●巨人名手の血を入れ猛虎革命だ。阪神の今春キャンプで「臨時コーチ」を務める川相昌弘氏(56)が17日、少年野球大会「川相昌弘杯」が「コロナ禍」で中止になったことを受けてオンライン取材に応じ、「虎の守備力改善」に強い意欲を見せた。巨人での現役時代に遊撃部門で 6度の「ゴールデングラブ賞」を受賞した名手は、基本練習の重要性を力説。昨季まで「3年連続12球団ワースト」の失策数について、「何十個かは減る」と自信をのぞかせた。川相氏はすでに「3年連続12球団ワースト失策数」の分析を進めていた。球団にDVD作成を依頼し、12月末に「昨年のミスをしているところが中心の映像」を取り寄せ。結論は「大半はイージーミス」だった。虎の16年ぶり「V奪回」へ、「守備力強化」は避けては通れない難題だ。昨季もチーム「85失策」。課題克服への覚悟が、宿敵の要人への「臨時コーチ」就任打診につながった。川相氏は巨人で長年活躍して 1軍ヘッドコーチ、 2軍監督も歴任し、「読売新聞スポーツアドバイザー」でもある。本人もオファーの重みを感じ取り、ライバルに力を貸す決意を固めた。中日コーチ時代には井端弘和氏(45=元内野手=亜細亜大學OB)、荒木雅博氏(43=元内野手)、巨人コーチ時代には坂本勇人内野手(32)の進化を見届けている。川相氏は晩年も基本的なゴロ捕球を大切にしていた井端を例にあげ力説。今春、守備のスペシャリストが虎の内野陣を変革する。
●小幡竜平内野手(23)は今春キャンプで「臨時コーチ」を務める川相氏にバントの極意を学ぶ。通算「533犠打」の世界記録を持ち「バントの神様」として知られる同氏について、目を輝かせた。17日は鳴尾浜で内野ノックやキャッチボールで汗を流し、キャンプに向けて順調な調整をアピールした。
●阪神「ドラフト6位」の中野拓夢内野手(24=三菱自動車岡崎=山形県出身)が17日、今春キャンプで「臨時コーチ」を務める遊撃の大先輩、川相昌弘氏に「弟子入り」を志願した。守備に定評のある中野は、指導を心待ちにした。社会人時代の昨秋公式戦は、出場全 8試合で「無失策」だった。川相氏のアドバイスでレベルアップし、木浪聖也内野手(26=亜細亜大學OB)や小幡らとの遊撃手争いに競り勝つ意気込みだ。この日は「阪神・淡路大震災」から26年が経過し、「新人合同自主トレ」開始前に黙とうをささげた。山形県出身の中野も、11年に「東日本大震災」を経験している。復興半ばの故郷の東北も思い、心を新たにした。
●6434人が犠牲となった「阪神大震災」から丸26年となった17日、阪神は「新人合同自主トレ」が行われている鳴尾浜で藤原崇起オーナー兼球団社長(68=阪神電鉄会長)、新人を含む選手、スタッフら約50人が黙とうをささげた。藤原オーナーは当時を振り返り語った。「新型コロナウイルス感染拡大」で誰もが苦しむ今こそ、もう一度、「震災と同じように支えながらということが大事じゃないかなと思う」と言う。手を取り合い、立ち上がってきた人々を目の当たりにしてきたからこそ、藤原オーナーはこの難局も乗り切れると信じている。
●阪神は17日、兵庫・西宮市内の鳴尾浜球場で「阪神・淡路大震災」の犠牲者に黙とうをささげた。26年前の1995年 1月17日、午前 5時46分に兵庫・神戸市を中心に起こった震災。藤原崇起オーナー兼球団社長や、谷本修球団副社長兼本部長(56)、選手、スタッフら約50人が練習前に整列し、午前 9時30分から約 1分間行った。「ドラフト1位」の佐藤輝明内野手(21=近畿大學)ら新人 9選手もともに目を閉じ、哀悼の意を示した。現在は「新型コロナウイルス感染拡大」の影響により、世界中が苦しむ状況にある。同オーナーは、言葉を並べた。先が見えないときにこそ、誰かと思いが通じている、信じ合えているという「絆」が力になる。今回もそう信じている。この「コロナ禍」も、支えてくれる人々とともに乗り越える。
