●「第95回東京箱根間往復大学駅伝」最終日は 3日、神奈川県箱根町から東京・大手町までの 5区間、 109.6キロに23チームが参加して行われ、「往路2位」の東海大學が逆転で初の「総合優勝」を果たした。10時間52分 9秒の大会新記録で、史上17校目の「優勝校」となった。「往路優勝」の東洋大學から 1分14秒差の「2位」で復路はスタートした。 7区の終盤で東洋大學をとらえると、 8区の小松陽平選手( 3年)が22年ぶりに「区間記録」を更新する快走でトップを奪い、東洋大學の鈴木宗孝( 1年)の後ろにぴたりと追走。リードを保って逃げ切った。小松は14キロ付近でスパートする。東洋大學・鈴木選手( 3年)との差をぐんぐんと広げ、ガッツポーズをしながら戸塚中継所に入った。 1時間 3分50秒の「区間新記録」。97年に古田哲弘選手の最も古い区間新記録で、東洋大に50秒の差をつけた。 8区で最古の「区間記録」を更新した東海大學の小松陽平選手( 3年)が「最優秀選手賞(金栗賞)」を獲得した。 1時間 3分50秒の快走で、「区間新記録」を22年ぶりに更新。創部59年目の「初優勝」の原動力になっていた。 8区では1997年の古田哲弘選手(山梨学院大)が 1時間 4分 5秒を記録して以来破られていなかった、箱根駅伝の中で最も古い区間記録を15秒塗り替えた。ゴール後は充実の笑みを浮かべていた。「往路2位」の東海大學が10時間52分09秒の「大会新記録」を出して逆転で、創部59年目にして悲願の初優勝を果たした。アンカーの郡司陽大選手( 3年)が、待ち受けたチームメートに見守られながら、ガッツポーズをしてゴールテープを切った。両角速監督(52)は選手たちから胴上げされ5度宙に舞った。「2位」は 3分41秒差で青山学院大學。「5連覇」は逃したものの、復路優勝で意地を見せた。歴史的快走で「初優勝」を引き寄せると、もう勢いは止まらない。 9区のエース湊谷春紀選手( 4年)は 3分35秒に「2位]との差を広げる。アンカーの郡司も流れを失うことはなかった。駅伝の練習の定石の単位は月間だ。どれだけ走り込めたかの指標として、多くの選手が頭にとめ、指導者も目安として把握する。それをより細かくこだわった。週ごとに選手の体調や要望を考慮した上で、選手にもより緻密な取り組みへの意識が生まれた。故障者もなく、不備ない仕上げができた。
●関東の22校とオープン参加の関東学生連合を加えた23チームが参加して行われ、往路で「6位」と出遅れた青山学院大學は復路優勝を飾ったが「総合2位」に終わり、史上 3校目の「総合5連覇」と「大学駅伝3冠」はならなかった。「往路6位」、首位の東洋大から 5分30秒差で迎えた復路。まずは 6区の山下りはスペシャリストの小野田勇次選手( 4年)が57分57秒の「区間新記録」を樹立。 7区は青山学院大學の林奎介選手( 4年)が2年連続となる「区間賞」を獲得した。 8区は 1年の飯田貴之が「区間2位」。そして 9区の吉田圭太( 2年)が 1時間 8分50秒で「区間賞」を獲得した。アンカー10区の鈴木塁人選手( 3年)も 1時間10分10秒の「区間2位」。ゴールする鈴木選手の笑顔に復路の充実感が漂っていた。原晋監督(51)は反省した。続けて復路優勝については胸を張った。来年に向けて、王座奪回を誓った。テレビ解説を務めた日本陸連の瀬古利彦マラソン強化戦略プロジェクトリーダー(62=現Denaランニングクラブ総監督)は、青山学院大學の原晋監督が敗因に往路の 4区を挙げたことに触れ、指摘。住友電工監督の渡辺康幸氏(45)は「層の厚さは見せつけられたが、 4区の距離が伸びたことで、ここにいい選手を配置したチームが優勝争いをした」と強調していた。
●帝京大は最終10区で順位を 2つ上げた。「出雲全日本選抜、全日本」に続き、今季の大学駅伝は全て「5位」。青山学院大學の原監督が掲げた作戦名にひっかけ、中野監督は「ゴーゴーゴー大作戦成功」と一定の満足感を口にした。10区の星 岳(ホシ ガク)選手( 2年)は青山学院大學の鈴木選手を13秒抑え、区間賞に輝いた。充実した表情だった。
