数に計上しない。
キャンプ・ハンセン以外ではこれまでに普天間飛行場(宜野湾市)71人、嘉手納基地(嘉手納町など) 5人、キャンプ・マクトリアス(うるま市)と牧港補給地区(浦添市)で各 1人の感染者が確認されている。
県によると、米国の独立記念日に当たる 4日の前後に北谷町の飲食店で開かれたパーティーで米兵と接触した可能性のある店舗従業員ら 130人が臨時の「PCR検査」を受けたが、全員陰性だった。
菅義偉官房長官は15日の記者会見で、政府の観光支援事業「Go To キャンペーン」について、細部を調整した上で赤羽一嘉国土交通相が17日の記者会見で詳細を説明すると明らかにした。中止や延期はせず予定通りの実施が前提かとの質問に対し「そのような方向だと聞いている」と語った。
複数の自治体首長からは、22日の「全国一律開始を不安視する声が出ている。菅氏は「各地の感染状況を注視しつつ、感染症の専門家の意見をうかがいながら適切に運用していきたい」と強調した。
立憲民主党など野党 4党の国対委員長は15日、国会内で会談し、「新型コロナウイルス感染者数」の増加を受け、22日に予定する観光支援事業「Go To トラベル」の開始を延期すべきだとの考えで一致した。
立民の安住淳国対委員長は記者団に「地方に不安がある中で感染拡大につながれば政府が起こした人災になる。政府の認識は、国民の皮膚感覚とずれている」と述べた。
同時に「この状況でキャンペーンが実効性を上げるのは難しい。収束が見えたところで行うべきだ」と語り、政府に見直しを迫る考えを示した。
会談では、沖縄などの在日米軍の感染状況について、日本政府の責任で情報開示を徹底すべきだとの認識も共有した。安住氏は記者団に「政府は米軍に対して強いことを全く言っていないのではないか」と述べ、政府の姿勢に疑問を呈した。
東京を中心に全国で「新型コロナウイルス感染」が再拡大する中、政府が22日に「全国一律」で始める観光支援事業「Go To キャンペーン」をめぐり、地方の首長らから批判や不安が相次いでいる。政府は、感染防止対策を宿泊施設に義務付けるなど、予定通りに実施する方針だが、防戦一方。ネットでも、批判が高まっている。「コロナ」をめぐる安倍政権の肝いり政策が世論の声を受けて方針転換に追い込まれたケースもあり、今回も怪しい雲行きだ。
政府が“強行”しようとしている「Go To キャンペーン」に、地方の首長から疑問の声が出てきた。山形県の吉村美栄子知事は14日の会見で「首都圏での感染状況や各地での豪雨災害を踏まえると、この時期のスタートはいかがなものか」と、批判。経済対策として認めた上で「地域の実情に合ったやり方を地方に任せてほしい」と求めた。
報道陣の取材に応じる小池百合子知事=都庁
埼玉県の大野元裕知事は、期待を示しつつも「まずはなるべく近場から始めてほしい」と呼び掛けた。
13日に「今までは天災と言っていられたが、もう人災になる」と強い調子で発言した、青森県むつ市の宮下宗一郎市長はこの日も「感染が拡大すれば人災以外の何物でもない。市民の我慢をぶち壊すのか」と指摘。「「全国一律」で開始するのはよく考えた方がいい」「観光客が来てほしいのはやまやまだが、今ではない」と訴え、市の観光施設閉鎖の可能性にも言及した。
和歌山県の仁坂吉伸知事のように「不安はあるが、リスクがあるから来るなと言うと(地域経済は)自滅する。『コロナ禍』でも稼がないといけない」と、理解を示す首長もいる。
新潟県の花角英世知事は15日の記者会見で、政府が22日から始める観光支援事業「Go To トラベル」に関し「県内や隣県で段階的に実施するなど、やり方に柔軟性を持たせてもいいのではないか」と注文を付けた。
新潟県が 6月から実施している県民向けの割引企画を例に挙げ「県内で始めることに事業者、県民ともにそう異論はない」と指摘した。
佐賀県の山口祥義知事は15日の記者会見で、政府が22日に始める観光割引「Go To キャンペーン」に関し、「新型コロナウイルスの感染状況」が都道府県で違うとし、「(全国で)一律的にやるのはむちゃじゃないか」と疑問を示した。
「観光対策費を各県や九州という地域に配分してもらい、状況に応じた使い方をさせてほしい」とも述べた。首都圏から佐賀県に観光客が来ることは「仕方がない」とし、「健康管理を徹底してほしい」と呼び掛けた。
山形県庁で記者会見する吉村美栄子知事
ツイッターでも「Go To キャンペーンを中止してください」というハッシュタグの投稿が増え、一時、トレンドの上位に入った。高齢者の多い地方での不安の高まりや、豪雨被災地のボランティアが感染防止で県内在住者に限定されていることとの整合性を指摘する声もある。
世論の“包囲網”に、赤羽一嘉国交相は、宿泊施設やツアーに感染防止対策を義務づけると発表。地方の要望などを踏まえて早期開始の必要性を強調した。国交省は事業への登録時に対策を確認するが、現場で守られているかの確認も限界が予想され、混乱や不安は避けられない。
安倍政権では、国民への現金給付をめぐり世論の批判を受けて急転直下方針転換した経緯がある。安倍首相は14日夜、予定通り実施するか問われ「現下の感染状況、高い緊張感を持って注視をしている」とだけ話し、明言はしなかった。