●95年の「阪神・淡路大震災」から26年を迎えた17日、阪神「ドラフト1位」の佐藤輝明内野手がオンライン取材に応じ、震災への思いを語った。まだ生まれる前の出来事だが、地元兵庫を襲った大惨事を思うと胸が痛んだ。「新人合同自主トレ」先の鳴尾浜で、同僚選手ら約50人と黙とうをささげた。11年の「東日本大震災」後、東北に希望を届けた楽天田中将大投手(32)の活躍を引き合いに、故郷を明るく照らす全力プレーを誓った。寒空の鳴尾浜で、佐藤輝は静かに目を閉じた。今なお、傷が癒えない人も多くいる。その人たちのために、何ができるのか。自身に問いかけ、全力プレーで、生まれ育った故郷に勇気と感動を与えると誓った。16年ぶりの「リーグ優勝」は、阪神ファンの誰もが待ち望む。26年前、「阪神大震災」が起きた95年は佐藤輝が憧れるイチロー氏(47)率いるオリックスが「がんばろう神戸」を合言葉に「優勝」し、関西を明るく照らした。プロ野球選手の使命を胸に刻み、快音で歓喜をもたらす。
●兵庫・淡路島出身の阪神「ドラフト5位」村上頌樹投手(22=東洋大學)が17日、オンライン取材に応じ、震災への思いを語った。村上は当時生まれていなかったが、両親から震災の詳細を聞いたという。小学生のころから震災のことを学ぶ機会も多々あった。体験はしていなくても、 1月17日は特別な日だ。昨秋の「東都リーグ開幕戦」で右前腕肉離れを発症したが、現在は「新人合同自主トレ」を無難にこなすまでに回復した。選手会長近本光司外野手(26)と同郷の即戦力右腕も、関西を勇気づけていく。
●95年の「阪神・淡路大震災」から26年を迎えた17日、武庫荘総合(兵庫)の植田茂樹監督(56)ががれきのなかで野球に臨んだ26年前の心境を語った。植田監督は、「阪神・淡路大震災」が起こった95年夏、公立の尼崎北を率いて甲子園に初出場した。震災と向き合い芽生えた心の強さが、「聖地」につながっていた。神戸市内より比較的被害の少なかった尼崎市内は、震災から程なくしてライフラインが復旧。学校も始まり、部活動も自主練から再開した。震災から約 2カ月が経ったある日、練習試合のために電車で明石市内へ向かった。窓の向こうに見えた景色に、部員たちが言葉を失っていた。尼崎市と西宮市の間を流れる武庫川を越えると世界は一変した。崩れたビル、空き地だらけの変わり果てた神戸の街。部員おのおのが、心に刻んでいた。「聖地」は長く、短かった。 8時30分開始の第一試合にもかかわらず、アルプスも外野席も地元の応援団で満員になった。だが、 3時間超の熱戦の末、初戦で青森山田に 6- 7で惜敗。「勝利」で応えることはできなかった。試合後、拍手と聞き取れないほどの大歓声に包まれた。26年が経った今、「コロナ禍」による未曽有の事態に包まれる。部は現在、「緊急事態宣言」の影響で練習時間は平日 2時間、休日 3時間に限られる。限られた環境下、思うようにならない日々が、26年前と重なる。野球ができる幸せを感じながら、生徒たちとこの日常に向き合う。
記事をまとめてみました。
川相昌弘氏 (2018年12月 1日撮影)
巨人名手の血を入れ猛虎革命だ。阪神の今春キャンプで「臨時コーチ」を務める川相昌弘氏が17日、少年野球大会「川相昌弘杯」が「コロナ禍」で中止になったことを受けてオンライン取材に応じ、「虎の守備力改善」に強い意欲を見せた。
巨人での現役時代に遊撃部門で 6度の「ゴールデングラブ賞」を受賞した名手は、基本練習の重要性を力説。昨季まで「3年連続12球団ワースト」の失策数について、「何十個かは減る」と自信をのぞかせた。
◇ ◇ ◇
川相氏はすでに「3年連続12球団ワースト失策数」の分析を進めていた。球団にDVD作成を依頼し、12月末に「昨年のミスをしているところが中心の映像」を取り寄せ。結論は「大半はイージーミス」だった。
「普通にきっちりプレーすれば、エラーは何十個かは全然減る。日頃の意識、練習への取り組み、そういうところをきっちりやっていけばエラーは十分減る」
