自ら記者にたすきを必死の表情で渡す日本陸連の瀬古マラソン強化戦略プロジェクトリーダー.jpg 自ら記者にたすきを必死の表情で渡す日本陸連の瀬古マラソン強化戦略プロジェクトリーダー 日本陸連の瀬古利彦マラソン強化戦略プロジェクトリーダー(64)が「第97回東京箱根間往復大学駅伝」( 2、 3日)を占った。選手層の分厚い青学大の連覇を予想。世界を目指すランナーには積極果敢な走りを求めた。
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総合優勝の予想となると、青学大が頭 1つ抜けている。選手層が他とは違う。エース級の力を持つ選手が多い。後半も強いから、おのおのが必要以上に焦らず、心の余裕がある。原監督は箱根の勝ち方も分かっている。全日本は4位だったけど、負けた方が油断しないから、逆に好材料だ。
青学大を倒せそうな可能性が一番高いのは明大かな。“大砲”はいないけど、山は登りも下りも力がある。前半を遅れず、選手起用がはまればチャンスは十分。早大は往路で首位争いをできる。山登りが不安だけど…。明大と早大は勝てたらラッキーぐらいで、気負わない方が結果が出そうだし、その方がライバル校も怖いよ。
「第97回東京箱根間往復大学駅伝」 出場チーム
駒大は田沢でライバル校を引き離すことが必要。それでチームが勢いづけば、久々の栄冠も見えてくる。黄金世代が卒業した東海大は力をつけてきたけど、復路が未知数。「5強」以外では、順大は 1万メートルの記録を見ても、戦力が整っていると思うよ。
前回大会で 2区の区間記録を塗り替えた相沢晃(東洋大→旭化成)が「東京五輪」の 1万メートル代表に決まった。今回も世界を目標にしているランナーには、学生レベルの中でけん制せず、どんどん攻める姿を見たい。そういう心意気の選手が増えれば、相乗効果でレベルは上がる。世界は近づく。「東京五輪」はもちろん、その先にはパリ五輪が待っているのだから、そこを本気で目指して欲しい。
夏には「東京五輪」がやってくる。今は「コロナ」で、スポーツってどうなの? という否定的な風潮もあるけれど、やはりスポーツはいい、「五輪」を見たいと、少しでも多くの人に思ってもらえる箱根になるといいね。
「第97回東京箱根間往復大学駅伝競走」(箱根駅伝=読売新聞社共催)は 2日午前 8時から、10区間 217.1キロのコースで 2日間にわたり行われる。連覇を狙う青学大、「全日本大学駅伝」を制した駒大に、東海大や明大、早大などを軸とした争いが予想される今大会。学生ランナーのトップが競う「花の2区」が、往路の勝負を分けるポイントになりそうだ。
例年、模様眺めになりがちな1区だが、今回は多くの監督がハイペースの展開を予想する。3000メートル障害で「日本歴代2位」の 8分19秒37をマークしたスーパールーキー三浦龍司(順大)が登録されたことで、各チームとも補欠に控える有力選手を投入しそうだ。
■1区ハイペース予想で増す重み
1区からレースが大きく動けば、2区の重要性が増す。1~2区で流れに乗れれば「往路V」に近づくし、1区で出遅れた場合も、まだ挽回できる。
2区の争いを引っ張りそうなのは駒大の田沢廉(2年)。全日本大学駅伝では8区で区間賞に輝き、「優勝の立役者」となった。大八木弘明監督は「エースに2区で抜いてもらわないと困る。流れを作ってほしい」と期待する。
1区に起用された順天堂大學の三浦龍司選手
早大は中谷雄飛(なかやゆうひ=3年)との「ダブルエース」として今季急成長した太田直希(3年)、東海大は両角(もろずみ)速(はやし)監督が「今一番力がある」と話す名取燎太りょうた(4年)を起用した。青学大は原晋すすむ監督が「状態がいい」と認める中村唯翔ゆいと(2年)が2区を務める。