●順天堂大學は往路から 1つ順位を下げながらも「8位」に入り、 2年ぶりのシード権を獲得した。前回は14秒差の「11位」で逃しただけに、エースで「2区」を好走した塩尻和也選手( 4年)は「復路の選手がしっかりとまとめてくれた」と話した。来季は塩尻和也選手( 4年)や 3年連続で山上りの 5区を走った山田攻選手( 4年)らが抜ける。長門監督は課題を口にした。
●「往路15位」と大きく出遅れた早稲田大學は「総合12位」に終わり、「10位」以内に与えられる来年のシード権を13年ぶりに逃した。早稲田大學の相楽豊監督はシード落ちに言葉を失った。復路は「7位」だっただけに、巻き返しを誓っていた。テレビ解説を務めた早稲田大學前監督の渡辺康幸氏は落胆を隠せない様子だった。
記事をまとめてみました。
<第95回東京箱根間往復大学駅伝往路>◇3日◇往路◇神奈川・箱根町芦ノ湖駐車場-東京・大手町( 5区間 109.6キロ)
「第95回東京箱根間往復大学駅伝」最終日は 3日、神奈川県箱根町から東京・大手町までの 5区間、 109.6キロに23チームが参加して行われ、「往路2位」の東海大が逆転で初の「総合優勝」を果たした。10時間52分 9秒の大会新記録で、史上17校目の「優勝校」となった。
東海大は東洋大から 1分14秒遅れで復路をスタート。 7区の阪口竜平が首位に肉薄すると 8区の小松陽平が22年ぶりに「区間記録」を更新する快走でトップを奪い、リードを保って逃げ切った。小松は「最優秀選手」に選ばれた。
■巨人・原辰徳監督(東海大學OB)の話
「この優勝は東海大の駅伝の歴史にとって新しいスタートになったと思う。心中察するに、勝つ苦しさ、厳しさがあったはず。これから常勝を目指してもらいたい。新年早々、大学の校歌を歌いましたよ。」
「復路1位」でゴールした東海大學・郡司陽大選手=東京都千代田区
8区で最古の区間記録を更新した東海大の小松陽平( 3年)が「最優秀選手賞(金栗賞)」を獲得した。 1時間 3分50秒の快走で、「区間新記録」を22年ぶりに更新。創部59年目の「初優勝」の原動力になっていた。
8区では97年の古田哲弘(山梨学院大)が 1時間 4分 5秒を記録して以来破られていなかった、箱根駅伝の中で最も古い区間記録を15秒塗り替えた。
ゴール後は「1997年というのは自分が生まれた年なので、まさか自分がこんな大記録を更新するとは思いませんでした。これ以上ない仕事をしました。 100点満点です」と充実の笑みを浮かべていた。
区間新の快走を見せガッツポーズする東海大學 8区小松陽平選手=神奈川県横浜市
「往路2位」の東海大が10時間52分09秒の大会新記録を出して逆転で、創部59年目にして悲願の「初優勝」を果たした。アンカーの郡司陽大( 3年)が、待ち受けたチームメートに見守られながら、ガッツポーズをしてゴールテープを切った。両角速監督は選手たちから胴上げされ5度宙に舞った。「2位」は 3分41秒差で青学大。「5連覇」は逃したものの、「復路優勝」で意地を見せた。
「往路優勝」の東洋大から 1分14秒差の「2位」で復路はスタートした。 7区の終盤で東洋大をとらえると、 8区の小松陽平( 3年)が東洋大の鈴木宗孝( 1年)の後ろにぴたりと追走。小松は14キロ付近でスパートする。東洋大・鈴木との差をぐんぐんと広げ、ガッツポーズをしながら戸塚中継所に入った。
1時間 3分50秒の「区間新記録」。97年に古田哲弘の最も古い区間新記録で、東洋大に50秒の差をつけた。「自分が生まれた年の大記録を自分が更新するとは思っていなかった。 100点満点の走り出来た」。
戸塚中継所でたすきリレーする東海大 8区小松陽平選手(左)と 9区湊谷春紀選手=神奈川県横浜市の戸塚中継所
歴史的快走で「初優勝」を引き寄せると、もう勢いは止まらない。 9区のエース湊谷春紀( 4年)は 3分35秒に「2位]との差を広げる。アンカーの郡司も流れを失うことはなかった。
秋からの新たな試みが奏功した。箱根路の起伏を想定した 1周 7.5キロの特別コースを神奈川県内の大学から車で 1時間の場所に設定し、「虎の穴」として特訓を積んできたが、それ以外にも「挑戦」はあった。両角監督は「うちは走行距離を月間ではなく、週間でやるようにしています。考え方は前から持っていたんですけど、具体的には秋に入っていたからですね」と説く。