かつての名手は冷静に力強い言葉を並べた。
虎の16年ぶり「V奪回」へ、「守備力強化」は避けては通れない難題だ。昨季もチーム「85失策」。課題克服への覚悟が、宿敵の要人への「臨時コーチ」就任打診につながった。川相氏は巨人で長年活躍して 1軍ヘッドコーチ、 2軍監督も歴任し、「読売新聞スポーツアドバイザー」でもある。本人も「正直驚いた」というが、オファーの重みを感じ取り、ライバルに力を貸す決意を固めた。
今、特に改善したいポイントが 2つある。
<1> 1塁守備力:昨季はボーアとマルテの 2人で計「15失策」。今季は昨季左翼を主戦場としたサンズを筆頭にマルテ、陽川、原口が争うが「 1塁にミスが多いと野手の送球にプレッシャーがかかる。誰が入るにしても 1塁守備は近代野球の中ですごく重要」。「落合政権時」の中日では 1塁の名手、渡辺博幸ともプレーしており「心強かった」。
<2>守備固め:昨季は途中出場選手の失策も少なくなかった。「主力がアクシデント、事情で交代した時にフォローする人たちの守備力向上もすごく重要」。 今春は 2月 1日から18日まで「臨時コーチ」を務め、19日以降もタイミングが合えば指導する。名手の長期滞在は頼もしい限りだ。
中日コーチ時代には井端弘和、荒木雅博、巨人コーチ時代には坂本勇人の進化を見届けている。川相氏は晩年も基本的なゴロ捕球を大切にしていた井端を例にあげ、「足をしっかり使って基本に忠実に毎日やっている姿を見て、一流なんだなと。そういう選手に少しでも近づいて欲しい」と力説。今春、守備のスペシャリストが虎の内野陣を変革する。
川相昌弘氏 (2020年 2月18日撮影)
巨人名手の血を入れ猛虎革命だ。阪神の今春キャンプで「臨時コーチ」を務める川相昌弘氏が17日、少年野球大会「川相昌弘杯」が「コロナ禍」で中止になったことを受けてオンライン取材に応じ、虎の守備力改善に強い意欲を見せた。
巨人での現役時代に遊撃部門で 6度の「ゴールデングラブ賞」を受賞した名手は、基本練習の重要性を力説。昨季まで「3年連続12球団ワースト」の失策数について、「何十個かは減る」と自信をのぞかせた。
川相氏の一問一答は以下の通り。
-昨年11月下旬にコーチ就任の打診を受けた。その後、矢野監督から連絡は
川相氏 (ライバル球団のコーチを)無理を承知でお願いをしているので、よろしくお願いしますというところでした。
-キャンプで取り組みたいことは
川相氏 矢野監督が 2年間やって両方とも「Aクラス」。「3位、2位」で「Aクラス」に入っているわけですよね。でも、目指している野球、やりたい野球ができていない。もっと上を目指せると思っている。その第1歩としてミスを減らしていって勝利に結びつけていきたい。そういう意図だと思いますので。いかにチーム全体がやるべきこと、イージーミスを少しでも減らすことを意識して、それが「勝利」に結びつくということをみんなで認識さえすれば十分、エラーも減ると思います。
- 1塁守備について
川相氏 実は非常に奥が深い。サインプレーに参加する機会も多いし、外野に打球が飛んだ時にどう動くか、複数の走者がいる時にどうカットマンに動くかという非常に複雑な動きが多い。そういうところも含めて強化できると、チーム全体の守備力も上がっていくと思う。中日でウッズやブランコを指導する時期があって、落合監督や渡辺博幸に 1塁のことを教えてもらったりして、 1塁の動きがすごく重要だというのを認識させて頂いた。そういうことも伝えていけたら。
-コーチ時代、井端、荒木、坂本勇の成長を指導