留学生では前回区間4位だった国士舘大のライモイ・ビンセント(3年)、創価大のフィリップ・ムルワ(2年)という 1万メートル27分台ランナーが登録された。前回「区間2位タイ」だった拓大のジョセフ・ラジニ(2年)、前回3区で「区間新」をマークした東京国際大のイエゴン・ビンセント(2年)は補欠に回り、2区で激突するか注目される。
前回、区間新記録で2区を制した相沢晃(東洋大―旭化成)と「区間2位タイ」だった伊藤達彦(東京国際大―ホンダ)は昨年12月の「日本選手権」 1万メートルでも激しく競り合い、「1、2位」となった。今回もレベルの高い争いが期待される。
各校の当日変更選手が発表され、「10年ぶりの優勝」を狙う早大は 1万メートルで今季「日本人学生2位」の27分54秒06の自己ベストをマークしたエース中谷雄飛( 3年)が「3区」に投入された。「同3位」の27分55秒59の自己ベストを持つ「2区」の太田直希( 3年)との「Wエース」で序盤、レースの主導権を握りたいところだ。「1区」には前回「3区14位」の井川龍人( 2年)が起用された。「マラソン日本記録」保持者の大迫傑(29=ナイキ)らを擁して「学生駅伝3冠」を成し遂げた10年度以来、ちょうど10年ぶりの「箱根路制覇」に向けて戦力は充実。早大が勝てば、中大と並び、大会史上最多タイの14回目の「優勝」となる。
今季の「全日本大学駅伝」(昨年11月)を制し、「学生3大駅伝」最多の「22勝」目を挙げた駒大は「1区」に「全日本大学駅伝1区3位」の加藤淳( 4年)に代わって、未知数の可能性を秘めるルーキー白鳥哲汰が抜てきされた。「3区」に準エース小林歩( 4年)、「5区」に実力派ルーキー鈴木芽吹が投入された。「2区」の絶対エース田沢廉( 2年)はもちろんそのまま出走する。当日変更で投入された 2人の新人が 8年ぶりの「箱根路制覇」の鍵を握ることになりそうだ。
2年連続 6度目の「優勝」を狙う青学大は「3区」に前回、アンカーとして「優勝」のゴールテープを切った湯原慶吾( 3年)、「4区」に今季の「全日本大学駅伝」(昨年11月)5区「区間賞」の実力派ルーキー佐藤一世が起用された。「5区」の実質「5年生」竹石尚人( 4年)は変更なく、 2年ぶり 3度目の出走する。
2年ぶり 2度目の「優勝」を目指す東海大は「1区」に主将の塩沢稀夕( 4年)、「3区」に期待のルーキー石原翔太郎が起用された。
72年ぶりの「劇的優勝」が期待される明大は「5区」に前回「5区5位」の鈴木聖人( 3年)が出陣する。
前回「3位」と躍進した国学院大は「1区」に前回「2位」と好走した藤木宏太( 3年)が投入された。「2区」の中西大翔( 2年)との「2枚看板」でレースの流れに乗り、前回の再現を目指す。
前回「5位」の東京国際大は、前回「3区」で青学大の森田歩希(現GMOインターネットグループ)が持っていた区間記録を 2分 1秒も更新する59分25秒の驚異的なタイムをたたき出したイェゴン・ヴィンセント( 2年)が「2区」登録のルカ・ムセンビ( 2年)に代わって投入された。前回、東洋大・相沢晃(現旭化成)がマークした 1時間 5分57秒で区間記録の更新なるか。注目される。大会ルールで外国人留学生は登録が 2人以内、出走が 1人以内となっている。
前回「9位」で初シード権(10位以内)を獲得した創価大は、前回「10区」で区間新記録をマークして「2人抜き」した嶋津雄大( 3年)が「4区」に投入された。春先、一時、休学したが、完全復活。前回のような激走が期待される。