駅伝の練習の定石の単位は月間だ。どれだけ走り込めたかの指標として、多くの選手が頭にとめ、指導者も目安として把握する。それをより細かくこだわった。週ごとに選手の体調や要望を考慮した上で、選手にもより緻密な取り組みへの意識が生まれた。「物の評価を変えた。強弱のつけかた、選手たちがより分かりやすくなったのかなと思いますね」。故障者もなく、不備ない仕上げができた。
「第95回箱根駅伝」 復路10区「初優勝」を決め笑顔でゴールする東海大學10区郡司陽大選手=東京都千代田区
選手の準備も万全なら、監督の「仕上げ」も万全だった。「箱根のストレスで痩せたんです」と冗談で謙遜したが、 9月から走り込みを開始した。毎年注意をされる10月の健康診断を控えての月間 300、 400キロメートルの走り込みだったが、選手たちに広がったのは「胴上げを期待しているんじゃないか」という臆測だった。早朝の自主トレなどで、コースを逆走してくる指揮官の姿を見れば、自然と士気は高まった。体重は15キロ減の60キロ台となり、大手町で空に舞う準備は整っていた。
5度宙に舞った両角監督は「信じられない心境だがうれしい。10人の選手が、やってきたことに自信を持って、きちんと力を発揮した。(昨年優勝候補も「5位」で)悔しい思いもあったが、ここに向けて挑戦してあきらめない姿勢、それを学生が発揮してくれた。胴上げは最高でした」と安堵した表情で言った。続けて真面目な性格らしく「まだ努力しないといけないところはたくさんある」と早くも「連覇」へ引き締めることも忘れなかった。
「1位」でゴールする東海大學のアンカー・郡司陽大選手=東京・大手町
関東の22校とオープン参加の関東学生連合を加えた23チームが参加して行われ、「往路2位」の東海大が10時間52分 9秒の大会新記録で初の「総合優勝」を飾った。青学大は史上 3校目の「総合5連覇」と「大学駅伝3冠」はならなかった。
東海大の両角速監督は「信じられないような心境。悔しい思いが一番あった。挑戦していくことをあきらめなかった姿勢が発揮された」と笑顔。「胴上げは気持ちいい。最高だった。まだまだ努力しなきゃいけないことがたくさんある」と気を引き締めた。
「第95回箱根駅伝」 復路 8区青山学院大學・飯田貴之選手(右)=2019年1月3日・神奈川県平塚市の平塚中継所
青学大が「王者の意地」を見せた。「初優勝」した東海大に 3分41秒遅れの「総合2位」。「往路6位」と失速した影響は大きく「総合5連覇」は逃したものの、復路は 5人中 3人が「区間賞」で 2人は「2位」。貫禄の強さだった。
「往路6位」、首位の東洋大から 5分30秒差で迎えた復路。まずは 6区の山下りはスペシャリストの小野田勇次( 4年)が57分57秒の「区間新記録」を樹立。 7区は青学大の林奎介( 4年)が2年連続となる「区間賞」を獲得した。 8区は 1年の飯田貴之が「区間2位」。そして 9区の吉田圭太( 2年)が 1時間 8分50秒で「区間賞」を獲得した。アンカー10区の鈴木塁人( 3年)も 1時間10分10秒の「区間2位」。ゴールする鈴木の笑顔に復路の充実感が漂っていた。
「第95回箱根駅伝」 復路10区「2位」でゴールする青学大10区鈴木塁人(スズキ タカト)選手=東京都千代田区
原晋監督は「往路は〝王者青山学院〟がマークされた。それを吹き飛ばせないといけないのだが。あと 4区(区間15位)は甘くみすぎた私の責任」と反省した。続けて復路優勝については「力を発揮できた。あきらめない心、これは陸上だけでなく、学習面、生きる力にもつながる」と胸を張った。来年に向けて「負けると悔しいので。これからもプロセスを大切して文武両道で取り組んでいきたい」と、王座奪回を誓った。
記者に囲まれる、「優勝」を逃した青山学院大學・原晋監督=東京都千代田区
関東の22校とオープン参加の関東学生連合を加えた23チームが参加して行われ、往路で「6位」と出遅れた青学大は復路優勝を飾ったが「総合2位」に終わり、史上 3校目の「総合5連覇」と「大学駅伝3冠」はならなかった。