川相氏 中日時代、井端、荒木にノックしました。巨人に戻って「ヘッドコーチ」やらせてもらっている時にちょうど井端が移籍してきて、井端にノックをした。井端は中日時代も巨人時代も全く変わっていなくて、普通のノックのゴロ捕球練習を妥協しなかった。基本に忠実にやる練習を妥協しないことですね。試合になったら、一生懸命やるのは当たり前。 100から 120%の力を出そうと思うのは当たり前なんですけど、練習の時に「練習の練習」じゃなくて、「試合につながる練習」というのを日頃から取り組んでおくのが、いざ試合になった時に役立つ。そういうのを井端とか荒木とか、坂本(勇)もここ数年で守備も上達しましたし。やっぱり基本に忠実に練習をやり続けられるかどうかというのが、 1つのポイントだと思います。
ノックを受け送球する小幡竜平内野手=阪神鳴尾浜球場(西宮市タイガーデン)
小幡竜平内野手は今春キャンプで「臨時コーチ」を務める川相氏にバントの極意を学ぶ。
通算「533犠打」の世界記録を持ち「バントの神様」として知られる同氏について、オンライン取材で「自分はバントが下手。そういう小技をしっかり聞いていきたいです。すごい場面でサインも出ると思う。心の持ち方であったりを聞いてみたい」と目を輝かせた。
17日は鳴尾浜で内野ノックやキャッチボールで汗を流し、キャンプに向けて順調な調整をアピールした。
ベースランニングをする中野拓夢内野手=阪神鳴尾浜球場
阪神「ドラフト6位」の中野拓夢内野手が17日、今春キャンプで「臨時コーチ」を務める遊撃の大先輩、川相昌弘氏に「弟子入り」を志願した。守備に定評のある中野は、オンライン取材で「自分もショートを守りたい。ショートで『ゴールデングラブ賞』を取れれば一番自信になる。川相さんは受賞されいている方なので、いろいろと守備の極意というのを自分から聞いていけたらと思います」と指導を心待ちにした。
ノックを受ける中野拓夢内野手=阪神鳴尾浜球場
社会人時代の昨秋公式戦は、出場全 8試合で「無失策」だった。「守備から入っていくのが一番大事。まずはそこを完璧にしてアピールしていくことが、レギュラーへの近道だと思っている。まずは守備をアピールしていきたいと思います」。川相氏のアドバイスでレベルアップし、木浪や小幡らとの遊撃手争いに競り勝つ意気込みだ。
ノックを終え笑顔を見せる佐藤輝明内野手(右)と中野拓夢内野手=阪神鳴尾浜球場
この日は「阪神・淡路大震災」から26年が経過し、「新人合同自主トレ」開始前に黙とうをささげた。山形県出身の中野も、11年に「東日本大震災」を経験している。「自分たちが頑張ることによってみなさんに元気を与えられると思う。元気を与えれるようなプレーをやっていきたい」。復興半ばの故郷の東北も思い、心を新たにした。
6434人が犠牲となった「阪神大震災」から丸26年となった17日、阪神は「新人合同自主トレ」が行われている鳴尾浜で藤原崇起オーナー兼球団社長(阪神電鉄会長)、新人を含む選手、スタッフら約50人が黙とうをささげた。
藤原オーナーは当時を振り返り「ある程度落ち着いて神戸に入ったときに港の岸壁が崩れたり、三ノ宮の地下の駅へ行ったときには電車が壁の中にもたれて真っ暗な中で止まっていたり。長田の街が、タクシーに乗ったときにヘッドランプが遠くまで真っすぐの光を出して、焼きただれた匂いがしている。今でも思い出すと辛い。辛いというより、悔しい気持ちは皆さんも同じだと思います」と語った。
時の流れにより「選手たちも、ほぼそういう経験をしていない人ばかりになっている」ということは藤原オーナーも受け止めている。だが、「新型コロナウイルス感染拡大」で誰もが苦しむ今こそ、もう一度、「震災と同じように支えながらということが大事じゃないかなと思う」と言う。
「ニュースなんかを見ても、みなさん大変な傷跡が残っているということですけど。ただその中でみんなが支え合ってきたという、そういう絆と言われましたけど、私もそれは大いに感じるところです」
手を取り合い、立ち上がってきた人々を目の当たりにしてきたからこそ、藤原オーナーはこの難局も乗り切れると信じている。
阪神は17日、兵庫・西宮市内の鳴尾浜球場で「阪神・淡路大震災」の犠牲者に黙とうをささげた。