東洋大は前回まで 3年連続で「1区」を走り、「区間賞、区間賞、区間14位」の成績を残したエース格の西山和弥( 4年)は補欠に登録され、往路では出番なし。復路の勝負区間での投入が見込まれる。「3区」に前田義弘( 2年)が起用された。
順大は「1区」登録のスーパールーキー三浦龍司がそのまま出走。「4区」に石井一希( 1年)が起用された。千葉・八千代松陰高時代のチームメートの青学大・佐藤一世との直接対決が注目される。
中大は補欠登録の 1年生エース吉居大和が「3区」に投入された。「名門復活」のキーマンとなる。
拓大のケニア人留学生のジョセフ・ラジニ( 2年)は「2区」に起用された。レメティキの登録名だった前回は「2区」で 1時間 6分18秒で「区間2位」。区間新記録をマークした東洋大・相沢晃(現旭化成9と21秒差と好走した。今回も激走を期す。
箱根駅伝の選手登録は例年12月10日に16人を選手登録。同29日に「1~10区」と補欠 6人を登録する。往路、復路ともにスタート(午前 8時)の 1時間10分前に当日変更が可能。ただ、変更は区間登録選手と補欠登録選手の交代だけで区間登録選手同士の変更はできない。前回まで交代は往路、復路合わせて 4人以内だったが、今回から 6人以内に拡大(ただ、各日 4人以内)。主力選手を補欠に登録し、勝負区間に投入するなどの戦術的な変更も可能なため、各校の駆け引きや当日変更のドラマも箱根駅伝の見所のひとつ。今回、交代枠が拡大されたこともあり、各校の主力選手の多くが補欠に登録されている。
主なチームの往路選手は以下の通り。【 】内は当日変更で出場しない選手。
早稲田大學の中谷雄飛選手
▽青山学院大學
1区 吉田圭太(4年)
2区 中村唯翔(2年)
3区 湯原慶吾(3年)【大沢佑介(2年)】
4区 佐藤一世(1年)【脇田幸太朗(2年)】
5区 竹石尚人(4年)
▽東海大學
1区 塩沢稀夕(4年)【市村朋樹(3年)】
2区 名取燎太(4年)
3区 石原翔太郎(1年)【田中康靖(3年)】
4区 佐伯陽生(1年)
5区 西田壮志(4年)
本間敬大(3年)
竹村拓真(2年)
浜地進之介(2年)
吉井来斗(1年)
▽国学院大學
1区 藤木宏太(3年)【門田秀利(4年)】
2区 中西大翔(2年)
3区 臼井健太(4年)【石川航平(3年)】
4区 河東寛大(4年)【藤村遼河(4年)】
5区 殿地琢朗(3年)
▽帝京大學
1区 小野寺悠(4年)
2区 星岳(4年)
3区 遠藤大地(3年)
4区 中村風馬(3年)【新井大貴(2年)】
5区 細谷翔馬(3年)
▽明治大學
1区 児玉真輝(1年)
2区 加藤大誠(2年)
3区 小袖英人(4年)【村上純大(4年)】
4区 櫛田佳希(2年)【金橋佳佑(3年)】
5区 鈴木聖人(3年)【樋口大介(4年)】
▽早稲田大學
1区 井川龍人(2年)【辻文哉(1年)】
2区 太田直希(3年)
3区 中谷雄飛(3年)【菖蒲敦司(1年)】
4区 鈴木創士(2年)
5区 諸冨湧(1年)
▽駒澤大學
1区 白鳥哲汰(1年)【加藤淳(4年)】
2区 田沢廉(2年)
3区 小林歩(4年)【青柿響(2年)】
4区 酒井亮太(2年)
5区 鈴木芽吹(1年)【円健介(2年)】
▽東洋大學
1区 児玉悠輔(2年)
2区 松山和希(1年)
3区 前田義弘(2年)【村上太一(1年)】
4区 吉川洋次(4年)
5区 宮下隼人(3年)
この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図(国土基本情報20万)を使用しました。 8承認番号 平29情使、第744号)