青学大の原晋監督は、「素直に悔しい。学生たちは精いっぱい、がんばってくれた。学生たちの努力している姿を目の当たりにしている。後悔はない」とスッキリした表情。「往路はマークされていた。それを吹き飛ばすぐらいの走りをしなくてはならなかった。 4区を甘く見ていた」と反省の言葉を並べた。
「復路は地力を発揮できて見せ場を作れた。あきらめない心。生きる力を箱根駅伝を通して学ばせている。負けると悔しい。プロセスを大切にし文武両道でやっていきたい」と巻き返しを誓っていた。
瀬古利彦氏
関東の22校とオープン参加の関東学生連合を加えた23チームが参加して行われ、往路で「6位」と出遅れた青学大は復路優勝を飾ったが「総合2位」に終わり、史上 3校目の「総合5連覇」と「大学駅伝3冠」はならなかった。
テレビ解説を務めた日本陸連の瀬古利彦マラソン強化戦略プロジェクトリーダーは、青学大の原晋監督が敗因に往路の 4区を挙げたことに触れ、「 1つのミスで『優勝』できない。箱根駅伝は難しい」と指摘。住友電工監督の渡辺康幸氏は「層の厚さは見せつけられたが、 4区の距離が伸びたことで、ここにいい選手を配置したチームが優勝争いをした」と強調していた。
「総合5位」でゴールした帝京大學・星 岳選手=東京・大手町
「第95回東京箱根間往復大学駅伝」最終日は 3日、神奈川県箱根町から東京・大手町までの 5区間、 109.6キロに23チームが参加して行われ、「往路2位」の東海大が逆転で初の総合優勝を果たした。10時間52分 9秒の大会新記録で、史上17校目の「優勝校」となった。
帝京大は最終10区で順位を 2つ上げた。「出雲全日本選抜、全日本」に続き、今季の大学駅伝は全て「5位」。青学大の原監督が掲げた作戦名にひっかけ、中野監督は「ゴーゴーゴー大作戦成功。学生は(目標を)「3位」と言っていたが、そんなに簡単ではない」と一定の満足感を口にした。
10区の星は青学大の鈴木を13秒抑え、区間賞に輝いた。「前のチームを一つ一つ食っていこうと思って走った」と充実した表情だった。
戸塚中継所 順天堂大學の 8区・金原弘直選手から 9区・吉岡幸輝選手(右)へたすきがわたる=横浜市戸塚区の戸塚中継所
「第95回東京箱根間往復大学駅伝」最終日は3日、神奈川県箱根町から東京・大手町までの 5区間、109.6キロに23チームが参加して行われ、「往路2位」の東海大が逆転で初の「総合優勝」を果たした。10時間52分 9秒の大会新記録で、史上17校目の「優勝校」となった。
順大は往路から 1つ順位を下げながらも「8位」に入り、 2年ぶりのシード権を獲得した。前回は14秒差の「11位」で逃しただけに、エースで「2区」を好走した塩尻は「復路の選手がしっかりとまとめてくれた。ほっとした」と話した。
来季は塩尻や 3年連続で山上りの 5区を走った山田らが抜ける。長門監督は「往路で戦えるような選手をそろえていかないといけない」と課題を口にした。
ゴール前でデッドヒートを繰り広げる中央大學・川崎新太郎選手(左)、早稲田大學・小沢直人選手=東京・大手町
関東の22校とオープン参加の関東学生連合を加えた23チームが参加して行われ、往路「15位」と大きく出遅れた早大は「総合12位」に終わり、「10位」以内に与えられる来年のシード権を13年ぶりに逃した。
早大の相楽豊監督は「厳しい戦いになると思っていたが…」とシード落ちに言葉を失った。復路は「7位」だっただけに、「復路がまとめられた分、もう少し、いい位置で勝負させてあげたかった。準備不足。ただ 4年生が 2人の若いチーム。この経験を糧に強くなる」と巻き返しを誓っていた。
渡辺康幸氏
関東の22校とオープン参加の関東学生連合を加えた23チームが参加して行われ、「往路15位」と大きく出遅れた早大は「総合12位」に終わり、「10位」以内に与えられる来年のシード権を13年ぶりに逃した。
テレビ解説を務めた早大前監督の渡辺康幸氏は「私もここで早大のシード落ちを解説するのは非常に複雑な気分。今年 1年、『出雲、全日本』と自分たちの駅伝ができなかった。ベストメンバーを組めなかったことが一番大きい」と落胆を隠せない様子だった。
順位推移