26年前の1995年 1月17日、午前 5時46分に兵庫・神戸市を中心に起こった震災。藤原崇起オーナー兼球団社長や、谷本修球団副社長兼本部長、選手、スタッフら約50人が練習前に整列し、午前 9時30分から約 1分間行った。「ドラフト1位」の佐藤輝明内野手ら新人 9選手もともに目を閉じ、哀悼の意を示した。
藤原崇起オーナー兼球団社長が黙とうのために鳴尾浜に登場。コロナ禍の今、26年前と同じ結束を訴えた=阪神鳴尾浜球場
同オーナーは「26年前というのは、今でも鮮明にあの当時のことを思い出します。本当に揺れて、そのなかで何もできなかった自分。それから、ある程度落ち着いて神戸に入った時に港の岸壁が崩れたり、三ノ宮の地下の駅に行った時は電車が壁にもたれて真っ暗ななかで止まっていたり。(兵庫県)長田の街が焼けただれて、タクシーに乗った時にヘットランプが遠くまで真っすぐの光を出して、焼けただれたにおいがしている。そういうふうなことは今でも思い出すとつらい」と、当時を振り返った。
「阪神・淡路大震災」から26年がたちグラウンドで黙とうをささげる藤原崇起オーナー(左から 3人目)と阪神ナイン=阪神鳴尾浜球場
現在は「新型コロナウイルス感染拡大」の影響により、世界中が苦しむ状況にある。同オーナーは続けて「この26年間で神戸の街も復活して、ニュースを見ても人々の心にはみなさん大変な傷痕が残っているということですけど、ただその中でみんなが支え合ってきた。私もそれは大いに感じるところ。(コロナ禍も)震災と同じように支え合いながらということが大事じゃないかなと思います」と、言葉を並べた。
「阪神・淡路大震災」の被災者に黙とうをささげる藤原崇起オーナー兼球団社長や佐藤輝明内野手。忘れてはいけない記憶だ=阪神鳴尾浜球場
阪神・淡路大震災から26年となった17日、阪神は「新人合同自主トレ」が行われた鳴尾浜で藤原崇起オーナー兼球団社長や新人を含む選手、スタッフら約50人が黙とうをささげた。代表取材に応じた藤原オーナーは、「コロナ禍」の現在も「震災と同じように支え合いながら」と結束することを強調した。
忘れられない景色を見た。我慢し、希望を捨てず、手と手を取り合う人々の姿も目にした。現場に立ち、沿線の人々の生活に寄り添ってきた藤原オーナー兼球団社長にとっても、あの日からの26年は特別なものだった。
「ある程度、落ち着いて神戸に入ったときに、港の岸壁が崩れたり、三宮の地下の駅に行ったときは、電車が壁にもたれて真っ暗な中で止まっていた。長田の街が、タクシーに乗ったときにヘッドランプが遠くまで真っすぐの光を出して、焼けただれた匂いがしている。今でも思い出すと辛い。辛いというより、悔しい気分はみなさんも同じだと思います」
この日、鳴尾浜のスコアボード上には球団旗を半旗にして掲げた=阪神鳴尾浜球場
鳴尾浜で「自主トレ」を行うルーキー、その他の選手やスタッフらとともに静かに祈った。光景も、匂いまでも鮮明に思い出された。あれから26年。「選手たちも、ほぼそういう経験をしていない人ばかりになっている」ということは受け止めている。しかし、形の違う危機が訪れている今だからこそ、あのときのような結束が必要だと語った。
「今回、『コロナ』という思いもよらないことが起こっているんですけど。いつもそれに備えるというわけにはいかんわけですけど。そういうこともあるんだと。起こったときにみんなで我慢をして、それから将来の希望を捨てずに」
年始にも藤原オーナーは、「コロナ禍」の先に「『チャンピオンフラッグ』を掲げている。そういう形があると信じております」と言い切った。信じ、手を取り合う大切さを教えてくれたのは、震災の後の沿線の姿でもあった。
震災で阪神電鉄の石屋川車庫では線路が激しく波打ったままとなった=神戸市東灘区
「この26年間で神戸の街も復活して、ただ人々の心にはニュースを見ても、みなさん大変な傷痕が残っているということですけど。ただ、その中でみんなが支え合ってきたという、そういう絆と言われましたけど、私もそれは大いに感じるところです」
先が見えないときにこそ、誰かと思いが通じている、信じ合えているという「絆」が力になる。今回もそう信じている。
「何よりもいろんな職業の方が大変だと言われているんですけど、そういう中で、震災と同じように支え合いながらということが大事じゃないかなと思います」
この「コロナ禍」も、支えてくれる人々とともに乗り越える。
ティー打撃をする佐藤輝明内野手=阪神鳴尾浜球場
95年の「阪神・淡路大震災」から26年を迎えた17日、阪神「ドラフト1位」の佐藤輝明内野手がオンライン取材に応じ、震災への思いを語った。まだ生まれる前の出来事だが、地元兵庫を襲った大惨事を思うと胸が痛んだ。「新人合同自主トレ」先の鳴尾浜で、同僚選手ら約50人と黙とうをささげた。11年の「東日本大震災」後、東北に希望を届けた楽天田中将大の活躍を引き合いに、故郷を明るく照らす全力プレーを誓った。
◇ ◇ ◇
寒空の鳴尾浜で、佐藤輝は静かに目を閉じた。「被災して友達や親族を亡くされた方もいると思うので、そういう方たちに感動を。そういうプレーができたらいいかなと思います」。今なお、傷が癒えない人も多くいる。その人たちのために、何ができるのか。自身に問いかけ、全力プレーで、生まれ育った故郷に勇気と感動を与えると誓った。
ノックを受ける佐藤輝明内野手=阪神鳴尾浜球場
まだ生を受ける前に起こった悲劇だが、身近に触れてきた。小学から高校は西宮市内の学校に通い、授業などで震災の記憶と向き合った。「学校でいろいろ話を聞いて、すごい大変だったんだなというのは感じたことがあります」。
宮城にいる父方の祖父母は11年の「東日本大震災」を経験。直接的な被害はなかったというが、「いつどこでそういうことが起こるか分からない、いつ死ぬか分からない。後悔がないようにという風には思ったりします」。野球ができる喜びをかみしめながら、毎日を過ごしている。
プロ野球は、苦しむ人たちに勇気を与える存在であり続けてきた。佐藤輝に印象深く刻まれているのは、楽天田中将大の大活躍だ。「東日本大震災」から 2年後の13年、「シーズン24連勝」を記録してチームを初の「リーグ優勝」と「日本一」に導いた。「すごいピッチングでチームが『優勝』して、すごい勇気を与えたと思う。僕らもそういうことができればいいかなと」。バットでマーくん級の活躍を目指す。決意を新たにした 1日になった。
ノックで笑顔を見せる佐藤輝明内野手=阪神鳴尾浜球場
「新人合同自主トレ」は第 3クールに突入し、 2月のキャンプインに向けた準備も着々と進んでいる。「体も張ってきたので、そこはしっかりケアしながら。徐々に動けるようになってきて、準備はしっかりできています」。心身充実で 2月 1日を迎えられそうだ。
16年ぶりの「リーグ優勝」は、阪神ファンの誰もが待ち望む。26年前、「阪神大震災」が起きた95年は佐藤輝が憧れるイチロー氏率いるオリックスが「がんばろう神戸」を合言葉に「優勝」し、関西を明るく照らした。「プロ野球なので、ファンの方に喜んでもらうのが一番だと思う。そこはしっかり頭の中に入れてやっていきたいです」。プロ野球選手の使命を胸に刻み、快音で歓喜をもたらす。
キャッチボールをする村上頌樹投手=阪神鳴尾浜球場
兵庫・淡路島出身の阪神「ドラフト5位」村上頌樹投手が17日、オンライン取材に応じ、震災への思いを語った。
村上は当時生まれていなかったが、両親から震災の詳細を聞いたという。「火災がすごかったというのと、人がたくさん亡くなってしまったというのは悲しいですけど、そこを立て直す日本の力はすごいなと思いました。兵庫県の人たちの力はすごい」。小学生のころから震災のことを学ぶ機会も多々あった。体験はしていなくても、 1月17日は特別な日だ。
昨秋の「東都リーグ開幕戦」で右前腕肉離れを発症したが、現在は「新人合同自主トレ」を無難にこなすまでに回復した。「自分の姿を見て頑張ってくれればうれしいなと思いますし、そういう憧れるような選手になっていけるように頑張っていきたいです」。選手会長近本と同郷の即戦力右腕も、関西を勇気づけていく。
95年の「阪神・淡路大震災」から26年を迎えた17日、武庫荘総合(兵庫)の植田茂樹監督ががれきのなかで野球に臨んだ26年前の心境を語った。
◇ ◇ ◇
植田監督は、「阪神・淡路大震災」が起こった95年夏、公立の尼崎北を率いて甲子園に初出場した。
震災と向き合い芽生えた心の強さが、「聖地」につながっていた。「困難にぶち当たって彼らがまとまった。地震があったのもきっかけ。精神的に自立してくれた」と当時を振り返る。神戸市内より比較的被害の少なかった尼崎市内は、震災から程なくしてライフラインが復旧。学校も始まり、部活動も自主練から再開した。震災から約 2カ月が経ったある日、練習試合のために電車で明石市内へ向かった。窓の向こうに見えた景色に、部員たちが言葉を失っていた。「(表情が)沈んでました。風景に見入ってました。一言もしゃべらずに…」。尼崎市と西宮市の間を流れる武庫川を越えると世界は一変した。崩れたビル、空き地だらけの変わり果てた神戸の街。「野球ができるありがたみを感じてくれたと思う」。漫然と野球をするわけにはいかない。部員おのおのが、心に刻んでいた。
「95年夏の甲子園」に尼崎北を率いて出場した現武庫荘総合・植田茂樹監督=武庫荘総合高校グランド
無欲で過ごした夏だった。「なんで(甲子園に)出られたのって思われたと思う。今考えたらあの夏は不安がいっさいなかった。ただ、野球ができるだけで良かったんです」。普段の公式戦なら行う駆け引きも、計算もしなかった。「毎日試合に行くのが楽しかった。それはあの夏だけですね」。野球ができるうれしさと尊さ。その一心で、一試合一試合を駆け抜けた。チームは 7試合中 5試合を「逆転勝ち」。「準決勝」からは一度のリードも許すことなく、決勝では神戸弘陵を 5- 2で破って甲子園へたどり着いた。
ノックをする武庫荘総合・植田茂樹監督=武庫荘総合高校グランド
「聖地」は長く、短かった。 8時30分開始の第一試合にもかかわらず、アルプスも外野席も地元の応援団で満員になった。だが、 3時間超の熱戦の末、初戦で青森山田に 6- 7で惜敗。「勝利」で応えることはできなかった。だが、「今までにないくらいの声援をもらいました」。試合後、拍手と聞き取れないほどの大歓声に包まれた。間を縫って聞き取れたのが「『また来年もこいよ』とか『頑張ったね』とか」。兵庫の代表として戦い抜いた証だった。
26年が経った今、「コロナ禍」による未曽有の事態に包まれる。「人災、戦災、天災はいつ起こるのか分からない。毎日グラウンドで野球をやっていることがどれだけ幸せか」とかみしめる。部は現在、「緊急事態宣言」の影響で練習時間は平日 2時間、休日 3時間に限られる。限られた環境下、思うようにならない日々が、26年前と重なる。「自分の意思でどれだけ取り組めるかが大きなところだと思う。本当の意味での良い練習ができるのでは」。野球ができる幸せを感じながら、生徒たちとこの日常に向き合う。
ガンバレ!阪神!我らのタイガース!来季こそ勝利を掴め!
多くの方と話をする中で、"楽しむからこそ実力が発揮できる"そして"笑うということには大きなパワーがある"ということを教えてもらいました。
これからの1年はグラウンドで苦しい時こそ笑って、楽しいときはもっと楽しく、でもしっかり勝つようなチームを作っていきます。
そして、僕たちが勝つことでファンの皆さんにも思いっきり笑ってもらい、思いっきり喜んでもらえるようなシーズンにすべく、「It's 勝笑 Time!オレがヤル」というスローガンにしました。
2020年 オープン戦 最終順位表
2020年 公式戦 順位表
2020年 公式戦日程と結果 (11月)
2021年 公式戦日程表と結果(03月)
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